2013年4月29日月曜日

『福島と生きる』メールマガジン第6号

『福島と生きる』メールマガジン第6号
――息長く〈福島〉とつながり続けるために――

2013年4月28日発行(不定期刊)

―目次―
◆イベント情報
◆本の紹介
◆ニュースクリップ


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◆イベント情報
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(イベント情報は変更されることもあります。必ず主催者サイトでご確認下さい)

1.「公開フォーラム 子どもたちの未来のために...健康被害の未然防止と支援法の早期実施を求め、1mSvを守ろう
  5月5日(日)13:30-16:20(東京・日比谷コンベンションホール  (大ホール)(予定))
  ※健康被害の未然防止と原発事故子ども・被災者支援法の早期実施をどのように実施していくか、集い、考える。
  ※主催:放射線被ばくと健康管理のあり方に関する市民・専門家委員会
  ※申込み:下記フォームから必ずお申込みください。
      https://pro.form-mailer.jp/fms/3faa687a41013
  ※お問い合わせ:国際環境NGO FoE Japan
  ※詳細→イベントサイト
  ※関連企画 「こいのぼりウォーク
   子ども・被災者支援法の実施と1mSv遵守を求め、こいのぼりを持って歩きましょう! 
   公開フォーラム終了後、16:45から日比谷公園発のウォークを行います。
   詳細→イベントサイト
  ※このイベントの関連情報
   →「福島原発事故による健康影響の対応急げ」-専門家ら緊急提言を発出(詳細はこちら

2.「経産省前テント明渡訴訟の取り下げを求める大集会・ハンスト」など
   大集会: 5月10日(金)経産省前テント(東京・霞が関)
   ハンスト: 5月16日(水)-22日(水)
   明渡訴訟第一回公判: 5月23日(木) 10時- 東京地裁包囲行動、11時- 公判(東京地裁)
  ※国が起こした、テントの土地明け渡しを求める訴訟を取り下げさせるための署名活動も展開中。
  ※主催:経産省前テントひろば
  ※詳細:経産省前テントひろばウェブサイト

3.「ライフケアサロン
  5月10日(金) 14:00-16:00(福島県三春町・はしもと治療室)
  ※免疫力を高める内臓の手当て法(アイロン手当て法)、からだの歪みを治す操体法、内部被曝を避ける食事方法、など予防医学を学びたい人はもちろん、ただおしゃべりしたい方、情報が欲しい方、どなたでも参加できるサロン。
  ※主催:NPO法人ライフケア
  ※お問い合わせ・健康相談予約:070-5629-3229(渡辺)
  ※詳細:NPO法人ライフケア 

4.「銀河のほとり講座第2回 『いきるチカラプロジェクト』
  5月12日(日)10:30- (福島県須賀川市・銀河のほとり)
  ※免疫力をあげる手当て法~快医学による自然療法体験講座。
  ※主催:銀河のほとり 
  ※詳細:イベントサイト

5.「農家とつながる日帰りプログラム なめこde新体験&クマガイソウ祭り
  5月12日(日)10:00-15:00(福島県二本松市)
  ※なめこ農家である東和季の子工房でなめこ収穫とピザ作りを体験。絶滅危惧種と言われているクマガイソウ群生地も訪問。
  ※主催:きぼうのたねカンパニー(株)
  ※詳細:イベントサイト 

6.「福島市・宮代仮設手当て会/山形県米沢市 快医学健康相談
  5月14日(火)午前:福島市(宮代仮設住宅)、午後:米沢市(おいたまサロン 2F 「ふわっと」)
  ※主催:NPO法人ライフケア 
  ※詳細:NPO法人ライフケア 

7.「柏崎刈羽現地バスツアー
  5月18日(土)-19日(日)(一泊二日)
  ※現地見学、地元団体との交流会。費用:15000円
  ※主催:再稼働阻止全国ネットワーク
  ※詳細:イベントサイト 

8.「快医学入門講座
  5月24日(金)10:30-13:30(自然育児の会 国分寺市カフェスロー内)
  ※講師:橋本俊彦さん
  ※お申し込み:自然育児の会
  ※詳細:イベントサイト 

9.「HISスタディツアー 福島の今を知り、私たちの未来を考える2日間 ~福島復興のために、私たちが出来ること~ 第2弾 春の田植え
  5月25日(土)-26日(日)
  ※二本松市東和地区の震災後の取組みのお話をきき、田植えを体験。
  ※詳細:スタディツアーサイト

10. 「人と自然をつなぐ体験プログラム 2013 田植え体験~未来につなぐ米作り~
   6月2日(日)【前泊あり】(福島県二本松市・菅野家の田んぼ)
   ※原発事故から2年以上が経過したいま、米作りの現場を知り、有機米の田植えを体験。
     田植えを通して人と自然がつながる交流会。
   ※主催:きぼうのたねカンパニー(株)/協力:あぶくま高原遊雲の里ファーム
   ※詳細:イベントサイト 

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◆本の紹介
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セバスチャンおじさんから子どもたちへー放射線から いのちを守るー
 セバスチャン・プフルークバイル(ドイツ放射線防護協会会長)  訳/エミ・シンチンガー
※福島原発事故による放射線からいのちを守るために、子どもたちに知ってもらいたいこと。
原子力発電について考えてもらいたいこと。チェルノブイリ事故を経験したドイツ人研究者から、子どもたちへのメッセージ(日・独・英の対訳で掲載)、および 子どもたち向けに書かれた資料(日本語)。
 定価950+税  ISBN978-4-8451-1313-2
 発行:岐阜環境医学研究所   発売:(株)旬報社

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◆ニュースクリップ
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政府新指針 放射能検査縮小へ 「食の安心」なぜ奪う
東京新聞「こちら特報部」2013年4月21日

 「事故からまだ二年なのに、なぜ検査品目を減らすのか」
 三月中旬に発表された政府の検査指針に、茨城県つくば市で市民放射能測定所を運営する藤田康元さん(46)は驚く。
 政府の検査指針は、二〇一二年度で、基準値の一キロ当たり一〇〇ベクレルの半分の五〇ベクレルを超える値が検出されたことのある、およそ百三十品目を重点対象としてきた。この指針に基づき、東日本を中心とした十七都県で検査を実施している。それが、新指針では、重点品目が九十八品目に減らされた。 新指針では、昨年四月以降に五〇ベクレルを超えたケースがない品目は、重点品目からは外されるからだ。

 例えば一一年度には一〇〇ベクレルを超えていたカブや、五〇ベクレルを超えていたジャガイモやサツマイモなどは、昨年四月以降は五〇ベクレルを超えた例がないため「対象外」になった。一〇〇ベクレルを超えたことがあるサバやブリなども除外され、海産物は二十九品目から二十品目に削減された。
 新指針では、時期だけではなく地域も区切っているのが特徴だ。これまでは、全国のどこかで基準値を超えた食品は、隣接自治体の重点品目にもなっていたが、自らの都県で超えていなければ検査する必要はなくなった。例えば、昨年十二月に栃木県のレンコンが基準値を超えたが、近隣県は重点品目と考えなくてよいことになった。

◆「科学的根拠」 厚労省は強調
 検査品目を削減する理由について、厚生労働省監視安全課の専門官は「放射性セシウムが検出されない食品が多くなっている。どの品目から出て、どの品目から出ないかも(経験から)分かってきた。現在は五〇ベクレル以下のものをいくら検査しても、今後、基準値の一〇〇ベクレルを超える可能性は低い。一二年度の検査結果を踏まえ、科学的根拠に基づいて見直した」と説明する。(略)
 風評被害を心配する生産者の一部からも、検査態勢の縮小を歓迎しない声が上がる。
 藤田さんと市民放射能測定所を運営する有機栽培農家の松岡尚孝さん(57)も
放射性物質の落ち方は均一ではなくてまだら。畑の位置によってさえ違う。まだまだ分からないことの方が多いのに」と困惑する。

 福島老朽原発を考える会の青木一政事務局長は「本来は規制の網を細かくして、詳細に調べるべきだ。国の指針は逆行している」と批判する。 安倍晋三首相が施政方針演説で、風評被害防止を掲げたこととも無縁ではないとみる。
 「生産者に余計な検査はしなくてよいという無言の圧力を加えているような指針。だが、風評被害を防ぐには、きめ細かい検査とデータの開示は欠かせない。検査態勢の縮小こそが、風評被害を助長する


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『福島と生きる』メールマガジン第6号(2013年4月28日発行)
※『福島と生きる』メールマガジンは、『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の共同執筆者の団体や活動の関連情報を発信していきます。

発行人=中野憲志・藤岡美恵子
(『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』共編者)

小平市制の暴挙‏ ~「破壊される玉川上水の緑」フォローアップ情報

小平市制の暴挙 ~「破壊される玉川上水の緑」フォローアップ情報‏

 5万人以上が投票した都市計画道路をめぐる小平住民投票。
 この住民投票を生かすための署名、始まってます。
 東京都知事に住民投票の結果がわかるまで事業認可申請を取り下げるよう要望する署名http://p.tl/s2Tx
 そして、小平市長に開票を行うよう要望する署名http://p.tl/sJnP 
 ぜひ、ご賛同ください!

・・・

皆さん
 東京都小平市の玉川上水の森の一部区間を破壊し、大規模な道路建設が行われようとしています。そこで、市民の署名により、住民投票が行われることになりました。
 市長及び既成政党(自公明、維新、みんななど)は、住民投票率が50%以上ないと無効にするという卑怯な 条例を可決しました。
 開発と利権のためには、なりふり構わず、好き放題。国政も国政ですが、地方自治もすさまじい状況です。 詳細は「どんぐりの会」の住民投票のHPで。
http://jumintohyo.wordpress.com/
http://jumintohyo.wordpress.com/%E6%8E%B2%E8%BC%89%E7%B4%99-2/425-2/

 一方では「愛国心」の強制を叫びながら、本当の「地元を思う心」は踏みにじる・・・・。
政治家ほと下劣で低俗な人種はいません。
 北野収

⇒「破壊される玉川上水の緑」へ。

2013年4月17日水曜日

MOX燃料: 日本への積み出し開始

MOX燃料: 日本への積み出し開始

・MOX到着は6月後半 高浜原発向け、関電が発表
 関西電力は18日、福井県高浜町の高浜原発3号機向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船2隻が17日(日本時間18日)、フランス・シェルブール港を出発し、同国の領海外に出たと発表した。6月後半に日本の領海に到着する予定。

 日本向けのMOX燃料輸送は東京電力福島第1原発事故後初めて。関電によると、輸送船は南アフリカの喜望峰を経由するルートを通るという。
 高浜原発3号機は長期停止中だが、関電は今年7月の再稼働を目指すとしている。輸送されるMOX燃料は、関電が2008年に発注。11年中に輸送予定だったが、東日本大震災で延期されていた。(共同)

MOX燃料:積み出し開始で抗議続く 仏シェルブール
 福井県の高浜原発で使用されるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の積み出し作業が17日午前、仏北西部シェルブールで始まった。燃料を積み出すシェルブール港周辺では住民や環境保護団体の抗議活動が続いた。抗議の激化に備え、市内には軍や警察当局約1000人が出動、警戒した。

 AFP通信によると、MOX燃料の運搬車3台は、警察車両の護衛を付け、同日午前0時半ごろ、アレバ社ラアーグ核燃料再処理工場から、約40キロ東のシェルブール港に向け出発した。燃料は港で待機する2隻の英国の専用輸送船に積み込まれた後、高浜原発に向け運ばれる。
 アレバ社によると、フランスから日本へのMOX燃料輸送は2010年以来5回目。今回分は11年4月の輸送が計画されたが、直前の3月に起きた東京電力福島第1原発事故で延期されていた。アレバ社は輸送航路について、安全上の理由から公表していない。

 地元メディアによると15日早朝、積み出し港付近に約10人の不審者が侵入する事件があった。シェルブール大審裁判所はアレバ社の要請を受け、輸送車から500メートル以内、積み出し港から300メートル以内への立ち入りを禁止した。 港付近で抗議活動を続けた元教員のアニ・ルゲベルさん(65)は
 「MOXの輸送は危険で無責任。日本人と連帯し、明け方までここで抗議する」と話した。 環境保護団体グリーンピースの広報担当者は 「抗議を続け、平和的な方法で輸送を断念させたい」と語った。 (毎日 シェルブール(フランス北西部)宮川裕章)

参考サイト
グリーンピース
●「2013/4/15 グリーンピース声明、不要かつ危険なMOX燃料国際輸送は直ちに中止を――福島第一原発事故後初、高浜原発へのMOX燃料輸送を受けて
●「「利用の見通し」に基づかないプルトニウムは生産しないで「在庫量の削減」を、と原子力委員会鈴木委員長代理──六ヶ所再処理工場運転開始とMOX燃料輸送
 3月26日の原子力委員会定例会議で、鈴木達治朗原子力委員会委員長代理は、電気事業者等に対し、プルトニウムの「供給ありきという考え方からの転換」を促し、
「利用目的のないプルトニウムを持たないという原則はたぶん十分ではなくて、利用の見通しを明確にし、その見通しの上で再処理をするという方向で検討していただきたい」と述べるとともに、在庫量の削減の重要性を強調しました。
 この考えに従えば、英仏及び日本国内に44トンものプルトニウムを抱える状況で、六ヶ所再処理工場の稼働はあり得ないことになります(「核情報」より)
・・

関西電力プレスリリース
仏国からのMOX燃料輸送の実施について(積出港名および輸送船名の公表)」
1.MOX燃料集合体の概要 (PWR燃料)
・燃料の種類  ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)
・全 長  約4.1m
・断面寸法  約0.2m
・燃料体の構造(配列)  17行×17列(うち燃料棒264本)
・最高燃焼度  45,000MWd/t
2.輸送容器の概要  (PWR燃料用)
・名 称  TN-12P(M)II型
・全 長  約6.2m
・外 径  約2.5m
・重 量  約108.1トン(最大収納時)
・収納体数  最大8体
・材 質  炭素鋼等
3.輸送船の概要
[パシフィック・ヘロン号]
・全 長  約104m
・全 幅  約17m
・総トン数  約7,000トン
・載貨重量  約5,000トン
・船 籍  英国
[パシフィック・イーグレット号]
  同上

・・・
高浜原発3号用にMOX燃料輸送へ 仏側の要請に関電、装荷は未定
 関西電力は(3月)21日、高浜原発3号機(福井県高浜町)で導入されているプルサーマル向けのプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料をフランスから海上輸送すると発表した。東京電力福島第1原発事故後、MOX燃料の輸送は初めて。長期保管の解消を求める仏側の要請に応じた。関電は実際に装荷するかどうかは未定としている。

 高浜3号機には2010年6月末にMOX燃料が輸送され、11年1月に関電としては初めて、国内では4番目となるプルサーマル発電を始めた。さらに追加で装荷するためMOX燃料20体を仏で製造し、既に完成している。ただ、福島事故の影響で実施のめどが立たなくなり、輸送を見合わせていた。
 関電は、方向性が不透明になっていた核燃料サイクル政策をめぐり、政府が昨年9月に決めたエネルギー・環境戦略の中で「政策の着実な推進が約束された」と判断。
 また、製造元のアレバ社や仏政府から長期保管の解消を求める声が強まり、両国政府を含めた関係者間で調整が進んでいた。19日に経済産業省から調整終了の通知を受けたという。
 核防護上の理由から積み出し港や船名は出発日の数日前まで公表されない。出発日、輸送ルート、日本到着のおおよその時期は仏出発後に明らかにされる。20体のうち何体を輸送するかも到着後の公表となる。

 高浜3号機は昨年2月に定期検査に入り、停止中。関電は7月の新安全基準の施行を受け4号機とともに再稼働を目指すとみられるが、MOX燃料の装荷については再稼働の議論や地元の判断を踏まえて決める方針で「現時点では判断していない」としている。
 野瀬豊高浜町長は輸送に関し「政府間、事業者間の問題。警備上の態勢を含めて、万全を期してもらいたい」とのコメントを発表。一方、装荷については従来、核燃料サイクル政策の位置付けを明確にする必要があるとの姿勢で、この日も「事業者から説明を受けていないため、現時点で申し上げることは特にない」とするにとどめた。
(福井新聞 3/22)

・・・
大飯原発差し止め却下に原告団憤り 大阪地裁の決定「ひどい判断」
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転停止を求めた仮処分申し立てを却下した大阪地裁の16日の決定に、原告団は会見で「ひどい判断。政府や関電を後押しする決定だ」と憤った。福井県から加わった原告も「地元に住む者として不安が払拭(ふっしょく)されるどころか2倍、3倍にもなった」と無念さを隠せなかった。
 代理人弁護士は、争点となった
地震発生時に核分裂反応を抑える制御棒を、原子炉に挿入するまでに時間がかかり危険
との主張を、危険性は認められないと退けた点に「全く予想だにできなかった」と、あきれともとれる表情で述べた。
 大飯原発近くに三つの活断層が連動することについては「考慮すべき」との決定内容に一定の「進歩」と受け止めた。しかし、決定は「断層は地滑りが有力」との見解も示しており「断層調査は継続中で、結論は出ていない」と批判した。 今後は抗告を含めて「有効な争い方を考えていきたい」とした。
 
 福井県から参加した原告団の一人、石地優さん(60)=若狭町=は主張の多くが認められなかったことで「日本の先行きが心配になった」と肩を落とした。一方「この結果を福井の人に伝えて、これからも頑張りたい」と先を見据えた。
 同じく原告の中嶌哲演さん(71)=小浜市=は「司法も行政の波に飲み込まれた」。福井地裁で係争中の同原発運転差し止め訴訟の原告団にも名を連ねており「福井は立地県だけに経済面や行財政界などの特別な影響がある。簡単ではないが、声を上げていくしかない」と力を込めた。
(福井新聞)

・・・
・【福島第1原発の現状】 タンク増設で森林伐採 行き詰まる汚染水対策
  東京電力は、福島第1原発で増え続ける汚染水を保管するため、敷地南側に残る森林を伐採し、タンク設置場所の造成を始めた。地下貯水槽から汚染水が漏えいし、タンク増設計画を前倒しするためだが、対策は行き詰まりつつある。
 1~3号機では、事故で溶けた燃料を冷やすため原子炉に水を注入し続けている。冷却を終えた水は放射性物質で汚染されているが、これを回収して放射性セシウムや塩分を取り除き再び原子炉に注入、循環させている。これだけでは汚染水は増えないが、原子炉建屋などに1日約400トンの地下水が流れ込むため、新たに汚染水となって増え続けている。

 東電はタンク増設で対応、置き場所確保のためこれまでも森林を伐採してきた。今回の場所は敷地南側の森林約10万平方メートル。30万トン分のタンク設置を見込み、既に地盤調査を終え夏にも設置を始める。
 第1原発内のタンクの容量は約26万6千トンで、9日現在、約25万4千トン入っている。
 今月5日、地下貯水槽からの汚染水漏れが発覚。地下貯水槽の約2万3600トンを6月中に地上タンクへ移送することが決まり、一気に切迫した。
 東電は計画を前倒しして9月末までにタンクの貯蔵容量を約45万トンまで増やす。森林を伐採して設置するタンクを含め2015年中に70万トンまで増設するが、根本的な解決にはならない。(共同、4/15)

2013年4月16日火曜日

「危機」と「挑発」の演出合戦 ~「朝鮮有事」キャンペーンの下で進行する北東アジアの核軍事化

「危機」と「挑発」の演出合戦 ~「朝鮮有事」キャンペーンの下で進行する北東アジアの核軍事化

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の年間最大の祝日とされている「太陽節」。 北朝鮮から伝えられる映像は、「祝賀ムード」一色だ。ミサイル発射に関する報道もないという。
 これが、米国や日本にすぐにでも(核)弾道ミサイルを発射するかのように「報道」されてきた戦争前夜的国家の姿だろうか?

 一方、米国や日本、さらには韓国はどうか。
 すべては北朝鮮の側に一方的な非があることを前提にし、それを疑いもしない北朝鮮の「挑発」と朝鮮半島の「危機」が煽られ、その扇動に便乗した「報道」がなされてきた。しかし、どの国をとっても、今にも他国からミサイル攻撃を受け、侵略される「危機前夜」にあるとは、とても思えない。

 「北朝鮮の挑発」よりも、福島第一「事故」の未収束、放射能汚染水の流出、そして放射能汚染のほうが、日本にとってはよほど深刻な「危機」のように感じているのは私だけだろうか? 私たちは「事故」を収束できない「東電の挑発」を、この二年余り受け続けてきたのである。

 事実、「太陽節」を前後し、「ミサイル発射はない」「発射は延期」などといった「報道」が目立ち始めた。 
 そろそろ私たちは、3月以降の「北朝鮮の挑発」と「朝鮮半島の危機」キャンペーンの下で進行してきた朝鮮半島―北東アジア全域の核軍事化の進展に目を向けた方がよさそうである。


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「核保有国のダブル・スタンダード
⇒「朝鮮戦争終結=南北・米中平和条約締結=在韓・在日米軍撤退=北東アジアの〈平和〉

・・・
・日米連携で北朝鮮に自制要求 首相、米国務長官と会談
 安倍晋三首相は15日午前、来日中のケリー米国務長官と官邸で会談し、弾道ミサイル発射の動きを見せる北朝鮮について、挑発的な行動を繰り返さないよう日米で緊密に連携を取り、自制を促していくことを確認した。
 首相は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県内移設を進める考えを強調。ケリー氏は「真剣に努力している」と日本側の姿勢を評価した。
 首相は北朝鮮について「極めて挑発的な言動を繰り返し、緊張を高めていることは容認できない。国際社会が冷静かつ断固とした対応を取ることで、挑発行為は利益にならないと理解させることが必要だ」と指摘。(共同)

日・NATO、初の「政治宣言」=安倍首相と事務総長が署名
 安倍晋三首相は15日、北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長と首相官邸で会談した。首相とラスムセン氏は、挑発行為を続ける北朝鮮や海洋進出を強める中国を念頭に、日本とNATOの安全保障協力を強化することで合意。そのための具体的な方策や課題を盛り込んだ初の「共同政治宣言」に署名した。
 首相は会談の冒頭、ラスムセン氏の訪日について「北朝鮮の状況が大変緊張している中、極めて意義がある」と強調。ラスムセン氏は署名後の共同記者発表で「北朝鮮の挑発的言動を強く非難する。あらゆる措置を講じ、平和的に解決することを希望する」と語った。 (時事)

米比机上演習に中国初参加 海洋での事故、災害想定
 米国とフィリピン両軍の定期合同演習「バリカタン」(5~17日)の一環として15日に実施された海洋での事故や災害を想定した机上演習に中国が初めて参加した。机上演習はマニラ首都圏のフィリピン国軍本部で開かれ、中国のほか、オーストラリアや韓国、日本の自衛隊など計11カ国が加わった。
 南シナ海でフィリピンなどと対立を深める中国には、米国や周辺国との信頼醸成の思惑があるとみられる。 米フィリピン両軍によると、中国は直前に出席の意向を伝えてきた。両軍は中国を招待していたが、5日の開会日までには返答がなかった。(マニラ共同)

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・「原子力市民委員会」が発足 脱原発へ政策提言
 脱原発社会の実現を目指し政策提言をする市民団体「原子力市民委員会」が15日、東京都内で発足し、初会合を開いた。脱原発へ向けた原子力政策改革の具体的な方法を提言し、必要な調査研究を行う方針。
 座長代理の吉岡斉九州大副学長は設立の記者会見で「国の原子力委員会に代わり、原子力政策をつくる意気込みでやりたい」と表明。
 事務局となるNPO法人高木仁三郎市民科学基金代表理事の河合弘之弁護士は「国民が福島第1原発事故の悲惨さを忘れつつある今こそ、市民の英知を結集して脱原発政策をつくり出したい」と強調した。(共同)

「いま はなしたい 原発と「母」と…」4/20集会

「いま はなしたい 原発と「母」と…」4/20集会

日時:2013年4月20日(土)午後1時30分~4時30分(午後1時開場)
場所:文京区民センター 3C会議室
     最寄り駅:地下鉄春日駅(大江戸線、三田線)、後楽園駅(丸ノ内線、南北線)
資料代:500円

問題提起者:
●柏原登希子さん(ふぇみん編集部)
   「生まれたての赤子を抱えての放射能対策とフェミが嫌いになった日々」
●清水晶子さん(大学教員・フェミニズム/クィア理論)
 「日本の再生(産)の外で」
●米津知子さん(「SOSHIREN女(わたし)のからだから」と「DPI女性障害者ネット ワーク」メンバー)
 「障害を恐怖の象徴から解放したい」
共催:脱原発!フェミニスト集合/SOSHIREN女(わたし)のからだから
    FAX:03-3353-4474(SOSHIREN)

・・・
なんと、渋谷ハチ公前も「放射能除染基準超え」だった!
 ――東京&埼玉ホントの放射線量調査  子どもの甲状腺異常で東京脱出の一家も

 国の発表する放射線量が、実際の半分しか示していない事実を明らかにした本紙の独自調査は、大反響を呼んだ(3月8・15日、22日号)。だが大量の放射性物質に身体を蝕まれているのは、これまで調査した福島や北関東の子供たちだけではない。今回東京と埼玉の放射線量を測定すると、都市部の汚染も深刻であることが分かったのだ。(中略)

 原発事故から2年余り。東京や埼玉の放射線量は、減少していない。13ヵ所中5ヵ所の空間や地表で、除染基準の毎時0.23マイクロシーベルトを超える“ホットスポット”を発見したのだ。(中略)
 池や渋谷のような谷間の土地は、水に流された放射性物質が溜まりやすいのだろうか。だが東京都(福士保健局)に問い合わせると、危機感のない答えが返ってきた。

 「除染基準となるのは、地上1mほどの空間線量です。たとえ空間が0.3マイクロシーベルトほどの数値でも、心配ありません。(中略)
 内部被曝を考えた場合でも、靴を履いたまま家で過ごし、靴底の放射性物質を吸い込む米国の環境とは違う。日本では、吸い込む量はその半分に過ぎないのです」

 内部被曝を専門に研究している琉球大学名誉教授の矢ヶ崎克馬氏は、こうした意見に真っ向から反論する。「米国の基準といっても、ICRP(国際放射線防護委員会)は原発推進国の利益を優先させ、内部被曝を無視しています。基準自体が甘い。
 また雨などで運ばれてきた放射性物質がコンクリートやアスファルトに付着すると、表面を剥ぎ取らない限り放射線量はなかなか下がりません。都内の地表を測定すれば、(渋谷のハチ公前以外にも)除染基準値を超えるところは数多くあるでしょう」

 都心にも多数存在する、ホットスポット。
 関東以北に降り注いだ放射性物質は、住民の身体を蝕み続けている。 (フライデー 2013年4月 日号より抜粋)
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泊原発 冬前再稼働 早期申請の意向 北電副社長
 北海道電力の石井孝久副社長は11日、東京都内で記者会見し、停止が続く泊原発(北海道泊村)に関し、「(次の)冬前までには再稼働を目指したい」との考えを示した。 「(7パーセントの節電目標を設定した)今年の冬のように不安感を持った需給状況では道民は大変だ」と、再稼働の必要性を強調した。
 原子力規制委員会は原発の新規制基準を7月に施行する。石井副社長は「施行された次の日に申請書類を出したいという気持ちで準備している」と説明した。また、規制委の体制では1度に3原発しか審査できないとみられ、石井副社長は「もっと数を増やしていただきたいという気持ちはある」と指摘。(後略) (4月12日毎日新聞より抜粋)

「 たんぽぽ舎」より
〒101-0061 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797
HP  http://www.tanpoposya.net/

2013年4月15日月曜日

事故が起きても責任を取らない日本の原発輸出の倫理を問う

事故が起きても責任を取らない日本の原発輸出の倫理を問う

・中東2国と原子力協定 5月首相訪問で調印
 政府は13日、日本の原発輸出を可能にする原子力協定をトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)の両国とそれぞれ締結する方針を固めた。近く閣議決定する。5月上旬の大型連休中に安倍晋三首相が両国を訪れた際、個別に調印式を行う。政府関係者が明らかにした。

 安倍政権は成長戦略の柱にインフラ輸出を据えており、首相自ら協定調印に乗り出すことで国際原子力ビジネスを推進する政権の姿勢をアピールする狙い。調印後、発効には国会の承認が必要となる。政府は秋に見込む臨時国会に承認案を提出する考え。東京電力福島第1原発事故以来、原発輸出への慎重論は根強く、野党の一部は反発しそうだ。(共同)

原発輸出:日本国内では慎重なのに……疑問残る官民推進
「・・・・。 日本は00年代半ば以後、国を挙げて原発プラント輸出を目指してきた。日本原子力産業協会によると、既に原発を運用している国では、イギリスで日立製作所が現地の原発事業会社を買収してウィルファ、オールドベリー両原発の建設を決め、フィンランドでは東芝ハンヒキビ原発建設の優先交渉権を獲得している。
 新規に原発を導入する国では、ベトナムのほか、トルコで今月初め、三菱重工業とアレバ(仏)の合弁企業が、黒海沿岸のシノップ原発の受注で同国政府と大筋合意した。
 リトアニア、ヨルダンでも受注に向けた本格的な動きがある。リトアニアでは日立が原発建設の受注を予定していたが、昨年10月の建設の是非を問う国民投票で反対が多数に上り、先行きは不透明になっている。

 新規導入国では、日本が建設だけでなく運営管理、人材育成、燃料調達の面倒も見る「パッケージ型インフラ」の原発輸出となりそうだ。価格は1基6000億円ともされ、パッケージ型輸出となるとさらに巨額の取引となるが、問題は山積している。
 原発輸出に反対するNPO法人「『環境・持続社会』研究センター」理事の田辺有輝さん(33)は、ヨルダンを例に新規導入国への原発輸出を批判する。

 「ヨルダンの予定地は砂漠同様の乾燥地帯にあり、水不足が深刻です。下水処理場の処理水を原発の冷却水に使う考えですが、地震で水が途絶えた時にどこから給水するのか。テロの多い国であることも懸念されますし、80万人都市がわずか15キロと近くにあるほか、首都アンマンからも約40キロ。どう見ても立地条件はひどい。新規導入国は途上国が多く、原発建設計画からして問題が多数ある」。
 トルコは地震の多い国で、田辺さんは「国民に原発建設に反対する声が根強い」という。・・・。

 国際環境NGO「FoE ジャパン」理事の満田夏花(みつたかんな)さん(45)は「そこまでして、なぜ原発を売り込まなければならないのでしょうか。原発輸出は国の支援がないと成立しないのではと疑わざるを得ない。また、日本でも未解決の放射性廃棄物の処分問題を、相手国がどう解決するのか見えていません」と疑問を投げかける。

 原発事故が起きた場合の日本の責任はどうなるのか。
 経済産業省原子力政策課では「建設する国が安全を確保しなくてはいけない。日本としては必要な協力はするが、事故時の賠償責任はその国の法律に基づき電力事業者が負うのが原則だ」とする。
 だが、満田さんは「事故が起きたら相手国の人々から責任を追及されるに決まっています。福島原発事故の原因究明がまだ終わっていない段階、つまり原発の安全確認が十分できずにいるのに輸出しようとしている点にも問題があります」。

 伊藤さんは途上国の内情をよく研究して事業に加わるか否かを決定すべきだと警告する。「必ずしも民主的な国家運営がなされている国ばかりではありません。相手国政府の言いなりになって事業を進めると、実はその国の人々に多大な犠牲を強いる政策に加担することがあります。それは、長い目で見ると両国関係に大きな悪影響を及ぼします」

 アベノミクスを支える3本目の矢・成長戦略で、安倍晋三首相は3月13日「最先端のインフラシステム輸出の後押しは重要な柱だ」と強調した。2月に茂木敏充経産相がサウジアラビアと原子力協力の協議で合意しており、原発輸出の促進は明らかだろう。 国内向けには慎重な顔をして、原発輸出は推進一辺倒ではとても誠実とは言えまい。
・・・

原子力学会:「発言をちゅうちょ」 歴代幹部アンケート (毎日 2013年03月27日より)
 「電力会社に遠慮があった」「異議を唱えると原子力反対派と見られる」。
 東京電力福島第1原発事故を受け、日本原子力学会は27日、歴代幹部に実施したアンケート調査の結果を公表した。原発の安全性に疑念を抱きながら発言を避けてきた専門家の意識の一端が明らかになった。
 調査は、学会の事故調査委員会が2月に実施。歴代会長ら289人を対象に、事故を防げなかった要因などを自由記述で質問し、101人から回答を得た。
 事故の直接原因では、津波の軽視や過酷事故対策の不備が挙がった。
 背景として「チェルノブイリ原発事故(86年)などから学ぶべきだったが、別世界の出来事と扱われた」「日本の原発は安全との思い込みがあった」など、自らを過信していた姿勢が浮かんだ。

 一方で、「日本の原発が外国より危険と勇気を持って直言すべきだった」
安全性への言及は自己の足元を崩すという認識(!!!)があった」と自戒し、「原子力ムラ」の論理で黙認した姿勢を問題視した意見もあった。さらに、「学会の役割は研究成果を出すことで、(安全の)実現は違うと考えていた」「反対派が指摘する問題を科学的に議論する姿勢に欠けていた」との意見も寄せられた。
 分析した佐田務・日本原子力研究開発機構主幹は「比較的自由な議論ができる学会で、発言をちゅうちょせざるを得ない雰囲気があったことは大きな反省点」と話す。【西川拓】

◇調査に寄せられた主な意見
・各事業者は考え得る対策をしていると、深く考えず思っていた
・電力会社が強い力を持っていて、意見できない雰囲気や風土であった
・事業者は(規制への対応で)疲れ果て、学会は寝た子を起こすような余計なことは言わないでほしいという雰囲気があった

・専門領域の縦割りが進み、地震や津波の規模、その頻度については当該分野の見解を見守る姿勢だった
軽水炉はほとんど完成した技術で、もはや研究対象ではないかのような雰囲気(!!)があった
・電力会社にも安全性への研究を歓迎しない雰囲気があった
・疑問があれば口にして、得心するだけの言動を常に行うべきだった
・学会の影響力は、国や電力・産業界を動かすほど大きくはない
・・・

〈続・原子力規制庁の正体〉

・東電から研究費425万円 福島事故検証チームの教授
 東京電力福島第1原発事故の原因を検証する原子力規制委員会の検討会に参加する
奈良林直(ならばやし・ただし)北海道大教授が、東電から2010年度に研究費425万円を受け取っていたと規制委が12日までに公表した。 規制委事務局の原子力規制庁は
「検討会は技術的見地から事故原因を明らかにするのが目的。奈良林教授は原子炉に詳しく、ルールに従い受け取りを公表した上で議論に参加してもらう」としている。
 
 研究費は「試験装置、スパコン使用料」の名目。他に敦賀原発を所有する日本原子力発電から10年度に寄付金45万円、原発用の燃料を製造する原子燃料工業から研究費27万円を受け取っていた。 (共同)

原発新基準「5年猶予にNO」~市民が抗議  ourplanet 04/03/2013
 原子力規制委員会が原発再稼働の前提となる「新規制基準」導入に関して、一部5年間の猶予期間を設ける方針を示したことに対し3日、市民が東京・六本木の原子力規制庁前に集まり「5年猶予は認めない!」と抗議行動を行った。
 
 原発の「新規制基準」は、東京電力福島第1原発事故を受けて、既存の規制基準では不十分であるとの教訓から、原子力規制委員会がより厳しい基準を策定し、7月の施行に向けて議論を重ねている。施行後は、既存の全ての原発に適用させ、基準に達しない原発は、電力会社が改修計画をたて、原子力規制委員会の審査を経て改修工事をし、その後さらに審査を行う再稼働の前提となるもの。基準を満たすには、数年がかかると見込まれていた。

 ところが原子力規制委員会は3月19日に、シビアアクシデント対策について、特定安全施設や恒設のポンプなど、設置に時間がかかる設備については、五年の猶予期間を設けるとの方針を示した。また、関西電力大飯原発3、4号機については、9月予定の定期検査終了までは、「新規制基準」を適用させずに運転を継続させる方針を示した。

 今回、抗議行動を呼びかけたのは、市民や原発の設計技術者などがメンバーの原子力規制を監視する市民の会。集まった人々は規制庁の前で「5年猶予は認めない!」と訴えた。
 この日世田谷からかけつけた七戸わこさんは、原子力規制委員会の委員が国会の同意を得ないまま首相権限で任命されたことに不信を抱き、発足から委員会の傍聴を続けている。
 「委員の5人がどんな仕事をするのか、傍聴してきたが、発足から6ヶ月が経ち本質があらわになってきている。猶予を認めるということは、福島の原発事故から何も学んでいないということ」と危機感を強めた。 原子力規制を監視する市民の会の阪上武さんは、「5年猶予は明らかに電力会社の都合に合わせている。再稼動を促すようなもの。原子力規制委員会は、規制当局として一線を越えようとしている」と批判した。

関連サイト
原子力規制委員会 http://www.nsr.go.jp/
原子力規制を監視する市民の会 http://kiseikanshishimin.jimdo.com


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
原子力規制庁の正体 」(2012, 3/22)
 〈原子力科学と原発推進機関としての原子力規制庁
 原子力規制庁の正体を見破るためには、設置法の条文を分析する必要がある。はたしてこれが「3・11」以前の日本の原子力行政の問題点を抜本的に総括し、その克服を実現する機関になるかどうか。つまりは、原子力規制庁が何のために存在するのか、機関としての理念と存在理由の問題である。
 
 内閣官房に「国会提出法案」一覧がある。その1月31日付のものをみると、原子力規制庁の設置法案を含む「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」がある。

 これらの「法律案」をよく読むと、原子力規制庁が新たに設置されようがしまいが、現行の原子力行政の体制と何らの変わり映えもないことがわかる。なぜなら、原子力安全委員会に代わって設置される「原子力安全調査委員会」なるものに与えられている法的権限が、現在の原子力安全委員会とまったく同じだからだ。
 強調しなければならないが、原子力規制庁を判断するときの基準は、内閣、官僚機構、電力企業に対する「独立性」にあるのではない。原子力規制庁=原子力安全調査委員会がこれらに対して行使しうる法的権限にある。・・・。

 要するに、レベル7の福島「原子力緊急事態」の廃墟の中から生まれ、二度と同じ「事態」をくり返さないため、と称して設置される原子力規制庁の「原子力安全調査委員会」なるものは、現行の原子力安全委員会に政府の「事故調」を足したような組織に過ぎないのである。

 これでは、「3・11」をくり返さない既存の原発の「安全・安心」など保障できるはずがない。ただ、「一元化」の名の元に、安全・保安院と文科省の「原子力ムラ」が、何の責任も問われぬまま規制庁に引っ越すだけの話である。そんな「引っ越し」に血税を費やす必要などまったくないと言わねばならないだろう。
  私の「提言」としては、
①安全・保安院を含む経産省・文科省を筆頭とした官僚機構内の「原子力ムラ」の大体な行革を断行し、
②現原子力委員会と安全委員会に、上に述べた法的権限を与えるよう両者の設置法を改定する。
③どうしても原子力規制庁を作ると言うなら、「原子力安全調査委員会」に同等の法的権限を与える。
 この三点抜きに、レベル7のメルトダウン→メルトスルーの「事態」を必然的に招いた「戦後」の「原子力行政」の抜本的総括などありえないのである。

【参考資料】
●「原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案」
概要要綱
●「原子力安全調査委員会設置法案」(概要要綱)」

2013年4月13日土曜日

オスプレイの「安全神話」? ~このまま、なし崩し的に「本土低空飛行訓練」を許してよいのか(2)

オスプレイの「安全神話」? ~このまま、なし崩し的に「本土低空飛行訓練」を許してよいのか(2)

・オスプレイ:配備後、普天間騒音15%増 返還合意から17年
【宜野湾】 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが米軍普天間飛行場に配備された昨年10月から今年3月末までの半年間、宜野湾市上大謝名地区で同飛行場から派生する航空機騒音が9344回発生し、前年同期比で14・8%(1206回)増だったことが県と宜野湾市の騒音測定で分かった。
 1996年に日米両政府が普天間飛行場の返還を合意し12日で17年の節目を迎えたが、オスプレイの配備で基地被害が増加している実態が浮き彫りとなった。

 上大謝名地区で2012年度全体の騒音発生回数は、オスプレイ配備前にCH46ヘリコプターの解体作業で配備機数が減っていたことなどから、前年を下回った。だが、オスプレイ配備後は騒音が顕著に増加している。さらに100デシベル以上の騒音をもたらすジェット機の飛来が相次いだことも、増加の要因とみられる。

 同飛行場を離着陸する米軍機による騒音を把握するため3月に騒音測定器を設置した北中城村では、飛行ルート直下に位置する同村大城や荻道で90デシベル前後の騒音を連日記録した。オスプレイが北部訓練場に向かう経路に近い沖縄市の東部地区でも、航空機騒音への市民からの苦情が08年の3件に対して、12年は29件で年々増加傾向を示すなど、同飛行場から派生する騒音被害が近隣市町村にも広がっている。

 一方、5日に日米合意した嘉手納より南の米軍施設・区域の返還計画で、普天間飛行場の返還期日が記された。政府は沖縄の基地負担軽減の成果を強調するが、米国防総省は14会計年度(13年10月〜14年9月)の予算案で同飛行場の滑走路補修費を計上した。
 返還合意から17年を経たが普天間固定化の懸念は高まり、オスプレイ配備で基地被害は増加、危険性も一層高まっている。(毎日

オスプレイ低空訓練、105市町村「説明ない」
 米軍の新型輸送機「MV22オスプレイ」の沖縄配備を巡り、NPO法人「ピースデポ」(横浜市)は9日、オスプレイの低空飛行訓練について、全国の105市町村が国から説明や資料提供を受けていなかった、とするアンケート結果を公表した。

 アンケートは昨年10月末から今年2月下旬の間、オスプレイの本土訓練ルートを中心とする27道県と199市町村に行い、21道県と153市町村が回答。オスプレイの低空飛行訓練について「国から説明や資料提供を受けたか」という質問には、105市町村が「ない」と答え、「説明を受けた」などと回答した37市町村を大幅に上回ったという。 これについて、防衛省は「米軍から得た情報は全て都道府県に連絡している。個別に問い合わせがあった市町村にも情報提供をしている」と説明している。(読売 4月9日)

名護市、オスプレイ訓練データ公表
 稲嶺進名護市長は(4月)8日の定例会見で、オスプレイの訓練が始まった昨年10月以降の飛行訓練図と、訓練実施日の航空機騒音データを公表した。稲嶺市長は「現実としては全く日米合意が守られていない。米軍の都合で訓練が行われている」と現状を訴えた。
 訓練図は職員による目視や周辺住民らへの聞き取りを基に作成。日米合意で「可能な限り避ける」とされている学校や集落上空の飛行、ヘリモードでの旋回などが確認された。

 オスプレイに限らない航空機の騒音データでは、測定している久志、豊原、辺野古、許田、幸喜の各地点で80デシベル以上の騒音を多数観測。同11月6日に辺野古コミュニティーセンターで90・9デシベル、ことし3月14日に許田コミュニティーセンターで90・1デシベルを記録した。
 また、米軍嘉手納基地より南の施設・区域の統合計画で普天間飛行場の返還条件に辺野古移設が明記されたことについて、稲嶺市長は
 「世界一危険だといわれている普天間飛行場を返還する、閉めるというのが原点。辺野古が駄目なら、そのまま居座るというのは道理に合わない」と批判。
 「危険性の除去が返還の大きな義務だった。最初に辺野古、県内移設の話はなく、後から出てきた」と指摘し、危険性除去の原点に戻るよう求めた。(沖縄タイムス)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「オスプレイの「安全神話」? ~このまま、なし崩し的に「本土低空飛行訓練」を許してよいのか」(3/6)

・・・
国、県民要求を無視 県内移設へ強硬姿勢
 米軍普天間飛行場の5~7年以内の返還を掲げた日米合意から17年の節目を迎えた。
 この間、政府は県内移設反対の県民世論を一顧だにせず、普天間周辺住民の基地被害に目を伏せたまま、県内移設をごり押しする姿勢を崩していない。住民の声に耳を傾けないまま政治的な解決を図ろうとする政府の姿勢には、原点だった「普天間飛行場の早期の危険性除去」の視点が欠如している。

 普天間飛行場返還をめぐる出発点は1988年4月20日、県が普天間飛行場の全面返還を含む米軍施設・区域の返還を米国に要請したことだった。あれから25年がたち、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故など重大事故が発生したが、日本政府は事故・事件があるたびに「米側に申し入れる」と述べるにとどめ、自由に沖縄の空を飛び回る米軍機の規制すらできていない

 昨年10月の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの普天間配備後は県内全域に訓練が広がり、基地被害に拍車も掛かりつつある。米軍の活動を最優先し、基地被害の改善に向き合ってこなかった政府の姿勢が、県民に過重な基地負担を「本土との差別だ」と意識させ、保革一致で県内移設反対の方向性が定まってきた。

 嘉手納より南の返還・統合計画で普天間飛行場の返還は「2022年またはその後」と明記され、少なくとも9年間は固定化されることが明らかとなった。
 同計画について仲井真弘多知事は普天間飛行場の代替施設は「県外の方が早い」として、固定化回避のためにも、遊休化している県外の別の飛行場への移設を求めている。一方の政府は辺野古移設を推進するが、沖縄への新たな基地建設が軍事的になぜ必要なのか、県民が納得のいく説明はしていない。
 政府は3月22日に辺野古移設に向けた埋め立て承認申請書を県に提出した。普天間をめぐる国と沖縄の攻防は正念場を迎えたと言える。知事の埋め立て承認の判断に注目が集まる中、政府の強硬姿勢の打開に向け、県民の声を届ける作業が今後も重要となる。(琉球新報 4/12 池田哲平)

本紙世論調査:移設反対くっきり 高いハードル
 世論調査は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設へ向けた政府の県への埋め立て申請直後に行われた。普天間飛行場の辺野古移設への反対は74・7%(賛成15%)に達し、昨年5月の世論調査と比べ約8ポイント増加。注目されるのは辺野古移設に賛成する人の中でも22・9%が、埋め立て申請した政府の姿勢を「評価しない」と回答したことだ。漁協など一部利害関係者への説得を最優先する一方で、拙速な手続きは容認層の反発も招いている。

 名護市民に限っても、辺野古移設に賛成する人は県平均をわずかに上回るものの18・8%(反対72・9%)にすぎず、地元の理解を得ているとは到底言えない状況だ。埋め立て申請の仲井真弘多知事の対応については、「拒否すべきだ」と考える人が全県で77・3%、名護市民も76・6%と、ほとんど変わらなかった。

 来年1月にも実施される名護市長選挙で、辺野古移設容認派が支持を広げるには厳しい環境だ。知事が埋め立て申請を承認する政治的な大前提は、現時点では整いそうにない。
 宮古・八重山では辺野古移設に賛成が21・6%と最も多かった。米軍基地から派生する被害を身近に感じない一方、尖閣諸島の領有権問題で自衛隊強化を求める声が高まるなど保守化が進み、米軍への理解が一定進んでいる可能性がある。

 今回の調査で特徴的なのは米軍基地の全面撤去が49・3%で、縮小の39・3%を大きく上回ったことだ。2012年5月の世論調査では縮小が49%で、全面撤去は37%だったが、1年足らずで逆転した。本土復帰後、全面返還の声よりも段階的な縮小を求める声が強くなっていたが、県民の米軍基地へ意識の潮流が、変わりつつあるようだ。
 昨年10月、普天間飛行場へのオスプレイ配備以後、住民の安全を担保するはずの飛行ルールの日米合意がいとも簡単に破られた。日米地位協定の壁に阻まれ国内法が適用されない米軍基地や後を絶たない米兵犯罪への県民の視線は、厳しさを増している。そして、それを許す日本政府へも県民の怒りが向けられている。(沖縄タイムス 4/12 政経部・知念清張)

オスプレイ日本配備と東南アジアの叛乱鎮圧作戦

オスプレイ日本配備と東南アジアの叛乱鎮圧作戦

・オスプレイ、米比合同演習参加=沖縄拠点展開、有事即応-米海兵隊
 在沖縄米海兵隊は4月上旬からフィリピンで始まった、米比合同演習に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)配備の海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイを派遣した。

 オスプレイは今年1月にフィリピンで低空飛行訓練を行い、2月にはタイで行われた多国間合同軍事演習「コブラゴールド」にも参加した。沖縄を拠点にした長距離展開能力を高め、朝鮮半島有事や東南アジアでの紛争に備え、在沖縄海兵隊の即応体制を強化する狙いがある。(時事 2013/04/12)

軍事演習「コブラゴールド」オスプレイ タイでの訓練にも
 アメリカとタイが共催する多国間軍事演習「コブラゴールド」に2013年、普天間基地所属のオスプレイが初めて参加しています。 東南アジア最大級の多国間軍事演習「コブラゴールド」は1982年から毎年行われていて、2013年はアメリカとタイに加え、日本、韓国、シンガポールなど、7ヵ国から1万2000人以上が参加しています。
 タイ・チョンブリ県の海岸で行われた空と海からの攻撃による強襲上陸作戦を想定した訓練に、普天間基地所属のオスプレイが参加しました。訓練中、オスプレイが姿を見せたのは一度だけで、固定翼モードの水平飛行で上空を猛スピードで通過していきました。
コブラゴールドは21日までの予定で、17日には有事の際に現地から日本人を脱出させる訓練などが予定されています。(琉球朝日放送 2/14)

【参考サイト】
→「多国間共同訓練コブラ・ゴールド13」(防衛省 統合幕僚監部)
  「目的      多国間共同訓練コブラ・ゴールド13に参加して、自衛隊の国際平和協力活動及び在外邦人等輸送に係る統合運用能力の向上等を図る」
→「深南部(タイ)」wikipedia
→「タイ南部の分離独立運動
 タイ南部パタニ県周辺は14〜19世紀にかけ、マレー系王朝で最も早くイスラム化したとされる「パタニ王国」が統治。こうした歴史を背景に南部ではイスラム教徒10+件のマレー系住民らが分離独立運動を展開してきた。武装勢力は80年代にいったん壊滅状態となったが、04年に再び活発化、これまで5000人以上が襲撃や爆弾テロで犠牲となった。武装勢力には複数のグループが存在するが、指導部の構成など実態は不明だ。(毎日)

・・・
フィリピン武装勢力、マレーシア東部に上陸(新紛争地図)
  マレーシア東部のサバ州を巡る領有権争いが再燃している。きっかけは中世以降栄えた「スールー王国」の末裔(まつえい)を称するフィリピン人が領有権を訴えて突如上陸したことだ。マレーシア軍との銃撃戦で60人が死亡。友好関係を優先して棚上げしていた領有権問題に思わぬ形で火が付き、好調な比経済のリスク要因に浮上している。
 3月下旬。比外務省は「サバ州についてマレーシアの主権を認める表現や発言をしないように」と全省庁に通達した。比はかつてサバ州の領有権を主張していたが、1980年代に事実上放棄。それを覆すような通達を出したのは、イスラム系比人がサバ州で多数死亡したことが背景にある。

 「スールー王国軍」を名乗る武装勢力ら約200人がサバ州に上陸したのは2月中旬。かつて比南部やサバ州などを支配したスールー王国のスルタン(王)の子孫、キラム3世らが「マレーシアは我々にサバ州の租借料を毎年支払っている」として領有権の正当性を訴えた。「不法占拠」された格好のマレーシア側は軍による掃討に動いた。
 スールー側が突如兵を挙げたのは、比政府と反政府組織「モロ・イスラム解放戦線(MILF)」が昨年、和平の枠組み合意に達したことが遠因。和平交渉の中で、同じイスラム系住民であるスールーへの言及がなかったことに反発した。

 マレーシアは比政府とMILFの和平交渉の仲介国。懸念されるのは比政府が最優先課題とするミンダナオ和平への影響だ。南部ミンダナオ島は政府とMILFとの紛争で開発が遅れており、和平達成により開発と経済発展が一気に進むことが期待されている。それだけに、和平が頓挫すれば比政府の成長戦略が大幅に狂うことになる。
 サバ州は、15~19世紀のスールー王国による支配の後、英国保護領北ボルネオを経てマレーシア領になった。地理的には比南部のタウィタウィ州から50キロ程度しか離れておらず、いまも80万人のフィリピン人が暮らす。長い歴史の中で線引きしきれなかった領有権問題が、「王国末裔」の反乱により明るみに出た形だ。・・・。」(日経 マニラ=佐竹実)

・マレーシア、比武装集団の不法上陸に苦慮 総選挙控え収拾急ぐ
  マレーシア政府が、東部のサバ州に不法上陸しているフィリピンのイスラム系武装勢力への対応に苦慮している。マレーシア軍は(3月)5日に掃討作戦を開始、これまでの衝突で少なくとも19人が死亡した。マレーシアは4月に総選挙を控え、撤退を拒否する武装勢力に弱腰にはなれない。領有権の棚上げも遠因のため、フィリピンとの外交問題に発展する懸念もある。
 「スールー王国軍」を名乗る武装勢力ら約200人は2月中旬、サバ州に上陸。マレーシア軍は3週間たった5日、武装勢力の掃討に動いた。これまでマレーシアの警官8人と武装勢力側の11人が死亡した。
 ナジブ首相は「平和的解決を目指す」として警官隊を派遣したが、犠牲者は拡大。政権重鎮のムスタパ通産相は5日、「混乱の拡大でサバ州民は怒っている」と掃討作戦の理由を説明した。・・・。」(日経 マニラ=佐竹実)

→「モロ・イスラム解放戦線(MILF)和平交渉団の来日」(外務省 3月11日)
【参考】ミンダナオ和平問題について
(1)フィリピン政府とミンダナオを拠点とするモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平プロセスは,約40年にわたる武力衝突を経て,2003年の停戦合意,2004年からの国際監視団(IMT:International Monitoring Team)の活動により進展。
 2008年8月,懸案の土地問題の解決をめぐる国内調整に失敗して武力衝突が再燃したが,2010年2月に和平交渉が再開された。2011年8月には、アキノ大統領とムラドMILF議長とのトップ同士による会談が成田で行われたことを契機として和平交渉が進展し、2012年10月、フィリピン政府とMILFとはミンダナオ和平に関する「枠組み合意」に署名するに至り、2016年にバンサモロ自治政府を創設することで一致した。

(2)日本政府は,ミンダナオ和平がアジアの平和及び繁栄に不可欠であるとの認識の下,IMT社会経済開発部門への開発専門家派遣,元紛争地域における経済協力の集中的実施,和平交渉にオブザーバー参加して助言を行う国際コンタクト・グループ(International Contact Group:ICG)への参加等を通じ,ミンダナオ和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発に貢献してきている。特に,我が国支援案件の総称「J-BIRD(Japan-Bangsamoro Initiative for Reconstruction and Development)」(※Bangsamoroはミンダナオのイスラム教徒を指す。)は,ミンダナオの住民の間でも広く知られている。
→「ミンダナオ新自治政府の円滑な発足に向けて(フィリピン)-「バンサモロ移行委員会」メンバーらが来日-4月1日」(JICA)

2013年4月11日木曜日

テントを撤去するな!テント日誌号外

テントを撤去するな! テント日誌号外

国から、経産省前テント撤去の裁判がおこされました。
テントひろば場は徹底的に闘うことを決めています。
名指しされた2名による反撃は勿論のこと、全国に呼びかけ、テントに関わる者皆で反撃に立ち上がることにしました。
4月12日(金)経産省前抗議行動(17時より)を皮切りに闘いを開始します。ご参加下さい。

<行動計画>
4月10日 記者会見 13時 テント前(終了)
       12日 14時―バリカー撤去申し入れ行動         
       17時― 提訴を撤回しろ! 経産省前抗議集会 
 
5月初旬  我々の側から反撃の裁判を起こす。
                    同日、“脱原発テントと民主主義を守る集い”(仮称)を行う 。
 
5月23日 明け渡し訴訟、第1回裁判。
                    同日、全国結集で“怒りの地裁前大集会”(仮称)を行う 。

◆抗議の集団ハンスト(4月後半)を行う。
◆広汎な人々による守る会(仮称)つくりを行う。
◆4・12経産省前抗議集会を皮切りにテント撤去反対のキャンペーンを開始する。
◆テントを撤去するな!抗議葉書(たんぽぽ舎)運動を広げる。

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国の提訴で脱原発団体が会見 福島の避難者「テント守って」
 経済産業省前でテントを張っている脱原発グループのメンバーは10日、テント前の路上で記者会見し、国が立ち退きを求めて提訴したことについて「脱原発の声を上げる場所は必要だ」とあらためて法廷で争う考えを表明した。福島県からの避難者も参加し「テントを守って」と訴えた。

 被告となっている淵上太郎さん(70)は「テントは脱原発を願うみんなの心の支え。土地の所有権だけを理由にたたき出してよいのか」と憤り、大口昭彦弁護士は「反訴のほか、国を相手に原発政策を問う訴訟も起こしたい」と述べた。(共同)
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テント日誌4月12日(金)-経産省前テントひろば579日目
「バリカー(鎖)撤去の申し入れに経産省が不誠実な対応」とテント明け渡し訴訟を撤去せよの抗議集会(Toku-san)

 4月12日(金)15時~経産省に対して、テントひろばに設置されているバリカー撤去の申し入れを行い、17時~経産省正門前で、テントひろばに対する提訴の取り下げを求める抗議集会を開催しました。
 15時~バリカー撤去の申し入れは、事前に情報をつかんだ経産省から、当日の朝に「受け取らない」旨の連絡が入っていたので、急遽「請願」という形に変更して行うことになりました。15時にテントにいらした15名程度の方と弁護士の方で経産省に申し入れに行きましたが、正門のところで、警備担当の職員の方に止められ、担当者が出てくる迄、待たされました。(中略)

 経産省の中では、請願の主旨と内容についての説明を行った上で、経産省の担当者に対し、請願書を手渡し、「原発事故、バリカーの問題、本日の対応の問題は、経産省の体質的な「上から目線」に繋がっていて、その点について反省して欲しい。きちんと経産大臣に伝えて欲しい」と伝えたところ、担当者からは、「上司には伝える。その後はわかりません」と言われたという事です。(中略)
 このバリカーは、約1000人のヒューマンチェーンで経産省を包囲した2011年11月11日の翌日の12日に経産省が設置し、それ以来ずっと張られていますが、今まで多くの人が足をとられ、転倒しています。転んだ際に骨折する事や、打ちどころが悪ければ、命に関わる事態にもなりかねません。一刻も早く撤去する事を望みます。

 17時~経産省正門前で、テントひろばへの訴訟に抗議をし、訴訟の取り下げを求めるための抗議集会「経産省によるテント明け渡し訴訟を撤去せよ!」が開催されました。
 冒頭の淵上さんからの挨拶に引き続き、鎌田慧さん、長谷川弁護士、原発いらない福島の女たちの黒田さん・椎名さん、双葉町から避難された亀屋さん、原発いらない全国の女たちの木村結さん、原発民主法廷事務局の矢野さん、東海村村議の相沢さん、たんぽぽ舎の横田朔子さんがアピールし、国の原子力政策に対する批判、テントひろば存続の意義などを訴えました。(中略)

 当日の記事・映像は、以下でご確認下さい。
<請願書提出>
・UPLAN 20130412 UPLAN 危険な鎖撤去の請願と経産省の非礼な対応    
http://www.youtube.com/watch?v=iWmCeOzzI3Y
 ・IWJ 2013/04/12 経産省前テントひろば有志、テント使用に関する請願書提出―経産省前テントひろば 経産省に対する申し入れ
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/73709
<抗議集会>
・UPLAN 20130412 UPLAN 脱原発テントといのちを守る闘いへ 経産省前       http://www.youtube.com/watch?v=lp9HBx9UOUs
・IWJ 2013/04/12 さよなら原発1000万署名運動・鎌田慧氏「今、私たちはこの運動を全面的に支持して、一緒に戦っていく」―経産省前テントひろば 抗議集会   http://iwj.co.jp/wj/open/archives/73717
> ・レイバーネット 写真速報 :国民には 国の間違いを正す権利がある!~鎌田慧さん 経産省前で怒りのアピール
http://www.labornetjp.org/news/2013/0412shasin
・写真報告(shinya) : 経産省抗議と50回目の官邸前抗議行動
http://www.labornetjp.org/news/2013/0412shinya?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

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汚染水、地上タンクへ 東電が福島第一原発で。貯水槽の使用中止
 東京電力福島第一原発内の地下貯水槽から汚染水漏れが相次いだ問題で、東電の広瀬直己社長は10日、地下貯水槽にある汚染水約2万3600トンを地上のタンクに移送する方針を明らかにした。14日に移送を始め、タンクの増設を前倒しして6月初めにも移し終える。広瀬社長は七つの貯水槽の使用中止も表明し、東電の汚染水保管計画は、根底から見直しが迫られる形となった。

■貯水槽の使用中止
 広瀬社長が10日に福島復興本社(楢葉町)で記者会見し、七つの貯水槽の使用継続について「漏水の原因はまだ分からないが、普通に考えれば(使用は)難しい」と述べ、全ての使用を中止し、地上のタンクに移す方針を示した。現在、地下貯水槽1、2、3、4、6号には合わせて2万6600トンの汚染水がある。このうち、汚染レベルが低い海水を保管する4号の3000トンは当面保管を継続するが、将来的に移送する。
 広瀬社長が発表した移送計画では、現在、1、2、3、6号に汚染水が計2万3600トンあり、漏えいが確認された1~3号のうち、1、2号の水7100トンを5月上旬までに、ろ過水タンクなど既存のタンクへ移し替える。5月中に鋼鉄製のタンク19基(一基当たり千トン=計1万9千トン)を増設し、2号からの現在の移送先となっている6号と、3号の水を移す。
 タンクへ移送するまでの間、貯水槽からの汚染水漏えい対策として、既に漏えいが確認された貯水槽では防水シートの間に漏れ出した水を抜き取って貯水槽に戻して拡散を防ぐ。地中や海への漏えいを監視するため、七つの貯水槽周辺や海側の地中に合わせて30カ所の観測用の穴を設ける。

 ただ、大量の汚染水を移送する際の水漏れの可能性など、リスクは拭い切れない。
 東電によると、移送には緊急を要するため、金属製ではない耐圧ホースを使う。これまでにも同原発内で水漏れをしたタイプで、万が一、水漏れした場合、土のうを積むなどの対策を取るとしている。
 記者会見で相沢善吾副社長は「輸送中の水漏れは最も大きなリスク」とした上で、「配管の継ぎ手などに注意し、漏水しないよう最大限の注意を払う」と述べた。
 東電は10日、最初の漏えいが確認された2号の移送先の1号でも、三層の防水シートの最も外側にある水漏れ探知用の穴で、微量の放射性物質が検出されたと発表し、土壌への漏えいの可能性が高まった。(福島民報

汚染水移し始めたら、ポンプ配管接続部で漏れる
 東京電力は、福島第一原子力発電所で漏水が発覚した3号地下貯水槽の汚染水を、11日午後2時から6号貯水槽へ移送し始めたところ、ポンプの配管の接続部から汚染水が漏れたと発表した。
  移送開始の3分後に気づき、ポンプを停止したが、放射性物質を含む汚染水は約6平方メートルの範囲にこぼれ、地面に染み込んだ。漏水量は約22リットル
  地下貯水槽は1~7号の七つあり、このうち1、2、3号で漏水している。汚染水を別の貯水槽やタンクに移す作業は、漏水量が多い1、2号を優先し、3号からの移送はこの日に始まった。(読売)

1号機配管そばで高線量を計測 ロボットで調査
 東京電力は9日、福島第1原発1号機原子炉建屋の原子炉格納容器に通じるパーソナルエアロック室を遠隔操作のロボットで調査し、原子炉を冷却する水が通る配管のそばで毎時2100ミリシーベルトという高い放射線量を計測したと発表した。 格納容器に通じる扉や配管に大きな損傷は見つからなかった。
 調査は、格納容器内部を調べる作業場所を確保するため、汚染や破損の状況を確認する狙い。
 パーソナルエアロック室は格納容器と二重扉でつながり、定期検査時に作業員が出入りに使う。扉に目立ったゆがみなどは見つからなかった。 こうした状況を検討し、今後、格納容器内部の調査計画を立てる。(共同)
 ↓
 「格納容器に通じる扉や配管に大きな損傷は見つからなかった。」
 「扉に目立ったゆがみなどは見つからなかった。」
 では、「小さな損傷」や「目立たないゆがみなど」はどうなのか?
 メルトダウン→メルトダウンに3・11の地震が与えた影響を分析・評価するためには、まずは目視で確認できる「損傷」や「ゆがみなど」の分析・評価が不可欠である。東電発表や上のような「報道」では何もわからない。
 証拠が東電によってすべて隠滅・隠蔽されてしまう前に、徹底的な調査・検証が必要である。
 

2013年4月10日水曜日

外国人人権法連絡会主催シンポジウム「2013 外国人の人権はいま」(4/20,東京)

外国人人権法連絡会主催シンポジウム「2013 外国人の人権はいま」(4/20,東京)
○開催趣旨
2012年は「新しい在留管理制度」がスタートし、在日外国人に関わる法制度が抜本的といえ
るほど大きく変わりました。また年末には政権交代があり、前政権のときにイシュー化した国内人権機関の設置や朝鮮高校の無償化除外など積み残しになっている人権課題が多くあり、新政権の下での動向が大変注視されるところです。

2013年も外国人の人権に関連して目白押しの年になりそうです。とくに今年から来年にかけて、国連の社会権規約委員会、自由権規約委員会、人種差別撤廃委員会による日本の人権状況の本審査が行なわれます。

そこで、NGOや外国人当事者らが集まリ、在日外国人にとって2013年はどういう年であるのか
を総論的に取り扱い、情報共有と意見交換を密に行なう場としてシンポジウムを開催すること
にしました。ぜひご出席をお願いいたします。

【開催概要】
●主催:外国人人権法連絡会
●日時:2013年 4月 20日 (土) 午後 2時~5時(開場 1時30分)
●場所:在日本韓国YMCA 9F 2.8記念国際ホール
JR・水道橋駅東口徒歩6分、地下鉄・神保町駅徒歩7分
●資料代:1000円
*「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書2013」(外国人人権法連絡会編)1冊を含みます。

【プログラム】
1. 開会挨拶
渡辺英俊(移住労働者と連帯する全国ネットワーク)

2. テーマ別発題:『2013 年の課題』
○改定入管法は、何をもたらしているか 旗手明(自由人権協会)
○東日本大震災から2 年-外国人被災者は 佐藤信行(外国人被災者支援センター)
○移住労働者/移住者の現状 鳥井一平(全統一労働組合)

○「先進国」日本の入管体制 山口元一(弁護士)
○子どもの教育権 田中宏(一橋大学名誉教授)
○国籍差別の撤廃、権利としての国籍を 金朋央(コリアNGO センター)
○未だ清算されない植民地責任・戦争責任 梁澄子(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動2010)

○ゼノフォビアとヘイトクライム 小森恵(反差別国際運動/ IMADR)
○国際人権基準と国内人権政策との乖離 師岡康子(外国人人権法連絡会運営委員)
3. 質疑応答・全体討論
4. 閉会挨拶 丹羽雅雄(弁護士)

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【お問合せ先】
◆在日韓国人問題研究所(RAIK)
FAX:03-3202-4977 raik.kccj[@]gmail.com
◆移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
TEL:03-5802-6033 smj-office[@]migrants.jp
※メール送信時は[]を外して送信ください。

2013年4月8日月曜日

原発新規制基準の「5年猶予」と大飯原発特別扱いの撤回を求める緊急署名

 ご承知のように、原子力規制委員会は、再稼働に便宜を図り、新規制基準で要求する安全設備のうち、時間がかかる設備に5年の猶予を与えようとしています。 これを、パブコメも無視し、検討チームにもかけずに、委員長私案という独善的なやり方で強引に突破しようとしています。
 同時に、大飯原発については、新規制基準ができてもすぐには適用せず、定検までの運転を許そうとしています。

 福島原発事故が収束しておらず、汚染水一つとっても非常に深刻な状況にあります。
 原因究明は東電の妨害行為もあって進んでいません。
 そんな中で再稼働の準備が、規制当局によって着々と進められるという異常な状況にあります。
 この動きに待ったをかけるためにも、緊急署名にぜひご協力ください!

<今すぐクリック!>
署名フォーム→→→https://fs222.formasp.jp/k282/form1/
携帯はこちらから→https://pro.form-mailer.jp/fms/2ca3de1841079
第一次締め切り分(10日朝6時まで)は、規制委の会合で5年猶予問題が話し合われる10日に提します。<10日は、規制委員会の傍聴の後、署名提出、記者会見、抗議行動を行う予定です>

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原発新規制基準の「5年猶予」と大飯原発特別扱いの撤回を求める緊急署名
地震や津波は待ってはくれない
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/130408.html
一次締め切り:4月10日(水)朝6時
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原子力規制委員会委員長 田中俊一様、委員各位
<要請事項>
一.原発の新規制基準の適用に5年の「猶予期間」を設けるのをやめてください。
一.大飯原発3・4号機を特別扱いせず、新規制基準を即座に適用した上で、停止させる措置をとってください。
一.新規制基準の策定よりも、福島原発事故の収束と原因究明を優先してください。
<要請理由>
原子力規制委員会は、シビアアクシデント(重大事故)対策を盛り込んだ新規制基準について、第二制御室、PWR型原子炉のフィルタ付ベントなどの特定安全施設や恒設のポンプなど、設置に時間がかかる設備については5年の「猶予期間」を設け、こうした設備がなくても再稼働を認めようとしています。地震も津波も5年間待ってくれるとでもいうのでしょうか?

時間がかかる対策について猶予を与えるというのは、安全よりも、電力会社の都合を優先させたものにすぎません。規制当局が率先して原発再稼働に便宜を図るなど、あってはならないことです。
猶予を認めず、すべて再稼働の要件にするべきという要求は、パブリック・コメントでも多数寄せられました。これを検討チームにすらかけず、委員長の私案(注)により独断で決めるのも問題です。

さらに規制委は、同じ文書で、7月に施行予定の新規制基準を運転中の大飯原発3・4号機には適用せず、定期検査まで運転を継続させようとしています。即座に基準を適用すれば、破砕帯調査中の大飯原発は申請すらできないはずです。申請の条件となっている防潮堤の完成予定は来年3月です。大飯原発だけは例外的に運転継続を認めるというのでは、基準を厳しくする意味がありません。

福島原発事故は収束しておらず、汚染水の問題一つをとっても困難な状況が続いています。事故原因については、東電が国会事故調の調査を妨害し、地震による影響については未解明なままです。新規制基準よりもこれらを優先すべきです。

新規制基準の適合に「猶予期間」を設けるのをやめるよう、そして、大飯原発3・4号機を特別扱いせず、即座に適用し、停止させる措置をとるよう求めます。

注)「5年猶予」と大飯原発特別扱いは、3月19日の原子力規制委員会にて、田中俊一委員長の「私案」という形で示されました。
原子力発電所の新規制施行に向けた基本的な方針(私案)」
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h24fy/data/0033_12.pdf

<呼びかけ団体>
原子力規制を監視する市民の会、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)、
国際環境NGO FoE Japan、グリーン・アクション、
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
※本署名の問い合わせ先/署名集約先
福島老朽原発を考える会
阪上 武 090-8116-7155
FAX 03-5225-7214

<参考情報>
※「原発新基準対策5年猶予撤回を」市民団体、規制委に要望(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013032702000117.html
※原発新安全基準「5年猶予撤回を」:原子力規制を監視する市民の会が要請書提出
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-a50f.html
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4月5日付毎日新聞朝刊1面
「原発事故時施設5年猶予~新規制基準 有識者チームが方針」
4月5日付毎日新聞朝刊2面
「規制委長期停止を懸念:原発対応施設猶予」

福島第一「収束」せず、「冷温停止」もせず

福島第一「収束」せず、「冷温停止」もせず

 
 黒川清・元国会事故調査委員会委員長が、今日、福島第一原発の「事故は明らかにまだ収束していない」と発言した。この発言は、当然のことを当然のこととして語ったに過ぎないものだが、「事故」が収束していない最大の根拠は、第一の1~3号機が「冷温停止」しなかったことにある。

 安倍政権は福島第一「事故」が収束していないという事実、未だ日本全体が危機的状況にあるという認識に立ち、国会事故調の「調査報告書」においてつき出された諸点をめぐる、国会での徹底した議論・論戦を本格的に開始すべきである。


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「「冷温停止」で冷却停止? 」(2011, 12/18)
⇒「政府・東電は、なぜ「冷温停止」を急ぐのか? 」 (011, 10/18)

・・・
・福島原発「収束せず」と黒川氏 元事故調委員ら参考人招致 
 衆院の原子力問題調査特別委員会は8日、東京電力福島第1原発事故に関する国会事故調査委員会の黒川清・元委員長(元日本学術会議会長)らを参考人招致した。
 黒川氏は、地下貯水槽から汚染水が漏れた問題やネズミが原因で停電が起きた問題などを念頭に「事故は明らかにまだ収束していない」と強調した。
 国会事故調は昨年7月、調査報告書を衆参両院議長に提出して解散したが、衆院事務局によると、国会として調査についての説明を元委員から直接聞くのは初めて。 また黒川氏は「報告書の内容に(日本が)どう対応していくか、世界が注目している。着実に実行してほしい」と述べた。(共同)

・・・
●「福島原発周辺で「動植物異常」相次ぐ チョウやニホンザルなどに異常、研究者が被曝影響と指摘」(4/3 東洋経済)
 「福島市や全村民が避難を余儀なくされている福島県飯舘村など、福島第一原原子力発電所からの放射性物質で汚染された地域で、動物や植物に異常が多く見られることが研究者による調査で明らかになった。・・・・」

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冷温停止状態を維持 福島第一原発1~4号機
 東京電力は(2月)28日、福島第一原発1~4号機の安定化と廃炉に向けた現状を示した。1~3号機の原子炉の温度は10~30度台の冷温停止状態を維持。1~3号機の放射性セシウム放出量は1時間当たり最大計約1千万ベクレルで事故当初の約8千万分の1に減少するなど、落ち着いた状態(??)にあるとしている。
 原子炉で最も高いのは2号機の格納容器内の31・5度、燃料プールは4号機の19・0度となっている。
 1~3号機の放射性セシウム放出量は、注水により格納容器内の蒸気の発生を抑制することで低減傾向(??)が続いている。敷地境界の被ばく線量は年間0・03ミリシーベルトと評価し(??)、自然放射線による年間線量(日本平均=年間約2・09ミリシーベルト)の約70分の1(??)という。
 万一の事故で原子炉への複数の注水機能が同時に失われた場合でも、3時間程度で注水を再開できるバックアップ設備も確保(??)したとしている。

 建屋地下階に滞留している高濃度の放射性物質を含む汚染水の処理に向けては、建屋への地下水流入を抑制するバイパスや、汚染水中の放射性物質を取り除く「多核種除去設備(ALPS)」の早期整備・稼働(??を目指すとした。(3/1 福島民報

核保有国のダブル・スタンダード

核保有国のダブル・スタンダード IPS コラム=レイ・アチソン】
Feb 14 2011 (IPS)

2月5日、新しい戦略兵器削減条約(START)が発効した。新START は、いかなる時点においても核弾頭の配備数を1550発までに制限する米露間の協定である(旧協定では上限が1700~220 0発)。しかし、協定では核弾頭保有数までは制限していない。現在、米国が8500発、ロシアが1 万1000発保有しているとみられている。

軍備管理や軍縮を求める多くの人々が、新START はひとつの勝利であるとして歓迎した。彼らによれば、条約は軍縮にはそれほど寄与しないが、実際の削減への道を開き、核兵器二大保有国の関係強化に資するという。

しかし、現実には、条約は核軍縮の未来にとって深刻な帰結をもたらしている。オバマ政権は、米上院による条約批准と引き換えに、核兵器とその運搬手段、関連インフラを今後20年にわたって近代化するために1850億ドルを投資することを約束したのである。
同じく、ロシア下院(ドゥーマ)は、新型の戦略攻撃兵器の開発・製造と、戦略的核戦力に必要な研究開発基盤と生産能力の保持・発展にロシア政府が投資を行うという条件付きで、条約を批准した。

2010年5月、ロシアと米国を含む、核不拡散条約(NPT)の全加盟国である189ヶ国が核軍縮と不拡散を進める行動計画に合意した。同計画の「行動1」は、「NPT および『核兵器のない世界』という目的に完全に合致した政策を追求すること」を加盟国に義務づけている。

2005年と2010年には、NPT 上の5つの核兵器保有国(中国、フランス、ロシア、英国、米国―これらは国連安全保障理事会の常任理事国でもある)が、核兵器の完全廃棄を達成するという「明確な約束」をおこなった。軍縮義務は、NPT 第6条に埋め込まれた、条約の主要部分である。第6条はまた、核軍拡競争の終了に向けて交渉を行うよう核兵器保有国に義務づけることによって、核兵器の近代化や投資を終わらせることを義務づけている

こうした法的義務があるにもかかわらず、すべての核兵器保有国は、自国の核兵器および関連施設を今後数十年で近代化する計画に着手するか、あるいはそうした計画を持っている

米国の既存核弾頭の近代化が進行中だが、その目的は、弾頭の耐用年数の延長と、場合によっては新規の能力を追加することにある。核兵器の部品を組み立てるための新規インフラへの投資を増やすことも続けられている。
ロシア政府も、核戦力の三本柱である大陸間弾道ミサイル、潜水艦搭載ミサイル、長距離爆撃機を強化する意向を明らかにしている。
2010年、フランス海軍は、M-51とよばれる潜水艦搭載弾道ミサイルを配備した。2010年代末には、新型弾道が装着されるものとみられる。
英国はトライデント・システム近代化の計画を延期したが、計画事態を廃棄したわけではない。
中国は新型の移動ミサイルと新しいクラスの弾道ミサイル搭載潜水艦を配備している。核弾頭の数も増やしているとされる。

NPT 非加盟国に関して言えば、米国の最新の諜報報告書によると、
パキスタンが最近の数年間で核戦力を強化して弾頭数を90~110発にまで伸ばし、兵器用核分裂物質の生産能力を強化しようとしている。NGO が2010年に推定したところでは、
インドは攻撃的核戦力の三本柱を強化しつづけているだけではなく、弾道ミサイル、弾道ミサイル搭載原潜、さらにおそらくは核巡航ミサイルまでも導入する計画を持っている。
イスラエルの計画についてはわからないことが多い。

こうした核兵器の強化が国際安全保障と核不拡散体制の安定性にもたらす意味合いには、非常に大きなものがある。2010年のNPT 運用検討会議では、核兵器を保有しない大多数の加盟国が、核保有国のダブル・スタンダードを批判した。つまり、核兵器保有国が核不拡散を抑制しようとする一方で、自らの核兵器は強化しようとの姿勢のことである。

多くの核兵器保有国の指導者らが「核兵器なき世界」を追求するといまや口にしはじめたものの、これらの国の予算や政策をみれば、その約束が裏切られているのは明らかである。こうした状況が非核兵器保有国の中に苛立ちと冷笑をうみ、NPT 体制の信頼性に傷をつけているのである。

ノルウェー大使はこのようの警告している。
「核兵器なき世界というものをたんなるビジョンに留めておくことはできない。それは、我々NPT 加盟国が達成しなくてはならない目標なのである」。

核拡散を防止するために核技術にさらに制限をかけようとする西側諸国は、そうした方向性を押し付けることができなかった。なぜなら、非核兵器保有国の大部分は自国の活動に制約がかけられることを拒み、核兵器保有国は核兵器保有国で自国兵器への投資を続け、完全軍縮へのプロセスとスケジュールに合意することを拒んだからである。

核兵器を近代化する計画は、核軍縮実現に向けた短期的見通しに暗い影を投げかけている。一部の政府と大多数の市民社会は核兵器禁止条約(NWC)の交渉を開始させるべく努力を続けているが、核保有国核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議は多国間軍縮協議に加わる用意が当面なさそうである。

しかし、核戦争の危機を取り除こうと思うのならば、永続的な核兵器の脅威を生み出すことをやめるべきである。それが、プロセスの最後ではなく、まず最初に考えられなくてはならないことである。

IPS Japan

※レイ・アチソン氏は、「リーチング・クリティカル・ウィル」の代表。
同プロジェクトは、核軍縮を唱道し核兵器問題の監視を続ける婦人国際平和自由連盟(WILPF)によるもの。アチソン氏は、同プロジェクトによる出版物の編集、および、NGO による論集『軍備管理を超えて―核軍縮への選択と挑戦』の編集にも携わった。


【参考記事】
米の核性能実験 「核なき世界」はどこへ
 
 北朝鮮の地下核実験は許せないのに、自国の核を温存する実験は当然だというのだろうか。
 米国が核兵器の性能を調べるための実験を昨年に2回行っていたと発表した。2010年から通算8回に上る。
 北朝鮮の核開発を断念させようと、国際社会は足並みをそろえている。米国の二重基準は、北朝鮮に正当化の言い訳を与えるようなものだ。国を問わず核実験は、核兵器の開発や維持が目的である。 昨年末には臨界前核実験も実施している。オバマ大統領が掲げた「核兵器なき世界」からますます遠ざかっていると言わざるを得ない。被爆地からも抗議が相次いだ。当然であろう。

 今回の実験はニューメキシコ州の研究所にある「Zマシン」という装置で行われた。少量のプルトニウムに強力なエックス線を当てて核爆発の瞬間に近い高温、高圧状態をつくり、反応を調べるものだ。臨界前核実験を補完する最新の実験である。

 大爆発を伴う臨界には至らない。このため米エネルギー省傘下の核安全保障局(NNSA)は、地下核実験などとは別だと位置付けている。 だがこのような実験ができるのも、米国が地下、地上、水中で千回以上の核爆発を重ね、膨大なデータを蓄積しているからにほかならない。

 これを前例として是認すれば、核開発をあくまで継続しようと考える国がほかにも出かねない。「持てる国」の横暴は決して看過されるべきではない。広島、長崎から粘り強く声を上げる理由でもある。

 NNSAは年に4回、核兵器の維持に関するさまざまな実験の実施回数を発表している。核開発を断念するよう北朝鮮に圧力をかける時期であろうがなかろうが、お構いなしである。一貫した方針に見える。 核兵器廃絶を求める国際世論への配慮よりも、米国内世論へのアピールを優先しているのだろう。Zマシンの実験などが、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を実現させる切り札になるというのだ。

 条約批准の権限を持つ上院では、共和党が「米核戦力の優位性が崩れる」と批准に抵抗している。一方、オバマ政権は「爆発を伴わない実験であれば、いくらでも可能だ」とCTBTの抜け穴を前面に掲げて説得する。8千個近く保有する核弾頭の維持管理にも、膨大な予算を割いている。 国際社会が発効を悲願とする条約が、米国では核実験を温存する根拠に使われる。大いなる矛盾ではないか。

 「核兵器なき世界」の足踏みが、オバマ氏の本気度だけの問題ではないことも示していよう。核兵器に固執する国にどれほど厳しい目が向けられているか。被爆地から米世論に働き掛けることを、さらに心掛けたい。 ところが日本政府の姿勢は、広島、長崎からの訴えに水を差している。菅義偉官房長官はきのう、米国に抗議するつもりはないと明言した。

 米国は、核兵器の維持管理策が「同盟国を安心させるためだ」と繰り返し表明している。責められるべきは米国だけではないだろう。核兵器廃絶を唱えながら、米国の核の傘を求める被爆国のちぐはぐさをも、今回の実験は示してはいないか。(中国新聞社説 3/12

・・・
米、ミサイル実験延期 北朝鮮の「誤解」懸念か
 米国がカリフォルニア州で計画していたミサイル実験を延期する見通しとなったことが7日までに分かった。北朝鮮の「誤解」を招く恐れがあるためとされる。国防総省当局者が匿名を条件に語った。実験は9日に同州のバンデンバーグ空軍基地で実施されることになっていた。
 北朝鮮とは関係のない計画だったが、「最近の朝鮮半島の緊張」を考慮して延期を決めたという。実験を予定していたミサイルの型などは明らかでない。 同当局者はこれを「賢明」な決断だと評価したうえで、
 「米国は近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」と強調した。・・・」(ワシントン(CNN))
 ↓
 「朝鮮民主主義人民共和国は、近いうちに次回の実験を実施し、引き続き断固として核抑止力の維持に努める」・・・。 まったく同じディスコースではないか。

アフガン:NATO空爆で子供ら11人死亡
 「アフガニスタン東部クナル州で6日深夜、北大西洋条約機構(NATO)軍が民家を空爆し、中に立てこもっていた武装勢力8人と、民家にいた子供10人と女性1人が死亡した。ほかに女性5人が負傷した。州政府当局者が7日、明らかにした。
 駐留米軍やNATO軍による空爆でこれまでも多数の民間人の犠牲者が出ているが、一度に10人の子供が死亡するのは異例

 州政府当局者によると、NATO軍とアフガン軍の合同部隊が6日夜、武装勢力の攻撃を受け、激しい戦闘となった。武装勢力が民家に立てこもって中からNATO軍などを銃撃したため、NATO軍が空爆支援を要請した。カルザイ大統領は、アフガン軍にNATO軍の空爆支援要請を禁じている。NATO軍は「民間人の犠牲者が出たことは認識している」(??))としている。・・・」(毎日 ニューデリー杉尾直哉)

2013年4月6日土曜日

朝鮮戦争終結=南北・米中平和条約締結=在韓・在日米軍撤退=北東アジアの〈平和〉

朝鮮戦争終結=南北・米中平和条約締結=在韓・在日米軍撤退=北東アジアの〈平和〉

私の闇の奥」より

寄ってたかって北朝鮮をいじめるな
 我が心まさに折れなんとす。「筆を折る」という言葉は辞書にありますが、「心が折れる」という言葉はないようです。しかし、この表現は私の今の気持にぴったりです。以下の事柄を、私は、一つのはっきりした覚悟を持って書いて行きます。・・・。

 一つの対象について、時間的に長く持続的な関心を持ち続けることで、第一資料ではなく二次的資料、さらには、プロパガンダの嵐に耳を澄ますことからでさえ、物の真相を窺い知ることは出来ます。・・・。

 核兵器は絶対悪であるという立場を私は取ります。したがって、北朝鮮の核兵器実験には絶対反対です。如何なる国の核実験にも核兵器保有にも絶対反対です。しかし、北鮮が核実験をしたことで、世界中が、寄ってたかって北朝鮮を非難攻撃するのを容認することは出来ません。これは、核兵器は絶対悪であるという立場を取る限り、全く必然的な結論であります。特に、アメリカ、ロシア、中国、イスラエル等の核兵器保有国には、それを許しません。

  何の罪もない日本人を拉致して、当人とその家族にひどい苦しみと悲しみを与えたのだから、核実験のことがなくとも、日本が北朝鮮にきびしい制裁を加えるのは当然であるという立場もありえます。しかし、その場合には、日本の側にそれに類似する罪業があれば、等しく非難されるべきであります。・・・。
・・

 私は、「私の闇の奥」さんの上の文章に賛同する。
 しかし、おそらくは多忙過ぎて「私の闇の奥」さんが書き忘れていることがある。
 それは、朝鮮戦争終結=南北・米中平和条約締結=在韓・在日米軍撤退=北東アジアの〈平和〉という朝鮮半島における平和の危機を解く等式である。朝鮮半島の脱核・軍事化は、このプロセスにおいてしかありえない。

 朝鮮戦争を終結させないことによって利益を得るのは誰か? それは、北東アジアに〈平和〉が到来してしまえば己の存在理由が喪失してしまうすべての利害関係者である。

 それは、世界で最も自律した軍事機構である米軍や米国の軍産学複合体、またこの中枢に蔓延る共和党・民主党の政治家のみではないだろう。 
 中国にも韓国にも、日本にも、米国と同様に「己の存在理由が喪失してしまう利害関係者」がいる。 そして、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にも。

 しかし、まずは「プロパガンダの嵐に耳を澄ますこと」をおぼえ、「物の真相を窺い知る」よう、努力を怠らないようにしたい。 

【参考サイト】
Democracy Now!
北朝鮮核武装 新時代に入り 周辺国における戦争戦略の見直しを迫られる米国  
「北朝鮮は米国への核爆弾攻撃をすると脅しをかけています。オバマ政権は米国の最近の行動が挑発的過ぎたために、意図せずして(???)更に深刻な危機を招くことになってしまったのではないか、という控えめな懸念を表明しました。・・・」

・・・
朝鮮戦争終結目指す 南北首脳が共同宣言 (ソウル、平壌 共同 2007, 10/4))
 韓国の盧武鉉大統領と北朝鮮の金正日総書記は4日午後、朝鮮戦争(1950−53年)の終結宣言を目指し、当事国の首脳会談を朝鮮半島で開催するよう呼び掛ける8項目の「南北関係発展と平和繁栄のための宣言」に署名、両政府が発表した。
 北朝鮮核問題解決のために6カ国協議の合意履行に努力するとし、南北の軍事的緊張緩和に向け11月中に国防相会談を開くとしている。日韓の拉致問題への言及はなかった。

  核問題の進展を追い風に、朝鮮戦争の休戦協定に代わる平和体制構築に向け、南北が主導する意思を鮮明にした。南北首脳による宣言は2000年の第1回首脳会談で金大中大統領(当時)と金総書記が署名した「南北共同宣言」以来。
 今回の宣言は、経済協力のための投資拡大やインフラ拡充をうたい、南北艦艇による銃撃戦が起きた黄海に「平和協力特別地帯」をつくり、共同漁業水域を設置する。
・・・

日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構』(中野憲志 新評論)
終章 日米同盟を再考し、日米安保に期限をつけるために

1 極東条項の無効性を問う
朝鮮戦争と極東条項/旧安保条約と新安保条約の決定的違い
極東条項と日本の〈戦後責任〉/南北和解・統一の挫折と極東条項

2 米軍協力としての「国際平和協力」を事業仕分けする
「国際平和協力」とは何か/湾岸戦争と「国際平和協力」/掃海艇のペルシャ湾「派遣」
五五年体制崩壊の序曲/「新世界秩序」の中の自衛隊

3 安保の期限化を国連安保理改革と一体のものとして考える
バンデンバーグ決議、ふたたび/民主党の国連外交、安保理「改革」を問う
「国連は創り直されねばならない」――元国連総会議長の提言
対テロ戦争の「狂気」から覚醒し、世界に「正気」を取り戻す

2013年4月3日水曜日

無人爆撃機(drones)廃絶と武器貿易条約(ATT)を考えるための基礎的情報

無人爆撃機(drones)廃絶と武器貿易条約を考えるための基礎的情報

4/6
・米、三沢に無人偵察機 3月伝達  北ミサイル警戒で暫定配備へ
 「米政府が3月中旬、米軍三沢基地(青森県)に無人偵察機グローバルホークを暫定配備する方針を伝えてきたことが分かった。複数の日本政府高官が5日、明らかにした。日本国内に配備するのは初で、ミサイル発射準備を進める北朝鮮への警戒監視強化が狙い(???)。米側は、伝達してきた時点では6~9月の暫定配備としていたが、4月に入り発射準備が発覚したことで配備を前倒しする可能性もある。

 三沢に暫定配備されるグローバルホークは、グアムのアンダーセン空軍基地に常駐している3機のうちの1機。 同基地を拠点にした通常任務では、太平洋から東シナ海、南シナ海、日本海の広域を飛行。情報収集の対象は中国と北朝鮮の2本柱。中国は周辺国との摩擦を強める海洋活動や海・空軍基地の偵察、北朝鮮に関しては核・ミサイル活動の把握にあたっている。・・・」(産経
・・
 
⇒「オスプレイもグローバルホークもいらない--「排他的経済水域の脱軍事化」をめざして」(2012, 8/7)より。
「・・・。グローバルホークについては、 「防衛計画の大綱」に基づく中期防衛力整備計画(中期防、2011~15年度)において3機の導入がすでに検討されてきた。

 グローバルホークは、搭載装備を含めて1機約5千万ドル(約40億円)で、合計120億円超に上る。税金をむさぼる、非常に高い「買い物」である。司令部機能を持つ地上施設の整備にはさらに数百億円かかると言われているが、「性能とコスト」両面から国産無人機の開発よりも優位に立つとして、自公政権期に検討が始まり、民主党政権がゴーサインを出した格好である。

 日本には安保廃棄→「自主防衛」論者が多くいるはずなのだが、日本の歴代政権は、なぜいとも簡単に国産開発の断念をくり返すのか、また断念の背後には、いったいどのような「密約」が存在するのだろう。
 主要メディア、ジャーナリズムはもっとそちらに関心を向けた方がよいと思うのだが、そうならないところが原子力ムラの「闇」よりも暗い、「日米同盟ムラの闇」の暗闇の所以なのかもしれない。・・・」


4/3
武器貿易条約:国連総会で採択 通常兵器に初規制 (毎日 ニューヨーク草野和彦)
 国連総会は2日、通常兵器が虐殺などに使われることの予防を目指した武器貿易条約(ATT)の採決を行い、賛成154、反対3、棄権23の賛成多数で採択した。
 「年間50万人の命を奪う」と言われながら、核兵器や化学兵器と違い「野放し状態」(国連)だった通常兵器の国際的な取引に、世界共通の法的拘束力を持つ規制が初めて導入されることになる。条約を批准した国が50カ国に達してから90日後に発効する。
 ATTは、通常兵器の非合法市場への流出を防ぎ、戦争犯罪やテロ行為など非人道的な行為を予防するのが目的。対象範囲として、戦車や戦闘機、装甲戦闘車両や攻撃ヘリコプターなど大型兵器7種類と、自動小銃などの小型武器の計8項目を明示。武器取引の可否を判断する際の基準を設けた。

 最も厳格に規制されるのは、国連安全保障理事会決議に基づく禁輸措置違反や、大量虐殺や「人道に対する罪」、民間人の直接攻撃に使われると分かっている場合だ。輸出入だけでなく、通過、積み替え、仲介といった「あらゆる移転」が禁止となる。
 また、国際人道法や国際人権法の重大な違反、テロや国際組織犯罪に関連する協定違反につながる危険性がある場合は、輸出を許可しないことを義務化。武器の非合法市場への流出防止措置をとることも義務とされた。

 焦点の一つで、規制推進派国や国際NGOなどが強い措置を求めていた弾薬の移転は、一定の規制を受けるものの流出防止の対象外となるなど、条約の運用の際に議論となりそうな項目も多い。
 条約への正式参加には各国議会などによる批准が必要。しかし、条約導入に政府は前向きながら(?)、国内に強硬な武器規制反対派を抱える世界最大の武器輸出国・米国で、批准が実現するかどうかには不安定要素がある。
 米国が不参加となれば、ロシアや中国など他の主要武器生産国も消極的になる可能性も出てくる。また、密輸による紛争地への武器供給などを効果的に規制できるかも、今後の運用次第だが、各国の裁量に任されている部分も少なくない。

 ATTを巡る交渉は、英国や日本、オーストラリアなど7カ国が共同提案した06年の国連総会決議を受けて開始。昨年7月の国連会議は時間切れで決裂し、先月28日まで行われた再交渉会議ではイラン、北朝鮮、シリアの3カ国の反対で合意による採択に失敗。多数決で採択できる国連総会に持ち込まれた。

武器貿易条約・識者談話 
◇国際社会の歴史で画期的
 各国が個別の基準で行ってきた武器の輸出規制が、条約により初めて国際的な法の枠で秩序立てて実施されることになる。国際社会の歴史には前例がなく、画期的なものだ。
 武器輸出管理に関する国内法が未整備な国は、条約加盟に合わせ、通常兵器による人道被害や非合法市場への流出を抑制するための国内法を整備することになる。武器の輸出入管理は、それら法整備に伴い、格段に円滑に実施されることになろう(?)。法整備が不十分な開発途上国などにとっては、その進展により軍事的にも人道的にもメリットを感じることができるのではないか(?)。

 条約には問題点も幾つかある。
 一つは規制の対象となる兵器が、紛争現場で多くの人的被害をもたらしている武器と必ずしも重ならない点だ。規制される兵器はある程度、高性能のものが多いが、実際に被害を生んでいるのはそれよりも性能が劣るものが多く、条約はそこをカバーし切れていない。
 また、無人機やサイバー攻撃など、新しい攻撃手段が次々に誕生している中で、規制対象兵器の更新が難しいことも問題と指摘されている。(時事 佐藤丙午・拓殖大教授(国際関係・安全保障)) 
 ↓
 
 武器貿易条約が「前例」がない、その意味では「画期的なもの」と言えなくもないが、上に引用した前半部の「開発途上国」に関する佐藤氏の分析は、あまりに楽観的過ぎると言わざるをえない。
 これまで「開発途上国」の政府が少しでも「人道的」「メリット」を優先させていたなら、「開発途上国」における軍・武装警察による民衆弾圧・人権侵害はもっと少なかったに違いないからだ。 
 「開発途上国」を含むすべての国連加盟国は、武器貿易条約如何にかかわらず、自ら率先し「武器輸出管理に関する国内法」を整備することができるのである。この点を見誤るべきではないだろう。

参考サイト
夏木碧さん(オクスファム・ジャパン)の「武器貿易条約(ATT)関連の速報や資料の紹介用twitterアカウント」
「武器と市民社会」研究会
武器貿易条約(ATT)3月27日条約草案の分析:その1
武器貿易条約(ATT)3月27日条約草案の分析:その2
武器貿易条約(ATT)3月27日条約草案の分析:その3
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Futureproof the Arms Trade Treaty

The preamble of the United Nations Charter states that the purpose of the Organization is to “save succeeding generations from the scourge of war.” If the delegates currently negotiating the Arms Trade Treaty (ATT) at the UN building in New York want to make the treaty relevant for future generations, they must make some critical changes to the Chair’s draft distributed 20 March 2013 in order to cover the emerging class of robotic, “unmanned” and autonomous weapons. This includes drones, but also military land and sea robots, as well as related parts, components and technologies.

In this two page policy brief, Wim Zwijnenburg, Policy Advisor Security & Disarmament, IKV Pax Christi and I outline five ways to “futureproof” the ATT so that it will cover new and future developments in weapons technology. In brief, we argue the treaty needs to:
  1. Broaden the Scope (Article 2) to include all conventional weapons, not just those listed in the UN Register of Conventional Weapons and small arms and light weapons
  2. Include explicit reference in the Scope to unmanned weapons
  3. Move ammunition and munitions into the Scope
  4. Move parts, components and an explicit reference to technology into the Scope
  5. Include in Article 15 on Conferences of States Parties specific provision for review of new weapons systems and technologies that are currently not included in the draft.
Click here to read the full paper

From Political Minefields --resisting technologies of violence

【関連サイト】
International Committee for Robot Arms Control

防衛省技術研究本部
無人機研究システムの初自律飛行成功について
「 防衛省技術研究本部は、航空自衛隊と共に、本日(2009,12/15)、硫黄島航空基地において、無人機研究システムの初自律飛行を実施し、無事自動着陸に成功しました」
陸上無人機
 「危険地域における偵察や物資輸送任務の安全性を高めるため、遠隔操縦技術とレーザーセンサやステレオビジョンを用いて障害物を自律的に回避する技術を融合することで、高速な無人走行を可能とする車両の研究をしています」(2011年11月)


 ・【研究ノート】「防衛装備品の国際共同研究開発の方向性と我が国の対応――技術集約型共同研究の推進と産学官の連携のあり方を中心として――」(防衛研究所紀要 大島孝二 2010 年 3 月) 
3 国際共同研究開発の要件と我が国の取り組むべき課題
 国際共同研究開発において、特に技術集約型共同研究の推進を見据えた場合、産学官の連携が要件となる。本節では、国際共同研究開発における産学官の連携の必要性について述べるとともに、我が国の推進すべき産学官の連携のあり方について提案する。

(1)国際共同研究開発における産学官の連携の必要性
 ここでは今後の国際共同研究開発の実施において、欧米及び民生品の研究開発体制の特徴を踏まえ、国内での産学官の連携体制の構築が要件になることを述べる。

ア 国際共同研究開発システムと国内研究開発システムとの連携
 前節で述べたとおり、欧米の国際共同研究開発は各国の政府、企業、政府系・非政府系研究所及び大学が協力し、産学官の連携により機能している。したがって、欧米諸国と効果的かつ効率的な共同研究開発を実施するためには、産学官の連携体制を軸とした国内研究開発システムを構築し、各国と各組織間の横断的な連携を図っていく必要がある。

 特に、技術集約型共同研究は、共同国相互の技術の補完機能として効力を発揮することから、各国保有の技術力や研究能力を最大限に活用しなければ、パートナーとしての関係が成立せず、逆に片務的な関係は効力を損なう。
 米国では、研究から開発に至る各段階で、企業や大学を組み込んだ効率的な役割分担が行われており、基礎研究成果の防衛装備品への応用を検討する分野にも人員、予算を投入している。欧州各国も、防衛装備品の高性能化を背景に、EU主導による産学の人材交流や基礎研究における大学や研究所の有する研究能力、高付加価値な技術や研究成果の活用に積極的に取り組んでいる。

 これまで開発段階では広範な要素技術を必要としてきたが、研究段階でも学際化が進み、大学や研究所の異分野の研究交流が求められている。
 例えば、ロボット研究では、機械工学、情報工学、生物工学など多くの要素研究を必要とする。研究の学際化は、インターネットなどの情報交換システムの普及と相俟って、地理的、財政的、又は官僚主義的な障壁を乗り越えてグローバル化し、迅速かつフラットな研究グループの構成へと進化している。

 このような学際的な情報交換や研究交流を活性化させることにより、技術のブレークスルーを生むケースや技術的なリスクを大幅に低減できる可能性も期待できる。
 また、進化的スパイラル方式では、研究の安定的かつ継続的な能力向上のための取り組みが求められ、より専門性が高く、持続的な研究活動が可能な研究所や大学の活用は最適である。さらに、共同研究では、特許・ノウハウなど多くの知的財産が生じる可能性が高く、知的財産の共同国への還元や保全措置などの対応は、政府、企業、研究所・大学など各組織間で行政や研究実務の視点から管理方法を検討していく必要がある。・・・・」


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
USA: National Days of Action to Stop Drone War
The Al-Qaida Papers - Drones and US Drone Bases in Africa
⇒「日本もこうなる? ~英空軍基地が米国の無人爆撃機(drones)の出撃拠点に
⇒「7月武器貿易条約(ATT)交渉会議・報告会 」(2012, 7/25)
⇒「続・大学を解体せよ--人間の未来を奪われないために 」(2010, 11/2)
「 国家(官僚機構)、産業(資本)、大学(知)のトライアングルの関係から言えば、資本主義体制下の大学が、官僚機構による大学行政を通じて国家戦略と産業戦略に奉仕すべく位置づけられてしまうのは必然であり、それが大学の宿命でもあるだろう。だから大学研究や教育の、ある要素/側面が国家戦略や産業戦略と一体化すること、そのことのみをもって「大学無用」論や「大学解体」論を主張しても意味がないし、虚しいだけである。

 しかし、上のトライアングルが「鉄のトライアングル」と化し、そのことに対する批判をいろんな「大学利権」に既得権、自らの職業・立場の安定と安全を考慮するあまりに、大学研究・教育者がしない/できない状況になっているとしたら、どうだろう? 

 大学(院)研究と軍産複合体の研究開発の「利益相反」は、後に述べるように、軍事に転用されるテクノロジーと産業部門の「イノベーション」に転用されるテクノロジーの境界線が「融合」しているところで派生する。
 現在の大学院の「最先端融合科学」研究が、軍事と産業の「両用技術」開発を担っている/担わされてきたところに根本的な問題があるのだ。この傾向は、いわゆる「武器輸出(禁止)三原則」の「規制緩和」⇒撤廃に向けた動きと連動し、今後さらに進展するだろう。具体例を列挙すれば、このようなことだ。
 WIRED VISIONは、米国の軍産学複合体の「最先端融合科学」研究による、さまざまな新兵器開発をスクープしてきた。今年に入ってから、しかもその中のごく一部を取りあげるだけでも、以下のようなものがある。
・ネバダ核地域を警備する自律型ロボット
・超音波で脳を制御:米軍の研究
・米軍の外骨格スーツ『HULC』
・「瞬かない目」:サッカー場大の軍用飛行船、建造中 
・ゴキブリを軍事利用:米軍の計画
・嘘を見抜く「直観」を利用するシステム:米情報機関が開発へ

 こうした「研究開発」が、・米国の「全世界即時攻撃」計画と、「核戦争の危険性」の下で行われ、実際にそれが対テロ戦争に実戦利用された場合には、
・米国無人機の空爆は戦争犯罪か:議会公聴会の議論 という国際法上の問題を生み出してきた(いる)のである。

8 
 断言してもよいが、産官学連携路線は、必ずや日本における軍産学複合体へと「発展」する。
 理・工・医の「融合先端科学技術」分野に先導されるかたちで、人文・社会科学系が続くのである。
 戦前の日本の(旧帝国)大学制度は、戦後の米国の軍産学複合体のミニチュア版のような日本型「軍産学複合体」の「頭脳」を担っていたのであるから、それは「発展」というより退行である。
 その退行は、かなりの速度ですでに進行しているのである。 ・・・」
 

シリアと国連PKO

シリアと国連PKO

国連がシリアへ平和維持軍派遣検討
 中東の衛星テレビ、アルジャジーラは1日、シリアでアサド政権が崩壊した場合に備え、国連が平和維持軍の派遣を検討していると報じた。米国や北大西洋条約機構(NATO)がシリア安定化で中心的な役割を担うのに消極的なため、国連の積極関与が必要だと判断しているという。

 潘基文事務総長の指示を受け、エリアソン副事務総長をトップとする100人以上の国連スタッフが秘密の有事計画を策定。エリアソン氏はアルジャジーラに対し「この紛争の終わりに、どういう事態に対応しなければならないかを懸念している」と語った。

 平和維持活動の専門家らによると、レバノンやシリア・イスラエル国境のゴラン高原に駐留する国連部隊の投入、トルコ軍の活用などが想定される。ただ、シリア問題で機能不全に陥っている安全保障理事会が平和維持軍派遣で早期に合意できるかどうかは不透明だ。(カイロ共同)
・・

どうなる? オバマの軍事支援で「シリアの春」は
「・・・ オバマ政権はこれまで、「シリア反体制派への武器支援はしない」という方針をとってきた。この政策は表面的には変わっていない。
 だが、自分たちが支援する「自由シリア軍」の戦闘員に対して、様々なタイプの武器の使い方や、それらの武器を市街地戦闘でどのように活用していくのか、政府軍の戦車を破壊する対戦車砲をどのように適切に運用するのか、などの戦術的な訓練を実地で行っているというのだ。物理的に武器は供給していなくても、その効果的な使用法を教えることで事実上の軍事支援をしているわけだ。

シリア反体制派への複数の武器支援ルート
 3月24日付『ニューヨーク・タイムズ』は、現在、シリア反体制派への武器供給には既に複数のルートができており、昨年末辺りから外国からの武器流入が活発になっているという。・・・」(菅原出 日経ビジネス 「ワシントン メルトダウン 隠されたっ戦争」)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?(2) ~「ポスト・アサド」とオバマの「暗殺リスト」」(12/30, 2012)
⇒「シリア内戦を長引かせているのは誰か?~最近のシリア情勢に関し、知っておきたい2、3の情報」(12/12, 2012)

2013年4月1日月曜日

叛乱鎮圧部隊化する国連PKO

叛乱鎮圧部隊化する国連PKO

4/25
・マリPKO創設を決議=1万2000人規模、7月展開-国連安保理
  国連安全保障理事会は25日、イスラム武装勢力掃討のためフランス軍が介入した西アフリカ・マリ情勢で会合を開き、平和維持活動(PKO)の「国連マリ多元統合安定化派遣団(MINUSMA)」を創設するための決議案を全会一致で採択した。軍事要員1万1200人と警察要員1440人で構成する大型PKOとなる。
 マリには現在、仏軍3850人が展開するほか、チャドなど周辺諸国が3月下旬現在で約6300人の部隊を投入している。この部隊の大部分がMINUSMAに移行し、増強される見通し。主要な戦闘の停止や、武装勢力の脅威低下を見極めた上で、早ければ7月1日に移行し、任期は1年。アフリカ部隊から国連のPKO部隊になることで財政や後方支援の強化が期待される。(ニューヨーク時事)

4/9
・南スーダンPKO要員を襲撃 12人死亡、陸自は無事 
 南スーダン東部ジョングレイ州で9日、国連平和維持活動(PKO)に従事する兵士5人と民間人7人の計12人が武装集団の襲撃を受けて死亡した。PKOの国連南スーダン派遣団(UNMISS)報道官が明らかにした。インド外務省によると、死亡した兵士5人はインド人

 PKO報道官によると、他に兵士5人と民間人4人が負傷し、数人が行方不明という。南スーダンの首都ジュバにはPKOで陸上自衛隊部隊が展開しているが、陸自部隊によると隊員は巻き込まれておらず(?)全員無事。 国連関係者によると、被害に遭った民間人は全員、南スーダン人。(ボル(南スーダン東部)共同)

3/28
・コンゴ民主共和国:PKOに戦闘部隊創設 安保理決定
 国連安全保障理事会は28日、アフリカ中部コンゴ民主共和国で平和維持活動(PKO)として展開している国連コンゴ安定化派遣団内に、反政府武装勢力の掃討を目的とした戦闘部隊を創設する決議案を全会一致で採択した。
 一つのPKOの枠組み中で、市民保護など伝統的な活動を行う部隊と戦闘部隊が「同居」するのは国連史上初の試みとなる。

 コンゴ東部では、政府軍の一部が離反して結成した「3月23日運動(M23)」など反政府武装勢力が活発化しており、治安悪化や国内避難民の増加が深刻化している。決議は、戦闘部隊の任務について「武装勢力の拡大防止と武装組織の無力化と武装解除」としている。

 戦闘部隊は、安定化派遣団の定員約2万人の枠内で創設され、3000人規模が想定されている。3個の歩兵大隊で構成され、南アフリカ、タンザニア、マラウイから派遣される見通しで、当面の任期は1年間。
 戦闘部隊創設を巡って安保理内では、安定化派遣団に要員を出しているグアテマラとパキスタンが、派遣団そのものが武装勢力の攻撃対象になりかねないことを懸念。一方で、コンゴ国軍やアフリカ諸国による多国籍軍に武装勢力の掃討を期待するのは能力的に無理で、今回の措置がとられることになった。(3/29 毎日、ニューヨーク草野和彦

・・
「・・・ PKOの武力行使はこれまで自衛や文民保護目的が原則だったのに比べ、踏み込んだ権限が与えられた。一部理事国の懸念もあり、決議には「例外的」「前例としない」との文言が盛り込まれた。
 決議は国連コンゴ安定化派遣団(MONUSCO)に「武装集団の拡大を防ぎ、無力化し、武装解除するため」として武力介入の部隊を設置すると規定。「目的を絞った攻撃行動を実行する」とした。・・・」(共同)

・・
コンゴ東部和平へ協定 ルワンダなど11カ国
 アフリカ中部コンゴ(旧ザイール)と周辺10カ国は24日、紛争が続いてきたコンゴ東部の和平に向けた協定に調印した。AP通信などが伝えた。同国東部の主要都市ゴマを昨年後半に一時制圧した反政府勢力「3月23日運動(M23)」を支援しているとされるルワンダとウガンダも含まれる。
 協定は国連主導で作成され、コンゴの内政に干渉しないことや武装勢力を支援しないことも盛り込まれた。周辺国はコンゴ東部への新たな部隊派遣も検討している。

 エチオピアで開かれた調印式には、ルワンダのカガメ大統領や国連の潘基文事務総長らが出席した。 コンゴ東部は地下資源が豊富で、資源利権などをめぐり1990年代から紛争が繰り返されてきた。ルワンダなどはM23への支援を認めていない。(2/25 共同)

一方的停戦を宣言 コンゴの反政府勢力
 コンゴ(旧ザイール)東部の主要都市ゴマを昨年11月後半から一時制圧した反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」は8日、コンゴ政府に対する一方的停戦を宣言した。ロイター通信などが伝えた。 M23は周辺国の圧力を受けて昨年12月初めにゴマから撤退後、隣国ウガンダでコンゴ政府と交渉を開始。今回の停戦宣言は2回目の交渉に先立つもので、M23は政府に停戦に同意するよう求めた。
 M23は2007~09年にコンゴ東部で政府軍と対立した民族、ツチ系の戦闘員らで構成。政府軍に一時加わった後、約束された待遇や地位が与えられないとして昨年4月に蜂起した。ルワンダなどがM23に武器を供給していると国連の報告書が指摘したが、同国は否定している。(共同)

反政府勢力が州都掌握 コンゴ東部、情勢悪化
 コンゴ(旧ザイール)からの報道によると、同国東部の北キブ州の反政府武装勢力「3月23日運動(M23)」が20日、州都ゴマから政府軍を撃退、ゴマを掌握した。国際紛争に発展した1998年からの内戦が2003年に終結した後、反政府勢力のゴマ進攻は初めて。情勢悪化に国際的な懸念が高まっている。
 国連安全保障理事会は20日、M23を強く非難し、ゴマからの即時撤退と武装解除を求める決議を採択した。
 M23のスポークスマンは21日、ゴマで演説し「コンゴ解放の旅が今始まった。(首都)キンシャサに向かう」と首都への進撃を警告。コンゴのカビラ大統領と、M23を支援しているとされる隣国ルワンダのカガメ大統領は20日夜、調停役を務めるウガンダでゴマ情勢について緊急会談を行った。(2012,11/21 共同)


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ゴラン高原で21人拘束 比PKOの隊員、武装集団に (3/7, 朝日)

自衛隊の武器使用基準、緩和は見送り 対象は拡大
   自民、公明両党は8日、アルジェリア人質事件を踏まえ在外邦人の安全確保に向けた自衛隊法改正などの提言をまとめた。自衛隊による邦人輸送を陸上でもできるようにするのが柱。自衛隊が保護、輸送する対象を現地に迎えに行く家族や企業関係者らにも広げる。ただ正当防衛などに限っている武器使用基準の緩和は見送った。

 武器使用基準に関しては、国連平和維持活動(PKO)協力法でPKOに参加する要件として「要員の生命保護のための必要最小限の武器使用」を明記。2001年の法改正で「自己の管理下に入った者」や「武器、弾薬などの防護」のために武器が使えるように基準を緩和した。

 ただ他国の軍隊への攻撃に自衛隊が反撃することや、離れた場所にいる文民を保護するために駆けつけて武器を使うことは認められていない。防衛省では「現場が大きく悩むところで、国際的な基準に沿っていない」(幹部)との不満が強い。
 自民党内では武器使用基準の緩和を求める声もあったが、提言では「現行法で相当程度が対応可能とみられる」として緩和を見送った。「今までの定着した武器使用基準の考え方を守っていくのが大きな原則だ」と緩和に慎重だった公明党に配慮した形だ。

 輸送の際に自衛隊が武器を使って守る対象者を現行法では自衛隊の「保護」の下にある者として、現地で救助が必要になった人に限定している。提言では日本から向かう家族や企業関係者、輸送に携わる政府関係者らも守れるようにするため、この規定を自衛隊の「管理」の下にある者と言い換えるよう求めた。

 現行法は現地の安全が確認された場合に航空機、船舶での邦人輸送を認めている。提言はアルジェリア事件の対応を踏まえ「車両輸送のニーズが発生することは今後否定できない」とし「自衛隊による陸上輸送を可能とする」と明記した。防衛省幹部は「現行法に陸上の観点が抜け落ちていた」と認める。
 政府は近く提言を受けて法改正の手続きに入る。しかし「優先度の高い法案もあり、物理的に日程は厳しい」(防衛省幹部)。政府として在外邦人を守る姿勢を打ち出す意味でも今国会での提出にはこぎ着けたいところだが、成立までは見通せないのが実情だ。(日経

自衛隊、モンゴル軍の人材育成支援 首脳会談で合意へ
 安倍晋三首相が30日に行うモンゴルのアルタンホヤグ首相との首脳会談で、自衛隊が同国軍に「能力構築支援」を実施することで合意する見通しとなった。複数の政府高官が29日、明らかにした。事務レベルの協議では、防衛医学分野の技術指導や人材育成を支援する方針で一致。自衛隊の能力構築支援は東南アジア各国で実績を残しており、ソフト面での「対中包囲網」と位置づける。
 能力構築支援は「キャパシティ・ビルディング」と呼ばれ、平成22年閣議決定の「防衛計画の大綱」で推進方針を明記している。人道支援や災害救援、地雷・不発弾処理などを通じ支援対象国との関係を強め、地域の安全保障環境の安定化を主導する狙いもある。
 支援対象は東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が先行している。24年以降、(1)ベトナム=海上医療(2)インドネシア=海洋気象分析(3)カンボジア=国連平和維持活動(PKO)の能力向上-について陸・海自衛官を派遣し、技術やノウハウを伝えてきた。 モンゴルは自衛隊医官の医療技術に関心が高く、政府は大規模災害時の救命・救急医療を中心に指導することを想定している。(産経

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エッフェル塔に爆破予告、1400人が避難
「仏パリ(Paris)の警察によると30日夜、同市内のエッフェル塔(Eiffel Tower)に爆発物を仕掛けたとの匿名の電話があり、観光客など約1400人が避難する騒ぎがあった。・・・。
 ・・・ パリでは記念碑や公共の場に爆発物を仕掛けたとする脅迫が頻発している。警察はすべての脅迫について「深刻に受け止めている」という。
 フランスは旧植民地である西アフリカのマリでイスラム武装勢力の掃討を目的とした軍事介入を行っている。そのため自国への脅威について懸念が高まっており、国内全域で治安対策が強化されている。(c)AFP

・マリ軍・仏軍が武装勢力と衝突 2人を殺害
 アフリカ西部のマリで3月31日、マリ軍とフランス軍の部隊がイスラム武装勢力と衝突し、武装勢力のメンバー少なくとも2人を殺害した。マリ軍幹部が語った。
 北部トンブクトゥの西側境界で30日夜、車を使った自爆テロがあり、マリ軍の兵士1人が負傷した。これに続いて武装勢力が同市への攻撃を開始し、軍が応戦したという。
軍幹部は31日、「激しい戦闘が今も続いている。われわれは武装勢力を包囲し、街から追い出すことに集中している」と述べた。 マリ北部は武装勢力に占拠されていたが、今年1月に仏軍が軍事介入し、トンブクトゥなどを奪還した。 マリ・バマコ(CNN

・マリ北部軍事介入、解決へ2つの選択肢 国連事務総長
 「国連の潘基文(パンギムン)事務総長は(3月)26日、フランスが軍事介入したアフリカ西部マリの北部地域について、情勢を分析した報告書を安全保障理事会に提出した。 報告書は、
(1)治安回復のために周辺諸国が派遣した部隊の支援強化
(2)国連平和維持活動(PKO)部隊の派遣――という二つの選択肢を提案。

 安保理は早ければ4月にも対応を決める見通しだ。
 マリには仏軍のほか、チャドやナイジェリアなど周辺諸国でつくるアフリカ国際マリ支援部隊(AFISMA)が派兵している。・・・・」 (朝日 ニューヨーク=春日芳晃)

【参考サイト】
●「フランスの戦略10年間の迷走 マリ共和国、とめどなく繰り返されるテロとの戦い
オリヴィエ・ザジェク(戦略・紛争問題研修所研究員) 訳:川端聡子 (ル・モンド・ディプロマティーク

「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「フランスのマリへの軍事介入: ~「対テロ戦争」? それともトゥアレグ遊牧民族の民族自決と自治の圧殺?
⇒「マリを「第二のソマリア」にしてはならない ~フランスの軍事介入が失敗に終わる理由


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陸海空自衛隊が初参加 6月、米で離島奪還訓練  
 日米両政府が、米カリフォルニア州で6月に離島奪還訓練を行い、初めて陸海空3自衛隊を参加させる方向で最終調整に入ったことが分かった。週内にも合意する。これまで米国内での離島奪還訓練には陸自だけが参加してきたが、今回は海上自衛隊の護衛艦と輸送艦も派遣。中国による沖縄県・尖閣諸島奪取に備え、より実戦的な訓練で日米共同対処能力を高める狙いがある。
 3自衛隊が参加するのは「ドーン・ブリッツ(夜明けの電撃戦)」と呼ばれる訓練。6月上旬から下旬にかけ、カリフォルニア州の米海兵隊基地キャンプ・ペンデルトンで行われる。この訓練は2009年から米軍が単独で実施しており、自衛隊が参加すること自体も初めて

 これとは別に、陸自と海兵隊は05年以降、同基地で離島奪還訓練を8回行ってきたが、海・空自の参加も不可欠と指摘されてきた。奪還作戦では、3自衛隊の「統合運用」が欠かせないからだ。とりわけ陸自部隊を緊急展開させる海自の輸送能力が作戦のカギを握るため、今回、ドーン・ブリッツに海自艦艇を送る。 派遣されるのは、
 陸自が東シナ海の島嶼(とうしょ)防衛を担う西部方面普通科連隊(長崎)約300人。
 海自は佐世保基地(同)などの護衛艦3隻、輸送艦1隻とヘリコプター。
 空自は航空総隊司令部の要員を派遣する。

 中国側が尖閣を占領する事態では、同連隊が佐世保基地から輸送艦に乗り込み奪還作戦に向かうことが想定されており、実戦に即した部隊を選定した。
 米側からは第1海兵機動展開部隊と第3艦隊が参加する。訓練の内容は
(1)水路潜入(2)エアクッション型揚陸艇での上陸と艦艇による輸送
(3)ヘリからの要員・ボート投下(4)戦闘射撃-を予定している。(産経

で、私たちは福島第一5、6号機、第二原発をどうするのか? 2013

 で、私たちは福島第一5、6号機、第二原発をどうするのか? 2013

 東電は4月5日、福島第1原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却が約3時間にわたって停止したと発表。「ネズミなど小動物の侵入対策として金網を設置中、針金が配電盤の端子部分に触れたことで停電し、冷却が停止したとみられる」と釈明。
 現場では4人が作業していたが、感電やけがはなかった、という。

4/6
・避難住民らから怒りの声 福島原発の冷却施設再停止
 福島第1原発の燃料プールの冷却機器が3月に続いて再び一時停止した。原発事故で避難中の住民は立て続けのトラブルに、いら立ちを隠せない様子だった。
 福島県双葉町から栃木県那須塩原市に家族と避難中の岩本千夏さん(37)は「トラブル続きで、あきれてものも言えない。設備がいかに脆弱か明らかになった。国は住民に帰還させようとしているが、とても信頼できない」と吐き捨てた

 福島県浪江町から避難し、二本松市の仮設住宅で暮らす瀬賀範真さん(63)は「トラブルが起きたら、住民にいち早く知らせる必要があったのではないか」と疑問を投げかける。
 浪江町は1日から避難区域の再編で沿岸部を中心に立ち入りができるようになった。「町にいた住民も多いはずだが、報道以外に情報がなかった。東電に住民の安全を守る意識があるのか」と不信を募らせた。(日経

・貯水槽から汚染水漏れか 福島第1原発
 東京電力は5日、福島第1原発内の地下貯水槽から土壌に汚染水が漏れ出した可能性があると発表した。貯水槽は地盤を掘り下げ、防水シートを三重に敷いた構造で、縦約60メートル、横約53メートル、深さ約6メートル。
 外側のシートと地盤の間にたまった水から放射性物質が検出されたという。

 東電や原子力規制庁によると、5日に外側のシートと内側のシートの間にたまった水を測定した結果、放射性物質の濃度は1立方センチメートル当たり約6千ベクレルだった。外側のシートと地盤の間にたまった水からも、ごく微量の放射性物質が検出された。(共同)

4/5
東電、05年にも「やらせ」か 福島の公聴会に40人動員
 内閣府の原子力委員会が2005(平成17)年8月に福島市で開いた原子力政策大綱案についての公聴会で、東京電力が関連企業を含め出席者135人の約3割に当たる約40人を動員していたことが4日、分かった。
 発言者23人のうち、東電側から6人が発言し、原子力利用の着実な推進を打ち出すとした大綱案の内容に賛成したとみられる。東電は「事実関係を調査中」として、詳細を明らかにしていない。

 公聴会は、05年から10年間にわたる国の原子力政策の基本方針となる大綱案の策定に向け、国民の意見を反映させる趣旨で福島市を含む全国5カ所で開催。近藤駿介委員長も出席した。
 福島市での公聴会議事録によると、
「(電力の)将来の安定供給に向け原子力は必要」
不正発覚以来、東京電力の安全確保対策が確実に行われていることを評価(!!)している」
 などと大綱案に賛成する発言が記録されている。また、一部の発言者からは「きょうは事業者関連の方がだいぶお見えでございますし…」など、東電関係者が多数出席していることをうかがわせる発言もあった。 (福島民友


原子力規制委、老朽原発に厳しい規制 自発的廃炉も選択 
 原子力規制委員会は7月に導入する新規制基準の骨子をまとめ、4日に開いた専門家の会合に示した。運転から30年以上が経過した老朽原発に対し、電源ケーブルの交換や配管の増設を求めており、再稼働前に1年以上の工事期間がかかる見通し。
 原則40年とする原発の寿命を延長するのはハードルが高く、安全対策のコストが見合わないと判断した老朽原発は再稼働をせずに廃炉を迫られることもありそうだ。
 規制委は早ければ10日に開く定例会合で新規制基準の条文案を明らかにし、1カ月間、意見を公募する。意見を反映したうえで7月までに導入し、電力会社から再稼働の申請を受け付ける。

 老朽原発の再稼働が厳しいのは、
新規制基準が禁じる可燃性の電源ケーブルを使う原発や、
緊急炉心冷却装置の配管が1本しかない原発があるためだ。
 可燃性ケーブルを使う原発は関西電力美浜1号機(福井県)など全国で13基ある。
 建設当時の指針では可燃性ケーブルを使用できたが、その後、燃えにくい難燃性ケーブルが義務づけられた。
 ケーブルの長さは1基あたり合計1千キロメートル以上になる例もあり、交換は巨額の費用と年単位の工事期間が必要とされる。電力会社は「現状のケーブルでも、燃えにくいことを試験で示せば交換は不要だ」(電気事業連合会)と主張するが、規制委は基本的に交換を求める考え。さらに美浜1号機には余熱除去系などの配管が1本しかなく、増設が求められている。

 老朽原発は原則40年が寿命で、運転延長には規制委の認可がいる。規制委の田中俊一委員長は3日の記者会見で「事業者はお財布を見たりいろんなことを考えたりして判断されるのではないか」と言及した。コストに見合わなければ電力会社が自発的に廃炉を選ぶ可能性も出てきそうだ。

 実際、中国電力や四国電力は、新しい原子炉では新規制基準で必要なフィルター付きベントの設置を決めたが、運転30年がたった島根1号機(島根県)や伊方1、2号機(愛媛県)では未定のまま。日本原子力産業協会の服部拓也理事長は「古い原発はおのずと優先順位がつく」と指摘する。

 電力会社は新しい原子炉を優先して再稼働を狙う。新規制基準への対応状況をみると、
四国電力伊方3号機や九州電力川内1、2号機(鹿児島県)などが有力。
北海道電力泊3号機(北海道)や関電高浜3、4号機(福井県)も候補だ。(日経

4/4
原発最長60年??

・原発40年ルール:延長要件に「特別点検」導入 規制委
 原発の運転期間を原則40年に制限する制度について、原子力規制委員会は3日、最長20年の延長を認める要件を公表した。原子炉圧力容器などの重要機器で、老朽化に伴う劣化の点検範囲を従来よりも拡大した「特別点検」を新たに導入し、延長期間中に新安全基準を満たし続けられると判断された場合、延長が認められる。

 新制度は、7月施行の原発の新安全基準と同時に導入される。運転期間が既に40年を超えている日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)や関西電力美浜原発1、2号機(同)は、電力会社が運転延長を希望する場合、点検などを実施したうえで、2015年4〜7月の間に申請し、規制委による約1年の審査を受ける。

 核燃料を収める原子炉圧力容器は時間が経過すると燃料が出す中性子を受けてもろくなるほか、高温、高圧の水や水蒸気が通る配管も劣化する。規制委が示した延長の可否を判断する要件では、40年時点での重要機器の状況を、従来の範囲を広げて点検する「特別点検」を義務付ける。
 また、延長期間中の劣化を予測させ、保守管理の計画を提出させる。例えば、事業者が20年の延長を申請する場合、20年後も圧力容器が健全で配管を適正に交換するなどして、安全基準を常に満たすことを保証する計画を示さなければならない。(毎日 岡田英)


東電、廃炉盛り込まず 第一原発5、6号機と第二原発
 東京電力は(3月)28日、平成25年度の電力供給計画を経済産業省に提出し、県などが求める福島第一原発5、6号機と福島第二原発1~4号機の廃炉は盛り込まれなかった。 計画では、青森県の東通原発1号機、2号機の運転開始時期について「未定」とし、福島第一、第二原発も供給力を「未定」とした。
 東電福島広報部は「廃炉は、国のエネルギー政策の動向を見極めて判断する。現段階では見通しが立たず、計画に盛り込まなかった」としている。
 佐藤雄平知事は「廃炉が盛り込まれていないのは遺憾。今後も一刻も早い事故の収束と県内原発の全基廃炉を強く求めていく」とのコメントを出した。  設備改良のため停止中の柏崎刈羽原発も供給見通しが立たないとして盛り込まなかった。 (福島民報)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「3・23脱原発福島行動
⇒「福島第一原発で停電、燃料プールの冷却装置停止
⇒「で、私たちは福島第一5、6号機と第二原発をどうするのか?」(2011, 12/14)
⇒「東電一時「国有化」=(電気料金値上げ+増税)+(柏崎刈羽+福島第二再稼働)?」(2011, 12/10)

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柏崎刈羽原発、来月稼働は困難 東電 総合事業計画修正へ
 「東京電力社長は29日、柏崎刈羽原発を4月から順次再稼働(!!)させることを盛り込んだ総合特別事業計画を修正する考えを明らかにした。修正の時期については「国との議論の必要もある」として明言を避けた。 東電福島第1原発事故を踏まえた原子力改革部門の最終報告書について説明した記者会見で述べた。
 東電は、過酷事故対策として設置が義務付けられる「フィルター付きベント」について、柏崎刈羽1、7号機では2013年度中に完成するとの見通しも初めて示した。・・・。

 柏崎刈羽原発は全7基が停止中。現在の計画では再稼働について、13年4月の1号機を皮切りに順次、7号機が同5月、5号機が同10月、6号機が同12月、3号機が14年7月、4号機が15年2月、2号機が同9月としている。
 東電はこれまで、計画上の再稼働スケジュールについては「あくまでも一つの目安。住民の理解をいただくのが前提」としていた。ただ、この日の会見で社長は「計画は電気料金算定のためのもので、そもそも再稼働のスケジュールは持っていない」と説明した。・・・」(新潟日報)

柏崎刈羽原発、全7基停止1年 安全対策、課題多く
 「・・・柏崎刈羽原発は2011年8月以降、12年3月26日までに1、7、5、6号機の順に定期検査のため停止した。2~4号機は07年7月の中越沖地震で被災し、運転停止が続く。
 福島事故を踏まえた過酷事故対策としては、7基同時の事故に対応できる淡水貯水池を高台に設置。15メートルの津波に備えた防潮堤は6月に完成する。
 ただ、新基準で設置が義務付けられる「フィルター付きベント」設備は1、7号機で基礎工事が始まったが、東電は本体工事の開始時期を明らかにしていない。7月以降に新基準が施行されても、規制委に審査を申請する時期は不透明だ。柏崎刈羽原発の所長は14日の会見で「再稼働が見通せていない状況から進展がない」と述べた。
 東電は同原発1、2号機直下を走る断層について年代を特定するための調査を実施。結果を当初2月に公表する予定だったが、4月に延期した。・・・。

 同原発の再稼働をめぐって、泉田裕彦知事は「福島事故の検証なしに、柏崎刈羽原発の再稼働の議論はしない」との姿勢を崩さない。会田洋柏崎市長も「福島事故の検証に基づく安全確保」を求めている。品田宏夫刈羽村長は安全が確認されれば再稼働を否定しない立場だ。


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒「で、私たちは柏崎刈羽原発をどうするのか? 2013