2011年3月30日水曜日

で、私たちは原発をどうするのか?--原発の「合理的に達成可能な安全基準」は「安全」を保証しない

「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」3/11~3/20
「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」(2)3/21~3/30

4/1
2号機トレンチから通常の炉心内水の数万倍の放射能
 福島第1原子力発電所2号機タービン建屋と海側のポンプをつなぐ配管を通す「トレンチ」と呼ばれるトンネル内で30日に採取された水から、1立方センチメートルあたり1200万ベクレルの放射性物質(放射能)検出。東電が発表。通常運転中の炉心内の水の数万倍にあたる。
 2号機ではこれまでタービン建屋地下1階から1900万ベクレルの水が検出されている。東電「建屋地下の水がトレンチに流れ込んだ可能性がある」。

1号機付近の地下水から放射性物質
 1号機のタービン建屋付近の地下水から放射性物質、ヨウ素131検出。法定基準値の約1万倍の濃度、1立方センチメートルあたり約430ベクレル検出。地下水のサンプルは30日午前採取。 東電「タービン建屋内にたまっている高濃度の汚染水から一部漏れだした可能性は否定できない」。 このほかにも地下水からは、セシウム134などが検出。同原発の敷地内の地下水は通常、放射性物質は検出限界値以下の濃度だったという。また、2~6号機のタービン建屋付近でもヨウ素131。同約1.61~80ベクレル。

原発の南50キロの海水に放射性物質
 文科省は31日、第1原発の南約50キロ、沿岸から約10キロの沖で30日に採取した海水調査で、原発から排水する濃度限度40ベクレルを超える79.4ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと発表。表層や水深83メートルでもヨウ素を検出。

3/31
米軍は日本を守らない---「日米安保という虚構」3/31更新
第一原発南側の海水、放射性ヨウ素基準の4385倍
 東電は31日、福島第一原発1~4号機の放水口から南に約330メートルの海岸沿いで、30日午後に採取した海水から、原子炉等規制法が定める基準の4385倍に当たる濃度の放射性ヨウ素131を検出した、と発表。 同じ地点で29日午後に採取した海水から基準の3355倍の放射性ヨウ素131検出。 5、6号機の放水口から約30メートル北にある地点でも、30日午前に採取した水で基準の1425倍に当たる、これまでで最も高い放射性ヨウ素131検出。(⇒「問題なし」とされている5、6号機の動向に注意する必要あり)

小沢氏「原発は発表より悪い事態のようだ」
 民主党の小沢一郎元代表は30日夜、東京都内の自宅で自らに近い若手の衆参両院議員十数人と懇談。 出席者によると、元代表は福島第一原発の事故に関し、「自分なりに情報収集しているが、政府や東電が発表するよりも悪い事態になっているようだ」と語った。そのうえで「政治は、最悪の事態を想定して対応を考えなければいけないのに、危機感を共有しきれていない」と述べ、菅政権の危機管理能力に疑問を呈した。(⇒この国の「政治」が「最悪の事態を想定」し原発をつくってこなかったことが問題。どの政権、「大連立」であれ「危機感を共有」しなかっただろうし「危機管理能力」はない。そのことが非常によくわかった。そしてこれが実に深刻なる日本の現実なのだ)

福島第一原発、廃炉は数十年がかり
 危機的な状態が続く東京電力福島第一原子力発電所1~4号機。 東電の勝俣恒久会長は30日、これら4基を廃炉にする方針を示したが、喫緊の課題は、原子炉の冷却や放射能に汚染された大量の水の処理だ。廃炉に持ち込むには長い時間がかかり、専門家は「すべてを終わらせるには数十年がかりの作業になる」と指摘する。
◆短期的課題
 目の前にある最大の課題は、高濃度の放射能に汚染された大量の水処理だ。作業用トンネル(トレンチ)にたまっている汚染水だけで、計約1万3000トン。このほか、量は不明だが、タービン建屋の地下にある大量の汚染水も除去しなくてはならない。 汚染水を除去できれば、原子炉本来の効率的な冷却機能復活への道が開ける。しかし、現状では汚染水に阻まれ、原子炉の制御機器を動かす外部電源ケーブルすら敷設できていない。 内部の放射線が強すぎて機器の修理ができなかったり、汚染水の排水ができなかったりして、電源が回復しないといった事態も想定される。漏えいが続くと、一時的な保管場所にしている外部タンクでは間に合わなくなる。関係者から「新たな貯蔵場所を、早急に確保しなければならない」という意見が出ているのには、こうした背景がある。
 汚染水を除去できたとして、同原発からの放射性物質の大量放出を止め、安全な状態に持ち込むには、原子炉を「冷温停止」と呼ばれる段階にする必要がある。杉山憲一郎・北大教授は「外部電源で本来の冷却装置を動かし、水を循環させることができれば、1~2日で冷温停止に導ける」と話す。廃炉に向け、核燃料をさらに冷やして取り出せる状態にするには、さらに数年はかかりそうだ。
 一方、仮設ポンプで炉心に水を送り続ける現状が続くと事態はより深刻になる。海老沢徹・元京都大原子炉実験所助教授は「核燃料は少しずつ冷えていくが、冷温停止には少なくとも数か月を要するだろう」と、推測する。このシナリオだと、水の注入量は増え、汚染水も増える。(⇒いったい今頃何を言っているのだろう?)
◆長期的課題
 最終的な廃炉には、数十年の時間がかかる。国内の商用原発として、初めて廃炉作業に入った茨城県の日本原子力発電東海発電所では、1998年の営業運転終了後、2021年までかけて段階的に進めている。 廃炉は、燃料を取り出し、放射線量の低減を待つ。この間、発電機など汚染の少ない設備を先に解体、最後に原子炉の鋼鉄容器などを切断し地下深くに埋める。現在は熱交換器などの撤去作業中だ。 しかし、原子炉や建屋が破損した福島第一原発の例では、こうした通常の手順通りに解体できるか疑問だ(⇒できない)。松浦祥次郎・元原子力安全委員長は「今回は汚染低減作業に非常に手間がかかる。廃炉は恐らく20~30年では終わらない」と語る。(読売新聞)
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で、私たちは原発をどうするのか?--原発の「合理的に達成可能な安全基準」は「安全」を保証しない

経済産業省がまとめた原発の「緊急安全対策」(3/29)
①津波や地震で非常用電源が使えなくなっても、原子炉や使用済み燃料プールを冷却できるよう、電力会社に緊急時の代替電源を用意することを義務づける。
②11の電力会社に対し、1か月以内に全原発で安全対策を講じ、状況を報告するよう求める。
 安全対策は海江田経産相が今月中に通知。〈電力の安定供給には引き続き原発が重要だと判断し、既存の原発について安全規制を強化〉。具体的には、
③電源喪失時に必要な要員の配置や訓練、
④電源車や消防車、消火ホースを備え付けることなど。(⇒こういう問題?)
 定期検査を終え今月末以降に再稼働の予定だった九州電力の玄海原発2、3号機(佐賀県)は、安全対策を優先するため稼働時期が1か月程度遅れることに。

〈予備知識として〉
・「原発が被災、大事故に/3 原発頼りの日本」(毎日新聞)
原子力安全委員会の当面の施策の基本方針改定に向けた検討について(平成22年6月17日 22安委決第19号)(PDF:75.8KB)
・「原子力発電所の設計・建設段階の安全規制」(保安院)
・「国立大学法人愛媛大学という原発推進機関」関連記事

〈地震と津波〉
第一原発の津波対策、首相「予測の基準低すぎ」
 菅首相、29日の参院予算委員会で、福島第一原発の津波対策について「予測の基準が低すぎた」。 海江田経産相は、同原発で1966~72年の審査の際に想定していた津波は3.1メートル、2002年の再評価の際も5.4~5.7メートルで、今回は「14メートル程度はあった」と説明。
・「浜岡原発の地震対策について--耐震設計の基本的な考え方
・浜岡原子力発電所では、近い将来起こるといわれている想定東海地震や過去に繰り返し起こっている南海トラフ沿いの巨大地震も、考慮して設計をおこなっています」
・「南海トラフ沿いの海域では、マグニチュード(M)8クラスのプレート境界地震が、100年から150年程度の間隔で繰り返し起こったことが、古文書の記録などから確かめられています。近年では、1944年に東南海地震、1946年に南海地震が起こっています」
・「浜岡原子力発電所の敷地周辺は、過去に安政東海地震(M8.4)などのプレート境界型の巨大地震による揺れを経験しており、下図のaおよびbの領域にM8.4の地震を想定して設計をおこなっています。更に余裕を持たせ、これと同じaおよびbの領域に、これを上回るM8.5の地震を考慮して設計をおこなっているため、安政東海地震よりも規模の小さいM8.0の想定東海地震(図のaの領域)に対して十分安全性は確保されています」(⇒「安全性」は「確保」されていない)

設計に弱さ GE元技術者が指摘(毎日・ロサンゼルス吉富裕倫)
 東京電力福島第1原発と同型の原子炉を設計した米ゼネラル・エレクトリック(GE)社の元技術者、デール・ブライデンバーさん(79)が毎日新聞の取材に応じ、原子炉格納容器について「設計に特有の脆弱(ぜいじゃく)さがあった」と指摘し、開発後に社内で強度を巡る議論があったことを明らかにした。 東電によると、福島第1原発はGEが60年代に開発した「マーク1」と呼ばれる沸騰水型軽水炉を6基中5基使っている。
◇議論封印「売れなくなる」
 GEでマーク1の安全性を再評価する責任者だったブライデンバーさんは75年ごろ、炉内から冷却水が失われると圧力に耐えられる設計ではないことを知り、操業中の同型炉を停止させる是非の議論を始めた。 当時、マーク1は米国で16基、福島第1原発を含め約10基が米国外で稼働中。上司は「(電力会社に)操業を続けさせなければGEの原子炉は売れなくなる」と議論を封印。ブライデンバーさんは76年、約24年間勤めたGEを退職した。
 ブライデンバーさんは退職直後、原子炉格納容器の上部が小さく、下部と結合する構造が脆弱で万一の事故の際には危険であることを米議会で証言。マーク1の設計上の問題は、米原子力規制委員会の専門家も指摘し、GEは弁を取り付けて原子炉内の減圧を可能にし、格納容器を下から支える構造物の強度も改善。GEによると、福島第1原発にも反映された。
 しかし福島第1原発の原子炉損傷の可能性が伝えられる今、ブライデンバーさんは「補強しても基本設計は同じ。水素爆発などで生じた力に耐えられる強度がなかった」とみる。また「東京電力が違法に安全を見落としたのではない」としながらも、「電気設備の一部を原子炉格納容器の地下に置くなど、複数の重大なミスも重なった」と分析した。 ブライデンバーさんはGE退職後、カリフォルニア州政府に安全対策について助言する原発コンサルタントとして約20年間働き、現在は引退している。

四国電力:11年度供給計画 福島原発事故「影響なし」/香川(毎日 3月30日)
 四国電力(高松市)は29日、11年度供給計画を発表した。東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の影響はないとした。また、4月下旬からの伊方原発(愛媛県伊方町)1~3号機の定期検査について千葉昭社長は「より入念なチェックが必要。検査期間の延長はあり得る」とした。
 計画では、販売電力量を前年度比0・9%減の288億キロワット時を想定した。猛暑だった昨夏は需要が増えたため、その分の減少(約5億キロワット時)を除けば実質的には同0・7%増となる。自らの発電量に他社からの受電量を加えた「発受電電力量」に対する原子力比率は39%(前年度43%)。3基の定期検査で利用率が約10%落ちるためという。 千葉社長は「国の対策指示には粛々と対応し、現在稼働中の原子炉は活用していく」と話した。また、伊方原発では、原子炉の電源・冷却機能の恒久的確保や浸水対策を検討し、半径20キロ圏内を戸別訪問し、対応を説明することも検討しているという。【馬渕晶子】

浜岡原発、防災訓練も不安残す--中部電力/静岡(毎日)
◇放射線漏れは想定せず
 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発が重大な事故を起こしている問題を受け、中部電力は29日、御前崎市の浜岡原発で津波被害を想定した防災訓練を行った。県や関係市の関係者、報道陣に公開した。放射性物質による環境汚染は想定せず、約140人の参加者は防護服などは着用しなかった。周辺市の市長が「不安がなくなったわけではない」と話すなど懸念の解消には至っていない
 訓練は午前9時半、「地震発生で津波の恐れがある」として始まった。福島第1原発で起きた事態を踏まえ、訓練の想定は、
(1)4、5号機は揺れを感知し自動停止した
(2)津波が原発の構内に押し寄せた
(3)海水ポンプなどが水没したほか、非常用ディーゼル発電機が働かない
(4)原子炉の冷却機能が失われつつある--との内容だった。
 電源を確保するための発電機車からのケーブルの接続や、原子炉内に消防車のホースで冷却水を送り込む手順を確認。中央制御室と同じ機能を持っている訓練室での緊急操作などを展開した。
 中電は今回の訓練で想定した津波の高さについて「巨大地震でも8メートルを超えない」との従来見解を踏襲した。また、放射性物質の汚染を考慮せずに訓練を行った。中電は、この点について「具体的な対策はこれから検討する」と説明した。
 こうした事情もあり、県の小林佐登志・危機管理監は視察後、「さらに厳しい条件での訓練が必要だ」と指摘した。石原茂雄・御前崎市長は「訓練で不安がなくなったわけではない」と述べ、ともに厳しい見方を示した。【舟津進】

保安院、経産省から分離へ=推進と規制、同一組織に問題―原発事故受け、政府・民主
 政府・民主党は30日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原発に関する安全行政を抜本的に見直す方針を固めた。東電や経済産業省原子力安全・保安院の初動対応が遅れた原因を徹底分析するとともに、事故が終息に向かえば、具体案の検討に入る。菅政権内では、原子力の推進と規制の両部門が同一組織にあることで、「安全面のチェックが甘くなっていた」との見方が広がっており、保安院を経産省から分離する方向で検討する。
 保安院は経産省の外局で、原子力施設の設置許可や保安検査などの安全規制が主な業務。2001年の中央省庁再編で、旧科学技術庁などに分かれていた原子力業務を一元化する形で設置された。ただ、同省には、原発を推進する資源エネルギー庁もあり、当時から「アクセルとブレーキを同じ役所が握るのは問題」との指摘があった。原発を抱える福島県の佐藤雄平、新潟県の泉田裕彦両知事はかねて、保安院の分離を政府に求めていた。
 こうした中、対応の遅れから原発事故は深刻な事態に発展。菅直人首相は30日、首相官邸で会談した福島瑞穂社民党党首から保安院の分離を求められ、「これだけの事故があったのでしっかりとエネルギー政策を議論する。保安院の体制を含めて当然議論になる」と検討を表明。民主党幹部は「組織の見直しは必要。少なくとも経産省から保安院を分離すべきだ」と明言した。(時事通信)

原子力安全・保安院
・NISAは、エネルギー施設や産業活動の安全を守り、万一の事態に的確に対応(???)するため、「強い使命感」「科学的・合理的な判断」「業務執行の透明性」「中立性・公正性」の四つを行動規範としています。
第一に「強い使命感」に基づき緊張感を持って業務(???)を遂行します。
第二に、安全・保安行政の専門家(???)として現場の実態を正確に把握(???)し、「科学的・合理的な判断」(???)のもとに行動します。
第三に、国民の皆様の信頼と安心感を得るため「業務執行の透明性」(???)の確保に努めます。情報公開に積極的に取り組み、自らの判断について説明責任(???)を果たしていくことを重視します。
第四に、「中立性・公正性」を大前提(???)として安全・保安行政を遂行します。

14基の原発新増設、見直し…太陽光など重視へ
 政府は29日、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、2030年までに少なくとも14基の原発の新増設を目標に掲げた「エネルギー基本計画」を見直す方針を固めた。 新たな基本計画は、原発重視から太陽光などクリーンエネルギー重視へと転換する考えで、14基の原発建設計画の中断や大幅延期は避けられない情勢だ。
 菅首相は29日の参院予算委員会で「太陽光などクリーンなエネルギーについて、日本のエネルギー政策をどうするべきか改めて議論が必要だ」と答弁。海江田経済産業相は閣議後の記者会見で「基本計画は、これまでと同じような形ではいかない。政府全体でエネルギー政策をどうするのか話をしなければいけない」と強調した。(読売)

2011年3月26日土曜日

「自主避難」と「風評被害」

福島第一原発とプルトニウム
プルトニウムとは何か〉
①人体への影響が極めて大きいアルファ線放出。呼吸などで体内に入ると骨や肺に沈着、強い発がん性帯びる。ただし原子炉が爆発しない限り、遠くまで飛ぶ恐れなし(空気中では3センチも進めないとされている。しかし水には溶けるので土壌中から地下水に溶け込む)。
 同位体のうち代表的なプルトニウム239半減期約2万4千年。体内に入ると放射線を出し続け、排出されにくい。核兵器の材料に。アルファ線は、人体に入ったときの影響力はヨウ素などから出るガンマ線の約20倍。放射性障害のほか化学物質としての毒性があり、腎臓障害などを引き起こすことも。
②原発の使用済みウラン燃料中には主に質量数238~242の5種類のプルトニウムが含まれる。含有量はプルトニウム239、240、241の順に多い。福島第一原発3号機は、プルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX 猛毒性あり)を燃料にするプルサーマル実施。今回検出されたプルトニウムはここから出た可能性大。ただしプルトニウムは他号機の燃料にも使用され現時点では出所不明。
〈高木仁三郎による参考文献〉
・『プルトニウムの恐怖』岩波新書、1981
・『プルトニウムの未来――2041年からのメッセージ』岩波新書、1994
「頼れる仲間プルト君——プルトニウム物語」???
「内部被曝とは」チェルノブイリ周辺で甲状腺癌治療に従事した「菅谷昭」松本市長記者会見の抜粋 (ガジェット通信)

*原子力安全委員会・代谷誠治委員「核燃料は、原子炉の運転が止まっても、使用済みになっても熱がなかなか下がらない」「冷却までは長期間におよぶだろう。年オーダーで考えていただきたい」(2011/3/29)

「原子力安全委員会」提言
1、「屋内退避」区域→「線量が高いと考えられる区域に住む住民に対し積極的な自主的避難を促すことが望ましい」。
2、「これらの区域以外の屋内退避区域に住む住民も、予防的観点から自主的に避難することが望ましい」。
3、「現在の防護区域を変更する必要はない」。
4、「緊急時モニタリングの結果などを踏まえ防護区域の見直しについて適時検討(?)することが肝要。特に、空間線量率が高い値を示している地域は注意(?)する必要がある」。
・「防災計画は、屋内退避がずっと続くことを想定しておらず現状がある程度長く続くとの予想の下、条件が整う(避難できる)人は無理にとどまらなくてもいい(?)ということだ」。
・「全体的に放射線量は低下傾向にある。水や食物の摂取制限を守れば(?)健康に影響はない」
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北西50~60キロで土壌汚染も 仏研究所
 フランスの放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)は、福島第1原発事故で大気中に放出された放射性物質が今後1年間に、同原発から北西に向かう帯状の50~60キロの範囲で土壌に強い影響を与える可能性があるとする報告書をまとめた。特に雨に含まれた放射性物質が遠方に拡散し、地上に堆積(たいせき)する危険性を指摘している。
 報告書は、米国が計測したこれまでの放出量などをもとに、土壌汚染が原発から北西50~60キロの範囲で帯状に続き、最高でフランス人の年間平均被ばく量の4~8倍になる可能性があるとした。一方で、放射性物質の中には半減期が短いものがあるため、土壌の汚染度は数週間で低下するとも指摘した。【毎日4/15 パリ福原直樹】
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「自主避難」と「風評被害」


 国や自治体は、私たちが何もしないで放っておいたら、私たちの「生命と財産」を守らない。これが「ボトムライン」だ。

 私たちは、福島第一原発から漏出し、放出される放射能に汚染されずに生きる「権利」がある。しかし、その「権利」は憲法にも法律にも明文化されていない。つまり、国や自治体にはその「権利」を保障する憲法/法律上の「義務」はない。
 私たちは、憲法やいろんな法律の関連条文・条項を引っ張り出し、国・東電・自治体に対して、私たちが放射能に汚染されずに生存する「権利」を保障させるよう、仕向けるしかない。そして国・東電・自治体が果たすべき行政・企業責任を明確にし、被害を受けた場合には、その補償をきちんとさせる。あたりまえの事だ。そのために私たちは政府・自治体に税金を払い、東電に電気代を払い、彼/彼女らすべての、特権的でぜいたくな生活を保証している/かれらが真っ先に、勝手に自分たちに保証することを許しているのだから。

 法律的に言えば、現在私たちは「原子力災害対策特別措置法」が定める「原子力緊急事態宣言」発令後、「原子力緊急事態解除宣言」が発令されるまでの中間期間に生きている。政府がいまやっているのは、「原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大の防止を図るため実施すべき応急の対策」ということになる。
 いま政府は、「緊急事態応急対策及びその実施責任」を負っている。逆に言えば、私たちは政府にその「責任」を果たさせなければならない

 政府が果たすべき/政府に果たさせるべき「責任」の内容は、「措置法」第二十六条が規定している。 具体的には、
 一  原子力緊急事態宣言その他原子力災害に関する情報の伝達及び避難の勧告又は指示
 二  放射線量の測定その他原子力災害に関する情報の収集、
 三  被災者の救難、救助その他保護
 四  施設及び設備の整備及び点検並びに応急の復旧、
 五  犯罪の予防、交通の規制その他当該原子力災害を受けた地域における社会秩序の維持
 六  緊急輸送の確保、
 七  食糧、医薬品その他の物資の確保、居住者等の被ばく放射線量の測定、放射性物質による汚染の除去その他の応急措置の実施、
 八  前各号に掲げるもののほか、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む)の拡大の防止を図るための措置

 昨日の報道の問題は、「避難の勧告」地域の拡大が、「異常な水準の放射線量」の「検出」が「前提」でなければならないかのように、政府が主張したことに対し、その批判的論評がなかったことだ。(⇒ここで言う「放射線量」とは、第十五条一項が定める「主務大臣が受けた通報に係る検出された放射線量又は政令で定める放射線測定設備及び測定方法により検出された放射線量」のことをさす)
 毎日新聞の記事は、次のように書いている。
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1, 20~30キロ圏内に対する自主避難要請は24日夜、首相官邸の主導で対象の9市町村に伝えられたうえで、枝野幸男官房長官が25日の記者会見で発表。
2, 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく避難指示を出せば、放射性物質による汚染拡大を政府が正式に認定することになり、周辺住民の不安に拍車をかけかねない(⇒完全なる詭弁、欺瞞)。一方、屋内退避の長期化で不自由な生活への不満が住民側に強まっていたため、超法規的な「要請」によって政府批判の緩和を狙った・・・。
3, 原発事故の対応を超えた政治判断は保安院にはできないため、25日に原子力安全委員会の臨時会を開き、放射線のモニタリング結果などを理由に、自主避難が「望ましい」と助言する形をとった・・・。
4, 原災法に基づく避難指示は「異常な水準の放射線量」の検出が前提。自主避難を自治体に要請する根拠法はなく、実際に住民を避難させるかどうかの判断は各市町村に委ねられた。避難先の確保や移動手段なども市町村が考えなければならず、野党からは「中途半端」などの批判がかえって強まっている・・・。
5, 菅直人首相は25日夜、避難指示に切り替えなかったことについて「原子力安全委員会の専門家の判断を尊重した対応」と強調、しかし保安院関係者は「先に判断したのは官邸。避難指示は放射線量が高いまま下がらない場合などに検討する」と語り、官邸指示に従った苦肉の策だと認めた・・・。
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 私は、上の1~5、すべてが無茶苦茶だと思う。
 おそらくこの問題、原発事故をめぐる「被害」と「避難」の問題は、「原爆訴訟」や「水俣訴訟」と同様に、今後半世紀以上をかけた対東電、国賠訴訟へと発展してゆくだろう。


 毎日新聞は今日(3/26)の社説で、こう書いている。
 「原発から20~30キロ圏の人々は長期にわたる屋内退避を指示されたまま、日常生活が困窮している。被ばくを恐れ、外部からの物資も届かない。こうした状況は、かねて指摘してきたように、一刻も早く解消すべきだった。
 政府は25日になって、この地域に「積極的な、自主的避難」を呼び掛けた。なんともあいまいな表現だが、政府や自治体は住民がスムーズに避難できるよう、手立てを尽くしてほしい。事情があって後に残る人々への手当てにも、責任を持ってもらいたい。(⇒政府が「責任」をとろうとしないから「あいまいな表現」にしようとするのである)。
 放射性物質の拡散の仕方をみると、同心円状の避難対策では対応しきれない(?)こともわかってきた。原発の北西約35キロでも一日中外にいると一般人に定められた1年間の線量限度を超える地点が出てきている。 政府は、まず、各地域の放射線量の積算値や増減傾向を地図上で示してほしい。さらに、今後の「注意予測」を、地域ごとに示してほしい。そうした情報があってこそ、自治体も住民も行動計画が立てられる」。

 「こうした状況は、かねて指摘してきたように」と書いているが、私は毎日新聞が「自主避難」地域の撤廃→避難地域の拡大を社説で「指摘」した事実を知らない。もちろん、私が見落としているだけかもしれないが、事故発生後、朝日、読売、産経の社説でそのような主張をしたものは一つもない。日経や東京新聞の社説に関する記憶もない。
 おそらくこれが、大地震による災害報道と原発による災害報道の決定的違いだろう。メディアの「眼」が、放射能汚染の拡大に焦点があてられ(首都圏への「影響拡大」など)、現場周辺地域で汚染や被曝の被害を受ける人々の存在に向わないのだ。原発事故被災者の「見捨て/見殺し」の構図である。

 「放射性物質の拡散の仕方をみると、同心円状の避難対策では対応しきれない」というのも、私には意味がわからない。これは放射性物質が第一原発から同心円状=均一的に拡散しないという、当たり前の事後的調査の結果をもってそう言っているだけのことであって、避難地域を拡大しないことの正当化にはなりえない。どこにどれだけ放射能被害が現れるかを事前に予想することはできないからだ。つまり、避難区域は同心円的に拡大する以外に方法はない。それをした上で、被害が集中している地域をモニタリングによって特定し、その地域に対する重点的救援・支援を実施する責任が国にはあるのである。
 

 「原子力災害対策特別措置法」は国、原子力安全委員会、原発電力会社に都合のよい法であり、今回の事故により明らかになったことを教訓化し、より被災者と潜在的被災者(=私たち)の視点に立ち、全面的に改正される必要がある。
 問題点は多々ある。しかしここでは〈原子力安全委が言う「空間線量率」ではダメだ〉という点に限定し指摘しておきたい。「空間線量率」から〈総合線量率〉への転換である。

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千葉北部の一部、葉物野菜の出荷停止検討 地域は限定(朝日・4月2日)
 食品の放射能汚染問題で、農林水産省などは近く、千葉県北部の一部地域について原子力災害特別措置法に基づき、葉物野菜の出荷停止を指示する方向で検討を始めた。県単位以外の制限は初。千葉県は首都圏への野菜の大供給地であることも配慮し、地域を限定する。
 千葉県は3月25日、旭市や多古町のホウレンソウや同市のシュンギク、パセリなどで暫定基準値を超える放射性物質が検出されたと発表。31日には新たに香取市のホウレンソウで超えたほか、旭市でも引き続き超えた。ただ、千葉市以南では1件も超えていない。  このため農水省などは、千葉県北部の市町村や農協単位で、ホウレンソウなどの葉物野菜の出荷を止める方針だ。現在でも千葉県は旭市などに出荷自粛を要請し、市場に出ていないが、法的根拠を示して確実に止める必要があると判断した。
 一方で、検査で繰り返し基準を下回った場合、現在制限されている福島など4県の一部地域について、制限を解除する検討もしている。  農水省の2008年の統計では、千葉県は全国シェアでホウレンソウは15%、シュンギクが16%でともに全国1位。東京都中央卸売市場の10年の取り扱い実績では、ホウレンソウ、ハクサイなどの「葉茎菜類」で千葉県産は全体の8%。福島、茨城、栃木、群馬の4県を加えると全体の54%

IAEA勧告要請、安全委「国内判断問題なし」」(3/31)
 原子力安全委員会「国内では総合的に判断しており、現状の判断に問題ない」。代谷誠治委員「我々は、人体に直接的に影響を与える所を評価しているので、より正確である」。
 経産省原子力安全・保安院「(累積放射線量を試算した結果)いま避難する必要性はない」。

飯舘村で高放射線、長期間なら避難指示も 枝野長官
 枝野官房長官、31日午前の記者会見。「直ちにそういった(指示を出す)ことではない性質のものだが(?)、必要があれば(?)対応したい」。飯舘村は福島第一原発から北西に約40キロ。「土壌の放射線値が高いということは、蓄積していけば、長期的には(健康に)影響を与える可能性はある(?)」。(⇒「蓄積」しない保証と対応策を政府・東電は持っているのか? 無茶苦茶な答弁だ)
飯舘村、避難基準超す 日本にIAEA勧告
東日本大震災に伴う福島第1原発事故で、同原発から約40キロ離れた福島県飯舘村で測定された放射線レベルが、国際原子力機関(IAEA)の避難基準を超えていたことが30日、分かった。IAEAはウィーンでの記者会見で、同原発から20キロ以内を避難指示圏に設定している日本政府に対し、状況を「注意深く」評価するよう勧告したことも明らかにした。
 IAEAのフローリー事務次長は会見で、飯舘村での放射線レベルの測定値が「IAEAの作業上の避難基準のひとつを上回った」と述べた。その上で「我々は(日本政府に)状況を注意深く評価するよう勧告し、日本は既に評価中であることを示唆している」とも述べた。日本に対し事実上、地元住民への避難指示圏の見直しを促したものとみられる。 IAEAのこうした見解は、福島第1原発からどこまでの範囲の住民に避難指示を出すべきかを巡り、新たな議論を呼びそうだ。
 IAEAの専門家の説明によると、飯舘村の土壌で測定された放射性物質の濃度は、1平方メートル当たり約200万ベクレルで、IAEAの避難勧告基準の約2倍に相当するという。ただ、飯舘村の測定値は1カ所のみで測られた散発的なデータで、あくまで初期的な評価であることを強調した。
 飯舘村は、避難指示圏の外側に設けられた屋内退避指示圏(福島第1原発から20~30キロ)のさらに外側にある。福島第1原発から遠く離れた場所で放射線レベルが突出していることについて、日本の文部科学省は「地形や風向きの影響と考えられる」としていた。 一方、天野之弥事務局長は30日の会見で、原発の安全対策などに関する初めての高官級会議を6月20~24日にウィーンで開催すると発表した。IAEA加盟国の首相や外相などに招待状を送るという。【毎日・ウィーン樋口直樹】

セシウム基準、妥当と評価=引き上げの余地残す-食品安全委
 食物に含まれる放射能セシウム134、同137から受ける人体への影響に関し、内閣府の食品安全委員会は29日、厚生労働省が暫定規制値の根拠とした年間許容量の5ミリシーベルトについて、「かなり安全側に立ったものである」とし、現状で妥当とする評価をまとめた。 暫定規制値をめぐっては、農畜産物の出荷などを制限された自治体から、見直しを求める緊急要望が政府に提出されている。これに対し、蓮舫消費者担当相は、「食品安全委員会の中で結論を出したい」としていた。同委は放射性ヨウ素131の暫定規制値についても、現行の基準を妥当と判断したことから、厚労省は規制値引き上げについて、当面は慎重な判断を下すとみられる。 ただ、食品安全委は放射性セシウムについて、緊急時には年間10ミリシーベルトとしても差し支えないとの見解を示しており、将来的な引き上げについては余地を残した。(時事)

放射性物質の基準「厳格さ求めすぎ」 民主・岡田幹事長
 民主党の岡田克也幹事長は27日、農産物の出荷停止や摂取制限の目安となる放射性物質の基準値について、「少し厳格さを求めすぎている」と述べ、風評被害を招かないためにも見直しが必要との認識を示した。青森県八戸市で記者団に語った。 現在適用されている食品衛生法の基準値は暫定的な数値で、食品安全委員会が体内に取り込んでも健康に問題がない数値について議論している。岡田氏は「心配ないものは心配ないときちっと言えることが必要だ。科学的な厳格さを求めすぎれば(?)風評被害になる」と指摘した。(朝日)(⇒この人は「科学的な厳格さ」など存在しないことが問題であることを理解しようとしない。「基準」に対する政治的介入の始まり)

20~30キロの自主避難要請、最大2万人が対象
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、同原発から半径20~30キロの「屋内退避」圏内の住民に自主的に避難するよう求めた政府の25日の要請は、福島県内のいわき市や南相馬市など9市町村に住む最大約2万人が対象となる見通し。  9市町村の総人口は約50万人。ただ、すでに自主的に避難した住民や、人口約34万人のほとんどが屋内退避圏外に住むいわき市が含まれていることなどから対象者が少なくなっているとみられる。
 屋内退避圏内に残っている住民が最も多いのは南相馬市で、30キロ圏外の住民も含めて市内には約2万人が残っている。このうち屋内退避圏内には「1万~2万人が残っている」(桜井勝延市長)といい、市が確認を進めている。 ほかの8市町村の圏内についても正確な数字は把握されていないが、県は「1500~1600人ほどが残っているのでは」と見ている。
 政府の住民に対する「圏外への避難指示」は、11日に3キロ圏、12日朝に10圏、同日夕に20キロ圏と広がった。全域が20キロ以内に入る避難指示圏は双葉、大熊、富岡の3町。15日に屋内退避の指示が出た20~30キロ圏内にかかる9市町村のうち、浪江町、広野町、楢葉町、葛尾村、川内村の5町村はすでに30キロ圏外の他の自治体に役場機能を移転した。  枝野幸男官房長官は25日の記者会見で自主避難の要請について「避難を希望する人が増加するとともに、商業・物流に停滞が生じ、社会生活の維持、継続が困難となりつつある」と理由を説明。

放射性物質:食品や飲料水、規制値緩和へ 食品安全委
 食品や飲料水に含まれる放射性物質について、内閣府の食品安全委員会は25日、暫定規制値の根拠となっている健康への安全性の許容範囲を広げる方針を固めた。これを受け、厚生労働省は現在より緩やかな規制値を策定する見通し。暫定規制値は厚労省が17日に急きょ策定。原子力安全委員会の「飲食物摂取制限に関する指標」を用い、水や食品から1年間に摂取するヨウ素を50ミリシーベルト以下、セシウムを5ミリシーベルト以下としている。【毎日・小島正美、中西拓司】

放射性物質:風評被害作物も「補償の対象に」…鹿野農相
 鹿野道彦農相は25日の閣議後会見で、東京電力福島第1原子力発電所の事故による農産物の放射能汚染について「事故との間に相当の因果関係が認められれば補償の対象になる」と述べ、政府が指示した出荷制限などによる直接的な損害に加え、対象品目外の農産物が風評被害のため販売できなくなった場合なども、東電や政府による補償の対象になりうるとの考えを明らかにした。 原子力災害の風評被害をめぐっては、99年に茨城県で起きた核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所の臨界事故で補償が行われた前例がある。【毎日・行友弥】

福島の全農家に作付けの延期を要請 原発事故で県
 東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故を受け、福島県災害対策本部は25日、県内の全農家に田植えや種まきなどの農作業を当面延期するよう求めた。県内各地で土壌汚染の恐れがあるためだ。国と協力して土壌の分析を進め、農地が安全かどうかを判断したうえで作付けの指示を出す。 農協(JA)などの組織を通じて農家に伝える。また、25日から県のホームページなどで県内の全農家に作付けの延期を呼びかけ始めた。農家が被る損失は、国や東京電力に補償を求める方針だ。
 福島県内では4月以降に田植え作業が本格化するが、県はできるだけ遅らせることを要請した。また、大豆やソバなどの畑作物も種まき時期を遅らせること、花類も露地栽培について作付け準備を遅らせることを求めている。畑を耕す作業は放射性物質が広がる恐れがあるため、取り組まないことも求めた。
 政府は福島県に対し、葉物野菜などの摂取制限や出荷停止を指示している。農家には出荷できない野菜がたまっているが、県は焼却処分などをすると放射性物質が拡散する恐れがあるとして、そのまま保管するよう求めた。
 福島県で栽培が盛んな桃や梨などの果樹は病害虫防除などの管理をしないと翌年以降の収穫に影響するため、樹木の管理は例年通り取り組むことを認めた。
 福島県はコメ生産が全国4位と盛んで、農業産出額は全国11位の農業県。しかし、放射能漏れ事故の影響で、原発から半径20キロ圏内は避難指示が出ており、農作業に手がつけられないままだ。20キロ圏外でも県内各地で葉物野菜から放射性物質の検出が相次ぎ、農家から「作付けはどうすればよいのか」との声が相次いでいた。(朝日・中川透、村上晃一)

2011年3月25日金曜日

「原発ジプシー」と被曝

「原発ジプシー」と被曝

7/10
⇒「あなたの命を「使い捨て」から守るために 被ばく労働自己防衛マニュアル

◆制作福島原発事故緊急会議(E-mail: contact@2011shinsai.info)
・代表連絡先:ピープルズ・プラン研究所
東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル2F (Tel: 03-6424-5748 Fax: 03-6424-5749)
◇この冊子に関するお問い合わせ
・福島原発事故緊急会議 被曝労働問題プロジェクト
・担当:なすび(山谷労働者福祉会館) (e-mail: nasubi@jca.apc.org)
【送付依頼先】contact@2011shinsai.info ないし nasubi@jca.apc.org
【価格・代金】労働者に広く配布することを考え、定価はありません。可能な方・団体は、1部200円を目安にカンパをお願いします。広範に配布し労働相談活動での利用を考えている方は、ご相談ください。カンパ代・送料は同封する郵便振替用紙をご利用ください。
※今後、被曝労働者への相談活動を通じ、バージョンアップしていく予定です。

<制作主旨>~この冊子を手にされた労働者の皆さんへ~
 原発はハイテク&クリーンなイメージをPRされていましたが、防護服を着て雑巾がけの除染作業に象徴されるように、実際には危険で人海戦術的な被ばく労働なしには稼働しないのが実態です。しかし、国策である原子力事業は、膨大な宣伝広告費を用いてこの事実を隠蔽してきました。
 日本で商業原子炉が稼働を始めて45年が経過し、被ばく労働者ののべ人数は45万人とも言われています。被ばく労働によると思われる白血病やがんで苦しむ労働者は多数いますが、被ばく労災の認定は2011年5月段階でわずか10件しかありません。重層的下請構造による雇用責任の曖昧さと、使い捨てを前提とした差別的雇用関係が、原子力事業の隠蔽体質を補完しています。原子力での労働はとりわけ警戒を要する仕事です。
 今、福島第一原発のメルトダウンと水素爆発、それに伴う深刻な放射能放出は、近隣地域のみならず東日本全体を深刻な危機に陥れています。これまで、労働者を被ばく労働から守り、全ての被ばく労働を拒否すれば、この危険な原発を停止させることができる可能性がありました。しかしこの事故では、誰かが被ばく労働をしなければ、さらに深刻な壊滅状況を止められない事態になってしまいました。しかしそれでも、そのために捨てられて良い命はありません。

 極めて高い放射線量下にある現在の福島第一原発での作業は、通常以上に、多くの労働者による人海戦術が不可避です。既に多くの求人が、職安で、避難所で、日雇寄せ場や野宿者の集まる場で、公式・非公式なルートで行われています。これまでも原発関連の仕事で生計を立てていた方、原発の安定と地元の復興に使命感を持つ方々が、求めに応じて作業に入っていることが伝えられています。
 また、不況の中で他に仕事がない失業者、非正規・派遣労働者が、原発での労働に就かざるを得ないケースもあると思われます。労働者保護の観点からは、きっぱり就業を拒否すべきケースも少なくないでしょう。しかしやむを得ず被ばく労働につく場合でも、それは命を売るものであってはなりません。
 この冊子は、より被ばく環境に入りやすい下請労働者を想定して作成されましたが、現地採用され現場の最前線にいる東電社員や系列社員も同様です。これ以上原発で苦しみ、殺される労働者と悲しむその家族・友人が出ないよう、この冊子が最大限活用されることを願います。

なすび  山谷労働者福祉会館 活動委員会  
〒111 東京都台東区日本堤 1-25-11 電話・FAX:03-3876-7073
山谷労働者福祉会館 
「持たざる者」の国際連帯行動

⇒「福島第1原発:東芝協力企業の作業員死亡 労災申請へ」(毎日 7/12)
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 今日(5/14)、福島第一原発の現場労働者が、死んだ。

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福島第一原発作業員が体調不良、病院で死亡
 東京電力の福島第一原子力発電所で14日午前6時50分頃、機材の搬送をしていた東電の協力企業の60歳代の男性作業員が意識不明となり、福島県いわき市内の病院に運ばれたが、午前9時33分に死亡した。 同原発の復旧作業中に作業員が死亡したのは初めて。東電で死因などを確認している。
 東電によると、男性は午前6時頃から、高濃度汚染水が移送されている集中廃棄物処理施設内の4つある建物の一つで、同僚男性と電動ノコギリを2階から1階に搬送している最中に体調不良を訴えた。同原発内の医務室に運ばれ、作業員の活動拠点「Jヴィレッジ」で医師の診察を受けた後、午前8時35分頃、病院に搬送された。男性のいた建物地下2階に汚染水が貯蔵されていたが、男性は防護服を着ており、被曝線量は0・17ミリ・シーベルトで、身体に放射性物質の付着はなかったという。男性は、前日の13日から同原発に入り、午前6時~9時の作業時間で働いていたという。(読売)

過酷作業 防護服にマスク「サウナ状態」
 東京電力福島第1原発事故の復旧作業で、作業員らの安全確保のルールや手順がなし崩し的に緩和されていることが分かり、作業員の間に不安や戸惑いが広がっている。こうした規制の緩和に加え、過酷な作業環境やそれらに伴う人的ミス、専門外の慣れない作業内容など、作業員を取り巻く状況は複合的な危険にさらされているとの懸念も指摘されている。【毎日・町田徳丈、市川明代、日下部聡】
 福島県に住むベテランの下請け作業員は先月、福島第1原発のタービン建屋の汚染水を排水するため、現場でホースを取り付ける作業に従事した。原発から約20キロ南の福島県楢葉町にあるナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」で防護服や全面マスクなどの装備をもらい、所属する会社の車で第1原発の構内拠点の免震重要棟へ。作業直前に線量計をつけ、現場に向かった。 暖かい季節となり、マスクなどのフル装備は「サウナスーツを着ているようなもの」。しばらくするとマスクには数センチの汗がたまり「熱中症で倒れている人がたくさんいる」という。「途中で苦しくなったら『しゃがんで落ち着いて深呼吸をしろ』と言われた。(作業は)正直2、3時間が限度。これから夏になったらさらにきつさが増す」と懸念する。

 作業にあたったのは約10人。タービン建屋の中は湿度が高く、さらに暑く感じたという。敷設したホースは太さ約10センチ、長さ20メートルほどの蛇腹。それを金具でつなぎ合わせて構内の集中環境施設のタンクまで延長する。 現場のタービン建屋の床面はぬれていた。津波の水か放水かは不明だが「間違いなく放射性物質で汚染されている」と感じた。ホースは2人1組で運ぶが、重いため転がした。ホースもぬれ、「これ、やばいんじゃないの」と思わずつぶやいた。敷設の際には再び肩にかつぎ、首筋から後頭部にかけホースが当たった。防護服は耐水性のものではなく、水がしみ込んだ。「元請けの放射線管理担当者の事前サーベイ(調査)がちゃんとなっていなかった。原発の仕事で『水に触るな』は原則なのに」
 作業後、放射性物質が体に付着する「身体汚染」が判明した。一緒に作業していた約10人も同じだった。そもそもホースの敷設は専門外だった。「簡単に誰でもできる作業。だから『応援してもらいたい』(と元請けから依頼された)ということだったと思う。一緒にいた約10人は全員、ホースの作業は初めてだった。元請けの現場責任者から指示を受けてやった」
 身体汚染した作業員のうち3人は、放射性物質を洗い流す「除染」を完全にできなかった。暑さで毛穴が開き、そこに放射性物質が入り込んだ後、毛穴が閉じた疑いがあるという。だが、汚染部位などを記録した「確認証」を東電から発行され、作業に復帰した。 「今は何でもあり。『まずは(原発の)いまの状態を止めろ』と。多少のことは目をつぶるという感じ」。作業員はそう指摘する一方、「怖いっすよ。この先、どのくらいの放射線量を浴びるのか」と漏らした。
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 共同通信によると、東電は、福島第一原発の現場作業員の被曝線量を記録せず、「聞き取り」によって「推計」していたことが先月(4/28)判明したという。 
東電、被ばく線量を推計 記録せず聞き取り
 福島第1原発事故の対策拠点で作業員が寝泊まりもしている「免震重要棟」という建物に滞在中に浴びた放射線量について、東京電力は個人の線量を毎日は記録せず、後から行動を聞き取って推計していたことが28日、分かった。 3月11日の地震後、緊急的作業が一段落してから被ばく線量を評価し、第1原発にいた女性19人は3月23日までに全員退避させた。この中には、主に免震重要棟で作業していた放射線業務従事者ではない4人が含まれ、一般人の限度である年間1ミリシーベルトを超える被ばくをした恐れが強い。東電のずさんな被ばく管理に批判が強まりそうだ。
 東電によると、免震重要棟内では、時間当たりの放射線量を記録していただけ。3月23日以降、男性も含め、棟内に滞在していた時間を聞き取り、滞在中の被ばく線量を計算した。 棟内では事故後、高い線量が続き、水素爆発などが起きた直後には、毎時100マイクロシーベルト(0・1ミリシーベルト)を超えたこともあったという。4月26日現在の線量は毎時1・5~3マイクロシーベルト。 屋外の現場作業などをする場合は線量計を持参し、被ばく線量を毎日、台帳などに記録して管理しているが、棟内にいる人は線量計を身につけていなかったという。
 第1原発では、放射線業務従事者の女性社員が、女性の限度の3倍以上の17・55ミリシーベルトを被ばくした。主に放射性物質の吸い込みによる内部被ばくの管理が不十分だったことが要因と判明。この女性の免震重要棟滞在中の外部被ばく線量は1・89ミリシーベルトとされている。(共同)
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 また、厚生労働省は4月27日、原発作業員の年間被曝量の「上限撤廃」を打ち出した。

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原発作業員の年間被曝量、上限撤廃へ 厚労省が特例措置 全国の原発保守を懸念
 厚生労働省は27日、通常時は年間50ミリシーベルトと定めている原発作業員の被曝(ひばく)線量の上限を当面の間、撤廃する方針を固めた。5年間で100ミリシーベルトの基準は維持する。原発作業に従事できるのは全国で7万人余りしかいない。各地から福島第1原発への派遣が相次ぐ中、規定の被曝線量を超えると、ほかの原発の保守や定期点検に支障が出かねないとして、経済産業省が厚労省に特例的な措置を要請していた。しかし、この措置は、過酷な環境下で働く作業員の安全を軽視しているとの批判も出そうだ。
 厚労省は3月15日に省令で、福島の事故の応急対策に限定して緊急時の被曝線量を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げていたが、通常時の基準は変えていなかった。米国も、緊急時の線量上限を民間人で100ミリシーベルト、通常時は年間50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルトとしている。
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 以下、3月11日の原発事故発生以降の現場作業員の被曝問題について論じているが、東電がこの間発表してきた作業員の被曝線量について、いっさい信用できないことが明らかとなった。さらに、作業員(「ジプシー」であれ、「社員」であれ)に対する、「軽視」という言葉で片付けることのできない過酷な労働が国の「被曝規制緩和」によって強いられることになった。これらの事実を踏まえながら読んでいただきたい。
⇒「福島第一原発での作業員、全国のハローワークで求人が続く」(5/03 東洋経済)
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3号機地下の水、放射性物質濃度は通常の1万倍
 東京電力福島原子力発電所3号機の電源復旧作業中に作業員3人が被曝した問題で、東電は(3月)25日未明、タービン建屋地下1階の水に含まれる放射性物質の濃度通常運転時の原子炉内の水の約1万倍に達したと発表した。
 通常はほとんど検出されない放射性物質も高い濃度で検出され、同社は3号機の原子炉か使用済み核燃料一時貯蔵プール内の核燃料が破損した後、現場周辺に漏れ出した可能性が高いという。(読売)
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 読売の記者は、①3号機の「プール」からなぜ、どのようにして放射能汚染水が「現場周辺に漏れ出した」のか、それを突き止めるべきだ。「核燃料破損」というそれ自体絶句する事態と、「プール」からの「現場周辺」への放射能汚染水の「漏出」という絶句する事態、このE=mc2的絶句の二乗の因果関係である。そして②「プール」自体に損傷があるのかないのか、その究明。しかし、まずは昨日の事故の現場の犠牲者たちのことが肝腎だ。
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「原発ジプシー」と被曝

 福島第一原発の「現場」で、名前も顔も知れず、匿名のまま、被曝し、病院に担ぎ込まれてゆく人たちがいる。自衛隊や機動隊、消防隊のように、マスコミに讃えられることもない。脚光を浴びることもない。「原発ジプシー」と呼ばれている人たちのことだ。
 正規の社員、作業員ではない。原発列島を、仕事を求めて「漂泊」し続ける人々のことである。原発「日雇い労働者」。
 昨日被曝した作業員たちが「ジプシー」なのかどうかはわからない。しかし、丸2週間になる第一原発修復の死闘の最前線で戦う現場の作業員の中にも、必ず何人か/ほとんど?「ジプシー」たちがいるはずだ。
 昨夜ネットで配信された、事故を報じる読売新聞。

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15センチの汚染水につかり、作業40~50分
 被曝した3人は(3月)24日午前10時ごろ、3号機の原子炉建屋に隣接するタービン建屋などの放射線管理区域に入り、電気ケーブルを敷設する作業を行っていた。 真っ暗な中を進む3人は、この40~50分の作業の中で、深さ約15センチの水に踏み込んでしまった。3人はそこにつかって、作業を続けたらしい。 前日の点検では、水はほとんどなかった。前日は、3号機への放水は行っていない。
 いずれも防護服の上にカッパを着用。ヘルメットと全面マスク、ゴム手袋もつけ、同じ会社の2人は作業用の短靴を、別会社の1人は長靴をはいていた。作業を終えた3人が午後1時過ぎに胸に装着していた線量計を調べると、高い放射線量が確認された。 胸の線量計は、20ミリ・シーベルト以上を超えると、9分間にわたり断続的にアラームが鳴り続ける。この作業中にアラームが鳴ったかどうかは確認されていない。
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 この記事を読んで不思議に思ったことがある。「前日の点検では、水はほとんどなかった。前日は、3号機への放水は行っていない」のに、なぜ「深さ約15センチの水に踏み込んでしまった」のか。夜、何らかの理由によって放射能汚染水が、深さ15センチも貯まるようなことがあったか、もともとの点検が十分でなかったか、いずれかの理由によるのだろう、と普通は読んでしまう。
 「ほとんどなかった」はずの汚染水が、約15センチの深さになっていた責任は誰にあるのだろうか?
 もう一つ。かれらが着用する「防護服」。ナノテクや最新鋭の先端技術を駆使した被曝恐怖知らずの防護服が「会社」によって支給されているに違いない。なぜなら、3月15日の産経新聞にはこんな記事があったからだ。

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 菅首相 冷却水投下を指示 自衛隊は困難視 菅直人首相は15日、福島第1原発4号機で放射性物質(放射能)が漏れ出したことを受け、北沢俊美防衛相に原子炉を冷却するため上空からの冷却水投下を検討するよう指示・・・。しかし、防衛省関係者によると空中からの投下は・・・被爆の危険性があるという・・・・。
 一方、陸自は15日に予定していた原子炉を冷却するための地上での注水支援作業を取りやめた。陸自「中央特殊武器防護隊」の隊員が着用している化学防護衣では、高レベル放射線を防げないと判断した・・・・。同隊の約180人は14日深夜に現地からいったん退避し、第1原発からほぼ西方に約60キロ離れた陸自郡山駐屯地に移動。第2原発への注水ポンプ用の燃料輸送は実施・・・。
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 上の記事からすると、作業員たちが着ている「防護服」は、陸自「中央特殊武器防護隊」の隊員が着用している化学防護衣よりも高性能、ということになるのだろうか。そうでなければ、われらが自衛隊が「注水支援」さえ取りやめ、「退避」し、燃料「輸送」業務に切り替えるなんて、想像することも難しい。現に自衛隊員だって被曝しているのである。 しかしもしも、作業員の「防護服」が自衛隊の特殊部隊の化学防護衣より被曝予防性能が低いのだとしたら、いったいどんな思いでかれらは「作業」を行っているのだろう。
 同じ産経の記事に、こんなのがあった。
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 「放射線量、限界に近い」 4号機元作業員が証言 「現場は相当の覚悟」 使用済み燃料貯蔵プールの水温が上昇、2度にわたる火災を起こした4号機で、かつて定期検査の作業員として携わった元プラント工事会社社員の男性(66)は「きっと作業員たちが受けている放射線量は限界に近いだろう」と、危険な任務に就く後輩たちを思いやる。
 第1原発では16日現在、約70人の作業員たちが1~3号機への注水を管理。敷地内の放射線レベルは上昇しており、作業をより困難にしている。放射線量の高いエリアでの作業は、短時間で退避する。男性は「こんなことが起こるとは想像もできなかった」と話す。 作業員たちは防護服に身を包み、線量計を携帯。線量が許容限度に近づくと警告音が鳴る。男性もかつて鳴ったことがあるといい「恐怖心に包まれた」と振り返る。
 国内では、平成11年(1999年)に茨城県東海村で起きたJOCの臨界事故以来の大事故だが「JOCで最初に作業していた作業員は突然、放射線を浴びた。今回は浴びるのを覚悟して作業をしなければならない。相当覚悟のいる状況だ」と、沈痛な面持ちで語った。
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 読売新聞の記事では、「線量計は、20ミリ・シーベルト以上を超えると、9分間にわたり断続的にアラームが鳴り続ける。この作業中にアラームが鳴ったかどうかは確認されていない」。この記事から、20ミリ・シーベルトが現場作業員たちの被曝危険域の境界線になっている、そのように読める。断続的にアラームがなり続ける9分間は、どれだけ恐怖をかきたてる9分間になることだろう。この記事を読んで、そのように私たちは想像する。もしもアラームが鳴らなかったとしたら、それは何が理由だったのだろう、と。
 昨日、作業員たちが被曝したのは173~180ミリシーベルトだった。


 「100ミリシーベルト超えても重大な影響なし」?
 20ミリ・シーベルトを超えると、9分間にわたり断続的にアラームが鳴り続ける。だから、原発現場で働く労働者の安全基準は、本来、20ミリ・シーベルトなんだな、と思ってしまう。そうでないと「20」という数字の意味がわからない。
 ところが、「そうじゃない」と言う人たちがいる。昨日の事故後の産経新聞の記事、「原発従事者被曝線量上限 100ミリシーベルト 超えても重大な影響なし」の登場人物たちだ。向学のため、抜粋しておこう。

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 被曝線量の上限は一般が自然被曝以外に年間ミリシーベルトなのに対し、原子力関連施設での緊急作業従事者は100ミリシーベルトと定められている。震災での原発事故後には、厚生労働省が福島第1原発での作業者に限って基準を250ミリシーベルトに引き上げた。なぜ、基準に開きがあるのか。万が一基準を超えた場合、人体にどう影響するのか。
 被曝が人体に悪影響を与えるのは、放射線がDNAや細胞を傷つけるからだ。詳しい仕組みは不明だが、がんになる可能性などが増えるため、被曝線量の上限が定められている。 放射線影響研究所や文部科学省のホームページなどによると、250ミリシーベルトの被曝は成人にあまり影響はないが、胎児に影響が出る。

 1000ミリシーベルトほどの被曝では30歳の人が40年後にがんを発症するリスクは1.5倍になり、死亡率は低いが吐き気などを催す「放射線病」を発症する。2000ミリシーベルトを超えると男性が不妊となり、4000ミリシーベルトになると半数が死亡する。
 難しいのは、それより少ない線量の被曝だ。日本原子力研究開発機構の原子力緊急時支援・研修センターは、基準を超えても「大丈夫とはいえないが、直ちに重大な影響があるわけではない」と説明する。放射線影響協会によると、200ミリシーベルト以下では、人体への影響が臨床例でほとんど報告されていない。がんになる確率はほとんど増えないとされる。
 原子力緊急時支援・研修センターは「国内基準の基になっている国際放射線防護委員会(ICRP)の基準は、人が耐えられる最高値というわけではない」と指摘。「基準は、一般人や原子力関連施設の従事者の立場を考慮し、それぞれ活動に支障がない程度で守れる最小の目標値のようなもの」と冷静な対応(?)を呼びかけている。
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 この記事の記者に、では「線量計は、なぜ20ミリ・シーベルトを超えると、9分間にわたり断続的にアラームが鳴り続けるのか?」と「専門家」たちに尋ねてほしかった。記者自身、疑問に思わなかったのだろうか。
 で、この記事は誰に対して何を言わんとしているのか。「1000ミリシーベルトほどの被曝では」「死亡率は低い」「吐き気などを催す」程度だから、さして心配することはない? 昨日被曝し、ベータ線熱傷の可能性があると言われている作業員たちも「重大な影響なし」で、「250」の新基準は「最小の目標値」?

 政府やマスコミ、「専門家」たちの放射能汚染の「数値」をめぐる言説は、これから記録を更新するごとにグロテスクさの度合いを深めてゆくのだろうか。そういうとき、人間は〈恥〉というものを失ってゆくのだろうか。それを読み、聞く私たちの感覚も日を追うごとに麻痺してゆくのだろうか。
 どこまで踏ん張れるか。それが私にも問われている。

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〈「ジプシー」であれ、「社員」であれ〉
 「「原発ジプシー」と被曝」。ここ最近、最もよく読まれている文章だ。
 しかし、私は自分の知識の浅薄さを恥じた。毎日新聞の「「ガスマスクずれ吸った」作業の東電社員」【中川聡子、日下部聡】」の記事を読んだからである。
・「3月中旬、上司から福島出張を打診され、「行きます」と応じた。その夜、本社に集合。幹部から「とりあえず行け。何とかしてこい」と言われ、着の身着のまま他の20~30代の作業員数人とワンボックスカーに乗った」
・「家族には心配をかけるだけだから福島行きは報告できなかった」。一方、友人には「2週間たって帰ってこなかったら両親に連絡してくれ」と頼み、出発した」
・「顔全体を覆うマスク、ゴム手袋、長靴のほか、普通の作業服の上にガーゼのような白い布製の上下を着た。「きちんとした防護服は恐らく早い段階で切らして足りない状態になっていた」。さらに「長靴の上にもビニール製の防護をつけるべきだが、自分たちはコンビニでも買えるような簡単なゴミ袋のようなものを長靴の上にはいて、ガムテープで巻き付けただけだった」」
・「ガスマスクをしているため、大声を張り上げないと意思疎通がままならない。本部との連絡手段は携帯電話1台だけ。とはいえ本部も混乱しているため、指示を受けたり報告したりしている余裕はない。「現場で判断しろ、ということだった」。ところが作業中、本部から突然、終了時間変更の指示が飛び、混乱に拍車がかかった」

・「本来なら3~4時間で終わる作業にのべ2日かかった。「ガスマスクとかで非常に動きづらいし、作業の際にマスクがずれる場面は何度もあった。多分、かなり(放射性物質を含む空気を)吸ってるだろうなと思う」。線量計はリーダー格の1台だけで、他の作業員は持っていなかった」
・「敷地内は地震の影響であちこち陥没して穴があり、水がしみ出していた。ガスマスクが邪魔で足元を確認できず、同僚が何人も穴に落ちた
・「アラームが鳴っても作業を続けた(2人の)気持ちもよく分かる。『他にやる人間がいないんだから、とにかくやらないといけない。やるまで帰れない』という焦りは現場では強い」
・「ガスマスクの『シュー、シュー』『パコパコ』という音が響き、白装束の自分たちが作業している。全く現実感のない世界だった
・「最終日に被ばくの検査をしたが、人数が多く丸1日かかった。異常はないとされ、帰社すると「よくやった」と上司がねぎらってくれた。それでも「長期的な影響については不安だ」

 『シュー、シュー』『パコパコ』。「異常はない」。「全く現実感のない世界」・・・。
 「他の20~40代の作業員数人」とは、誰のことだろう? 
 この人たちは、どこから来て、どこに帰ってゆくのだろう?

1999年9月30日、JCO臨界事故で被爆した篠原理人さん(当時40歳)の治療経過
(篠原さんは顔や両腕に10シーベルトの中性子を浴びて被爆。私たちは被曝の現実を直視---広島・長崎でそうしてきたはずなのだが---すると同時に、原発が正規・「ジプシー」問わず現場作業員に強制している「労働環境」について再検証する必要がある、と私は思う。人間としての〈恥〉を失わないためにも)
「英雄」ではない「被害者」である原発事故作業員に、生涯にわたって医療補償を

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5月
福島3号機建屋、最大170ミリシーベルト 作業員立ち入り
 東京電力は19日、福島第1原発3号機の原子炉建屋内に18日夕に作業員2人が入り、10分間調査したと発表した。2号機にも同日に作業員4人が入っており、これで、事故後、1~3号機の原子炉建屋に作業員が入ったことになる。3号機の放射線量は毎時50~170ミリシーベルトで、最も高かったのは、水素爆発を防ぐために窒素を注入する予定にしていた配管の周辺だった。
 2号機の原子炉建屋内は、毎時10~50ミリシーベルトだった。調査は東電の作業員4人が原子炉格納容器の周囲を回って放射線量などを調べた。建屋1階の南西部の大物搬入口付近でたまり水が確認され、放射線量も50ミリシーベルトを観測。上部から小雨のように水が落ちていた。 4月19日にロボットが入ったときと同じく温度、湿度とも非常に高く、内部にいるのは体力面から15分が限界だったという。 東電は、2号機の建屋内部で原子炉の水位を示す計器の調整や、原子炉の冷却に必要な作業を予定している。内部の放射線量が分かってきたことで、数値が高い部分を鉛を含んだマットなどで遮蔽(しゃへい)する作業に着手する。(中日新聞

原発で内部被曝検査、作業員の1割…不安広がる
 東京電力福島第一原子力発電所で、放射性物質の吸引などで起きる「内部被曝(ひばく)」の検査を受けた作業員が、全体の1割にとどまっていることが分かった。 周囲の放射線が高い福島第一原発の検査装置が使えないためで、作業員の間には、「被曝線量の上限を超えても、知らずに働き続けることになりかねない」との不安が広がっている。政府は、17日に公表した同原発事故の収束に向けた「工程表」で、作業員の被曝線量について、東電に定期的に報告させるなどの監視強化を打ち出した。
 「通常値より2桁も多い。こんなのは初めてだ」。同原発の原子炉建屋近くで3月末から約1か月間、電源ケーブルの設置作業に携わった協力企業の20代の男性作業員は5月上旬、福島県外で受けた内部被曝の検査結果にショックを受けた。内部被曝は「ホールボディーカウンター」と呼ばれる検査装置で測定する。普段の放射線量は数百~1000cpm(カウント毎分)だが、男性が告げられた数値は3万cpmを超えていた。
 作業現場では当時、散乱したがれきから高い放射線量が計測されていた。通常、3時間ごとに交換するマスクは、管理会社から「汚染がなければ使っていい」と言われ、5、6時間使い続けた。食事は作業員らが寝泊まりしている免震重要棟でとったが、4月末には、「ここも汚染されている」と知らされた。男性は、「食事しているうちに内部被曝しているだろう」と不安を抱く。(読売)

4月
最前線に迫る被曝上限…原発作業員確保が課題
 東京電力福島第一原子力発電所の事故は27日、東電が収束に向けた「工程表」を公表してから10日たった。原発敷地内の放射線量は高い状態が続き、通常時に浴びてもよいとされる年間50ミリ・シーベルトの2倍を超えた作業員はすでに30人に達する。被曝線量が累積する中、今後は交代要員の確保が課題となりそうで、東電では、OBも含めた人員の確保に乗り出した。 東電によると、福島第一原発では連日1000~1200人が放射能で汚染されたがれき撤去や高濃度汚染水の移送、ロボットの操作などに当たっている。累積線量が100ミリ・シーベルトを超えた東電と協力企業の作業員は25日現在で30人、50~100未満が119人、50未満が5628人。東電では、累積100ミリ・シーベルトを超えた社員について、敷地内でも比較的線量の低い免震重要棟内での事務作業などに配置換えしているという。
◆OBにも声かけ◆
 東電では、今後の作業員確保について「できるだけ被曝線量を少なくし、長時間作業できるよう考えたい」とするが、政府と東電でつくる事故対策統合本部事務局長の細野豪志首相補佐官は、26日の記者会見で「今、現地で働いておられる人数は十分ではない。(東電の)OBら色々な方に協力していただくべきだ」と危機感をあらわにした。東電の松本純一・原子力立地本部長代理も、27日の記者会見で「現在、当社OBにも(作業の応援を)声かけしているところ」と明かした。 国は3月15日、緊急時の被曝線量の上限を福島第一原発事故での作業に限り、100ミリ・シーベルトから250ミリ・シーベルトに引き上げた。しかし、関係企業の多くは、作業員の健康への配慮から、より厳しい制限を設けている。このため、各企業からは、東電が6~9か月で収束を目指すとした工程表の完了前に、作業員の累積線量が社内規定を超える事態を懸念する声が聞かれる。(読売)

東電の女性社員、基準3倍超す被曝 原発屋外で作業
 東京電力は27日、東日本大震災発生時に福島第一原発にいた50代の女性社員が、原子炉等規制法などの基準の3倍を超える17.55ミリシーベルトを被曝したと発表した。法の定める限度を超えたのは男女を通じ初めて。女性は屋外で、原子炉への海水注入や放水に当たった消防の案内などをしていた。医師の診断では、健康への影響は見られないという。経済産業省原子力安全・保安院は27日、東電に対し口頭で注意した。
 東電によると、女性は水素爆発直後、マスクを外す際などに放射能を含んだほこりを吸ったとみられる。現場を離れた3月22日までに、個人線量計の数値は2.06ミリシーベルト、免震重要棟での滞在で1.89ミリシーベルトを浴びていた。 その後、今後50年間で13.6ミリシーベルトに相当する内部被曝がわかった。内部被曝は、体内に吸い込んだ放射性物質による被曝のことで、50年分を、事故発生時に浴びたとして換算する。

 原子炉等規制法や労働安全衛生法は、作業員の被曝量について、緊急時でなければ5年間で100ミリシーベルト以内に抑えるよう求めている。ただし、妊娠する可能性がある女性は男性より細やかな管理がされており、3カ月でこの20分の1にあたる5ミリシーベルト以内に抑える必要がある。 今回の事故を受け、男性作業員の線量限度は「5年間で100ミリシーベルト」が「5年間で250ミリシーベルト」に引き上げられたが、妊娠する可能性のある女性の基準は据え置かれていた。
 第一原発には当時、ほかに10~50代の18人の女性職員がいた。16人は限度を下回っていたが、残る2人は被曝量が高く、確認を急いでいる。東電福島事務所は「女性はもっと早く撤退させるべきだった。判断ミスで、反省している」とした。保安院は今後、東電に原因究明と再発防止策の策定を求めるという。(朝日・東山正宜、小宮山亮磨)

被曝100ミリシーベルト超30人に 熟練作業者の累積量が増大 収束へ課題
 東京電力福島第1原子力発電所の事故で、同社は23日、累計の被曝線量が100ミリシーベルトを超えた作業員が1人増えて30人に達したことを明らかにした。緊急時の作業員の年間被曝限度は、今回の事故に限り本来の100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げられている。東電は「200ミリシーベルトに近づいた場合、放射線量が高い作業から外す」としており、最大の198ミリシーベルトを浴びた作業員1人がすでに同原発から離れた。 事故収束に向けた工程表では今後、原子炉建屋内など放射線量の高い場所での作業が必要になるが、長期化に伴い熟練作業員らの累積被曝線量が増大しており、人材の確保が大きな課題となる。
 また、2号機タービン建屋地下や外部の配管トンネル「トレンチ」にたまった高濃度の放射性物質(放射能)を含む汚染水を集中廃棄物処理施設に移送する作業を継続。19日の作業開始から計約930トンを移したが、5月下旬までに計画する1万トンの10分の1にとどまっている。 一方、これまで東電と経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会が別々に開いていた記者会見を25日から一本化すると発表した。毎日午後5時に東電本店で開き、事故対策統合本部の事務局長を務める細野豪志首相補佐官も出席する。それぞれの会見で説明内容が食い違うケースがあったためで、一本化で正確な情報発信を目指す。

「ババ引くのは作業員」嘆く下請け社員
 福島第1原発の復旧作業を担う作業員の被ばく線量を定めた特例措置があいまいに運用され、作業員の放射線管理手帳に記載されていないケースがあることが明らかになった。現場の作業員はあいまいな運用に不安を漏らすとともに「結局、ババを引くのは作業員」と嘆く声も聞かれた。関係者からは「線量管理がいいかげんだと、訴訟になった時に証拠が得られない可能性もあり、問題」との指摘も上がる。【毎日・4/21 袴田貴行、森禎行、日下部聡】

◇訴訟時、証拠ない恐れ 「今回食った(受けた)分の放射線量は手帳に載らないから。安心していいから」。3月末に福島第1原発の復旧に従事した2次下請け会社の男性(30)は、作業開始直前、1次下請け会社の社員にそう告げられた。 男性は3月下旬、所属するポンプ点検会社の社長から「上の会社から3日だけ人を出すよう頼まれた。(現場の状況が)ひどかったら途中で帰ってきていいから、とりあえず3日間だけ行ってくれないか」と言われ、同原発へ。作業内容は不明のまま駆り出されたが、現地に着くと、使用済み核燃料共用プールの電源復旧のためにケーブルをつなぐ専門外の作業を指示された。「とにかく人をかき集めて電源復旧をやっている感じだった」 現場で経験者から指導を受けながら作業を進めたが、「初めてなので手間取って時間もかかったし、余計な線量を食った」。当時は線量計が足りず、6人のグループに1台だけ渡されたという。
 作業は放水の合間だったため、午前2時までかかったり、朝6時から始めたことも。待機場所の免震重要棟は「すし詰め状態で大人1人が寝っころがるのがやっと。仮眠も取れないのがきつかった。まともにやったら2日で限界」と振り返る。 結局、3日間で計約12時間働き、線量計の数値は国が特例として引き上げた上限の5分の1、以前の上限の半分に当たる約50ミリシーベルトに達していた。「普段そんなにいくことはまずない」。日当は通常なら1日1万5000円程度だが、今回は事前に決まっていない。ただし「同じような仕事の募集が日当17万円だったらしい」。3日で50万円になる計算だ。

 男性の放射線管理手帳は、この作業時とは別の、震災前に登録していた元請け会社が管理しており、手元にはない。「ずっと自分の手元に帰ってきてないから(今回の線量が)載っているかどうかは分からない」。確認しようにも震災前の元請けは震災後、事務所が機能していない。「自分の手帳を戻すのは困難」と、今後に不安を募らせる。
 3次下請けで原発の補修に当たる建設会社社員の男性(28)は線量管理があいまいになっていることについて「そうでもしないと原発を止められない感覚があるのではないか」と指摘する。その上で「手帳の管理は下請けによって違う。将来の仕事を受注するため(社員の線量を低くしようと)下請け会社が手帳に今回の数値を載せないことも考えられる。会社は仕事をもらえるかもしれないが、結局ババを引くのは作業員だ」と訴えた。
 元原発作業員が東電に損害賠償を求めた訴訟で原告代理人を務めた鈴木篤弁護士の話 原告は4年3カ月の累積70ミリシーベルトで多発性骨髄腫を発症したとして労災を認められた。250ミリシーベルトの上限自体が高すぎる。それを別枠にするなどむちゃくちゃだ。被ばく線量を証明できても裁判所はなかなか発症との因果関係を認めない。きちんと線量管理がされなければ、作業員が損害賠償を請求しようとしても基礎的な事実さえ証明できなくなる恐れがある。

「原子力発電所の清掃」などの求人に申し込み殺到 勤務3時間、時給1万円
 緊張状態が続く福島第1原発が、意外な形で注目を集めている。愛知県の人材派遣会社が、3月末から募集した現地作業員の募集が、締め切りを待たずして早々に定員(10人)に達したのだ。(夕刊フジ)
 この会社の募集要項によると、勤務地は「福島県」とあり、仕事内容は「原子力発電所の清掃、修復工事の補助」、「防護服や保護具などを身につけて一日3時間ほどの作業」とある。 採用担当者のうたい文句は《東北地方のかたのお手伝いをしに行こう!! 福島の原子力発電所での仕事です。この言葉を聞いてイメージするものはいろいろあると思います。ですので今回は、~のためと割り切れる方の募集をお待ちしております》。「~」の部分は応募者の想像に任せるのだろうが現場が原発なのは間違いない。
 勤務時間は午前8時から午後5時のうち3時間程度で、不定休ながら時給は1万円と高額。応募条件は「普通免許がある方大歓迎」。基本的に学歴、経験、資格は一切不問という。 実はこの募集、3月28日に公開され、翌々日の締め切りだったが、今月に入り4月末まで延期された。ただ、10日から11日にかけて、高額報酬を求める人が集まるサイトで話題になった途端、人材派遣会社のアツい呼びかけ(?)と、採用のハードルの低さが相まって応募が急増したようだ。
 この急募を短期で稼げる仕事とみるか、未曾有の国難に立ち向かう機会ととらえるか。呼びかけに応じた10人は、全世界が注目する「フクシマ」へ乗り込むことになる。

4/12
原発関連の死者3人、負傷29人
 枝野官房長官は12日の閣議後会見で、東日本大震災に関連した原子力発電所関連の死傷者が、10日現在で32人にのぼると発表した。 死者は3人で、うち2人は福島第一原発で震災直後に行方不明になり、4号機タービン建屋の地下で遺体で見つかった。残る1人は福島第二原発で地震によって倒れたクレーンの下敷きになって死亡した。一方、負傷者は東京電力社員14人や協力企業が11人。事故対応にあたった自衛隊員4人も負傷した。
 また、放射線の被曝線量が100ミリシーベルトを超えた作業員は21人で、政府が定めた事故復旧時の被曝線量の上限である250ミリシーベルトを超えた作業員はいないという。
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「250ミリシーベルトを超えた作業員はいない」は、まったく根拠がない。今後、厳しい調査が必要だ。

原発作業員、体内被曝量「わからない」 検査求める声
 高濃度の放射能に汚染された福島第一原発の復旧作業にあたる作業員の間で、放射能への不安から早期に体内の被曝量を検査するよう求める声が高まっている。第一原発の被災後、その検査が十分にできない状態が続いているという。
 体の表面についた放射性物質はシャワーで洗い流せるが、呼吸で体に入った放射性物質の一部は体内に蓄積される。東京電力などによると、体内の被曝量を測る機械「ホールボディカウンタ」は、第一原発内に4台設置されているが、被災後は使えない状態。機械を積んだ車両を他の原子力関係機関から借り、いわき市内で検査している。

 だが、復旧のため短期に作業員を大量動員した非常事態の中で、初めて原発内に入る作業員の入所時の検査は行われていない。成人男性の平均的な被曝量を見積もって、その後の被曝量の上積みを測るやり方にしているという。
 また、以前から原発の放射線管理区域内で働いていた作業員は、被曝前歴などを記した「放射線管理手帳」を持っているが、避難指示が出ている第一原発周辺に事務所がある企業が多く、手帳を取りにいけないまま作業に入っている人もいるという。  こうした状況に加え、3月中は放射線量を測る携帯線量計が不足し、グループで1台だけ持たせる状態だった。このため、作業員から「体内の被曝量もどれだけになっているか、わからないのではないか」と不安を訴える声が出ていた。

 原発に入所後のホールボディカウンタによる検査は3カ月ごとと定められているが、作業員を派遣している協力企業幹部は「危険な環境にいる全作業員対象で、早期に検査を受けさせるべきだ」と強調。他の電力会社関係者も「現場に詰めっぱなしの東電やメーカー幹部の体も心配で、調べる必要がある」と話した。
 安斎育郎・立命館大学名誉教授(放射線防護学)は「呼吸や食事などで放射性物質を体内に取り込む内部被曝は、放射線を体の中から長時間浴びることになるので極めて危険。専用のマスクなどでしっかりと予防することが重要だ。内部被曝は検査をしなければわからない。作業員の不安を和らげるためにも、ホールボディカウンタなどで検査しながら作業することが望ましい」と指摘した。
 東京電力広報部は「必要に応じて、定期的な検査も検討していく」としている。(朝日・小島寛明、奥山俊宏、佐々木学、中村信義)
〈ホールボディカウンタ〉身体を透過してきた放射線を検出するなど精密な検査をする機械。各電力会社は、放射線管理区域内の業務従事者について、入所時、3カ月ごと(女性は1カ月ごと)、退所時などに体内の放射線量を測定している。

4/10
福島第一原発、作業員が体調不良で病院搬送
 東電は10日午後4時半過ぎに記者会見し、福島第一原子力発電所で作業中だった協力会社の作業員1人体調不良を訴え、病院に搬送されたと発表した。 東電は、作業員に放射性物質の付着はなく、被曝線量も計画線量以内だったとしている。 東電によると、10日朝から2号機の排水ホースを設置する作業をしていた30代の男性作業員1人が午前11時10分に体調不良を訴えた。 医療関係者を伴い、点滴を受け、午後2時半過ぎ、病院へ搬送された。意識はあり、自力歩行も可能という。(読売)
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 また一人、「福島第一原発の「現場」で、名前も顔も知れず、匿名のまま、被曝し」、「自衛隊や機動隊、消防隊のように、マスコミに讃えられること」も「脚光を浴びること」もなく、「病院に担ぎ込まれた」人が出た。
 東電は、この「協力会社の作業員」の被曝線量と「計画線量」がどの値をさしているかも明らかにすべきだ。読売の記者はそれを東電に要求し、追跡取材をすべきである。

「作業員の安全」と「原発収束」と…復旧作業対応に苦慮
 「作業員の安全」か、「原発事故の収束」か――。高濃度の放射能に汚染された福島第一原発で、復旧作業員に危険を強いることへの懸念が高まっている。放射線被曝(ひばく)への補償・手当の見直しなど、課題は山積みだ。「仕事に『命がけ』があっていいわけがない。でも、今回、原発を抑え込むことの重要性は、労働政策の域をこえた問題だ。労働者の安全とどちらが優先されるべきか、自信が持てない」。未曽有の事態を前に、厚生労働省幹部は揺れる心情(???)を打ち明けた。
 作業環境は日に日に悪化しつつある。同省は、東電が作業員に放射線量を測る携帯線量計を持たせずに作業していたため、調査を開始。現場への立ち入りが難しい中、「問題点には厳しく対処していく」という。それでも、厚労省職員の胸中は複雑だ。「『原発の危機を早く収束させてほしい』という国民の期待が大きい。労働者の安全確保に影響するのでは」と今後を懸念する見方も出ている。
 3月22~27日に第一原発に入っていた経済産業省原子力安全・保安院の横田一磨・福島第一原子力保安検査官事務所長によると、現在、第一原発の敷地内で、防護服を着ずに過ごせるのは、外気が入らない特殊な構造になっている「免震重要棟」(2階建て)だけ。ケーブル敷設や水の除去などを終えた作業員たちは入り口で防護服やマスクを脱ぎ、下着1枚になって放射線量の検査を受けたうえでこの棟内に入る。発電所に泊まり込んで作業している人が多く、防護服や替えの下着も不足しがち。作業は山積みだが、原発内にとどまる時間が長くなれば、浴びる放射線量は多くなる。

 東電労働組合は震災発生後、経営側に「徹底した安全管理を」と申し入れ、現場の放射線量や作業員の健康状況などの情報提供を受けてきた。電力総連関係者は「放射線量が規制値を超えないよう人海戦術の作業が必要になっている。労働組合が作業員の環境を細かく把握し、安全に作業できるように支援する必要がある」と話す。
 作業環境を心配する声が高まる一方、作業員らが危険を覚悟で臨んでいることも事実だ。 ある東電関係者は「作業員たちは『とにかく自分たちで何とかするしかない』という思いを話している」と言う。作業員を出している協力会社も、派遣される可能性がある社員対象にアンケートを実施。「派遣を拒否できる」ことや、拒否しても査定にも影響しないということを明示したが、全員が「行きたい」と答えたという。 別の東電幹部によると、1~4号機で深刻なトラブルが連鎖的に起こり、本社、現場ともその対応だけに追われ、作業員の安全管理まで配慮できなかったのが実情だという。「平時と比較すると、安全管理は機能マヒと言えた」。作業のローテーション制が復活するなど、再び態勢を整えつつあるが、東電幹部は自省を込めて語った。「いまだにトラブルがやまない状況で、会社が作業員の心意気に頼っている面は否めない。安全管理と原発事故の収束を両立させないと、最終的に東電は厳しい批判を免れない」

■補償・手当増額の動き
 危険な作業への当面の対応策として、作業員らの補償や手当を引き上げる動きが出ている。ある厚労省職員は「それが出ればいいというものではない」としつつ、「作業員に対する何らかの手当の上積みが必要だ」と指摘した。
 即応したのは官側だ。防衛省は3月24日、原子力災害に対処する自衛隊員が任務で死亡したり、障害が残ったりした場合に支払われる「賞恤(しょうじゅつ)金」を通常の1.5倍に引き上げた。死亡時の最高額は9千万円、障害が残った場合は7560万円。イラク派遣や、ソマリア沖の海賊対処と並ぶ基準で、同省担当者は「任務の危険度、困難さを考慮すれば、イラクやソマリアと同じレベルと判断した」。
 これに対し、東電側の動きは鈍そうだ。3月31日の会見で、「危険手当を増額する予定はないのか」と聞かれた同社の武藤栄副社長は「まずはしっかり安全を確保する。それと、できるだけいい環境を作れるように努めている」と述べ、「現時点ではそこまでは考えていない」と否定した。  ところが、武藤氏は8分後、この問題について再び発言。「大変厳しい環境の中でみんな仕事をしてくれていますので、それに対してしっかり報いていくことは当然に考えなければいけない」と軌道修正をした。  原発内は放射線被曝の危険性によって、低い「A」から高い「C」まで3段階に分かれており、それに応じた金額の作業手当が支給される。だが、東電は、今回のような高濃度の放射線量下での作業を想定していなかったことを認めた。
 作業員派遣会社の中には放射線管理区域での作業が初めてで、通常の危険手当しかない社もあった。原子炉建屋周辺での作業に数十人を派遣している建設会社社長は「そういう手当を設けている社にならって新たに支給することになる」と話した。
 また、東電の協力企業は「危険な作業に従事した社員に、一定の手当を出すことを検討中」とするが、万が一事故が起きた場合については、通常の労災事故と同様の対応をする方針。別の協力企業では、増額などの予定はないが、「法改正や国からの指示があれば、検討することはあり得る(???)」としている。(朝日)
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 上の記事には、いろいろ言いたいことがある。まず、朝日の記者は「原発事故の収束」と「安全管理」が「両立」しえないことをこそ論じ、報じるべきなのではないか。この記者の目線は、あまりに「厚生労働省幹部」・「経済産業省原子力安全・保安院」・「東電関係者」の側に偏向し過ぎている。
 私には「厚生労働省幹部」が「作業員の安全」=被曝を心配し、「揺れる心情」をもっているとはとても思えない。国=厚生労働省幹部は、事故後すぐに作業員の被曝限度量を250ミリ・シーベルトに上げたのだから。「労働者の安全確保」を犠牲にしてでも『原発の危機を早く収束させてほしい』と「期待」しているのは誰よりも国であり、東電本部であるはずだ。私たちにしても、「揺れる心情」など持つ余裕などなかったし、今でもない。

 裏返して言えば、現場作業員の「安全管理」を国と東電が徹底して無視し続けてきたからこそ、事故の被害は「この程度」で済んでいるのである。そうであるからこそ、原発事故は「狂気の沙汰」であり、人間に「常軌を逸したこと」を強いるのだと言える。このことを明確にしない、いっさいの「事故報道」は偽善であり、欺瞞である。
 今後の修復作業の進展、それを伝える報道に一喜一憂するときにも、このことだけは忘れてはならないだろう。

線量計不携行で東電に注意 安全・保安院
 東京電力福島第1原発で作業員が線量計を持たずに事故処理している問題で、経済産業省原子力安全・保安院は1日、安全管理上の問題があるとして東電を口頭で注意(???)?したことを明らかにした。通常は「1人1台」だが、地震と津波で線量計の多くが壊れ、チーム代表者だけに携行させた。東電は「現在は必要な数は確保した」としている。
 一方、同原発の2号機タービン建屋外の「トレンチ」と呼ばれる立て坑内と建屋脇の地下水から高濃度の放射性物質の汚染水が見つかった問題で、保安院は1日、分析に誤りがあるとして、東電に再評価するよう指示した。対象の放射性物質は「テルル129」など。ヨウ素131など主要核種に変更はないとみられ、保安院は「全体の影響評価が根本的に変わる可能性は低い」としている。 ただし、東電は2号機タービン建屋内の汚染水でも誤った分析結果を公表しており、保安院は「再発防止を徹底してほしい」としている。【毎日・江口一】

東電、1号機の高放射線量を事前把握 作業員らに伝えず
 3号機タービン建屋内で起きた作業員3人の被曝で、3人が作業に入る6日前の18日、水がたまっていた1号機のタービン建屋地下で高い放射線量を確認しながら、東電は作業員らに注意喚起をしていなかったことがわかった。東電は「情報共有が早ければ(???)被曝を防げた可能性があった」と認め、謝罪した。  東電福島事務所によると、6日前の18日、1号機のタービン建屋地下1階で作業した際に放射線量を測定、作業員の被曝線量の上限(250ミリシーベルト)に迫る毎時200ミリシーベルトと高いことを確認していた。 一方、3人の作業員が3号機で作業を始めたのは、24日午前10時半ごろ。作業員には1号機の情報は伝わっていなかった。
 3号機では前日にはなかった水が深さ15センチになっていたが、3人は前日の作業では線量が低かったこと、「タービン建屋は通常、線量が高い場所でない」と思っていたことなどから、水につかって作業をして、被曝した。18日のデータが事前に伝わっていれば、作業員らの思い込みを防げた可能性がある。  東電福島事務所の小山広太副所長は「1号機の現場の状況の情報をしっかり各現場で作業している人たちに注意喚起していれば、今回の被曝は防げたと思っており、反省している(???)」と謝罪した。(朝日新聞より抜粋)

保安院「作業のやり方十分ではなかった」 作業員被曝
 東京電力福島第一原子力発電所で24日、復旧作業中の作業員3人が被曝し、うち2人が病院に運ばれた。東電は、くるぶしまで水に漬かったために足の皮膚に放射線を浴び、やけどを負った可能性も否定できないとしている。 2人は救急車で福島県立医大病院(福島市)に搬送された。自衛隊のテントや病院内で体の外側の放射性物質を取り除く「除染」を受け、専門医らの診察を受けた。  吐き気など、全身に大量被曝した際に起きる急性放射線障害の症状はないが、水に漬かった部分には、局所的に高線量の放射線を浴びる「局所被曝」が起きた可能性がある。これは放射性物質に直接触れた場合などに起こる。
 東電は、水に浮いた汚染物質が足の皮膚に付着し、被曝による「ベータ線熱傷」が起きた可能性もあるとみる。ベータ線は放射線の一種。 島崎修次・日本スキンバンクネットワーク理事長(救急医学)は「表皮よりも深い部分まで傷つく熱傷で、場合によっては皮膚移植などの治療が必要になる可能性もある」と指摘する。
 東電によると、23日には同じ場所の放射線量は毎時数ミリシーベルトで、床の水も少なかったため、24日は線量を測らずに作業を始めた。被曝線量が毎時20ミリシーベルトを超えると警報音が鳴るアラームを着けていた。警報音が鳴ったかどうかは不明。一緒に作業していたもう1人は長靴をはいていて汚染がなかったが、2人はくるぶしくらいまでの短靴だった。 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は24日の会見で、作業員が高線量の被曝をしたことを踏まえ、「作業のやり方は十分ではなかった」と述べ、特に施設内の水に注意が必要だと指摘した。
 東電によると、福島第一原発の事故で被曝線量が100ミリシーベルトを超えた作業員は累計17人になった。 (朝日新聞)(⇒「十分ではなかった」「作業のやり方」の法的責任の所在がどこ/誰にあるのか、この事態の「収束」後(いつ?)、問題になるだろう)

福島第1原発:長靴はかず足ぬれ 安全管理に問題か
 第1原発3号機で24日、復旧作業にあたっていた男性作業員3人が、高い放射線量の被ばくをしていた可能性があることが判明した。ベータ線による熱傷の疑いがあるという。
 場所は、原子炉建屋の隣に建つ発電用のタービン建屋。通常は原子炉建屋に比べて、放射線量の低い場所だ。3号機では原子炉建屋の水素爆発など、トラブルが相次いでいる。作業の手順に問題はなかったか。なぜタービン建屋で高い放射線による被ばくが起きたのか。復旧はさらに難航しそうだ。
 原発では、原子炉内で熱した湯から発生する蒸気を使い、隣のタービン建屋に設置された大きな羽根車を回転させて発電する。タービン建屋には、放射性物質を含む蒸気や、蒸気が冷えてできた水が入る復水器があるが、通常は厳重に密閉され、高い放射線量は検出されることはない。一方、福島第1原発では2号機のタービン建屋でも、毎時500ミリシーベルトに該当する強い放射線が確認されるなど、タービン建屋の汚染が問題になっていた。
 東京電力によると、作業員は丈の短い靴で水に入り、足がぬれたという。住田健二・大阪大名誉教授(原子炉工学)は「放射線を含む可能性がある水の近くで作業をするなら、防水の長靴をはくなど、防護対策をとるのが常識だ。作業の管理に問題がなかったのか疑問が残る」と指摘する。
 福島第1原発では、水素爆発などが相次ぎ、作業現場の放射線量が高くなっている。従来、原発で働く作業員の被ばく線量の限度は年間50ミリシーベルトで、緊急作業時は100ミリシーベルトだった。厚生労働省は、この事故に対応する特例として、限度を250ミリシーベルトに引き上げた。被ばくした作業員は、放射線を遮蔽する防護服を着ていたというが、高い放射線量を浴びた。 一度に100ミリシーベルト以上被ばくすると、がんになる確率がやや高くなるとされている。

 中川恵一・東京大付属病院准教授(放射線医学)は「発がんの危険性が上がるレベルの被ばくだ。作業員の安全管理を見直すべきだ」と話し、防護服の着用や、被ばく量を計測する線量計の使用法の徹底を求めた。 3号機は、13日に燃料棒が溶ける炉心溶融が起きて大量の水素が発生、翌14日に原子炉建屋が爆発した。その後、屋根が吹き飛んで野ざらしになった使用済み核燃料プールの水の温度が上昇し、大量の水蒸気が立ち上った。 このため、17日からプールを冷やす放水作業を開始。自衛隊のヘリコプター、自衛隊や東京消防庁などのポンプ車による放水が続いている。
 タービン建屋で起きた作業員の被ばくについて、沢田哲生・東京工業大助教(原子核工学)は「原子炉圧力容器からタービン建屋につながる主蒸気管がある。そこに何らかの損傷があったとすれば重大なトラブルで信じがたい」と話す。 一方、小出裕章・京都大原子炉実験所助教は「今回の被ばくは、敷地全体が汚染されていることの表れだ。電源が回復し、一つ一つの機器を動かしていく段階だが、多くの作業員が大量の被ばくを覚悟しなければいけない。被ばく限度を引き上げても、すぐに限界に達する状態だ。次々と人が必要になるが、特殊技能を持った人員は確保できるのか。先行きが心配だ」と話す。【毎日・下桐実雅子、八田浩輔、永山悦子、河内敏康】

 沢田助教が言う、「原子炉圧力容器からタービン建屋につながる主蒸気管」に「何らかの損傷」があったとすれば「重大なトラブル」で「信じがたい」という解説に、今回の福島第一原発事故の今後を占う「重大」なカギが隠されている。

 「主蒸気管」。この言葉、しっかり記憶に留めておこう。

2011年3月22日火曜日

Buy Fukushima, Buy Ibaraki!

Buy Fukushima, Buy Ibaraki!

 みんな勘違いをしている。
 私は5日前にこのように書いた。
 「ポスト〈3・11〉の日本社会が「メルトダウン」を起こすかどうかは、私たちが福島をはじめ東北全体を支えきることができるかどうか、〈3・11〉以前的水準にまでどれだけ早く引き戻せるか/引き戻れるか、その帰趨次第である。
 私たちは「最悪の事態」に備えながら、被災地への支援を行いつつ、日本社会が「メルトダウン」を起こさぬよう、「打つ手」を考えねばならない。自分自身と身近にいる者たち、家族を守りながら」。

 「私たちが福島をはじめ東北全体を支えきることができるかどうか」と言うのは、私たちが「微量」の、「ただちに身体/健康に影響は与えない」程度の放射性物質に汚染された野菜や食品(卵・牛乳・肉、魚その他の海鮮類等々)を口にすることを当然のこととして覚悟しながら生活をする、ということだ。とりわけ、東北・北関東圏に生きている〈私たち〉は、本当に「腹を括る」必要がある。
 そうでないと、私たちは東北全体はおろか、茨城北部を含む北関東はもちろん、福島をさえ支えきることはできないだろう。Buy Fukushima, Buy Ibaraki! 群馬も栃木も!  

 政府もマスコミも、消費者としての私たちも、政策、報道、生き方そのものの「パラダイム・チェンジ」が必要だ。「スロー・ライフ」とか「ロハスな生活」?がどうのこうの、そういうレベルの問題ではない。問題は、私たちが福島や茨城北部を見捨て/見殺しするのかどうか、群馬や栃木を、東北を見捨て/見殺しにするのかどうか、そういうレベルの問題として問われているのである。当面で言えば、これからの週末、ゴールデン・ウィークに、福島・北茨城・東北に花見、温泉、観光に行き、そこに少しでも金を落としてくるという問題として問われているのである。

 放射能が目に見えないように、目には見えない一部地域、一部階層の、ポスト〈3・11〉の「メルトダウン」は、徐々にではあれ確実に広がっている。福島第一原発を基点にしながら。
 そのマグニチュードは、私たちの想定をはるかに超えたものになるだろう。

⇒「国立大学法人愛媛大学という原発推進機関」更新
⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言」(2)更新
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東日本大震災 自粛は2次災害 日光などの観光業者悲鳴
 世界遺産「日光の社寺」や温泉など、国内屈指の観光地として知られる栃木県日光市。東日本大震災では大きな被害はなかったものの、直後からホテル・旅館のキャンセルが相次ぎ、街は“自粛ムード”に沈んでいる。隣接する福島県で起きた原発事故も追い打ちとなり、関係者の間からは「2次災害だ」との悲鳴が上がっている。【毎日・浅見茂晴】
 「全く人が動かない。こんなピンチは初めて。昭和天皇の大喪の礼(89年)の時にもなかった」。日光観光協会の新井俊一会長(62)は危機感をあらわにした。 日光東照宮によると、震災翌日の3月12日から同31日までの東照宮の入場者数は、前年同期比で実に95%減の計約5000人。過去に例がない落ち込みとなっており、13日から始まる予定だった日光二荒山(ふたらさん)神社の「弥生祭」に加え、徳川家康ゆかりの「百物揃(ひゃくものぞろえ)千人行列」(5月)の中止も決まった。
 新井会長が経営する旅館「鶴亀大吉」(客室数28)も、震災前は稼働率が90%から満室に近かったが、今は10%程度。キャンセルの理由の大半が、福島第1原発事故の影響を懸念したものだという。 特に外国人観光客が深刻だ。中禅寺湖畔にある「日光レークサイドホテル」によると、フランスやイタリアなど欧州からのツアー客が、各国政府の渡航自粛要請を受け予約を相次いでキャンセル。5月以降は「ぽつぽつ予約が入り始めている」(同ホテル)が、予断を許さない。
 こうした事態を受け、県内六つの観光協会は先月30日、対策を求める要望書を県に提出。福田富一知事は今月5日、「とちぎ観光安全宣言」を発表した。 世界遺産地区と奥日光は6月から、修学旅行シーズンを迎える。観光協会は放射線測定器を購入して独自に放射線量を測定。ホームページで公開して安全性をアピールする予定だ。

 ■鬼怒川・川治温泉
 大型ホテルや旅館が集まり、計約4000室、2万人の収容能力がある鬼怒川・川治温泉。バブル崩壊に続き、地元の足利銀行破綻(03年)やリーマン・ショック(08年)など幾度も危機を乗り越えてきたが、あるホテルの幹部は「今度は半端じゃない。足銀破綻以上の影響」と声を落とす。 このホテルも稼働率は10%程度。震災からの1カ月分だけで、約5700人の宿泊がキャンセルされた。パートを含め従業員約100人は、ワークシェアリングでしのいでいる状況だ。幹部は「まだ減るかもしれない。5月の予約も3日間で500人のキャンセルがあったばかり」と嘆く。
 ■湯西川温泉
 福島県境に近く、16軒の温泉宿が肩を寄せ合う湯西川温泉。創業345年の老舗旅館「本家伴久(ばんきゅう)」も例外ではない。45室、150人を収容できるが、すでに3、4月の予約をすべてキャンセルされ、今月28日まで休業中だ。5月からの予約客から確認の電話が入ると「大丈夫です」と懸命につなぎ留めている。 それでも、24代目の大女将(おかみ)、伴玉枝さん(77)は「小学6年で迎えた敗戦、旅館が全焼したことに比べれば、大したことはない」と意気軒高だ。
 伴久旅館では、料金を一律で1人1万3000円(1泊2食)に設定し、1000円を被災地への義援金に充てるプランを作成。ダイレクトメールなどで会員4800人に知らせている。従業員30人の雇用も維持する。 「ピンチはチャンス。こういう時こそトップがしっかりしなきゃ」

4/4
90キロ離れても「客はゼロ」=記念館、鍾乳洞、沈む観光地―福島(時事通信)
 地震、津波、原発事故と「三重苦」の事態が続く福島県。例年なら春休みシーズンでにぎわうはずの観光地は大きな打撃を受けている。「原発はいつ落ち着くのか」。観光客を受け入れる地元関係者は、いら立ちと不安を募らせている。 猪苗代町野口英世記念館は、建物被害もなく1週間で営業を再開した。しかし、年間23万人を数える客足はピタリと止まり、来館者は「ゼロに等しい」(八子弥寿男館長)。原発から90キロ離れているものの、八子館長は「水も空気も大丈夫なので安心して来てほしいが、この状況はしばらく続くのではないか。できればゴールデンウイークまでには原発が落ち着いてほしい」と沈んだ声で語った。
 年間30万人が訪れる田村市のあぶくま洞。地震発生時、洞内に観光客はおらず、係員2人にけがはなく、鍾乳石1カ所の先端が折れるなどしただけで済んだ。しかし、道路が通行止めとなり営業休止に追い込まれ、ゴールデンウイークの再開も難しい状況だ。あぶくま洞は原発30キロ圏外にあるが、管理事務所の吉田典良所長は「市全体が屋内退避圏だと思われていないか心配だ」と話し、再開後の不安は払拭(ふっしょく)できない。
 映画「フラガール」の舞台となり、年間150万人が訪れるいわき市スパリゾートハワイアンズでも再開時期は未定。建物被害は少なかったが、修繕費だけで数億円掛かる見通し。フラダンサー約30人の契約は何とか守ったが、契約社員約700人との雇用契約は3月末、更新しなかった。 施設を運営する常磐興産の佐久間博巳・取締役営業本部長は「原発が落ち着き、家族連れが安心して来られるような状況はいつ来るのか」と途方に暮れた様子で話した。

3/23
東日本大震災:被害額最大25兆円 政府が初の試算
 東日本大震災と大津波で損壊した道路や住宅、港湾施設などの被害額について、政府が最大約25兆円に上るとの試算をまとめたことが23日分かった。与謝野馨経済財政担当相が同日午後に開く月例経済報告関係閣僚会議に提出する。政府が東日本大震災の被害額を試算するのは初めて。被災地域が広範囲にわたる上、大津波の被害が大きいため、95年の阪神大震災での被害額(10兆円)を大幅に上回る。被災地復興に向けて政府が検討している11年度補正予算の規模も大きく膨らみそうだ。
 政府は今回の東日本大震災の被害額試算に当たって、阪神大震災の際の建物の損壊率などを参考に2通りの方法で道路や港湾などインフラや住宅、工場などを対象に被害額を算出。その結果、少なく見積もっても被害額は約16兆円、最大で約25兆円に達する見通しとなった。この試算には、東京電力の福島第1原発の事故に伴う損害などは含まれておらず、最終的にはさらに被害額が膨らむ可能性が高い。
 阪神大震災では、政府が3度の補正予算の編成で震災関係対策費約3.2兆円を計上したが、野田佳彦財務相は「(東日本大震災に対する補正の規模は)阪神より大きくならざるを得ない」としており、財源確保も大きな課題となりそうだ。【毎日・谷川貴史】

原発事故周辺住民への損害賠償、国も負担へ
 政府は22日、東京電力の原子力発電所の事故で被害を受けた周辺住民らへの損害賠償について、国も負担する方向で検討に入った。 原発事故の際の賠償責任などを定めた原子力損害賠償法に基づき、国が1200億~2400億円を負担するほか、残りも東電の支払い能力を上回る部分は国が支援を行う方向で被害額の算定作業に入る。
 同法は、原発事故の損害について原則、電力事業者がすべて賠償すると定めている。ただ、地震や津波などの災害が理由の場合は、国が原発1か所あたり1200億円までを負担する決まりだ。政府は、福島第一原発の事故がこれに該当すると判断。同様に周辺への避難指示が出た福島第二原発も含めれば2400億円となる。 同法には「社会的動乱、異常に巨大な天災地変の場合」にはすべてを国が補償するとの例外規定もある。しかし、政府は、今回の事故の原因が「社会的動乱」や「異常に巨大な天災地変」にはあたらないとして、東電も責任は免れないと判断している。高木文部科学相は22日の参院予算委員会で「一義的には東京電力に責任を持っていただく。その上で、被害者救済を最優先に国も必要な対応をしなくてはいけない」と説明。
 賠償は、営業できなくなった企業や農産物が出荷できない農家が対象となる見込み。支払いの範囲によっては総額が数兆円になるとの見方も。東電の支払い能力を超えた場合に、国がどのように賠償を支援するかが焦点。一方、与党内には国がすべて負担する例外規定を適用すべきだとの声も。 1999年9月に茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故では、住民の健康被害や検査・避難の費用、出荷できなくなった農産物の補償などにJCOが約150億円を支払った。JCOの事故は避難対象が半径350メートル圏内で期間も3日間。(読売より)

在京外国大使館、25か国が一時閉鎖中
 25か国のうち、スイス、ドイツなどの5か国は大阪市、フィンランドは広島市、パナマは神戸市で大使館業務。
出荷制限の対象拡大 サラダメニューやめるチェーン店も
 放射性物質が検出されて出荷などが制限された食材が増え、外食産業や乳製品業界に影響が広がっている。 イタリアンレストランのサイゼリヤは、全国約860店のうち東日本の約500店で、サラダメニューを全品取りやめた。レタスやイタリアンパセリなどの野菜を福島県から調達していたためだ。客の不安を取り除くための措置で、新しい調達先を探す。
 百貨店の中合福島店(福島市)では、ホウレンソウ、小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどを撤去。県産品の販売に力を入れており、規制値以下の野菜は売り続けるが、「撤去対象の農産物が、これ以上広がると影響が大きい」と漏らす。

 茨城県産の牛の原乳も出荷が止まる。乳製品業界からは、品薄が長期化することへの懸念が出ている。「より多くのお客様にご購入いただくために、お一人様1本とさせてください」
 東京都内のスーパーの牛乳売り場には、こんな張り紙が掲げられた。東日本大震災で酪農家や乳製品工場が被災し、牛乳の生産量が落ち込んだ。燃料不足による物流網の混乱もあって、品不足が広がっていた。 工場の復旧や燃料不足の改善にめどがつき、品不足解消の期待が高まっていたところに、放射性物質の検出。大手乳製品メーカーの担当者は「品不足が長期化しかねない」とこぼす。別のメーカーの関係者は「いまは別の産地に切り替えて対応しているが、出荷停止の地域が広がると難しくなる」と話す。
 京成百貨店(水戸市)も、茨城産の牛乳を撤去した。もともと購入を一人1本に制限するほど品薄だった。仕入れ先の変更などが必要となるが、具体策は決まっていない。

3/22
出荷自粛で農家凍る 福島、原発へ怒り心頭
 東京電力福島第1原発の事故の影響で、福島県は県内全域の農家に牛の原乳と露地物野菜の出荷を自粛するよう要請した。一夜明けた21日には、露地物野菜の自粛対象を一部撤回するなど行政と農業関係者の間で混乱した。
 「背筋が凍った」。20日午後9時ごろ、佐藤雄平知事からの要請を受け入れた県農協中央会の庄条徳一会長は衝撃の大きさをこう表現した。形こそ要請だったが、命令に近い強い意志が感じられたという。
 中央会は深夜までに県内全17農協の組合長、経営管理委員会会長に連絡。各地の直売所には農協職員が21日朝から出向き、露地物野菜を扱う農家への説明に追われた。
 須賀川市吉美根の専業農家の女性(50)に、すかがわ岩瀬農協からメールで連絡があったのは早朝、露地物のホウレンソウ1000束を出荷しようとする矢先だった。
 「被災地ではものが足りないというのに廃棄処分しなければならない。原発への怒りでいっぱいだ」とやりきれない様子。さらに心配なのは「岩瀬キュウリ」の名で知られ、全国有数の出荷量を誇る主力の露地物キュウリへの影響だ。「出荷は夏だが、影響が出たら生活できない」と不安がる。
 原発から100キロ前後離れた会津地方は雪解け前で露地物の出荷はほとんどないが、酪農家が窮地に追い込まれている。 喜多方市上三宮の沢田喜実さん(71)は原乳の出荷停止で、収入が激減するのは確実となった。「牛は生き物だから餌や搾乳が毎日必要なのに、どうすればいいのか。自分の不注意なら仕方ないが、これでは納得がいかない」と憤る。
 県農協中央会は22日、緊急組合長・経営管理委員会会長会議を開き、今後の対応を検討する。長島俊一常務理事は「避難指示区域内で農地に入れない農家が大勢いる。風評被害も心配だ。福島の農業を守るため、東電にはきちんと損害賠償してもらう」と話す。

◎福島の露地物出荷/全般自粛県が解除、部分撤回に混乱
 福島県は21日夜、県内全域の農家に要請していた露地物野菜全般の出荷自粛を解除し、ホウレンソウとカキナ、牛の原乳は出荷を制限するよう市町村と農業団体に連絡した。 政府の原子力災害対策本部が同日、県に指示した出荷制限の範囲がホウレンソウとカキナ、牛の原乳だったのを受けての変更という。
 前日の自粛要請を1日後に部分撤回したことについて、県農産物安全流通課の小桧山均課長は「県としては20日、やむを得ず、露地野菜すべての出荷自粛を選択したが、国の指示を受けて対象を変えた」と釈明した。ホウレンソウとカキナを除く露地物野菜に対する県としての「安全宣言」については言及しなかった。 生産者と消費者に混乱を招く県の対応について、県内の農協幹部は「県は撤回した部分についての安全性のお墨付きを出す必要がある。各農家に伝える時間がないので、22日は出荷自粛を継続するしかない」と話した。

津波暴威、地区壊滅「見捨てないでくれ」 宮城・山元
 福島との県境にある宮城県山元町坂元地区は、海岸の約2キロ西側を南北に走る国道6号を越えて津波が押し寄せ、民家などに壊滅的な被害が出た。 町北部は常磐自動車道が堤防となったのに対し、常磐道が延伸していない町南部の坂元地区は被害が広範囲に及んだ。JR常磐線坂元駅は駅舎を失い、線路がホームの先でひしゃげていた。
 漁業大石梅雄さん(68)は坂元地区内の磯浜漁港で地震に遭った。引き潮の大きさから、沖に出るよりも近くの建物の屋上に逃げようと決めた。
 大石さんは「波は先に相馬の方から、続いて三陸の方からきた。高さは20メートルはあったはず。1隻だけ沖に向かった船は駄目だった」と振り返る。 坂元地区はほぼ全員が住宅を失い避難所生活を送る。副区長磯部正一さん(69)は「今後この地区に人が残ってくれるのだろうか」と心配する。 山元町は東日本大震災で350人近くが死亡、約500人が行方不明。 「三陸の被害ばかり注目されているが、山元もひどい被害だ。見捨てないでくれ」。避難所となっている坂元中で、男性が悲痛な声で訴えた。(河北新報/勅使河原奨治、関川洋平)

保安院検査官、原発から1週間離れていた
 東京電力福島第一原子力発電所の事故に絡み、経済産業省原子力安全・保安院の検査官が事故発生後に約1週間、同原発を離れていたことが分かった。 西山英彦審議官は22日の記者会見で、一時撤退した理由について「安全性に問題があり、人間が暮らすには不便が多かった(!!!)」と述べた。
 検査官は各地の原発に赴いて、原発の運営を監督している。保安院によると、今回の事故では検査官7人が同原発で業務に当たっていたが、15日に現地本部が福島県庁に移った際、ともに県庁へ移動。22日に、検査官2人が同原発内の施設に戻った。
 西山審議官は、「食料をどう運ぶかという問題もある。組織的な後方支援体制が取れなかった」と説明。「最前線で実態を見ずに東電側にアドバイスできるのか」と問われると、「そこは選択の問題(???)。色んな困難を考えて当時は出た(???)が、再配置した」と答えた。

静岡・岐阜の援助隊、屋内退避区域の搬送せず
 福島第一原子力発電所の事故で、屋内退避区域となっている原発から半径20~30キロ・メートル圏内にある病院に入院する患者の搬送要請を、静岡、岐阜両県の緊急消防援助隊が「安全が確実に確保されていない」として断っていたことが22日、わかった。
 屋内退避区域について、経済産業省原子力安全・保安院は「特別な装備は必要なく、マスクをして肌の露出を避ければ搬送作業は可能」としており、実際に地元の相馬地方広域消防本部など福島県内の消防隊は活動している。
 総務省消防庁は今月17日、福島県からの依頼を受け、同県内で活動中だった静岡、岐阜両県の援助隊を率いる静岡市消防局と岐阜市消防本部に患者搬送への協力を要請。当時、静岡県からは救急隊が計11隊33人が出動していたが、各消防本部の総意として「事前準備もなく、詳しい状況が分からない中、出動させることに不安を感じる」と消防庁に伝えた。岐阜市消防本部も、市長や消防長、市民病院長らが協議し、「隊員の安全を考えて苦渋の選択(???)をした」として、搬送は困難との考えを示したという。
 福島県によると、屋内退避区域には、7病院に約780人の患者がいたが、21日までに自衛隊などによって、全員搬送された。静岡、岐阜両県の援助隊はその後、自衛隊などによって30キロ圏外に移送され(⇒自衛隊を強調する必要なし)、放射性物質を洗い流す除染を受けた患者らの搬送を担っている。(読売の記事より抜粋)
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緊急!公開研究会「福島原発で今、なにが起きているか」3月29日に開催
3月11日、14時46分ころ発生した「東日本大震災」を受け、壊滅的な打撃を受けた福島原子力発電所で何が起きたか、何が起きているのか。元原子力設計技術者の後藤政志さんを講師にお招きし、最新情報を解説します。どなたも参加できます。

日時:3月29日(火)18:30~20:30
会場:総評会館 2階大会議室(東京都千代田区神田駿河台3-2-11)
交通:地下鉄「新御茶ノ水駅」「淡路町駅」「小川町駅」、JR「御茶ノ水駅」
(地図)http://www.sohyokaikan.or.jp/access/index.html
講師:後藤政志さん(元原子力設計技術者、博士(工学))
   上澤千尋さん(原子力資料情報室・原子炉安全問題担当)
資料代:1,000円

主催:認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室
協賛:原水爆禁止日本国民会議
*インターネットを通じ中継を行う予定です。
CNICニュース(Ustream) http://www.ustream.tv/channel/cnic-news
*停電や交通状況等、当日の情報にご注意ください。中止になる場合には原子力資料情報室のホームページ(http://cnic.jp)でお知らせいたします。
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・ピースボート・災害支援ボランティアへの応募方法
○被災地での救援ボランティア: 炊き出し、避難所の手伝い、物資運搬など
<条件>
 ・最低1週間以上の現地派遣が可能な方
 ・20歳以上の男女で、体力に自信のある方
 ・事前に下記「災害支援ボランティア説明会」に参加できる方
 ・交通費、食費、宿泊などに伴う費用を自己負担できる方
 ・寝袋、防寒着、(テント)、長靴、1週間分の食糧を持参できる方
東京での短期ボランティア: 支援物資の仕分け、街頭募金、説明会の設営・受付など
<条件>
 ・1日から参加可能
 ・東京での食費、宿泊などに伴う費用を自己負担できる方
災害支援ボランティア説明会
 ボランティア希望の方は、事前にお問い合わせの上、説明会へお越しください
・2011年3月26日(土)18:00~
・2011年3月30日(水)18:00~
・2011年4月2日(土)18:00~
場所:ピースボートセンターとうきょう(*map)
→説明会のお問い合せは:電話・03-3363-7967へ(10:00-19:00/日祝休み)
※今後も週2回程度、同様の説明会を行っていく予定です(次回3/26を予定)
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2011年3月20日日曜日

リビアへの武力攻撃開始

リビアへの武力攻撃開始

 米英仏など5カ国からなる多国籍軍は、19日午後(日本時間20日未明)、内戦状態が続くリビアへの軍事介入を容認した国連安全保障理事会決議に基づき、同国の最高指導者カダフィ大佐側の軍部隊や防空施設などに対する攻撃を開始。

 もう無茶苦茶だ。何もかも無茶苦茶だ。
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3/21

 20日のカイロ発のAP電によると、リビアへの武力行使を承認した先週の国連安保理決議を支持したアラブ連盟が、多国籍軍の武力攻撃を非難した。同様に、ロシアも反対していることがすでに報道されている。

 理由はどこにあるのか。リビアの「文民」をカダフィの暴政や抑圧から「保護」するために行うとされた今回の武力攻撃が、実際には「文民」=一般市民を巻き添えにし、死者を出し、「保護」するものになっていないからだ。具体的に言えば、アラブ連盟は、「リビア空軍による反政府軍の拠点に対する空爆・攻撃を阻止するための飛行禁止空域の強制を支持したのであって、実際に行われている武力攻撃がその目的を遥かに超えた軍事行動になってしまっている」ことを批判したのである。
'Amr Moussa says the military operations have gone beyond what the Arab League backed. Moussa has told reporters Sunday that "what happened differs from the no-fly zone objectives." He says "what we want is civilians' protection not shelling more civilians."

 しかし、こうなることは決議を採択する以前から、わかりきっていたことだ。アラブ連盟にせよ、ロシアにせよ、安保理決議に反対を表明せずに、その決議の履行=武力攻撃による一般市民の犠牲をもって武力攻撃の「やり方」を非難するというのは欺瞞もはなはだしい。とりわけアラブ連盟に関して言えば、多国籍軍の「やりすぎ」をなじっているにすぎないのである。

 ではなぜ、「わかりきっていたこと」なのか。軍事戦略上の飛行禁止空域の強制とは、空軍をはじめとする全カダフィ軍の反撃能力の解体を最終目標とする、最初の集中攻撃となるからである。第一波の集中攻撃の規模が大きくなければ、カダフィ軍に壊滅的打撃を与えることはできず、そうなれば多くの一般市民の犠牲を当然、招くことになる。また逆に、カダフィ軍に壊滅的打撃を与えることができなければ、多国籍軍とカダフィ軍との戦争、カダフィ軍と反政府軍との内戦は長期化し、これも多くの一般市民を巻き込むことになる。どちらにしても、一般市民の犠牲は甚大になる・・・。

 カダフィの暴虐から一般市民を「保護」するための武力介入は、短期決戦で構えるにせよ、長期戦になることを予め想定するにせよ、一般市民を「保護」しない。
 要するに、ダメなのだ。

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 リビアへの武力介入の正当性を問う
Dancing with Qaddafi ---カダフィを愛した国々
武力「介入の責任」に動き出す英仏
フランス、リビア空爆を検討---EU緊急首脳会議で打診
リビア空爆と「保護する責任」‐‐リビアへの「人道的介入」にNO!という責任
「軍事介入はまだ早い」?---日本の新聞メディアの蒙昧
国連安保理のリビア制裁決議について考える
「保護する責任」は「文民」を保護しない---リビア情勢ではっきりしたこと

「「保護する責任」にNO!という責任」関連
「保護する責任」にNO!という責任--人道的介入と「人道的帝国主義」
人道的帝国主義とは何か---「保護する責任」と二一世紀の新世界秩序
ヒューマンライツ・ウォッチ(HRW)とオクスファム(Oxfam)が理解できていないこと
「保護する責任」を推進するNGOの何が問題なのか?
「虐殺を見過ごすことは許されない」?
「人道主義+介入主義=人道的帝国主義」---なぜ、この足し算が難しいのか

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Al Jazeera English: Live Stream

5月

リビア反体制派への財政支援協議 連絡調整グループ会合
 反体制派と政府軍の攻防が続くリビア情勢をめぐり、欧米やアラブ諸国による「連絡調整グループ」の外相級会合が5日、ローマで開かれた。ANSA通信によると、会合冒頭のあいさつでイタリアのフラティニ外相は「反体制派への一時的な財政支援の枠組み創設」を提案した。 フラティニ外相によると、リビア反体制派「国民評議会」が内戦の政治的解決を目指して作成した「ロードマップ(工程表)」や、国民評議会が支配するリビア北東部からの原油輸出についても協議した。 ロイター通信によると、国民評議会側は医薬品や食料などのため15億ドル(約1200億円)の緊急支援を要請している。【ローマ共同】

4月
米、無人機でリビア初攻撃=詳細非公表、作戦関与深める
 米国防総省当局者は23日、リビアで米軍無人攻撃機プレデターを使って、初めて攻撃を実施したことを明らかにした。オバマ政権はリビア作戦への限定的な関与を主張しているが、無人機による空爆実施で介入を深めた形だ。 ゲーツ国防長官は21日にリビアの軍事作戦について、政府軍が群衆に紛れ込み、市民や反政府勢力との識別が困難になっているとして、低空飛行で精密攻撃できる無人機プレデターの投入をオバマ大統領が承認したと発表していた。【ワシントン時事】

「リビア軍の市民攻撃は犯罪」国連人権高等弁務官が警告
 リビア政府軍が反体制派を包囲し、激しい戦闘が続く西部ミスラタをめぐり、ピレイ国連人権高等弁務官は20日、市街地への無差別の攻撃は国際法に違反すると警告する声明を発表した。  ピレイ氏は声明で、非人道性が指摘されるクラスター爆弾が病院のそばで爆発したとの情報があるとし、「病院を狙った攻撃は戦争犯罪だ」と強調。「市民への無差別攻撃も国際人道法に違反する」と指摘した。「軍の司令官たちが下す命令は、今後の(国際司法裁判所の)捜査の対象になる」と警告した。(朝日・ジュネーブ=前川浩之)

「カダフィ退陣まで軍事行動」 米英仏首脳が連名で寄稿
 対リビア軍事介入をめぐって、オバマ米大統領、サルコジ仏大統領、キャメロン英首相が連名で、15日付の各国新聞紙上に寄稿した。カダフィ政権が退陣するまで、北大西洋条約機構(NATO)による軍事行動を続ける方針を表明している。  寄稿はインターナショナル・ヘラルド・トリビューン、仏フィガロ、英タイムズの各紙に掲載された。「カダフィ(大佐)が権力を握ったままのリビアの未来は想像できない」とし、カダフィ政権退陣による民主化移行を目指す3カ国の考えを強調している。 だが、ベルリンで15日に閉幕したNATOの外相会合では、攻撃強化を求める英仏に対し、米国は消極姿勢を保ったとされる。空爆をめぐる足並みの乱れが指摘されており、共同寄稿の背景には、結束を演出する狙いもありそうだ。(朝日・ベルリン=望月洋嗣)

国連、リビアPKOの検討開始
 国連報道官は13日、反体制派と政府軍が攻防を続けるリビアで、停戦が合意された場合の国連平和維持活動(PKO)部隊派遣や復興策について、国連内部で検討を始めたことを明らかにした。 潘基文事務総長が同日、リビア情勢をめぐりカタールで開かれた連絡調整グループの外相級会合で語った内容として紹介した。 潘氏は、戦闘開始からこれまでに約49万人がリビア国外に脱出し、国内避難民は約33万人に上ると指摘、最悪の場合、360万人に人道支援が必要になるとした。しかし、国連の緊急支援要請額3億1千万ドル(約260億円)のうち39%しか集まっていないとして国際社会に協力を求めた。【ニューヨーク=共同】

リビア空爆強化をNATOに要求 英仏外相
 北大西洋条約機構(NATO)加盟国から12日、リビア空爆のさらなる強化を求める声が上がり始めた。NATOは先週末から空爆を強化したが、戦況は足踏み状態にある。13日にはカタールで、14日からはドイツで関係諸国の会議が相次いで開かれ、攻撃のあり方が議論になりそうだ。  ロイター通信によると、フランスのジュペ外相は12日、ラジオ番組で「NATOの軍事行動は不十分だ」と発言し、現在の戦況に不満を示した。英国のヘイグ外相も同日、欧州連合(EU)外相会合のために訪れたルクセンブルクで、NATOの攻撃をさらに強化するよう求めた。
 これに対し、NATOのユム准将は12日の会見で「成果は十分、上がっている」と反論した。  NATOは激戦地の西部ミスラタなどに先週末から集中的な空爆を続けており、カダフィ軍は「混乱の兆候を示している」(ブシャール司令官)という。  NATOは「空爆のテンポを上げている」と強調しているが、カダフィ政権軍の抵抗は根強く、戦況が大きく改善する状態には至っていない。(朝日・ブリュッセル=野島淳)

多国籍軍が反体制派を誤爆か 関与政策に厳しさ
【カイロ大前仁、ベンガジ(リビア北東部)杉尾直哉】国内の戦闘が泥沼化するリビアで、北大西洋条約機構(NATO)が主軸となる多国籍軍は1日夜、北東部マルサエルブレガ周辺で「友軍」となる反体制派の車両や救急車を爆撃し、少なくとも13人が死亡した。AFP通信によると殺害されたのは市民4人と反体制派兵士9人。爆撃された車両の生存者は、儀式の「祝砲」として上空へ発砲した直後に爆撃されたと証言しており、誤爆の可能性が高い。国際社会では多国籍軍の軍事介入への批判が根強く、欧米のリビア関与政策が厳しくなることは避けられない。 NATO報道官は事実関係の調査を始めたと語った。
 AP通信によると、この地域では儀式の際に上空へ発砲する習慣があり、生存者の男性は搬送先の医師に「祝砲」の一環として発砲した後に爆撃されたと証言。中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは、反体制派兵士10人が爆撃され死亡したと報じた。 ただ、ロイター通信によると、政府軍の戦闘員が反体制派の車両に紛れ込み、上空を旋回する多国籍軍機に向けて対空砲を発射していたとの情報もある。
 米仏英などの多国籍軍は先月19日にリビアで軍事作戦を始めて以降、空爆や艦船からの爆撃の対象をリビア政府軍や軍施設に限定してきたと説明。NATOによると、先月31日に米軍から空爆の指揮権を受けた後の24時間で、178回軍用機を出撃させ、うち74回で空爆を実施した。

 一方でリビア政府軍は、標的になりやすい戦車などを捨て、反体制派民兵組織と同様、四輪駆動車に兵器を積んで攻撃する作戦を取っているとされる。 このため、多国籍軍側は空からの政府軍・民兵の識別が困難になっているとみられ、リビア政府は多国籍軍側の空爆で民間人に犠牲が出ていると主張。リビア国営テレビは2日、病院で手当てを受ける女性や子供の映像を放映し、「西部ミスラタでNATOの空爆を受け、負傷した」などと報じた。
 このような状況下で、首都トリポリに在住するカトリック教会の関係者は先月31日、近郊住民の証言を集めた結果、少なくとも民間人40人が被弾し死亡したとの見解を発表。NATOは同案件について調査に乗り出した。また英BBCは、マルサエルブレガ在住の医師の証言として、多国籍軍が爆撃した政府軍車両に爆薬が積まれていたことから、周辺の家屋に被害が及び、住民32人が死傷したと報じた。
 欧米諸国はリビアにおける「民間人保護」を根拠として、軍事作戦に踏み切ったが、反体制派へ武器供与を検討し始めるなど、深入りする様子をみせている。一方で先月29日にロンドンで開いたリビア問題に関する国際会議で、国連安保理理事国のロシアが欠席するなど、国際社会の足並みは一致していない。(毎日)

オバマ大統領、リビア反体制勢力支援へ秘密命令
 ロイター通信は30日、オバマ大統領がリビア最高指導者カダフィ氏の放逐に向け、反体制勢力をひそかに支援することを承認する秘密命令に署名したと報じた。 命令は、大統領が中央情報局(CIA)による秘密工作を承認する際に必要な法的手続きで、2、3週間前に署名されたという。(⇒I Knew it, I knew it!)
 米CNNテレビやニューヨーク・タイムズ紙も、CIAがリビア国内で反体制勢力との接触を開始したと報じている。ただ、米国が反体制勢力に活動資金や武器を提供するには、改めてホワイトハウスから許可を得ることが必要という。カーニー大統領報道官は声明で、報道の確認は避けつつも、「反体制勢力に対する武器供与をめぐる決定は下されていない」と強調。

リビア決議 武器供与 割れる解釈(3月31日)
 リビアの反体制派への武器供与が可能かどうかをめぐり、軍事介入に際して採択した国連安全保障理事会決議の解釈が問題となっている。決議1970号が「武器禁輸」を定める一方、決議1973号は「市民保護のためあらゆる手段が可能」とし、武器供与は合法、違法どちらともとれるためだ。米国は供与に積極的で、英仏も同調しつつあるが、ロシアや中国が「拡大解釈」と反発する可能性がある。 米が武器供与に積極的な解釈を示す背景には、最高指導者カダフィ大佐派の戦車などによる激しい攻撃で、多くの市民が巻き添えになっていることがある。市民の保護には、兵力を地上戦に投入するのが最も効果的だが、安保理決議1973号は、地上軍の投入を禁じている
 クリントン米国務長官は27日、米CBSテレビに「武器禁輸はカダフィ派を対象としたものだ」と主張。その上で「1973号はいわば例外規定で、多国籍軍や国際機関が認めれば、武器供与は可能だ」と述べた。 これに対し、英国は当初否定的な見解を示していたが、キャメロン首相が30日、「武器供与の可能性を排除しない」と発言。フランスのジュペ外相も同日「現状では違法なものの今後の議論の用意がある」と積極的な姿勢を表明した。 しかし、北大西洋条約機構(NATO)は「両勢力どちらも支援しない」(ラスムセン事務総長)との立場。武器禁輸の国連決議については「リビア全体を指し、反体制派も対象」との解釈が一般的な見解で、英BBC放送によると、国連安保理の外交筋は「強引な解釈で武器供与にお墨付きを与えれば、政治的な信用を失いかねない」と指摘している。【東京新聞・ロンドン=有賀信彦】

リビア政権移行へ対話窓口設置へ 関係国が会合
 ロンドンで29日開かれたリビア問題に関する関係国会合は、カダフィ政権に正当性はないとの認識で一致し、政権移行を具体化するためにリビア反体制派との対話窓口となる「連絡調整グループ」を設置することを決めた。また、主導的な立場にある米英仏は、反体制派への武器供与やカダフィ大佐に亡命を促すことなどの検討に入った。 会合の議長を務めたヘイグ英外相は29日の記者会見で「カダフィ(大佐)とその政権は完全に正当性を失っており、自らの行動の責任を負うという認識で一致した」と述べ、各国・機関が国連安全保障理事会の決議に基づく軍事介入の妥当性を再確認したことを明らかにした。また、8万人に達するとみられる国内避難民などへの人道的支援を急ぐことでも合意した。
 政権移行を促すための「連絡調整グループ」の構成は固まっていないが、ジュペ仏外相は「約15カ国に国連、欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)、アラブ連盟を加えた規模」になると述べた。アラブ諸国の協力が重要であることを示す意味も込めて、できるだけ早い時期にカタールで初会合を開く。 「カダフィ後」の政権の受け皿としては、反体制派でつくる国民評議会を「唯一の代表」とはせず、「重要な仲介者」と位置づけることで合意したという。
 国民評議会の代表者は、会合参加国との個別協議で武器の提供を要請。これに対しクリントン米国務長官は会見で「結論は出していない」としながらも、安保理決議上は「合法」と解釈できるとの見解を示した。ジュペ氏も「参加国と議論の用意がある」と話すなど、今後、反体制派に対する軍事協力を進める可能性を示唆した。  カダフィ氏の亡命による事態収拾に関して、クリントン氏は「彼(カダフィ氏)が国を去ることも議題になるかもしれない」と視野に入れていることを明らかにした。これについては、英仏も前向きな姿勢を示している。 【朝日・ロンドン=稲田信司】(⇒こうなることは目に見えていた)

米大統領、リビア介入の成果強調 今後は非軍事で圧力
 オバマ米大統領は28日、リビア情勢について国民向けに演説し、多国籍軍による軍事行動で「カダフィ政権の破壊的な進軍を止めた」と成果を強調した。ただ、米国は武力による「カダフィ政権退陣」は目指さず、今後は反体制派の支援や国際的な制裁の強化などに力を注ぐ意向を示した。 ワシントンの国防大学で演説したオバマ大統領は、軍事行動を決断した理由について、カダフィ政権が反体制派の拠点都市ベンガジで市民を虐殺するおそれが高かった事情を説明。「米国はそうした事態に目をつぶっていることはできない」と述べ、欧州やアラブ諸国も参加する国際的な軍事行動である点を強調した。
 また、カダフィ政権は「国民の信頼を失い正当性がない」とし、即時退陣を改めて要請。ただ、フセイン政権打倒を目的としたイラク戦争の泥沼化を念頭に「軍事的な任務に体制打倒を含めることは過ちだ」と指摘。今後は、反体制派への支援を強めるとともに、国連安全保障理事会の決議に基づく武器禁輸やカダフィ政権の資産凍結といった非軍事の圧力で、民主化を後押しする考えを示した。  今回の軍事行動を主導した米軍の役割についても、指揮権が30日に米国から北大西洋条約機構(NATO)に移った後は、偵察や補給などの側面支援が中心になると表明。「この結果、米国の納税者の負担も、米兵の危険も大幅に減る」とし、多額の出費を伴う軍事行動に懐疑的な米国民に理解を求めた。
 19日に始まった軍事行動「オデッセイの夜明け」については、米議会から「オバマ政権の説明が不十分」「米国益との関連が不明瞭」などの批判が出ている。 またオバマ大統領は28日、リビア情勢をめぐって29日にロンドンで開かれる関係国会合を前に英仏独の首脳と電話で協議し、カダフィ政権の退陣を求める方針で一致した。【朝日・ワシントン=望月洋嗣】

NATO軍に対リビア全指揮権、本格地上攻撃へ
 北大西洋条約機構(NATO)は27日、大使級理事会を開き、多国籍軍が行ってきた対リビア軍事作戦の全指揮権を米軍から引き継ぐことで合意した。 リビアの最高指導者カダフィ氏率いる政府軍の地上部隊に対する直接攻撃は、後方に下がりたい米国に代わり、軍事機構NATOが前面に出ることで、本格化する。米英仏主導だった軍事介入は新局面に移る。 NATOのラスムセン事務総長は理事会後に声明を出し、「我々の目的は、カダフィ体制からの攻撃の脅威にさらされている市民や居住地を保護することにある」と述べ、「市民の保護」を目的に、カダフィ派地上戦闘部隊への空爆を本格化させる姿勢を示した。 国連安保理決議に基づき、これまで多国籍軍が行ってきた
〈1〉武器禁輸のための海上封鎖
〈2〉飛行禁止空域の維持管理
〈3〉市民の保護――に関する軍事作戦は、すべてNATO指揮下に入る。ロイター通信によると、実際の指揮権移譲には最長3日間が必要という。【読売・ブリュッセル=工藤武人】

UAEが参戦撤回 欧米に痛手
 リビアへの軍事作戦に関し、アラブ首長国連邦(UAE)が当初表明していた戦闘機参加を取りやめたと、UAE紙「ナショナル」(電子版)が22日伝えた。近隣のバーレーン情勢に関する欧米諸国との見解の不一致が原因という。今後は、リビア国民への人道支援などにとどめるとしており、リビア攻撃でアラブ諸国との一体感を演出したい欧米諸国には痛手となる。 同紙が伝えた元空軍幹部の話によると、バーレーンでは2月中旬からイスラム教シーア派住民らのデモが続き、イランの関与で情勢が悪化。欧米諸国はこうした事態の深刻さを理解せず取り組みが不十分だとしている。
 一方で、バーレーンのシーア派住民の間では、サウジアラビア軍のバーレーン介入や市民弾圧を黙認して混乱を招いているのはむしろ米国だとの見方が強い。こうした中、欧米諸国によるバーレーン情勢への深入りは難しく、UAEの翻意を促すのは困難とみられる。アラブ諸国では、ほかにカタールがリビア攻撃への軍事参加を表明している。【毎日・マナマ鵜塚健】

ドイツ軍機、アフガン派遣へ リビア攻撃を間接的に支援
 ドイツ政府は23日、ドイツ連邦軍の空中警戒管制機(AWACS)をアフガニスタンへ派遣することを閣議決定した。ドイツはリビアへの軍事介入に慎重な姿勢を貫き、国連安保理決議を棄権したため、フランスなど北大西洋条約機構(NATO)の同盟国から批判を受けていた。アフガンでの追加負担に応じることで、リビアへ介入しているNATO諸国の負担を減らし、間接的に支援する形だ。  ドイツがリビア軍事介入に参加しなかったのは、海外での軍事行動に懐疑的な世論を意識した国内事情が大きい。リビアは事態が泥沼化するとの見方が強く、NATOの主要国として軍事貢献を求められることへの懸念が大きかった。ただ、安保理決議棄権で、西側主要同盟国から孤立する結果(?)になり、国内からも「同盟国の信頼を損なった外交の失敗」との批判が相次いでいた。 【朝日・ベルリン=松井健】

カダフィ氏「人間の盾」か 標的そばに市民、空爆中止に
 多国籍軍による軍事行動が続くリビアで、カダフィ政権が空爆を防ぐため民間人を「人間の盾」に使っていると、在外の反体制派幹部が朝日新聞に証言した。英軍機が爆撃を一時中止するなど多国籍軍の作戦にも影響が出ており、反体制派は反発を強めている。
 空爆が始まった19日以降、首都トリポリのカダフィ氏の邸宅がある施設前には多くの市民がいる。在ジュネーブの反体制派幹部によると、政府軍が市民の家を壊して住人を連れてきたり、孤児や家政婦らを強制的に集めたりしているという。 政府軍は、反体制派が掌握する西部の都市ミスラタに進攻する際にも、近郊の町から多数の市民を動員。反体制派の反撃を防ぐため、戦車や装甲車に乗せたとされる。反体制派幹部は「我々が市民に発砲できないことを知り、人間を盾に使っている」と政府軍を批判。
 多国籍軍は21日もリビアへの攻撃を実施したが、英国防省は、20日夜からの攻撃では「標的近くに多数の市民がいる」として、戦闘機トルネードによる空爆を中止したと発表した。ロイター通信によるとゲーツ米国防長官は22日、「民間人の犠牲を避けるため、人口の少ない地域の防空施設を狙っている」と述べた。  一方、中東の衛星テレビ局アルジャジーラは多国籍軍機が22日、反体制派の拠点のベンガジへ向かっていた政府軍機を攻撃したと伝えた。また、リビア北東部で21日夜、米軍のF15戦闘機が故障のため墜落したが、パイロット2人は無事に救出されたという。【朝日・カイロ=伊東和貴】

軍事作戦 指揮権で調整難航
・リビアへの欧米諸国の軍事作戦について、オバマ大統領は、現在米軍が持つ作戦の指揮権を、数日中にNATOに移し、ヨーロッパ主導に切り替えたい考え。しかしNATO内では作戦の指揮にどう関わるのか意見が分かれており、難しい調整が続くことが予想される。
・オバマ大統領。21日、訪問中のチリで。「米軍の戦線は世界各地に広がり負担も多い。負担を減らすためにも、国際社会からは航空機やパイロットなど具体的な協力を求める」。
・一方、イギリスのキャメロン首相。21日、議会下院。「軍事作戦の指揮権は米国からNATOに移されるだろう」と述べ、作戦に伴う負担は一部の国が負うのではなく、ヨーロッパなどが多国間で分け合うべきだとの考えを示した。
・これに対し、NATO加盟国の間では、軍事作戦に主導的な役割を担うことについてトルコが強く反対、ドイツも慎重な姿勢。カダフィ政権が反政府勢力への攻撃を続けるなか、軍事作戦の長期化も踏まえ、作戦の指揮にどう関わるのかを巡って各国間で難しい調整が続くことが予想される。

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U.S. and Allies Strike Libya--Qaddafi Pledges ‘Long War’ Against West/ NYTimes

米艦から巡航ミサイル124発 リビアの軍事施設を攻撃 リビアに対する軍事介入を開始した米英仏などの多国籍軍は19日夜(日本時間20日未明)、米軍が地中海上の艦船から20カ所以上のリビア軍事施設に向けて巡航ミサイル「トマホーク」を124発撃ち込むなど軍事作戦を本格化させた。一方、リビア最高指導者のカダフィ大佐は徹底抗戦の構えをみせている。
 19日午後にサルコジ仏大統領が軍事介入の開始を宣言した後、オバマ米大統領も訪問先のブラジリアで「米軍に限定的な軍事行動の開始を許可した」と発表した。攻撃は、リビア上空の飛行禁止空域を確保するため、リビア政府軍の防空網を破壊するのが目的。これによって政府軍による反体制派攻撃を食い止められるかが焦点になる。
 ロイター通信によると、米軍は20日、戦闘機によるリビア政府軍の地上部隊などに対する空爆を実施。多国籍軍の軍事行動は2日目に入った。 米国防総省によると、今回の軍事作戦名は「オデッセイの夜明け」。19日時点で米英仏とイタリア、カナダが参加している。 米統合参謀本部のゴートニー海軍中将は「(リビア東部)ベンガジを中心とするリビア国民や反体制派への攻撃を防ぎ、飛行禁止空域の条件を整えること」が攻撃の目的だと説明。今回の攻撃は「複数段階にわたる軍事作戦の第1段階」との位置づけで、米アフリカ軍司令部が指揮をとったが、今後、多国籍軍に指揮権を移すという。
 リビア側が受けた打撃は明らかになっていないが、ロイター通信によると、マレン米統合参謀本部議長は20日、米テレビのインタビューで「昨日の作戦は非常にうまくいった。飛行禁止空域は整った」と語った。  カダフィ大佐は20日未明、国営テレビを通じて多国籍軍の攻撃は「十字軍による残忍で正義のない侵略行為」と非難し、「地中海が戦場になる」と報復を示唆した。ロイター通信はリビア当局者の話として、市民を含む64人が死亡したと伝えた。【朝日・ワシントン=望月洋嗣、カイロ=貫洞欣寛】

米英仏などの軍事攻撃支持 松本外相が談話
 松本外相は20日、米英仏などがリビアに対する軍事行動を開始したことについて「日本政府は、リビアによる自国民に対する暴力の即時停止を求める立場から、国連安全保障理事会決議にのっとり加盟国が措置することを支持する」との談話を発表。
 談話では、「リビアが国際社会の呼び掛けにもかかわらず、国民に暴力を継続していることを強く非難する」と強調。「リビアにおける攻撃の脅威の下にある文民と居住地域を保護することが目的」として軍事行動を支持した。同時に「即時停戦を目的として、あらゆる外交努力が行われるべきだ」とも指摘。国連やアフリカ連合(AU)、アラブ連盟などによる外交努力継続に期待を示した。

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)

東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言(2)
⇒「東日本大震災と原発 原子力緊急事態宣言

3/30
福島第二原発でも煙、1号機タービン建屋
 東電は、福島第二原発の1号機タービン建屋の1階の分電盤付近で、30日午後5時56分頃、煙が上がっているのを確認、消防署に通報。(第二原発は「問題なし」とされていたが、要注目。通常では原発から「煙がでる」という事自体、異常事態なのだ。みんな神経と感覚が麻痺してしまったようだ)

大人の基準超す放射性物質=22日採取の水から―千葉県(時事通信)
 千葉県八千代市の睦浄水場の入り口手前で22日に採取した飲用水から、大人の飲用基準(1キログラム当たり300ベクレル)を超える放射性ヨウ素131が検出されていたことが30日、分かった。 市と県によると、この水から370ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。また、同浄水場に給水している北千葉浄水場で22日採取されたサンプルを調べたところ、336ベクレルが確認された。 北千葉浄水場は、八千代市や松戸市など7市に水を供給している。

 28日に採取した水から放射性ヨウ素は検出されておらず、県は現在、飲用を控える呼び掛けはしていない。(⇒千葉県民は黙って見過ごしてよいのか?)

放水口付近の海水から3355倍のヨウ素検出 東電は30日、福島第1原発の南放水口付近で29日に採取した海水から基準値の3355倍の放射性ヨウ素131が検出されたと発表。これまでの最高値。基準値の520.2倍のセシウム134なども検出。
・東電勝俣恒久会長、福島第1原発の事故について「心から深くおわび申し上げる」「1~4号機の状況を客観的に見ると、廃止せざるをえない」(2011/3/30)

原発認可の一時停止求める法案、米下院議員提出
 米民主党のエドワード・マーキー下院議員は29日、福島第一原発の事故を受けて、米国内の原発の新規認可や既存原発の免許更新を一時的に停止することを求める「原子力発電所安全法案」を提出。 法案は、
1, 原発が長時間の停電に耐える自前の電源施設を備えることや、
2, 使用済み核燃料を可能な限りプールに貯蔵せず、地上での乾式保管に移すことなども求めている。マーキー議員は2002年に、原発の半径20マイル(約32キロ・メートル)に住む子供を対象に甲状腺がんを予防するヨウ素剤を事前配布することを定める法案を提出し成立させている。【読売・ワシントン=山田哲朗】

3/29
福島第1原発 放射能汚染水数千トン!! 「除去作業」いつまでかかる?
 タービン建屋地下で見つかった高放射線量を持つ汚染水、数千トンを超える見通し。高濃度の放射能を帯びているため作業難航。2号機の原子炉圧力容器破損に加え、事態はいっそう深刻に。
・1号機→24日夕から毎時6~18トンポンプでくみ上げ復水器に。効果不明。(「復水器」=原子炉で発生し、発電のためにタービン建屋に送り込まれた蒸気を水に戻す装置)
・2号機→1号機と同様の作業予定。しかし汚染水から毎時1000ミリシーベルト以上の高放射線量検出、作業遅延。

・2、3号機復水器満水→「玉突き作戦」。復水器の水を「復水貯蔵タンク」に入れるために、まずこのタンクの水を「圧力抑制室用貯水タンク(サージタンク)」に。「圧力抑制室用貯水タンク」は各号機共用、4号機の南にある2基は容量計6800トン、うち空き容量は約4千トン。2、3号機の貯蔵タンクを空にし復水器に最大限の容量を確保する作業。

・1~3号機タービン建屋外の「トレンチ」→計約1万3000トンの汚染水。回収見通し立たず。経産省原子力安全・保安院「汚染水をすべて回収しようと、いろいろ考えている」。
・1号機原子炉→温度が一時400度を上回る異常事態→注水量毎分113リットルから141リットルに。「改善傾向」?(⇒時期尚早否めず。給水=汚染水排出の「放射能放出サイクル」現象)
・4号機中央制御室の照明点灯、全6基の制御室再開⇒これはgood news.

1号機、放射能汚染水、排水進まず
東電武藤栄副社長「ポンプの台数を増やすなど排水を進めているが、現時点では大きな変化をみるにいたっていない」「明確な理由は判然としない」。

第一原発の南16キロの海水、58倍のヨウ素
 東電は29日、第一原発から南へ16キロ離れた岩沢海岸で28日に採取された海水から基準値の58.8倍の放射性ヨウ素を検出したと発表。 27日に採取した海水では同7.4倍だった。第一原発の放水口近くから26日に採取した海水から同1850倍の放射性ヨウ素が検出。高濃度の放射性物質を含む水があまり拡散しないまま、潮流で流された可能性

 東電は放射性物質は海で拡散して薄まると説明していたが、「沖合に流れれば、放射性物質は拡散すると思うが、海岸近くの流れはどうなっているか分からない。よどんだ水が塊で流れ着いた可能性がある」と説明。

浪江町 累積放射線量、年間限度の5倍に 浪江町
 文科省は29日、福島第1原発から北西約30キロの福島県浪江町国道399号沿いの累積放射線量が、人工被ばく年間限度(1ミリシーベルト)の5倍超となる5.743ミリシーベルトに達したと発表。23~28日の約118時間の累積放射線量。原子力安全委員会が定める「コンクリート家屋内への退避や現場からの避難」の基準である50ミリシーベルトの10分の1を超えた。

福島原発の土壌からプルトニウム 「人体に影響ない」
 東電は28日、福島第1原子力発電所の敷地内の土壌5カ所からプルトニウムを検出したと発表。このうち2カ所については、今回の原発事故で核燃料の損傷により外部に漏れた可能性が高いという。他の3カ所については、過去に行われた核実験に由来する可能性もあると説明。武藤栄副社長「人体への影響はない値だ」。
 検出されたのはプルトニウム238、同239、同240の3種類。3月21、22日に敷地内の5カ所の土を採取、外部機関に検査を依頼。このうち2カ所で過去の大気圏中の核実験で検出された同位体とは異なるプルトニウム238を検出。同238の濃度は国内土壌の平均と比べ3倍超の値という。

福島・飯舘村など2地点で放射性物質急増
 文科省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表。北西約45キロ川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。

 文科省「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」(⇒「人への影響」より「農作物への影響」を「注視」?)

「30キロ圏外にも汚染」 仏原子力安全局
 フランス原子力安全局のラコスト局長は28日の記者会見で、福島第1原発事故で放出された放射性物質による汚染は、屋内退避の範囲である原発から半径30キロ圏の外側にも広がっているとの認識を示した。
 ラコスト局長は、事故の状況などから「30キロ圏外に汚染が広がり、農作物などにも影響が出ていることは明らか。汚染が100キロ圏に広がったとしても全く驚かない」と警告。「(汚染除去などで)状況が管理できるまでに、数年から数十年を要する」との考えも示した。
 日本では既に、放射性ヨウ素による被曝線量について、30キロ圏外でも100ミリシーベルト以上になり得るとの試算が明らかになっている。(共同)

3/28
2号機、建屋外にも汚染水 燃料棒に深刻な損傷
 2号機の坑道(トレンチ)で、高い放射線量を計測。毎時1000ミリシーベルト以上。放射線管理区域外の屋外で見つかったのは初めて。冷却装置の復旧作業が一層困難に。環境への影響にも懸念拡大。
 東電によると27日午後3時半~4時に1~3号機のトレンチに水がたまっているのを確認。 このうち1、2号機のトレンチは放射性物質で汚染。3号機は放射線量不明。2号機のトレンチの深さ15.9メートル、地表から水面まで1m。1号機のトレンチの水面は表面から10cm、毎時0.4ミリシーベルト。トレンチから海まで55~69m。「現時点では水があふれているかわからない」。

汚染水流出「格納容器から」…安全委見解
 原子力安全委員会(班目春樹委員長)見解原案→汚染水は「一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が何らかの経路で直接流出したと推定される」。屋外からの2号機炉心冷却は継続可能と判断。ただし「汚染された水たまりの処理を速やかに実施し、作業員の放射線管理に十分な配慮をすることが必要」。

〈圧力容器破損〉
・「5重の放射能閉じ込め機能」→①燃料ペレット、②燃料被覆管、③格納容器、④圧力容器、⑤原子炉建屋。圧力容器は原発からの放射能漏れのカナメ中のカナメ。2号機は①から⑤のすべてが破損・破壊。完全に「アウト」。福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製。
 超高温になった核燃料が圧力容器の壁を溶かし、穴を開けた。容器底部には計測装置(正常に機能しているとはとても思えない)などを外部から差し込む「貫通部」などがある。問題は原子炉内の核燃料溶融の規模、「穴」の場所・大きさ、その修復可能性。

東電見解 -- 「完全に壊れているわけではない」「チェルノブイリのように破裂して(燃料が)外に出ている状態ではない」「容器の「健全性」は保たれている」。
・1~3号機の圧力容器の水位計数値→「思うように上がっていない」。
・2、4号機の「プール」満水⇒これはgood news. 中央制御室のバッテリーが復旧し、満水状態からあふれた水をためておくサブタンクの水位が測定可能に。2号機のプール水温は27日午後5時50分時点で56度、4号機不明。4号機は使用中・使用済みを含めた燃料1331体がすべてプールに。4号機の当面の危機は回避か。

放射線測定器、福島県で不足…分析遅れ住民苦情
 福島第一原発の事故を受け、福島県は水道水や野菜などの放射線測定に追われる一方、機器不足のため分析結果の公表が遅れ、県民から苦情が相次いでいる。 「東京都では毎日検査結果が出ているのに、福島県で、結果の公表が遅れるのは納得できない」「川俣町の水道水で基準を超えたのに、報道されたのは数日後。その間、子どもに飲ませてしまったが大丈夫か」
 27日に開かれた県災害対策本部会議。放射線に関する県民の苦情が紹介されると、経済産業省原子力安全・保安院の内藤伸悟審議官は「検査機器が不足している(⇒「不足」しているなら単に増やせばよい。それだけだ)。東京のようにその日のうちに結果を出すのは難しい」と釈明するほかなかった。
 保安院によると、放射線測定には「ゲルマニウム半導体検出器」という装置が使われ、県内には計5台が備えてある。うち3台は大熊町の県原子力センターにあるが、今回の事故で、同センター周辺の放射線量が高く、担当者が近づけない。福島市内の同センター支所に設置した2台をフル稼働しているが、1検体を検査するのに1時間は必要で、担当の職員が休まずに頑張っても1台あたり1日で20検体程度が限界だという(⇒単に臨時職員を増やせばよい。それだけだ)。(読売より)

東電、仏に支援要請
 東電、フランス電力(EDF)や核燃料会社アレバなどフランスの原子力関連企業・機関に支援を要請。ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済担当相が28日、ラジオ番組で明らかに。「東電からの支援要請は初めて」。フランスの原子力庁にも要請。EDFは18日、専門家の派遣や原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表しているが、東電からの要請は同計画とは別枠。要請詳細不明。(パリ共同より)

東電“白旗”仏に泣きついた…「統制不能」原発先進国へ支援要請
 事態収束に展望が開けない東電がとった手段は、フランスへの支援要請だった。29日付のフランス有力紙、ル・モンドによると、アレバは事故発生直後から東電側と連絡を取り合ってきたが、26日ごろに緊急要請を受けたという。ル・モンドは「東電が原発事故の統御不能に陥った可能性」との見出しを掲げ、当事者の東電が“白旗”を掲げた事態を深刻視している。

 ベッソン担当相は「東電からの(フランス各機関に対する)支援要請は(事故発生後)初めて」と話した。EDFは18日、専門家の派遣、原発事故に対応するロボットを含む資材130トンの搬送など独自の救援計画を発表。が、ル・モンド紙によると日本側はこれを拒否したという。
 フランスは日本の原子力業界と関係が深い。アレバは日本の電力会社の委託でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の加工を請け負っている。福島第1原発3号機で現在使われているMOX燃料は1999年にフランスから運ばれたもの。(スポーツ報知 3月29日付けより抜粋)

関西電力:「原発計画は粛々と推進」八木社長
 関電の八木誠社長は28日の定例会見で、定期検査中の原発3基の運転再開と今後予定している高浜原発4号機(福井県高浜町)でのプルサーマル発電について「粛々とやっていく」と述べ、計画通りに進める考えを示した。東日本大震災を受けて九州電力は玄海原発(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開の延期を決めており、電力会社間の方針に差。
 点検中の原発は美浜原発1号機(福井県美浜町)、高浜原発1号機大飯原発3号機(福井県おおい町)の3基。八木社長は「国が新たに示すガイドラインに対応したうえで再開したい」とした。【毎日・横山三加子】(⇒「国が新たに示すガイドライン」の内容が今後の攻防になる)

3/27
2号機・3号機の放射能汚染水の復水器への排出作業中止。再開のめど立たず。線量計が振り切れ、正確な放射線量も分からない状況。

2号機建屋の水から高濃度放射性物質 原子炉から漏出の可能性大
①2号機タービン建屋地下の水たまり表面の放射線量、毎時1000ミリシーベルト以上。「再評価」の結果、ヨウ素134は検出されず、水の放射能濃度約10万倍と訂正。
 武藤栄副社長「ヨウ素134とコバルト56を取り違えた。大変申し訳ない」。未曽有の原発事故下での致命的二重ミス
②2号機は14日から15日にかけ原子炉の水位が大幅に低下、燃料棒が損傷。格納容器下部の圧力抑制室も一部破損した可能性大。燃料棒内の核分裂生成物が漏れているとみられる。原子炉は真水注入で「比較的安定した状態」。
③2号機タービン建屋地下⇒26日午前9時前、測定者2人が水たまりを調査。しかし表面線量が高レベルだったため測定を中断、退避。表面線量は毎時1000ミリシーベルトより大幅に高い可能性も。毎時1000ミリシーベルトの場合、測定者は15分間で被曝限度の250ミリシーベルトを浴びる。2人の被曝量2629ミリシーベルト。また、3号機で25日に作業員3人が被曝した際、表面線量400ミリ・シーベルトだったが26日は750ミリ・シーベルトに上昇。
④1号機は27日午後から排水量を3倍に増やし毎時18トンを復水器に排水、3、4号機は排水方法検討。
⑤電動ポンプによる原子炉圧力容器への真水注入⇒2号機→完了、1、3号機→28日中の切り替え、2、3号機→復水器満水、別の排出先を決めた上で排水作業に移る方針。
⑥1~3号機の圧力容器破損の可能性⇒炉内不明な点多し。中央制御室機能復旧→正確な水位・圧力などの把握へ。
⑦燃料プールの真水注入への切り替え⇒2号機は28日、冷却系配管を通じて行う予定。

 東電・保安院・マスコミは、原子炉からの汚染水漏出に関し、もう「可能性」というあいまいな表現をやめるべきだ。少なくとも、2号機原子炉の「核燃料被覆管」が破損し、核燃料棒が露出状態にあり、「核燃料サイクル」ならぬ核燃料棒発熱→給水・放水→汚染水漏出の「放射能放出サイクル」現象が起こっていることは間違いない。「核燃料被覆管」は本来、核燃料の長時間の高燃焼にも十分耐えうるように製造されているはずであり、これが破損するという事自体「あってはならない」「信じがたい」ことなのだ。
 
 毎日新聞の取材に応えた「原子力資料情報室」の上沢千尋氏。「電源を喪失した時点で、トラブルが起こることは想定できたはずだ。しかし、東京電力の対応は収束までの見通しを持っているように見えない。このままでは冷温停止状態になるのに1カ月程度かかる可能性がある(⇒「1カ月程度」ですめばよいが・・・)。さらに冷却システムが機能していないことを考えると、(放射性物質の漏えいが止まる)収束までに年単位の時間を要することもありえる」。

「何カ月、何年と言えない」=原発事故、収束見通せず―東電副社長
 武藤栄東電副社長(原子力担当)は27日午後、収束までの見通しに関して「残念ながら何カ月、何年と言えるまで具体的な方策、スケジュールは詰まっていない」と述べた。その上で「全体としては進展が見えている(?)と思う。努力を積み重ねたい」として、事故対応への理解を求めた。 1~3号機の原子炉内にある燃料棒の状態については、「観測できるデータが非常に限られ、推測するのは難しい」と発言。露出した燃料棒がどれだけ損傷しているか、把握できていないことを明らかにした。(時事)(⇒副社長自身が「何」という表現を使っていることに注意)

東電、5月の電気料金値上げへ=燃料高で3カ月連続
 一昨日の報道だが、一般家庭では4月より約70円高の月6385円前後に設定される見込み。他の電力・ガス会社も値上げする公算。

⇒国と東電には、「全執行役員の無給化・資産凍結→差し押さえ、全管理職以上の大幅減給・一切の賞与無し、全社員の最低でも給与据え置き→減給、ボーナス無し」を同時に決定してもらわねばならないだろう。これを「超法規的措置」で断行する必要がある。これは非常に、非常に重要な問題だ。「東電ショック」は「リーマン・ショック」どころの話ではない。いずれ近いうちに、東電の破産宣言→日航に続く「公的資金投入」問題→国有化問題(東電をどうするか)が浮上するだろう。

放射性物質 米東海岸で検出 福島第1原発から放出か
 米メディアは26日、福島第1原発から放出されたとみられる放射性物質がノースカロライナ州フロリダ州など初めて東海岸で検出されたと報じた。18日に西海岸のカリフォルニア州で検出されて以降、西風に乗って約1週間で大陸を横断したとみられる。 原子力発電所の観測施設で検出されたとの情報を環境保護団体が25日に入手、通報を受けた米メディアが電力会社に確認。原発の観測施設は一般の計測器に比べ感度が高いとされる。全米の観測施設網を管理している米環境保護局は、東海岸への放射性物質到達を発表していない。(毎日)

「終わりまではまだ遠い」 米紙にIAEA事務局長
 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は26日、米紙ニューヨーク・タイムズとの電話インタビューで、福島第1原発の事故について「終わりまではまだ遠い」との認識を示した。同紙によると、事務局長は目下の最大の懸念として冷却機能を失っている使用済み燃料プールの問題を挙げた。(⇒「認識」が甘い!!)
 事務局長は、今回の事故について「極めて深刻でまだ終結に至っていない」と述べ、安全に終結させるまでには「まだかなりの時間がかかる」との見方を示した。 事務局長は、日本の政府当局は情報を隠蔽していない(???)との考えを示しながらも、最近の訪日目的が、菅直人首相から「完全な透明性」の確約を得ることにあったと明らかにした(⇒「透明性」は限りなくゼロに近い)。(共同)

自衛隊員派遣手当など増額
 防衛省は26日、自衛隊員に対して支給する「災害派遣等手当」と「死体処理手当」の支給額を現行よりそれぞれ引き上げる方針を固めた。現行の災害派遣等手当では隊員が捜索救助などに2日以上連続であたった場合の支給額は1日1620円、退去命令が出ている区域や被曝のおそれがある区域などで特に困難な任務が伴う場合は同3240円増額。遺体収容に従事した隊員に対しては1日1000円(損傷の激しい遺体の場合は同2000円)の死体処理手当を災害派遣等手当に加算して支給。

 防衛省は24日、防衛省訓令を改正。「放射能漏洩事故への対処に当たっている自衛官が死亡したり障害の残るケガをした際に支給される「賞恤(しょうじゅつ)金」の最高額を6000万円から9000万円に引き上げた。「原子力災害派遣」が発令された11日以降の事故に適用。2003~2009年のイラク「派遣」時にも行われた。
 北沢防衛大臣「自らの命を顧みずに任務に就いており、わが国の最高金額に合わせることが必要だ」。第1原発事故対処には現在、陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊の隊員など約500人が従事。「賞恤金」は「危険を顧みずに勤務を続けたなどの功労」の程度に応じて支払われる。「恤」=「兵を慈しむ」。(⇒真っ先に「兵」を守り、「慈しむ」のではなく、まず〈民〉を守り、慈しんでほしい)

プルトニウム漏出も調査=土壌採取し分析
 東電、毒性の強いプルトニウムが漏出していないかどうか(?)を調べるため、敷地内5カ所で土壌を21、22両日に採取、日本原子力研究開発機構と日本分析センターに。分析は23日から始まり、結論が出るまで約1週間。土壌採取は28日以降も週2回続けるという。

3/26
3号機放射能汚染水「漏出経路」
・経産省西山英彦・大臣官房審議官「原子炉の水が漏れた可能性が高い」。
・東電武藤栄副社長「原子炉の温度や圧力が何度も上下しているので、ポンプや弁のすき間から水が漏れている可能性が考えられる」。

 水素爆発→原子炉建屋破壊→機器・配管損傷の可能性。原子炉とタービン建屋を直結する配管→①原子炉からタービンへ高温高圧の蒸気を送る系統、②タービンを回転させた後の蒸気を海水で冷やして水に戻し、再び原子炉に送り込む系統の二つ。東電は当初これらの系統の「弁は閉まり、炉内の水が漏れた可能性は考えにくい」と説明。しかしその後「完全に閉まっているかどうか確認できない」と説明を変更。

 客観的事実⇒①原子炉内と格納容器の破損状態に関し、私たちは何もわからない、②これまでのTVなどでの「解説」は、原子炉・格納容器に破損はなく、「ポンプや弁のすき間から水が漏れている可能性」はないことを前提にしていた。問題は、「どこがどれだけ、どのように破損している/いないか」にある。その具体的情報と対策が早急に公開されねばならない。

3/26
 4号機の「未使用燃料も多く入っている使用済み燃料プール」の「水面と思われるもの」を陸自が撮影し、公開された。これは「安心できるかもしれない情報」である。その他1~3号機の状況は何の進展もない
 被曝した作業員が足に浴びた放射線量は、約2~6シーベルト。「10日ほどして足にやけどの症状が現れ、治療が必要になる可能性」があるという。「労働安全衛生法などで、作業員らが緊急作業時に皮膚に受けていいとされる放射線の限度量(1シーベルト)の2~6倍」。今回の原発事故で1シーベルト以上の高線量の被曝は初めて。朝日新聞の記事では、「国際放射線防護委員会(ICRP)によると、皮膚の限られた部分に3シーベルト被曝した場合、一時的な脱毛が起こり、6シーベルトでは赤い斑点ができる。単純に比べられないが、全身の被曝量が3~5シーベルトだと半数の人が亡くなるという」。
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3/25
「笑うしかない情報」が次から次に飛び込んでくる・・・。
1、2号機の地下の水にも高い放射線量 復旧作業中断
 3号機に加え1、2号機の建物地下で見つかった水たまりから高い放射線量確認。復旧作業中断。2号機は15日の爆発で格納容器につながる圧力抑制室が破損。建屋内で高放射線量確認、ポンプのある中に入れない状態。
 1号機のタービン建屋地下で採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質(ヨウ素131やセシウム137など)検出。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。タービン建屋の地下は2区画に区切られ、配電盤などがある区画はすべて津波で水没。
 水深は1号機約40センチ、2号機約1メートル、3号機約1.5メートル、4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在。(⇒全号機の地下の放射能汚染水総量は分からないが、いずれにしても「原子炉の冷却水の約1万倍の濃度」のすべてが太平洋に「排水」されるだろう)

南放水口付近、海水から高濃度ヨウ素131
 原子炉等規制法で定める安全基準の1250.8倍。採取したのは25日午前8時30分。人体への影響を表す数値に換算すると、海水500ミリ・リットルを飲むと一般人の年間許容量である1ミリ・シーベルトに。この測定点では21日午後の採水で、安全基準の126.7倍にあたる、1ミリ・リットルあたり5.066ベクレルの放射性ヨウ素が検出。その後、ヨウ素濃度は上昇を続けており、24日午前の採水では基準の103.9倍に。

 経産省西山英彦・大臣官房審議官「海では潮流に流されて拡散して薄まるため(?)、周辺住民に直ちに影響はない」(⇒この人物には、①海の生態に対する放射能汚染が与える影響、②人間もそのうちに在る〈生命系〉という観念がないようだ)

・原子力安全委員会「排水口付近では濃度が高いが、魚介類に取り込まれるまでに潮流に流されて拡散、希釈される。さらにヨウ素は半減期が8日と短いため、人が食べるまでには相当低減していると考えられる」。(⇒意味不明)

・財団法人海洋生物環境研究所の御園生(みそのう)淳研究参与(環境放射能)によると、濃度が高いと魚類が取り込んだ放射性物質が体内で最大で海水の30~50倍の濃度まで蓄積されることもあるという。半減期が30年のセシウムは心配が残るという。「2~4カ月で魚に影響が出ることもある。継続的な広域の調査が必要。消費者や漁業者の安心にもつながる」(朝日新聞より)。
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3号機原子炉「損傷」の「可能性」---これから私たちはどうするか?


 「3号機では原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」。25日午前記者会見した経産省原子力安全・保安院の弁だ。NHKニュースからの情報。
 〈放射性物質を閉じ込める機能〉が「低下」し、「原子炉から放射性物質が外に漏れ出している」という「見方」を保安院が示した・・・。

 私はただのド素人にすぎない。しかし、私の予測では、日本政府の原発事故「対策本部」--東大を始めとする「専門家」や東電の技術者、またGEを始めとする米国の一部技術者も関与しているのだろうか--は、今回の事故を解決する方策を持っていない。なぜかというと、かつて「原子力安全委員会」がお墨付きを与え、昔の通産省が承認した福島第一・第二原発という巨大プロジェクトは、その「安全対策」マニュアルに、今回のような事故を「想定していない」からだ。 私は間違っているかもしれない。しかし、少なくともそれが私の理解である。

 私は間違っているかもしれないし、間違っているかもしれないことを前提にしてきいてほしい。だから間違っていても決して責めないでほしいのだが、要するに一言で言えば、原子炉はもとより原子炉格納容器が破壊されるという「事態」を①東電、というより②日本のすべての原発電力会社、というより③「原子力安全委員会」、というより④経産省・文科省・日本の原子力官僚機構、というより⑤日本政府、というより⑥この日本に生きている私たちは「想定していない」。人間は「想定していないこと」が起こったとき、対応しようにも「対応しようがない」。

 では、なぜ「想定していない」のか?
 「そういうことはありえない」ものとして「想定の埒外」に置かれてきた/いるからだ。
 では、なぜ「想定の埒外」に置かれているのか?
 地震・津波の規模など、「想定される」原発に対する打撃を勘案し、その打撃にも耐えうる「安全基準」が原子炉および格納容器には施されている、ということになってきた/いるからである。
 つまり、原子炉および格納容器は、たとえ何があろうと「損傷」することは「現実的(ということは原発の場合、「理論的/科学的」にということになる)にはありえない」とされてきた/いる、というより「一応、そういうことにしようではありませんか。そうでないと日本では原発はつくれないから」ということになってきた(いる)/されてきた(いる)のである。

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大津波再来の恐れ、09年に指摘=東電、津波想定に反映せず―審議会で(3/27 時事通信)
 想定を大幅に上回る津波に襲われた東京電力福島第1原発について、津波の専門家が2009年、原発の耐震安全性を検討する経済産業省の審議会の席上、東北地方に大津波をもたらした869年の「貞観地震」(マグニチュード8.4と推定)に触れ、同規模以上の津波再来の可能性について指摘していたことが27日、分かった。東電側は「歴史上の地震で、耐震設計上考慮する地震にならない」と述べ、指摘は反映されなかった。
 指摘したのは、産業技術総合研究所の岡村行信活断層研究センター長(地質学)。岡村さんは、史料に津波被害の記録が残る貞観地震について研究。福島第1、第2原発の敷地付近を含め、内陸部に津波で運ばれた砂が堆積していることや、450~800年周期で津波が起きたことなどを明らかにしてきた。

 岡村さんは、09年6月に開かれた経産省の審議会で、福島原発について貞観地震の知見から「津波に関しては(東電の想定する地震と)比べものにならない非常にでかいものがくる」と指摘。「まったく触れられていないのはおかしい」と再検討を求めた。しかし、東電側は「被害がそれほど見当たらない。歴史上の地震であり、研究では課題として捉えるべきだが、設計上考慮する地震にならない」と答え、消極的な姿勢を示した。
 翌7月の審議会でも、岡村さんは04年のスマトラ沖地震などに触れ、今回の地震のように複数の震源域が同時に動く連動型地震の危険性を指摘したが、東電側は「引き続き検討を進める」と述べるにとどまった。(⇒未検討のまま)
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 では、誰がそういうことにしてきたのか? 一義的には自民党時代の日本政府であり、旧科技庁・通産省を中心とする官僚機構であるが、実は最も犯罪的なのが、そうした政・官・財の原発推進政策を「科学」の名において支え、ある時は「裏方」またある時は「表方」となって促進してきた、「原子力安全委員会」を構成する東大・京大・阪大など、旧帝国大学系をはじめとする大学の御用原子力学者たちである(⇒もちろん「御用」でない人、原発推進政策に声を大にして異議を唱えてきた人も数人はいる。この点はいつか時間があるとき(いつ?)書くことにしよう)


 ともあれ事故二週間目にして(!!!)原子炉「損傷」の「可能性」という何とも「笑うしかない情報」が飛び込んできた。
 で。これから私たちはどうするか? いったいどうすればよいのだろう?
 それを考える(考える「可能性」があるのかどうかも重要な「設問」だが)前に、天下のNHKの実に「笑うしかない情報」を押さえておこう。

・原子力安全・保安院は、「3号機では一定の閉じ込め機能はあるようだが、原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」と述べて、『放射性物質を閉じ込める機能』が低下し、原子炉から放射性物質が外に漏れ出しているという見方を示しました。
・一方、東京電力福島事務所によりますと、福島第一原発の1号機では、原子炉の表面で計った温度が、一時、設計段階で想定されていた最高温度の302度を超えておよそ400度に達していましたが、25日午前6時現在では204.5度まで下がったほか、原子炉が入っている格納容器の圧力も、24日午前5時現在でおよそ3.85気圧だったのが、25日午前6時現在でおよそ3.10気圧になっています。(⇒「3.10気圧」は、少しも「安心」できる数値ではない)

 「原子炉」が「破損」する「可能性」を踏まえるとき、東電が垂れ流す「原子炉表面温度」や「格納容器圧力」などの「数値」に、どこまでの「科学的信憑性」があるのか? 私たちはこの点からもう一度、あらゆることを根本的に考え直す必要に迫られている、と少なくとも私は思う。

・東京電力は、25日朝から外部電源を復旧させる作業を再開していて、1号機から4号機を中心に、本格的に電気を流す前にポンプなどの機械や装置が故障していないかを確認する作業を進めています。このうち、2号機では、25日中に中央制御室の照明が点灯する見通しです。
・また、3号機では、原子炉にポンプを使って真水を入れる作業を行うほか、川崎市の消防の協力を得て使用済み燃料プールに水を放水する予定です。
・さらに、4号機では「残留熱除去系」と呼ばれる水を循環して熱を取り除く装置を動かし、使用済み燃料プールの冷却を始めたいとしています。


 私の記憶では、福島第一原発(日本の原発のほとんどがそうかもしれない)が、最大の「重大事態」としているのは、原子炉格納容器で起こる放射能「漏出」である。もちろん、「理論的」にというか「一般的」には、原子炉が破壊されることも当然ありえる。もしも本当に3号機の原子炉が損壊したのであれば、今回の地震・津波のような、原発がそれに耐えうるように「理論的」には設定されているはずの「安全対策基準」を上回る破壊的力に原発がさらされた場合だ。
 しかし、すべての建築物がそうであるように、実際に原発が設計され、建設されるときには、そのような「非現実的」なことは「ありえない」ものとして、考慮すべき条件から排除される。福島第一原発の場合、現実的に想定している非常事態は、「せいぜい」原子炉外の「主蒸気管」破損とそこからの放射能の漏出、「その程度」のことなのだ。「原子炉圧力容器からタービン建屋につながる主蒸気管」破損⇒放射能漏出である。 

 しかし、本当に何もない/何も考えていない、とは想定しがたい/想定したくない。何かはあるはず/あってほしい。日本の原発「安全対策」は「世界トップクラス」なのだから。そう、私たちは聞かされ続けてきたのだから。
 何があるか? 何をしようとしているのか? それをまず最初に突き止めることがマスコミには求められており、正直に明らかにすることが東電、「対策本部」の責任であり使命である。
 そして、もしも何かがあった場合、その「対策」の実現可能性が次に検討すべき課題となる。〈誰がその「対策」を現場で担うのか〉という設問とともに。

 たった2日前にみなさんにお願いしたことを、またくり返さねばならない。
 「私の仮説が正しかろうと間違っていようと、ポスト〈3.11〉に生きる私たちが〈国家非常事態〉状況に生きていること、それだけは間違いないだろう。それぞれの場で、できるだけ情報を広め、何でもいい、それぞれなりにできること、運動を起こしてほしい。本当に大変なことになる」・・・。
 間違っても私たちは、いま私たちが直面している〈問題〉を原発推進/反原発という政策論的観点から捉えてはならないし論じてもならない、と私は思う。「統一地方選」(?)という「どうでもよいこと」を含め、この〈問題〉が数日、一週間単位で日本に、私たちに何をもたらすかが最も重要なことであり、具体的な「原発政策」全体をめぐるあれやこれやは、すべてこのこと如何に関わっているからだ。いま必要なのは、
①メディアの「被災地報道」「事故報道」のあり方を全面的に変えるよう、各メディアに要求すること、
②保安院の何某というフザケタ人間や「解説者」たちへの「質問」内容を変えるよう、各メディアに要求すること、
③避難地域の拡大を要求すること、
④事故「対策本部」の議事内容を全面的に情報公開するよう、政府・民主党、各政党に要求すること、
④あなたの地元の自治体に、福島・近隣地域の被災者を(もっと)受け入れるよう、都道府県・市町村の首長、行政、議会、議員などに要求すること、等々である。

 一人でもやれることはいくらでもある。それをどうかはじめてほしい。

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原子力安全委員会は国民の前に立て
 放射能の飛散状況の推測結果を原子力安全委員会が23日夜、ようやく公表した。福島第一原発事故が起こってから、安全委員会が会見をしたのはこれが初めてだった。「総理および官邸に助言するのが第一」として、みずから会見はしなかったという。  しかし、放射能という目に見えない敵と日々闘っている人々がいま安全委に期待するのは、専門知識を生かしたアドバイスだ。「黒衣に徹している」(⇒すなわち、「責任を取らない」)(班目春樹委員長)場合ではない。世界中の専門家の力を借りながら、いまどう行動するのがいいのか、安全委は直接国民に語るべきだ。

 23日に公表されたのは、原発から放出された放射性物質の広がり方を、地形や気象データを踏まえて予測するSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測)の試算結果だ。 米国やフランス、オーストリアなど海外の機関はこうした予測を事故直後から独自にインターネットで公開してきた。「日本にもSPEEDIがあるのだから、早く結果を公表すべきだ」という国民や専門家の声に押される形で、やっと公開に踏み切った。
 安全委は「放出源がどうなっているかわからなかった」ことを、公表が遅れた理由にあげた。しかし、放出された放射性物質の種類や量が正確にわからなくても、大まかな広がり方がわかれば、余計な被曝をしない対策を考えるときに助かる。  班目委員長は23日の会見で、今後は「モニタリングのポイント数を増やすのが第一」と述べた。予測の精度をあげるためだが、そんなことを「第一」にしてもらっては困る。予測結果が大まかなものであっても、それをいち早く人々のために役立てることの方が、はるかに大事だ。

 原子力安全委員会は国の安全規制の基本方針を決め、首相を通じて関係省庁を指導する権限をもつ。経済産業省の組織である原子力安全・保安院による安全審査の妥当性をダブルチェックし、安全に万全を期す役割を担ってきた。 安全委の委員は5人。米国の原子力規制委員会(NRC)のように多くの研究者を抱え、強力な権限をもつ独立機関とは違うが、緊急時を想定した態勢は整えていた。  しかし、今回の事故ではそれが機能していない。国民は本当に困っている。
 いまの危機的状況を打開するには、専門家の力を結集するしかない。専門家はみずから安全委に出向くときだ。漏れ続ける放射性物質の行方、人体への影響の度合い、国民へのリスクの伝え方などについてさまざまな分野の「知」を集め、その時々で最善のアドバイスをしてほしい。  内閣に危機管理監がいるように、安全委専属の危機管理監を任命することも考えてみるべきだ。(朝日・高橋真理子)
福島第一原発、3月23日現在の状況

設問。
 1、原子炉格納容器が破損し、内部から放射性蒸気が漏出している場合、「対策本部」はそれを修復できるか?
 2、使用済み核燃料保管プールが損壊し、放水が「穴開きバケツに水」状態の場合、「対策本部」はそれを修復できるか?
 設問を変えると、〈「対策本部」はもしも原子炉が無傷だとして、格納容器や「プール」が破壊されることを想定した「対応マニュアル」を持っているのかどうか〉、ということだ。(⇒枝野官房長官、24日午前、圧力容器に関し、「現時点で損傷が出ているということではない」と言明)

・仮定が正しく、できる場合⇒その最終作業が完了するまで、大量のMOX放射能が空・陸・海に排出され続ける。東北・関東圏の人々は、重度の内部被曝を覚悟し、「万全の体制」で臨むか(⇒限りなく不可能)、できるだけ早く北海道か関西以西に疎開する準備を始めた方がよいだろう。西へ向う新幹線はすでに疎開列車と化しているが、疎開しても被曝の可能性は否定できない。
 13日前、13日後にこのような事態になることを私たちは予期しただろうか? 首都圏のコンビニで、一夜にして水のペットボトルが消滅し、政府が増産を命令することを。今日、明日はまだよい。明々後日も大丈夫かもしれない。しかし13日後、4月11日、4月末....はどうなっているのか? 
 関東圏、それ以西で起きるであろうことを、それよりも数倍、数十倍のダメージを受ける福島や東北圏に引き付けて想像することが重要だ。私たちが福島や東北、北関東を見捨て/見殺しにしないのであるなら。「対策」とは本来、何も起こらない、誰も犠牲にならないことを当然のこととして構想されるべきなのだ。すべてを笑って思い出せるように

 東電は、22日夜に通電再開。照明がともった3号機の中央制御室に続き、空調や計器類を含め1~4号機の制御室機能の「完全復旧」を急ぐ、としている。(⇒これにどのくらいの時間を要するか、不明)
 また3、4号機については、原子炉や使用済み核燃料プールに水を注ぐ「補給水系」=「注水ポンプ」に問題はなくその「復旧作業」を急ぐ方針、ということになっている。(⇒これにどのくらいの時間を要するか、不明)
 一方、1、2号機では、外部から使用済み核燃料プールへの放水ができないことから、この補給水系注水ポンプの復旧を優先していたが、交換が必要な状態であることが「判明」した、とされている。さらに、これ以外の「冷却システム」も故障あるいは放射線量が高く、近づけない状態になっている。この1、2号機について、今後どのような「復旧作業」が行われ、それにどのくらい時間がかかるのか、これも不明だ。自動冷却機能の完全回復には、
①原子炉内の循環水の冷却、
②原子炉内の熱除去機能の復旧、が不可欠であり、そのためには
③給水ポンプ・モーターの機能回復、
④配管などの点検⇒破損の場合は交換、が必要となる。
 1号機は、圧力容器内の温度上昇により、23日未明から圧力容器内への海水注入量を1時間当たり2トンから18トンに増量した、とされている。異常事態ではないのか

 しかし、これらはすべて格納容器、「プール」そのものが原状のままであることを前提にしている。2号機(やそれ以外)の格納容器が損傷していないことがいつ確認されたのか、4号機の「プール」の問題はほんとうに「注水ポンプ」の「復旧」だけなのか?


 どの号機であれ、もしも両者が破損しており、放射線量その他の問題で修復が極めて困難であり、作業工程に具体的展望がみえない場合、日本を脱出するのが最も安全な対策になる。しかし、世界のどこであれ「最悪の事態」になった場合、被曝の可能性は否定できない。
 「最悪の事態」とは「打つ手」がなくなり、チェルノブイリ原発を数倍上回る放射能が、どういう形においてであれ、空・陸・海に放出されるという事態のことだ。 

 上の仮定が間違っていることを、私はひたすら祈るしかない。しかし間違っていたとしても、日本政府に対し、
◎「屋内避難」の撤回と避難区域の拡大(米軍の立ち入り禁止区域に従って半径100キロ以内。それに向け、30キロから40キロ圏内・・・と、計画的避難区域拡大を順次行う)
 NHKを含むすべてのメディアに、
◎「第一原発情報・放射能汚染情報」(一時間おきに、原発正門・上空の放射線量、各号機・プールの状況)と各地の放射線量、水、食品関連汚染情報)の放送を、私たちは要求すべきではないだろうか。
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飯館村の雑草265万ベクレル 福島、野菜を大幅上回る
 文科省は24日、福島県内で採取した雑草から検出した放射性物質の調査結果をまとめ、福島第1原発の北西約40キロの飯館村で20日に採取した雑草の葉から1キログラム当たりヨウ素254万ベクレル、セシウム265万ベクレルを検出したと発表。
 食品衛生法で定められた暫定基準値は、ヨウ素が1キログラム当たり2千ベクレル、セシウムが同500ベクレル。厚生労働省によると、飯館村で採取された野菜からは1キログラム当たりヨウ素1万7千ベクレル、セシウム1万3900ベクレルが検出されたものもあるが、雑草からの検出量はこれを大幅に上回る。
 文科省の発表によると、原発から約25~45キロの複数地点で18日から21日に採取した雑草の葉から1キログラム当たりヨウ素3万6千~254万ベクレル、セシウム1万100~265万ベクレルを検出。 飯館村では、20日に採取した土壌からも土1キログラム当たりヨウ素117万ベクレル、セシウム16万3千ベクレルが検出。(共同)
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 私たちは、帰国する外国人旅行者・各国政府・企業関係者、関西に移動する各国大使館、一般米国市民よりも20キロ近くも遠く、第一原発に近づこうとしない米軍の対処の方が、常識的・科学的・理性的な対処であること、むしろ日本政府の「対策」や、それを前提に全国民の不安沈静化に一役買おうとする一般メディアの「報道」の方が、異常であり、「狂気の沙汰」であることを知らねばならないのではないだろうか。

 私の仮説が正しかろうと間違っていようと、ポスト〈3.11〉に生きる私たちが〈国家非常事態〉状況に生きていること、それだけは間違いないだろう。それぞれの場で、できるだけ情報を広め、何でもいい、それぞれなりにできること、運動を起こしてほしい。本当に大変なことになる。
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3/23
・午後4時20分ごろ3号機から「灰色がかった煙」。作業員退避。煙の出元、タービン建屋。3号機では21日午後3時55分頃にも貯蔵プール付近から「灰色がかった煙」。
・原子力安全・保安院、23日午前、1号機の原子炉内の温度が400度以上あると発表。
・2号機、建屋内の放射線量1時間あたり500ミリシーベルト。電源復旧に向けた一部作業中断。
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福島第一原発、3月23日現在の状況
・1~3号機  地震により停止中(4~6号機は定期検査中)。3月22日までに1~6号機の外部電源復旧。

1号機
 ・12日午後3時36分頃、「白煙」発生。午後8時20分に海水注水開始。その後(⇒いつ?)、中性子を吸収するホウ酸の注入実施、とされている。
 ・23日午前2時30分頃、給水系から原子炉への海水注入開始。
2号機
 ・14日、原子炉隔離時冷却系停止。同日午後、原子炉水位が燃料頂部まで到達。弁の操作により注水再開。
 ・15日、圧力制御室付近で爆音。同室内の圧力低下。下請企業作業員および社員を避難。原子炉への海水注入継続。
 ・18日、外部送電線から予備電源変電設備までの受電完了。建屋側へのケーブル敷設完了。20日午後、負荷側の電源盤での受電開始。
 ・20日、約40トンの海水を使用済燃料プールへ注水。
 ・21日、原子炉建屋屋根部から「白いもや状の煙」。
 ・22日、約18トンの海水を使用済燃料プールへ注水。
3号機
 ・原子炉への注水を継続するなか、14日午前6時50分、原子炉格納容器の圧力が530キロパスカルまで上昇。「対策特別措置法第15条第1項」の規定に基づく「特定事象」=格納容器圧力異常発生。
 ・14日午前、付近で爆発、白煙発生。社員4名、作業員等3名負傷(いずれも意識あり)。病院へ搬出。
 ・使用済燃料プールの水温上昇。16日ヘリによる原子炉建屋上部への放水実施を検討するも、作業中止。
 ・17日より圧力抑制室の圧力指示値上昇。20日段階で、措置(放射性物質を含む空気の一部外部への放出)を行わず。
 ・17日、使用済燃料プールの冷却のためヘリによる放水実施。
 ・17日午後7時過ぎ頃、放水車による放水開始、午後8時9分終了。
 ・18日午後2時前、消防車による放水開始、午後2時45分終了。
 ・19日午前0時30頃、ハイパーレスキューによる放水開始、午前1時10分頃終了。また、同日午後2時10分頃、レスキューによる放水開始、20日午前3時40分頃終了。
 ・20日午後9時30分頃、レスキューによる放水開始、21日午前3時58分頃終了。
 ・21日午後3時55分頃、原子炉建屋屋上南東側から「やや灰色がかった煙」発生。原子炉圧力容器、原子炉格納容 器のパラメータ、周辺環境モニタリング値に「大きな変動なし」と発表。作業員屋内退避。22日、煙は「白みがかった煙」に変化、「終息に向かっている」と発表。
 ・22日午後3時10分頃、レスキューによる放水開始、同日午後4時頃終了。
 ・22日午後10時45分頃、3号機中央操作室の照明が復旧。
 ・23日午前11時頃から、使用済燃料プールに海水注入開始、午後1時20分頃終了。
 ・23日午後4時20分頃、原子炉建屋から「黒色がかった煙」発生。原子炉圧力容器、原子炉格納容器のパラメータ、周辺環境モニタリング値に「大きな変動なし」と発表、作業員屋内退避。
4号機
 ・15日午前6時頃、発電所内で爆発音、4号機原子炉建屋5階屋根付近に損傷確認。同日9時38分頃、原子炉建屋4階北西部付近で出火。午前11時頃、社員が「自然に火が消えていた」と確認。
 ・16日午前5時45分頃、原子炉建屋北西部付近炎上。消火活動。同日午前6時15分頃、消化確認。
 ・20日午前8時21分頃、消防車による放水開始、午前9時40分頃終了。同日午後6時45分頃から放水開始、午後7時45分頃終了。
 ・21日午前6時30分頃、消防車による放水開始、午前8時40分頃終了。
 ・21日、仮設電源盤から建屋側へのケーブルの敷設完了。
 ・22日午後5時20分頃、コンクリートポンプ車による放水開始、同日午後8時30分頃終了。
 ・23日午前10時頃から、コンクリートポンプ車による放水開始、同日午後1時頃終了。
5号機、6号機
・5号機、20日午後2時30分から、6号機、午後7時27分から原子炉「冷温停止中」、とされている。 

使用済燃料共用プールの使用済燃料の保管状況
 水位確保と公表。21日午前10時37分からプールへの注水開始、午後3時30分頃終了。今後点検予定、とされている。
※21日および22日、1~4号機放水口付近の海水からコバルト、よう素、セシウム検出。
※20日、21日に採取した発電所敷地内の空気中からよう素、セシウム検出。
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福島原発の放射性物質、チェルノブイリの2~5割
 オーストリア気象当局は23日、福島第1原発の事故後、3~4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20~50%に相当するとの試算を明らかにした。
 同当局は双方の事故現場から1日当たりに放出されたセシウム137の量は「大差がない」とする一方、放射性物質の影響を総合的に判断した訳ではなく、福島の事故規模がチェルノブイリよりも大きいとは「決して言えない」としている。 同当局は、包括的核実験禁止条約(CTBT)機構の暫定技術事務局が日本や米国、ロシアなどで集めたデータを基に試算。(共同)

放射性物質、初の拡散試算…原子力安全委
 東電福島第一原発の事故に関して、政府の原子力安全委員会(委員長=班目(まだらめ)春樹・元東京大学教授)は23日夜、放射性物質の拡散を予測した模擬計算「SPEEDI」の結果を発表。 安全委では20~22日の原発周辺の大気中の放射性物質の観測結果をもとに放出量を逆算。これを前提に、改めて放射性物質がどう拡散するか計算。米エネルギー省が同日午前9時に独自の計算結果の公表後、ようやく23日午後9時、結果を公表。

 計算は、事故後の12日から24日までずっと屋外にいたと想定。最も影響を受けやすい1歳児が、大気中に漂う放射性ヨウ素を体内に取り込んだ場合の被曝量を予測。その結果、現在避難や屋内退避の指示が出ている同原発から30キロの範囲外でも、一部の地域で被曝量が安定ヨウ素剤の予防投与の対象になる100ミリ・シーベルトを超える危険性があることが判明。
 安全委、「100ミリ・シーベルトを超えても健康に影響はない。しかも、屋内にいれば被曝量は屋外の10分の1から4分の1になる」。(⇒いまの状態が続くなら、福島県民、近隣地域の人々は、ほんとうにこの国の政府に見殺しにされてしまうのではないか? いわき市民、福島市民、北茨城地域の人々はどうなるのか? 国や県の具体的行政措置の変更が必要だ)
⇒「届かぬ食材、閉まる店…福島・南相馬、深刻な食料不足」(朝日新聞)

放射性物質、アイスランドで微量観測 原発絡みか 欧州で初
 アイスランド当局は22日、首都レイキャビクの観測施設で、福島第1原発から放出されたとみられる微量の放射性物質を観測したと発表した。欧米メディアによると、同原発のものとみられる放射性物質が欧州で検出されたのは初めて。人体への影響はないという。 大気中の放射性物質を観測する包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会がレイキャビクで運営している施設で検出。
 米当局は18日、西部カリフォルニア州にある同委員会の施設で微量の放射性物質を観測したと発表、欧州の他の地域でも近く観測されるとみられる。 同委員会は18日、福島から放射性物質が拡散した場合に備え、核実験の探知目的で世界各地に設けた観測施設のデータを国際原子力機関に提供し始めたと発表。放射性物質の観測地点は世界に約60カ所ある。(共同)

福島で震度5強の揺れ相次ぐ「今後も余震や津波に警戒を」気象庁-- 23日午前、福島県いわき市で震度5強の地震が相次いで観測。震源地はいずれも福島県浜通り。震源の深さはごく浅いM6.0と推定。2回の地震の間にもM5以上の地震が発生した可能性。経産省原子力安全・保安院、「福島第1、第2原発に異常はなく復旧作業への影響もない」。(⇒その後、夕方、夜にも「浜通り」で数次の地震)

東京の浄水場から放射性ヨウ素検出 乳児の基準値2倍超
 金町浄水場(葛飾区)から放射性ヨウ素、乳児の暫定基準値の2倍を超える数値を測定。水道水1キロあたり210ベクレル。乳児、妊婦に水道水を飲ませないこと!!!  地域は東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。厚労省の暫定規制値は1キロあたり100ベクレル。この値は「乳児が長期にわたり飲み続けた場合」を想定、「他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わない」とされているが、「基準値」自体「暫定」で、2倍を越えているので親が判断するしかない。非常にマズイ。(⇒今後、測定数値の上下を繰り返しながら、このような日が何日か間隔を開けて起こり、測定される数値も上昇してゆくだろう。私たちはすでに被曝していることを自覚しよう)
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3月17日現在の第1、第2原発の状況

【第1原発1号機】地震後に冷却機能が失われ、燃料が溶ける「炉心溶融」が一部発生。原子炉格納容器の蒸気を外部に放出した。12日に水素爆発で原子炉建屋を損傷。

【同2号機】冷却機能が失われ燃料が全て露出。14日に同3号機の爆発で原子炉建屋を損傷。15日午前、格納容器の圧力抑制プール付近で爆発音。原子炉格納容器の一部が破損した可能性

【同3号機】13日に冷却機能が失われ、炉心溶融の可能性。蒸気を外部に放出し、炉心に海水を注入。14日に水素爆発が起き、原子炉建屋を損傷。16日に白煙が確認され、使用済み燃料プールからの蒸発と推定。17日にヘリコプターが水を投下、地上から放水。

【同4号機】定期検査中。15日午前に原子炉建屋で火災。使用済み燃料プールの水温異常上昇。16日に再び火災。再臨界となる可能性。建屋は屋根がなく骨組みだけの状態。

【同5・6号機】定期検査中。使用済み燃料プールの水温が17日、約64度へ上昇。

【第2原発】1~4号機はいずれも地震後に自動停止、3号機は直後に「冷温停止」状態に。1・2・4号機も15日までに冷温停止となり緊急事態を脱した。(共同)
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3/21
福島第一原発事故、10日目にあたって

 以下の記事を読んでほしい。そしてあなたの友人、知人がもしも東北・関東圏にいるなら、きちんと伝えてあげてほしい。必ずしも、状況を把握していると言えない場合があるからである。

福島第1原発:「現状、極めて深刻」天野事務局長が報告
 国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)は21日、福島第1原発に関する特別理事会を開催、訪日を終えた天野之弥事務局長が現状報告。事務局長は「現状は極めて深刻だ」とする従来の表現を繰り返しながらも「いくつかの前向きな展開が見え始めた」と指摘。(⇒「前向きな展開」の具体的内容についての報道なし)

 IAEAは17日現在、1、2、3号機を「比較的安定」、4号機を「重大な安全上の懸念が残っている」としていた。しかし4号機については、使用済み核燃料プールの「温度計の機能不全」を評価の根拠に挙げていた。つまり、3号機の「比較的安定」論も4号機の「重大な安全上の懸念」論も、下の「プール破損・放水漏出」が勘案されたものではなかったのだ。海外の「日本の原発危機」論を沈静化するよう、滞在中に相当の直接的陳情・要請・政治圧力を受けたであろう事務局長と、IAEAの今後の「評価」(の変化)が注目される。

3号機水位不明…プール破損なら放水漏出の恐れ
 3号機ではプール容量の2.5倍に上る放水が実施されているが、水位は依然として不明のままだ。4号機については、プール自体が破損している可能性も指摘されている。
 プールでは通常、冷却水を循環させながら燃料を冷やしているが、地震で循環が止まり、水が過熱して蒸発している可能性がある。 京都大原子炉実験所の宇根崎博信教授は「3号機に初めて放水した際、水蒸気が激しく噴出したことから見て、水は極めて少なかったはず。途中で拡散したり、プール以外にかかったりするため、実際にたまった水は放水量の数分の1ほどではないか」と指摘する。

 3、4号機のプールがある原子炉建屋は爆発などに伴って破損しており、がれきがプール上部をふさいでいる可能性も否定できない。 プール自体が壊れていれば、せっかく放水しても、水漏れで水位が回復していない可能性がある。米紙ロサンゼルス・タイムズ電子版は18日、米原子力規制委員会の見解として、4号機のプールの壁か床が破損している可能性を指摘した。
 プールの周囲は、水面がある階の床から、さらに約1メートル高い壁で囲まれている。そこからあふれた水は通常、緩く傾斜した床を流れ、建屋内の排水溝に集まる。これが地下のタンクにたまる仕組みだ。 その後、ポンプで廃棄物処理建屋に送られ、放射性物質の希釈などの処理が行われるが、停電でポンプは動いていない。排水が流れる配管が機能しているかどうかも確認できていない

 林勉・元日立製作所原子力事業部長は「建屋が壊れているため、放水された水が建屋外に漏れ出す可能性は否定できない。放射性物質を取り込んだ水が、土壌に染み込む可能性もある」と指摘する。 原子炉建屋から流れ出した水が海に流れ込み、放射性物質で汚染される可能性もあるため、経産省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は21日の記者会見で、放射性物質の監視について、東電と協議を始めた(!!)ことを明らかにした。(読売新聞)
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 私は上の読売新聞の記事に、ただただ絶句せざるをえなかった。
 丸10日半である。いったい各メディアの記者たちは何を「取材」してきたのだろう?
 3号機と4号機の「プール」が「破損」しているのは当たり前のことではないか。「破損」しているから、水をいくら給水しても、水が貯まらず、放射能で汚染された海水が、この10日間、太平洋に垂れ流されつづけてきたのである。あれだけの放水をしても核燃料棒の露出状態が続き、放射性蒸気を発し続け、大気を汚染し続けてきたのである。だから土壌にしみわたり、土を、水系を放射能物質で汚染しつづけてきたのである。
 私はこの間述べてきたのは、このことである。自動冷却システムが回復されるまで、半永久的に放水・注水を続けねばならないというのは、こういう事態を招くのである。少なくとも、それが私の理解である。
 ここで一つ、ある「専門家」の見解をとりあげてみよう。「大地震後の東電福島第一原子力発電所の状況(推定):岡芳明・早大教授」の文章(3/17)である。その結語部分。

「まとめと今後の対応」
 原子炉安全確保の原理の、止める、冷やす、閉じ込める、のうち、止めるは地震と同時に自動停止で達成され維持されている。冷やすは海水注入で行われている。原子炉燃料を水で覆いつづけることが重要。それとともに最終的な除熱先確立に向けた対応がなされると思われる。外部からの電力が回復しているかどうかよくわからないが回復したら、健全な設備の再稼働により安定化・鎮静化する方策がある。「閉じ込める」も水で原子炉燃料がおおわれていれば、最低限は確保できている。
 大規模な火災は放射性物質の飛散防止のために防がないといけないが、可燃物は原子炉建屋にはほとんどないのでその可能性は低いとおもわれる。発生した水素の爆発の防止がこれに次ぐ。
 避難は過酷事故時の安全確保対策として事前に設定されていたもので、立地地域では年1回防災訓練も行われている。
 避難や自宅待機(30km)の範囲外では、(例えば東京から)避難したりする必要はない。
 事故の対応は事業者や政府・自治体とも正しくおこなわれている。今後もその指示に従うのが良い。

1, 「止める、冷やす、閉じ込める」の「止める」が「維持」されているかどうか、要チェック。
2, 「冷やす」はどれが完璧に行われていて、どれが行われていないか不明。
3、「重要」であるはずの、完璧に「水で覆われている」核燃料と、どれがどの程度露出しているのか不明。
4, 「最終的な除熱先確立」の展望は現段階において不明。
5, 全号機の「外部からの電力の回復」→「健全な設備の再稼動」までの展望も不明。
6, 全原子炉の「安定化・沈静化」の展望も不明。
7, 「最低限」であるはずの、「閉じ込める」もできていない。
8, 指定避難範囲外での避難は各自判断すべき。
9,「事故の対応」の評価、「今後もその指示に従う」かどうか、これも各自が判断すべき、となる。
 
 この間、この国では今回の事故が「反原発」論の興隆につながることを抑制する、あるいはそれに何とか歯止めをかけようとする意図的な「問題はなし」論が、「専門家」を通じて流布されてきた。そのことが情報操作や隠蔽を誘発してきたのである。
 しかし、人が原発推進/反原発のいずれに立つのであれ、放射能汚染が生態・生命系を危機的状況へと蝕んでゆくこと、私たちの生命と生活を直撃することに誰も異論はないはずだ。私たちが深刻に受け止めねばならないのは、この国の政治家・官僚・「専門家」たちが、いまだに「プール」の損壊や放射能汚染と「監視」の「可能性」を語っているという現実ではないだろうか。かれらは、それをこれから「協議」するのだという。
 私たちは、こういう連中を相手にしているのである。まだ日本政府や原発屋連中の言うことに幻想を持っている人々は、今日を限りで目を覚ました方がよいかもしれない。あなたとあなたの家族、友人、知人のために。

放射線量、東日本は高めのまま
 23日午前中の東日本は前日に降った雨の影響で、福島第一原発から放出された放射性物質が降下したとみられ、引き続き大気中の放射線量が高めに推移
 福島県内では23日午前8時現在、福島市で1時間あたりに5.90マイクロシーベルト(以下、数値はシーベルト)、いわき市で1.73など。前日同時刻の6.44、2.24よりそれぞれ少し下がった。ただし県内の平常時の上限は0.07程度。飯舘村で13.60を計測。まだ地域によってはかなり高い状態。東京都新宿区で0.146など複数の地点で前日より高い値を記録。

首都圏、放射性降下物増える 東京で前日比10倍も
 文部科学省は22日、福島第一原発事故の影響を受け、上空からちりなどとともに落ちた放射性物質の測定結果を発表。首都圏などを中心に増加傾向を示した。東京都新宿区で1平方メートルあたり5300ベクレルのセシウム137、3万2千ベクレルのヨウ素131を検出、前日に比べいずれも約10倍の濃度に。健康に影響を与える値ではないが、長期に及ぶ監視が必要。 放射性降下物の測定は文科省が21日午前9時から22日午前9時にかけて全国で行い、分析。

 東京都の値は、前日のセシウム560ベクレル、ヨウ素2900ベクレルから急上昇。22日発表のセシウムの値は、放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は5分の4。
 この他の自治体のセシウムの値も、さいたま市が1600ベクレル(前日790ベクレル)、甲府市が400ベクレル(同不検出)、宇都宮市が440ベクレル(同250ベクレル)と軒並み上昇。 前日に最も高い値を記録した茨城県ひたちなか市では、やや下がったものの、セシウム1万2千ベクレル、ヨウ素8万5千ベクレルと、依然、高い値を記録。福島や宮城は震災の影響で計測できていない。
 東日本は22日も、雨や雪が降ったところが多く、大気中に漂うちりとともに、放射性物質が落下したとみられる。ヨウ素の半減期は8日間と短いが、セシウムの半減期は30年で、地面に降りた後も長期間放射線を出し続ける。土壌や水、農作物への放射能汚染につながりかねないため、今後も監視を続ける必要がある。

・1600倍の放射線を測定 IAEA、原発周辺地域で
 国際原子力機関(IAEA)は21日、IAEAの放射線測定チームが福島第1原発の周辺地域の土壌と大気から測定した放射線量を発表、原発から約20キロ離れた福島県浪江町付近で通常の約1600倍に相当する毎時161マイクロシーベルトの放射線量を測定したと明らかにした。 文部科学省の調査では浪江町で15日、330マイクロシーベルトが測定されている。IAEAは「高い数値が測定された。状況を見守っていきたい」としている。
 IAEAのチームは20日、原発から16~58キロ離れた10以上の地点で土壌と大気の双方を測定。測定値には土壌と大気双方のデータを盛り込んだとしている。IAEAによると、原発の50~70キロ圏の土壌からも通常より高い放射線量が測定されたという。IAEAは0.1マイクロシーベルトを通常値としている。 チームは今後数日間、福島県内で作業を続ける。原発から52キロ離れた二本松市内では4.2マイクロシーベルトだった。 IAEAは17日、日本政府の要請でチームを日本に派遣した。天野之弥事務局長は「専門家チームをさらに派遣したい」としている。【ウィーン共同】

福島第1原発 放水口付近の海水から濃度限度126倍の放射性ヨウ素検出
 東電は22日未明、福島第1原発の放水口付近の海水から、放射性ヨウ素が検出されたと発表。国が定めるヨウ素の濃度限度の126.7倍の値。また放射性セシウムも、24.8倍の値が確認。

汚染は数十年続く 避難範囲広がる恐れも指摘 仏原子力当局
 フランスの公的機関、原子力安全局(ASN)のラコスト局長は21日の記者会見で、福島第1原発の事故で放出された放射性物質による汚染は、今後数十年続く可能性があると表明。また汚染が避難指示区域である原発から20キロの範囲を超えて広がる恐れも指摘。
 同局長は「放射性物質の放出は既に深刻であり、なお続いている。日本にとり(汚染との闘いは)何十年も続くことになるだろう」と指摘。 特に土壌への残留放射性物質の問題が深刻だとした上で「日本政府はまだ放射性物質の汚染地域の地図を示していないが、原発から20キロの範囲を超えて広がることもあり得ないことではない」と述べた。 また別の担当者は「気象条件を考慮に入れると、汚染地域が原発から100キロ圏に広がることもあり得る」と述べた。

過小評価の必要なし 福島第1原発事故で欧州委員 「制御不能」発言を訂正せず
 欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は21日、福島第1原発事故について「制御不能」などと述べた自らの発言について「災害規模を過小評価する必要はない」と主張、発言の訂正や謝罪を拒んだ。 EUエネルギー担当相理事会後の記者会見で表明。

 委員は、日本の原発事故を伝えるテレビ映像など報道を見て「誰でも自ら評価を下すことができる」と主張。「他の評価は尊重するが、自分の見方を変えるつもりはない」と述べた。 エッティンガー委員は16日の欧州議会で「今後数時間以内に、日本国民の生命を脅かすさらなる大惨事が起きる可能性がある。全ては神のおぼしめし次第だ」などと発言、欧米の株式市場が急落するなどの混乱を招いた。(共同)

 以下は、ただただ絶句する前の文章である。
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 雨や雪が降ると、地元の土壌に放射性物質が滲みる。河が汚染される。
 もちろん、ごくごく「微量」のことだ。「ただちに人体/健康に影響を与える」ようなことではない。

2号機の屋根から白煙
 第一原発の2号機で21日午後6時20分ごろ、原子炉建屋の屋上の屋根の部分で白いもや状の煙が確認。
3号機屋上から発煙
 東電は、21日午後3時55分ごろ、第1原発の3号機の屋上からやや灰色がかった煙が出ているとの連絡があったと発表。使用済み核燃料プールがある南東側から発煙しているとみられる。東電は、電源復旧作業にあたっている作業員を避難させるとともに、現場の確認を進めている。爆発音は確認されていない。

 ちょっと真面目に、本当にマズイ。 私に言えるのは、まだ事態の推移を静観している、県内、隣接する地域の人々は、真剣に(一時)避難の準備くらいは始めたほうがよいのではないか、ということくらいだ。友人の中には、すでに家族を連れて関西以西に避難している者たちもいるが、みんなそれぞれの事情や仕事をかかえ、それぞれの判断で自分や家族を守るしかない。その時その時に、想定しえる「事態」との関係で。国や県の「支援」を受けずに避難できる人は、まだ「恵まれている」。
 おそらく多くのみなさんとは違って、私は最初から政府や東電が発表する情報や数値を信用していない。 わざわざブログにページを作ったのは、どれだけかれらが嘘やいい加減なことを言うか/するかの記録を残さねばならない、という私なりの独りよがりの「使命感」からだが、 実際、現場で何が起こっているのか、私たちにはいっさい何もわからない。
 このようなあり方、政府・東電の情報非公開とマスコミ誤報道が、丸10日間目の私たちの不信と不安をいっそう深くしている。そして、そのことを未だに連中は理解しない/できない。
 どんなに正確で精確な「情報」を集めようとしても無駄だ。これだけははっきり言える。すでに明らかになっている事態から、どこまで政府・東電・マスコミの挙動と「情報」を信じるか、それぞれが判断し、決断するしかない。

 因みに、「3号機屋上から発煙」問題に関し、東電は「放射線量の変化なし」と発表し、それを速報として読売が報じた(⇒NHKの夜のニュースでは放射線量が急上昇し、その後低下との報道)
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放射線量上昇は2号機影響か
・21日、2号機から白い煙が上がり、その後、2号機の西で放射線量の値が一時的に上昇したことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は、風向きや時間帯などから、関連があるという見方を示した。
・福島第一原子力発電所の2号機では、21日午後6時20分ごろ、原子炉の入った建物の屋根から白い煙が上がっているのが見つかり、1号機から4号機で作業していた全員が屋内に避難。東電によると、2号機から西におよそ1キロ離れた発電所正門付近の放射線量は、午後5時40分に1時間当たり494マイクロシーベルトだったのが、午後6時半には、1時間当たり1932マイクロシーベルトまで上昇
・値はその後、再び下がり始め午後10時には1時間当たり380マイクロシーベルトに。
・保安院は燃料棒が壊れ、プールに放射性物質が漏れ出している可能性もあると、注意深く監視するとしている。
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 ちょっとプレイバックしてみよう。昨日の段階で、今日煙が出た3号機は、「原子炉格納容器の上部」の温度が「128度と高め」だった。これを保安院は「炉心の上なので想定の範囲内」とした。そして今日。「3号機屋上から発煙」・・・。
 また、昨日の記事にもあったように、東電の原発は格納容器内の上昇した圧力が何もしないで(容器を開放し、放射性物質を含んだ蒸気を排出しないで)自然に下がり、「安定」するシステム設計になっているそうだ。まさに驚異の原発である。

福島第一原発、基準6倍のヨウ素検出 核燃料の損傷確実
 第一原発で、基準濃度の6倍のヨウ素131が検出。セシウムも。東電が21日発表。いずれも核分裂によってできる代表的な物質で、原子炉や使用済み燃料プール内の核燃料が損傷していることが確実に。東電が1号機の北西約200メートルの空気中から採取した物質を19日、事故後初めて調べた。
 ヨウ素131の濃度は1CCあたり5.9ミリベクレル。1年吸い続けると300ミリシーベルト被曝する濃度。作業員は体内に入らないようにマスクをして作業。このほかヨウ素132が2.2ミリベクレル、133が0.04ミリベクレル、セシウム134と137がいずれも0.02ミリベクレル。(朝日新聞より)

 もしも東電が、「核燃料の損傷」如何を調べるために、ほんとうに19日になって初めて、第一原発近辺の大気の放射能汚染状況を検査したのだとしたら、それ自体が私には信じられないことだ。ずっと前からこうなのだが、過去のすべてを帳消しにするとしても、もうこの事実だけで東電は完全に「アウト」ではないか? 
 国や東電は、「可能性」や「恐れ」があるとずっと言われてきた「核燃料の損傷」が「確実」だと認めた上で、私たちに何をどうしろと言うのか? 「冷静に対処」する? 「ただちに人体/健康に影響を与える」ことではない?

福島第1原発 危機「脱する光明が見えてきた」…菅首相
 21日、官邸で開いた緊急災害対策本部会議。首相は福島第1原発に関し「関係者の命がけの努力が少しずつ状況を前進(?)させている。まだ危機的状況を脱したというところまではいかないが、脱する光明(?)が見えてきた」と述べた。

globalhibakusha(globalhibakusha@yahoogroups.jp)
 フランスの独立の放射能測定団体CRIIRAD*が、日本で公表された茨城県産農産物の放射能測定結果にもとづく評価を発表しています。以下その仮訳です。
* チェルノブイリ原発事故のさいのフランス政府情報操作に対抗して、独立の立場からの放射能に関する情報を市民に提供することを目的に設立されたNPO。環境保護NPOとして国の認定を受けており、ローヌ-アルプ地域圏、ドローム県、イゼール県、アヴィニヨン市など多数の自治体と環境放射能測定や放射能に関する啓発活動、放射線防護などの委託契約を結んでいる。2006-07には仏領ポリネシア政府の要請で、モルロアでのフランス核実験の影響調査を行っている。
CRIIRAD (放射能独立研究情報委員会)コミュニケ2011年3月20日9時発表
日本における食品の放射能汚染(Contamination radioactive des aliments au Japon)
 本日3月20日(日)朝、多くのフランスのメディアが「福島第一原発の近隣市町村産の食品の一部に放射能の痕跡が検出された」との情報を報道しており、汚染は危険のないレベルとみられるとしている。この情報は間違っている。
食品の分析結果がようやく公表された(ホウレンソウやサラダ菜のような食品は1週間以上前から放射能を受けている)。公表された数値はまだ非常に(あまりにも)部分的なものだが、放射能の強さを知る手がかりになる。

- 非常に高い汚染レベル(これは放射能の「痕跡」というものではない)がホウレンソウから検出された:ヨウ素131が6,100 Bq/kg~15,020 Bq/kg(平均10,450 Bq/kg)。
- 試料採取地点は福島第一原発近隣の市町村ではなく、茨城県の原発の南約100kmにある7市町村である。
- 5歳の子供の場合、ヨウ素131を10,000 Bq摂取しただけで年間許容量の1mSvに達してしまう。2歳未満の子供の場合、約5,500Bq(茨城県産のホウレンソウに含まれる放射能よりもはるかに低い値)で許容線量に達する。
- 汚染された食品(葉もの野菜、牛乳、生チーズなどの危険食品)は「危険がない」と言えるものではなく、消費しないよう回収すべきである。
 もちろん、被曝線量は高いものではなく、いますぐ危険というものではなく、福島原発の対策にあたっている作業員たちの被曝レベルに比べればはるかに低い。しかし、だからといって防護対策が必要ないことにはならない。汚染食品の摂取による汚染の上に、放射性のガスやエアロゾルの吸入、原発からの放出物や地面に堆積した放射能による被曝も加わるからだ。
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon/communique2003_japon.html
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3/22以後の状況
富士山など3火山で地震活発化 火山活動に変化なし
 気象庁の火山噴火予知連絡会(会長=藤井敏嗣・東大名誉教授)が22日開かれ、富士山や箱根山(神奈川県)、焼岳(岐阜・長野県境)の3火山で地震活動が活発化していることが報告。東日本大震災の影響とみられるが、火山活動に変化はないという。
 焼岳と箱根山では11日、東日本大震災の発生直後から地震が相次ぎ、震度2~3の揺れが観測された。静岡県東部で15日に起きたマグニチュード6.4の地震で、富士山のある同県富士宮市では震度6強の揺れが観測。その後も余震が続いているという。気象庁は「火山性微動や地殻の変動はなく、火山活動の兆候は見つかっていない」としている。
 藤井会長は「マグニチュード9.0の地震が直接影響したかはわからないが、日本の火山のいくつかが反応したのは事実。火山周辺での地震活動は減衰傾向にあり、いますぐ何かが起こることはないだろう。ただ、2004年のスマトラ地震の後、数カ月たってからインドネシアの火山活動が活発化したことがあり、今後も注意していく必要がある」としている。

原子力保安院、IAEA会合にお粗末対応
 福島第1原発事故状況説明のため、国際原子力機関(IAEA)で21日開かれた各国外交団向けの技術説明会で、日本から初めて出席した経済産業省原子力安全・保安院の担当者が、日本語の資料を配布していたことがわかった。説明会の出席者によると、日本政府のお粗末な対応ぶりに席を立つ外交団の姿もあったと言い、日本政府の説明不足に対する不信感が高まっている。
 原発事故に関する日本政府の情報開示をめぐっては、米政府関係者が日本政府に、情報発信を強化するよう要請するなど、各国に不満が高まっている。IAEA加盟国にも同様の不満が高まっていることから、天野之弥事務局長が18日に訪日した際、日本政府と情報共有を図るため、日本人の調整官を日本に常駐させることを決めた。さらに、政府も保安院の担当官をウィーンに派遣することを決め、21日の各国向け技術説明会に初めて出席させた。

 説明会では、説明や質疑応答は英語で実施され、現在の概要を説明する英語版の資料が映し出された。だが、
(1)福島第1原発周辺の放射線量測定値
(2)福島県対策本部作成の福島県内測定値--の2種類の日本語資料が配布された。
 日本語資料を基に韓国の代表団は、放射線量が上昇した時、原発でどのような事象が起きたのかと因果関係を尋ねたのに対し、保安院の担当者は「因果関係を詳しく把握していない。調査した上で回答する」と述べたという。
 IAEAは、日本政府の情報発信が少ないとの批判を受け、先週から加盟各国向けに技術説明会を土日も含めて連日開催している。日本政府に専門家派遣を強く要請したが、かえって不信を増幅した形になった。【毎日・ロンドン会川晴之】(⇒ごく真面目に。経産省原子力安全・保安院はできるだけ早く解体しなければならない)

原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長
 政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝。社民党の福島瑞穂氏の質問に答えた。

 班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。 班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は原子力安全、規制行政に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。

⇒「班目春樹氏は委員長として不適格 交代をもとめる」(原子力資料情報室)

 これに関連し、菅首相は22日、首相官邸に班目氏や経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長ら関係機関のトップを呼び、連携を密にするよう指示した。班目氏は首相と会談後、記者団に「(首相から)もっと連携を良くしろ、と怒られた」と語った。首相周辺は「事故対応の役割分担についてすり合わせをした」としている。(読売)

3号機中央制御室の照明点灯
 東電によると、22日午後10時43分、福島第1原発3号機中央制御室の照明が外部電源によって点灯。事故後、中央制御室に外部電源の電気が供給されたのは初めて。

原発の南16km、海で基準の16倍放射性物質
 東電は22日、第一原子から南に16キロメートル離れた岩沢海岸付近で21日夜に採取した海水から、原子炉等規制法が定める安全基準の16.4倍の放射性ヨウ素が検出されたと発表。

「M8以上の地震誘発に警戒」太平洋津波警報センター所長
 東日本大震災をもたらしたマグニチュード(M)9.0の巨大地震を受けて、各国に警報を発した米太平洋津波警報センター(ハワイ)のチャールズ・マクリーリー所長が22日までに産経新聞などの取材に応じ、M8.0以上の強い地震が誘発される可能性もあるとして警戒を呼びかけた。 マクリーリー所長は、インド洋に大津波をもたらした2004年12月のインドネシア・スマトラ島沖地震(M9.1)では、3カ月後にも近くで巨大地震(M8.6)が発生したと指摘。ひとつの地震が他の場所の地盤にストレスを与え、間を置いて発生する地震もあると説明。(ホノルル 坂本英彰)

福島原発、電源復旧作業を再開 3、4号機へ放水準備
 東電は22日、3号機の原子炉建屋から21日に上がった黒煙で中断した外部電源の復旧作業を再開、3、4号機への放水の再開準備も進めた。2、3号機からは22日午前、白煙のようなものが上がったが、作業の障害にはならないと判断

 東電は、2号機から約1キロ離れた正門付近の放射線量を計測。黒煙が出た21日午後から、22日朝にかけては放射線量が低下している。22日中に2号機の中央制御室などへの通電と3、4号機への外部電源からの接続を目指す。また4号機の使用済み燃料プールに放水するのに使う長いアームを備えた生コン圧送機の準備を進めた。3号機には東京消防庁による放水を予定。また東電によると、1号機が21日夜、外部からの電力供給が受けられる状態になった。これで同原発で外部電源が通じたのは1、2、5、6号機の計4基となった。(共同)