2012年4月12日木曜日

4・8「宮古島を軍事の島にしないで!市民集会」と「平和アピール行進」の報告

4・8「宮古島を軍事の島にしないで!市民集会」と「平和アピール行進」の報告

 沖縄からさらに南の離島である宮古島。
 平穏な人口5万弱の島に、持ち込まれた日本国・防衛省の迎撃ミサイルPAC3、2基。
 日本全国右旋回、3・11震災以降、「自衛隊」がヒールからべィビーフェイスに様変わりし、政府とマスコミが「北朝鮮からミサイル攻撃」という脅しをあおる大合唱の中、私たちは、4月8日、「宮古島を軍事の島にしないで!市民集会」(北朝鮮のロケット発射とPAC3の配備に反対しよう!)を開催しました。

 ささやかでも島の平和を守りたいと、急ごしらえの市民集会、30名集まってくれることを願って呼びかけをしていましたが、ふたをこわごわ、いいえ、開き直って、開けてみると60名の老若男女、0歳児から80歳代までが結集! 1000万都市に換算すると、12000人の大集会。ヨッシャ! 沖縄島から、辺野古からも、5名が加わり、うれしい予想外。

 集会後、「平和アピール行進」と名づけて、レインボウカラー七色の横断幕「PAC3いらん」や「穏やかな島の平和を継ぐために」をみんなで手にし、若い人たちは、あるいはブラジルの楽器を手に手に、 あるいはおさなごを抱いて、ラップ風に、ビヨヨ~ンという音色をバックに、「PAC3イラナイ!じえいたいイラナイ!」イェイ!イェイ! とおじいもおばあも踊りださんばかり、個性的かつ斬新なアピール行進をしながら、家々にはチラシをポスティング、道行く人々には手渡しながら、1時間半の市内パレードを貫徹しました。

「人口衛星は落ちてこないよ!」
「物騒なのはPAC3!」
「安心と安全は自衛隊では買えません!」
「復興に回してよ、MD防衛費6兆円!」
「平和な島でしないで、軍事訓練!」
 南の島に陽は落ちて、私たちの声は響いていました。

 全国のみなさん、政府・防衛省は、沖縄の基地負担軽減どころか、琉球弧・南西諸島全域を軍事要塞化しようとしています。南の島々の軍事力強化は日本全域の軍事国家化のさきがけなのだということ、戦争に向かう国づくりなのだということに、しっかり目を向けてください。

●宮古島を軍事の島にしないで!市民集会・決議文
 日本政府は朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮という)の「衛星」打ち上げに対する迎撃態勢を敷き、迎撃ミサイルを装備したイージス艦を海上に、地上発射型ミサイルパトリオット(PAC3)を、沖縄本島、石垣島、宮古島と首都圏に配備し、破壊措置命令を出した。
 ここ宮古島市には、PAC3、2基を搭載した車両など28台が上野野原の自衛隊基地に配備され、海上自衛隊と航空自衛隊員200名が配置されている。さらに陸上自衛隊の救援隊36名が陸自ヘリで宮古空港に輸送され、陸自UH60ヘリが宮古空港旧ターミナル跡地に常備されている。石垣市では、自衛隊員が実弾入りの拳銃を携行し、住民を危険視している。

 また、政府は県下市町村を巻き込んだ「戦闘態勢」ともいえる全国瞬時警報システム(J-アラート)を災害以外で初めて運用をし試験放送の場に自衛隊員が立ち会うなど、異常な態勢をとっている。
 これらの実態を見れば、政府は北朝鮮の「衛星」打ち上げを口実として、国民の不安をあおり、軍事訓練を実施し、自衛隊を市民に認知させようとしている。これは「防衛大綱」による先島地域への陸上自衛隊配備の「地ならし」「予行演習」に他ならないことは明らかである。
 県民は沖縄戦の教訓から、軍隊は住民を守らないことを学んでいる。私たちは、北朝鮮の打ち上げに断固反対すると同時に、政府のこのようなPAC3配備をはじめとする「軍事的行動」に断固反対するものである。
 以上決議する。

 2012年4月8日
 「宮古島を軍事の島にしないで」市民集会
 「宮古島を軍事の島にしないで!」市民集会実行委員会 清水早子

2012年4月10日火曜日

大飯原発3、4号機「安全基準におおむね適合」?

大飯原発3、4号機「安全基準におおむね適合」?


 野田政権は、昨日(4月9日)、大飯原発の再稼働問題を協議する4回目の関係閣僚会議を開き、関西電力が提出した「安全対策」の「工程表」なるものを国が決めた「安全基準」に「おおむね適合している」という「政治判断」を下した。そして、第五回目の会議によって「最終判断」をなし、今週中にも枝野経産大臣を「地元」(どこ?)に派遣し、再稼働の「要請」を行うという。
 しかし、「安全基準」も「政治判断」もクソもない。すべては経産官僚が書いた筋書き通りの、まさに何度目かの政治的茶番劇と言うべきである。

 ほんの一週間前の4月3日には、大阪、京都、滋賀など関西広域連合傘下の自治体の再稼働への反発が根強く、国は福井県やおおい町だけでなく「周辺自治体」の「同意」の動向を「慎重に見極める」ことを余儀なくされ、その結果、当初めざしていた4月中の再稼働が厳しくなった、という報道が流れていた矢先のこのような政治的茶番はもう懲り懲りである。
 「地元」とはどこか、「地元」の「同意」と「理解」の違いは何か、これらをめぐり国会で答弁したことを、舌の根の乾かぬうちに翻す野田政権の関係閣僚。その豹変ぶりに、東京のマスコミや「地元」のメディアが翻弄され、さらにはそのメディアの「報道」に「再稼働近し。再稼働阻止!」と私たちも煽られてしまう。

 これまで何度も述べてきた通り、私は再稼働に反対である。しかし今は、どう考えても論理的な整合性を保てるとは思えない再稼働をめぐる「政治判断」なるものを、野田政権が最終的にどのような論理をもって正当化するのか、そちらの方に関心が傾いている。
 国は最後の方便として関西における夏の「電力不足」をあげているが、再稼働正当化の論理としてそれはすでに破綻している。橋下大阪市長は野田政権が再稼働にゴーサインを出せば「大変なことになる」と語ったが、この点に関しては、私もまったく市長と同意見である。

 工学的に言えば、最低でも「第二の3・11」を想定した地震・津波の複合的惨事に耐える「安全基準」の策定とその実施および検証、また政治的に言えば、最低でも関西広域連合の関係自治体の承認をえること抜きに、再稼働なんてありえない。ありえないことを強行すれば、「大変なことになる」。どうもそれを理解できないのは、原発推進政権としての野田内閣と原子力ムラの面々だけのようである。


 当初、野田政権が「地元」に示す「暫定的な安全基準」とは、原子力安全・保安院がまとめた「30項目の安全対策」に基づき、原発の「耐震性向上」や冷却設備の強化や分散配置など、30項目の中から10項目程度を特定したものになる、と言われていた。ところが、野田政権は 「暫定的」という表現ではマズイと思ったのか、これを「新しい安全基準」と言い換えてしまう。
 その内容は、毎日新聞によれば、以下のようなものだ。(「大飯原発:再稼働の安全基準を了承 津波対策など3本柱」(4月5日)を参照)

◇政府が了承した、原発再稼働に向けた判断基準の骨子
◆全電源喪失防止のための以下の安全対策の実施
 (1)発電所内電源設備対策
 (2)冷却・注水設備対策
 (3)格納容器破損対策
 (4)管理・計装設備対策
◆東京電力福島第1原発事故級の地震・津波が来ても、炉心や使用済み燃料プールの冷却を継続し、燃料損傷に至らないことを国が確認
◆事業者が以下の安全対策に関する実施計画を明示していること
 (1)原子力安全・保安院によるストレステスト(1次評価)で求められた事項
 (2)福島第1原発事故を受けた30項目の安全対策

 一方、読売新聞は「新たな安全基準」を、野田政権による再稼働の「条件」としての「新たな判断基準」とさらに言い換えた。
 読売新聞の意図がどこにあるのであれ、この「判断基準」という表現は、的を得た表現である。野田政権は、夏までに関電が実施できないものについてはそれで良しとし、その結果、上に示した「安全対策」の実態は、昨年3月末に経産官僚がまとめた「緊急対策」の域をまったく出るものではなく、ただ国が再稼働を強行するためにアリバイ的に出された、政治的「判断基準」でしかないからだ。

 毎日新聞が報じた内容を読売新聞的に言い直せば次のようになる。
(1)深刻な事故を防ぐための緊急対策(「3・11」後に菅政権下の安全・保安院が打ち出した内容。具体的には、毎日新聞が言う上の「全電源喪失防止のための以下の安全対策の実施」の4項目を指す。)
(2)ストレステスト(耐性検査)の確認――と、「中長期的な安全向上策の2段階」構成。(ここで読売新聞が、「緊急対策」と「ストレステスト」(一次評価)の「確認」だけでは「中長期的な安全向上策」とは言えないにもかかわらず、そうなるかのように報じていることに注意したい。)
 
 どのマスコミも、野田政権の4閣僚がこの数日中に「再稼働妥当」と「判断」すれば、枝野大臣を通して「地元」に再稼働を「要請」すると報じている。また、脱原発運動の一部にも、一部野田政権が5月の泊原発の全号機稼働停止→日本の全原発停止までに大飯原発の再稼働を強行するという憶測が広がっている。
 しかし、私には「地元合意」を含め、事がそんな簡単に進むとは、どうしても思えない。ここでもそれを理解」しないのは国と地方の原子力ムラと、原発推進に利権と生活がかかった人々だけであるようだ。


 この一年、私たちは、「「3・11」の大惨事を前にすれば、もはや日本が原発を保有し続けることには無理があり過ぎるのではないか?」という国民世論を省みない、菅・野田と続いた民主党(連立)政権の原発推進・再稼働強行政策に振り回されてきた。

 すべての問題の根っこには、民主党政権の「政治主導」の欠如がある。民主党政権は、国として原発をどうするか、その方針を確定する前に、また専門家が指摘する新たな地震・津波の複合災害に対する「万全の備え」(もしも、それが可能だとしたらの話だが)が整う前に、唯一「経済成長と電力の供給危機」を楯に、再稼働を正当化しようとしているのだが、結局、それによって自ら原子力ムラの一角を占めているその姿を露わにし、政権への支持を一層失う事態を招いてきた。

 もちろん、野田政権の「政治主導の不在」とその無責任振りを批判するからと言って、それは決して原発推進・再稼働に走るその他の原子力ムラの構成主体や、一部の立地自治体の責任を免罪するということではない。しかし、原発再稼働の第一義的責任を負うべき政府・与党という観点から言えば、内閣を構成する民主党国会議員の無責任振りは目を覆うものがある。
 原発の稼働停止の維持をめぐる「政治主導」とは、本来、「科学的知見」とは次元の異なるところで下されるからこそ「政治的」なのであり、実はそれは福島第一原発の「事故調査」の結果を待たず下されて然るべきものであり、下せる性格のものであるからだ。


 野田政権は、仮に再稼働に踏み切ったとしても、あるいは逆に再稼働を当面延期したとしても、どっちにころんでも政権基盤の弱体化に拍車をかけることになる、ということに気づかない。どちらに進むにせよ、自ら語ってきたことと論理矛盾をきたすからであり、政権の誰が何を語ってもその嘘っぽさが子どもにだって透けて見えるからだ。
 
 全原発稼働停止状態のまま、この夏を乗り切ってしまえば、「原発がなくても日本はやっていける」ことが明らかになり、再稼働の「チャンス」を逃してしまう。だから関電などの電力企業は、何が何でも「秋になる前」の、できるだけ早い段階で再稼働に踏み込みたいという思惑がある。その意を汲んで、野田政権も動こうする。
 当面の再稼働時期の目安は、5月初旬に泊原発の全号機が停止状態になる前に、ということになっている。
 だが、ほんとうにそう言えるのだろうか。

 再稼働の想定時期について、二月初旬の「原発再稼働における「政治主導」とは何か」の中で、私は次のように書いた。
 「野田政権としては、できうれば、「3・11一周年」から4月、安全・保安院に「間借り」する「原子力規制庁」が発足する直後くらいには[福島第一原発の緊急事態]「解除宣言」を出し、政府「事故調」の最終報告と「新エネルギー基本計画」が策定される夏頃を目安に、「野田降ろし」→解散→選挙をめぐる政局の動向、世論と脱原発運動の広がりを値踏みしつつ(=「総合的な政治判断」)、再稼働第一弾に踏み切りたい、という思惑を持っているのではないか。「甘い!」という批判もあるかもしれないが、これが現時点での私の予測である」

 あれから二か月余りが過ぎた。私の「予測」は今も変わっていない。
 「できるだけ早い段階で再稼働に踏み込みたい」という願望を野田政権が持っていることは確かだろう。もしかしたら、「安全基準におおむね適合」論をもって「安全基準に適合」論を今週末までに打ち出すかもしれない。
 しかし、だからといって「地元」の「同意」(「一定の理解」?)が確約されているわけではない。
 福井県のみならず関西広域連合の存在もあるし、世論もある。要は、「私たち」次第なのだ。

 どっちに転んでも、民主党には「地獄」への道が待っている。
 私に関して言えば、これ以上民主党政権に振り回されるのは御免蒙りたい。
 それだけは、はっきり断言できる。

・・・
大飯原発 大阪府市、再稼働に8条件 100キロ圏との協定など要求(東京新聞)
福井・大飯原発:再稼働反対、50人ハンストへ−−関電本店前
放射性セシウム:気仙沼、南三陸の原木シイタケで基準超え(毎日新聞)

 先々週の週末、福島の農の再生を掲げたシンポジウムに参加し、それから二泊三日で岩手、宮城の被災地の視察に行った。

 報告しなければならないことが山のようにある。
 けれども、この二週間、動きの取れない日々が続いた。
 
 これから少しずつ、報告したい。
 いつもこのブログを訪れてくれている人々に、陳謝と深謝を込めて。

 (写真は宮城県・気仙沼。2012年3月25日)

2012年4月1日日曜日

中嶌哲演さんのハンストに連帯する「原発いらない福島の女たち」のリレーハンスト声明

中嶌哲演さんのハンストに連帯する「原発いらない福島の女たち」のリレーハンスト声明

皆さん:
 福島のこのような事故がありながら、再稼働なんてぜったい許せない!!
福井の中嶌哲演さん(小浜市の明通寺の住職)の断食に連帯して、私たち「原発いらない福島の女たち」がリレー断食を開始します。
 中嶌哲演さんは、3/25大飯原発再稼働反対福井集会で、月末まで断食されることを表明されました。原発反対福井県民会議の代表委員として、「原発政策は3.11前からすでに破たんしていたのです。地元の意見を聞かないまま進めてきた安全評価による国の政治判断で再稼働をさせてはいけません」と述べたのち、「私ごとですが」と断って「後に続く者たちのためにも再稼働は許さない」として福井県庁での断食を表明。五穀を断ち準
備し、25日朝も重湯だけだったそうです。すごい決意です。

 福島の女たちは、以下のようにリレー断食を開始します。皆さまの参加を待っています。「声明文」を添付します。 全国にこのことを拡散願います。一人よりは二人、二人よりは三人で断食しましょう。

■方法:(基本的には)夜中の12時から24時間の断食で、「それぞれの場所」でするものです。
 もちろん、デモンストレーションで駅前などで目立つやり方を取り入れてもいいでしょうし、仕事しながら、いつもの時間を過ごしながらでもいい、というやり方です。もちろん、できる方は何回でも。
■参加可能な方は、日程を連絡下さるとうれしいです。
3月31日 (土)断食初日
4月 1日 (日)経産省前テントで午後1時頃、記者会見予定。
   2日 (月)郡山駅前で予定
   3日 (水)福島で予定
   4日 (木)郡山で予定
   5日 (木)西郷村で予定
   6日     …未定…
■4月末まで「ハンスト月間」にしましょう。 全国から連なって下さいませんか?!~
■問い合わせ:secchan@amail.plala.or.jp または、080-3195-0229(黒田)
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中嶌哲演さんのハンストに連帯する「原発いらない福島の女たち」のリレーハンスト声明

 福井県小浜市明通寺のご住職、中嶌哲演さんが福井県庁ロビーで断食に入られました。
 1979年3月、スリーマイル島原発事故が勃発した際、哲演さんは通産省資源エネルギー庁のロビーで、
「静かに祈るのが本分である仏教者である私が、なぜ反原発運動に邁進するのか?お釈迦さまに授かった五戒の筆頭に不殺生(ふせっしょう)戒(かい)があります。『殺すなかれ』だけでは、不十分です。『殺させるなかれ』を実践して、はじめて不殺生戒を全うすることができるからです」と挨拶されました。

 あれから30年以上が経ちました。ご高齢の哲演さんがあえて断食に踏み切られたのは、なぜでしょうか?福島第一原発の事故のため、広大な地域が放射能に汚染され、多くの人びと、とりわけ子どもたちの命と健康が危険にさらされている今、あえて大飯原発3、4号機の再稼働を強行しようとする関西電力の姿勢は、国民多数
の世論、そして福島で暮らす私たち、故郷を追われた私たちの切なる願いを踏みにじる暴挙そのものであり、断じて許すわけにはいきません。

 哲演さんの決意と祈りに、福島から、全国からつながりたいと思います。地球上に生命(いのち)を授けられた者たち、大地、水、空気、動植物、すべてが日々脅かされています。世界中の原発の廃炉を心から願うわたしたち「原発いらない福島の女たち」は、哲演さんに連帯し、リレーハンストに踏み切ることをここに表明します。

2012年3月31日
「原発いらない福島の女たち」

・・・
● 『放射線と被ばくの問題を考えるための副読本~減思力を防ぎ、判断力・批判力を育むために~

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「脱原発の「教育学」」