2014年2月28日金曜日

外国人の人権を守る「マーチ・イン・マーチ2014」(3/2)と 「朝鮮学校差別に反対する大学生全国集会」(3/9)

外国人の人権を守る「マーチ・イン・マーチ2014」(3/2)

 日本には200万人を超える外国人が生活しています。
 しかし、その労働環境はますます厳しくなっています。
 外国人労働者の生活と権利を守るために1993年から取り組まれてきた「マーチ・イン・マーチ」が3月2日に開催されます。どなたも参加できます。

日時: 3月2日(日)集会13:30~ デモ出発15:00~
場所: 千代田区 「日比谷図書文化館 B1Fコンベンションホール」
     (地下鉄「霞ヶ関駅」「日比谷駅」)※地図 http://hibiyal.jp/hibiya/access.html

内容: インターナショナルな組合員によるパフォーマンス集会&デモ行進
主催: マーチ・イン・マーチ2014実行委員会
連絡先: 全統一労働組合(tel.03-3836-9061)ほか

●賛同カンパを次のように募っています。
金額:団体賛同金 3,000円、個人賛同金 1,000円
振込先:郵便振替口座:00180-8-433542
加入者名:マーチ・イン・マーチ実行委員会
////////////////////////////////////////

「朝鮮学校差別に反対する大学生全国集会」(3/9)

 政府・行政は一貫して朝鮮学校に対しては敵対的な姿勢をとり、「高校無償化制度」の適用を排除しています。それ以外にも自治体のささやかな教育助成すら奪われつつあり、厳しい学校運営が強いられています。
 そのなかで、在日朝鮮人の大学生を中心に、朝鮮学校を支えるための集会が開催されます。多くの方の参加、賛同が呼び掛けられています。

日時: 3月9日(日)13:30~
場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター・カルチャー棟 小ホール
     (小田急線「参宮橋駅」、地下鉄「代々木公園駅」下車)
     ※地図 http://nyc.niye.go.jp/facilities/d7.html

内容: シンポジウム
朝鮮学校差別の本質とは何か-朝鮮学校差別と日本の植民地主義
活動報告
演劇「チョゴリ」
(4.24教育闘争期の朝鮮学校を舞台にした大学生たちによる演劇)

●賛同協力を次のように募っています。
金額:個人:一口1,000円、団体:一口3,000円
振込先:ゆうちょ銀行:【記号】10320【番号】92525261

※ゆうちょ銀行以外から振り込む場合
【店番】038【預金種目】普通
【店名】〇三八(ゼロサンハチ)【口座番号】9252526
口座名義:朝鮮学校差別に反対する全国大学生ネットワーク

*なお、賛同人・団体のお名前、所属を当日配布パンフレット並びにブログ等の宣伝物で紹介するとのことですので、掲載不可の場合、その旨お伝えください。
連絡先:朝鮮学校差別に反対する在日朝鮮人大学生連絡会
東京都文京区白山4-33-14 E-mail:ndcs_renrakukai@yahoo.co.jp

【参考サイト】
留学同(在日本朝鮮留学生同盟)

2014年2月27日木曜日

辺野古移設・埋め立てにNO!

辺野古移設・埋め立てにNO!

・県議会、代表質問始まる 知事、承認「公約違反でない」
 県議会2月定例会の代表質問が26日午前、始まった。 仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた政府の埋め立て申請を承認したことについて、
 「関係法令にのっとり審査を行い、承認を判断した。この判断は公約に違反するものではない」との見解を重ねて示した。
 さらに、今後も県民の理解を得るため県議会などで説明していく意向を示した。仲田弘毅氏(自民)への答弁。・・・。代表質問は28日までの3日間で、仲井真知事や担当部長らに対し、辺野古埋め立て判断を問う質問が集中している。(琉球新報

琉球新報百条委等「普天間」関連記事・動画

・百条委:法盾に「承認」主張  論点整理
 米軍普天間飛行場の辺野古埋め立て承認をめぐる県議会の調査特別委員会(百条委、當間盛夫委員長)は証人喚問と参考人招致を終えた。
 承認に至る経緯は、4日間の集中審議でどこまで明らかになったのか。いまだ解明されていない疑問点はどこか。百条委の論点を整理した。 (沖縄タイムス 政経部・西江昭吾、篠原知恵)



・承認「取り消すべきだ」 百条委、名護市長が批判
 県議会は24日、仲井真弘多知事による米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認を検証する調査特別委員会(百条委員会)の集中審議最終日となる参考人質疑を行った。稲嶺進名護市長が出席し、知事の埋め立て承認に対し「県民の民意を反映していない。取り消すべきだ」と述べた。
 環境影響評価(アセスメント)を担当した県環境影響評価審査会の宮城邦治会長も参考人として招致され、政府の埋め立て申請内容を県が「適合」と判断したことについて「若干、違和感がある」と語った上で、移設工事に関し「自然環境保全は不可能」との見解を示した。

  稲嶺氏は審査手続きの一環で11月下旬に提出した名護市長意見は、知事の承認判断に「全く反映されていない」と主張した。知事が普天間飛行場の5年以内の運用停止を求めていることに「承認判断と矛盾する。5年で閉鎖できるなら辺野古はいらない」と批判した。
  市長意見の提出後に沖縄防衛局が県土木建築部に示した環境保全策に関しては「(説明は)一切ない」と述べた。仲井真知事に対し「議論すべきことはしっかりしないといけない」と訴え、移設問題での意見交換を求めた。

  宮城氏は、県が承認に当たって政府に対し、環境保全策や事後調査の検討を求めたことには「米軍が事後調査などに協力的だったことは多くない」と述べ、実効性に疑問を呈した。
  政府の埋め立て計画に対して県が「現段階で取り得る環境保全措置が講じられている」と判断したことには「措置の具体的な中身を県民に説明する必要があった」と指摘した。
  野党側が21日に求めた菅義偉官房長官や又吉進知事公室長の百条委招致については結論が出ず、継続審議になった。(琉球新報) →県議会百条委 録画等

・名護市長支援へ懇話会 法助言弁護士・教授
【名護】 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する稲嶺進市長を支える弁護士や大学教授らによる「辺野古埋立に係る名護市長懇話会」(座長・池宮城紀夫弁護士)が25日、発足した。移設作業における名護市長の許認可などの権限や、移設阻止に向けた対応などを法律面から助言していく。
 懇話会は市長の私的諮問機関で、辺野古埋め立て承認取消訴訟の弁護士や、大学教授ら十数人が有志で参加。同日、名護市役所で開かれた第1回会合には稲嶺市長や琉球大学法科大学院の高良鉄美教授ら約15人が出席した。

 稲嶺市長は「(名護市は)小さな自治体だが 移設を止めるために、法律や行政などの面からいろいろと対抗することを考えていかないといけない」と語り、専門的な協力を呼び掛けた。
 池宮城座長は「沖縄の民主主義が問われている中で、法律家として最大限にバックアップしていく。なんとしても、稲嶺市政を、名護市民を支えていこうと固い決意で結集した」と意気込んだ。
 移設作業では作業ヤード設置のための漁港使用や、美謝川水路の切り替え、飛行場施設への燃料タンク設置などで市長の許可などが必要とみられている。(沖縄タイムス

・辺野古移設撤回:米大統領へはがき1万3千枚に
 「平和な沖縄を望む市民の会」の高良鉄美代表らは24日、県庁記者クラブで会見し、米軍普天間飛行場の辺野古移設撤廃などを求めるキャンペーンとして、オバマ米大統領に送るはがきが1万3千枚に達したと発表した。今後は10万人分のはがき送付を目標に県内外へ呼び掛ける方針。
 キャンペーンは1月上旬から2月半ばまでに目標の1万枚を達成。県内外からの反響が大きいため、3月上旬から再開するという。
 高良代表は「米国は請願の際、署名10万人が基本。米国の世論に訴えかけたい」。発案者の沖縄人権協会のラサール・パーソンズ理事は「はがきの数によって大統領や米議員に影響がある」としている。  問い合わせは、事務局(沖縄人権協会)、電話098(854)3381。(沖縄タイムス)

・政府、辺野古反対行動に刑特法適用へ調整 
 【東京】 防衛省と警察庁、海上保安庁が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う調査や工事に対する反対行動を想定し、刑事特別法(刑特法)の適用基準の明確化について調整していることが25日分かった。
 調査を開始する夏までにまとめる方向で、昨年12月の仲井真弘多知事の埋め立て承認後、協議を重ねている。一方、反対行動を事前に抑える対応策の検討については「そのような事実はない」(菅義偉官房長官)と否定している。

  3省庁はさまざまな反対行動を想定し、刑特法での摘発の可能性などを検討している。省庁間で認識の一致を図るのが狙いで、関係者は「どのような行動が摘発できるか、ラインを擦り合わせている」と述べた。
  政府は代替基地建設のために埋め立てる辺野古沿岸部の大半が米軍提供水域になっていることから、基地の立ち入りを制限する同法で対応できるとしている。

  2004年、当時の那覇防衛施設局が代替基地のボーリング地質調査を実施した際、カヌーなどを使って調査を阻止しようとした反対派の住民と海上でもみ合いになり、調査が中断に追い込まれた経緯がある。
  小野寺五典防衛相は25日の記者会見で、事前に反対行動を抑制する方策を検討しているかどうかについて、「工事に当たっては安全を確保し、危険防止に万全を期す。手続きにのっとり、着実に進めていきたい」と述べるにとどめた。(琉球新報

・基地負担「もはや限界」 普天間抱える宜野湾市長
 米軍普天間飛行場を抱える沖縄県宜野湾市の佐喜真淳市長は26日、市議会での施政方針演説で、昨年9月に新型輸送機MV22オスプレイ24機の配備が完了した普天間に関し「基地負担はもはや限界に達した」と述べ、オスプレイの配備撤回や県外への分散移転に取り組むと主張した。
 佐喜真氏は「普天間の固定化は絶対にあってはならない」と強調。政府に5年以内の普天間運用停止を求めている県と連携し、一日も早い閉鎖・返還の実現に取り組んでいくと語った。
 佐喜真氏は18日、「普天間飛行場負担軽減推進会議」の初会合に仲井真弘多知事と共に出席。普天間の早期返還を安倍晋三首相に求めた。(共同)


批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2月12日 「主権回復」(?)の日の沖縄 
⇒2月6日 「辺野古 No」! New Wave to Hope
⇒2月1日 オバマ大統領と安倍首相に、辺野古新基地の断念と普天間の 即刻返還を求める国際署名運動
 

2014年2月26日水曜日

国は今こそ水俣病の全面解決を! ―最高裁判決を踏まえ、新たな救済制度の確立を求める

国は今こそ水俣病の全面解決を!―最高裁判決を踏まえ、新たな救済制度の確立を求める

賛同署名にご協力を
 新潟水俣病は来年6月をもって事件公表から50年を迎えますが、いまだ解決をみていません。
この間、多くの裁判が提起されましたが、国・環境省は、水俣病の認定基準を見直さず、多くの被害者を救済の枠外に放置したままにしています。

 こうした事態を踏まえ、新潟県平和運動センターが事務局を担う新潟水俣病共闘会議は、水俣病を現実的に解決しようと標記の提言を発表し、その実現を求めて全国的な賛同署名に取り組むことになりました。多くの方のご協力をお願いします。署名集約は新潟県平和運動センター内の「新潟水俣病共闘会議」が行います。

名称:  内閣総理大臣・環境大臣宛「国は今こそ水俣病の全面解決を!
     ─最高裁判決を踏まえ、新たな救済制度の確立を求める─」賛同署名
内容: 「最高裁判決によって明確にされた国の責任を踏まえ、全患者を対象とする網羅的、恒久的な救済制度の確立を求める」提言への賛同署名
集約日: 4月末日まで(随時送付してください)
送付先: 〒950-0965 新潟市中央区新光町6-2 新潟県平和運動センター内
       新潟水俣病共闘会議あて  電話 025-281-2466 
■提言の全文・要約、署名用紙は次のアドレスからダウンロードできます。
  http://www8.ocn.ne.jp/~heiwa/minamatatop.html

・・・
水俣病認定 国の通知案を批判
 本県患者ら環境省に意見書提出

 環境省がまとめている水俣病認定基準の運用の在り方を示す通知案について、ノーモア・ミナマタ被害者・弁護団全国連絡会議は(2月)19日、同省を訪れ、反対の意見書を手渡した。通知案を「患者切り捨ての方針を固定しようとするもの」と批判し、認定基準の抜本的見直しを求めた。

 意見書では、通知案が感覚障害を「非特異的」として、その症状だけでは水俣病と判断しにくいとしている点に対し、「極めて特異度の高い症状。水俣病と認めるべきだ」と指摘した。
 水銀に汚染された魚介類の摂取から発症までの期間を「通常1カ月程度。長くて1年程度」としている点についても「発症を自覚することの困難さも踏まえ、柔軟に捉えるべきだ」と主張した。

 意見書提出には、新潟、熊本、鹿児島の3県から患者、弁護士ら20人近くが参加した。患者らは環境省の担当者に「運用の在り方を変えるなら、被害者の声をきちんと聞いてほしい」と訴えた。
 新潟水俣病阿賀野患者会の皆川栄一さん(70)=阿賀町=は提出後の会見で
新潟の水俣病はまだ根本的に解決していないのに、国は打ち切りしか考えていない。絶対にそれを許すわけにはいかない」と強調した。(新潟日報

・水俣病認定基準改正を申し入れ 県に不知火患者会  [熊本県]
 水俣病被害者団体の水俣病不知火患者会は21日、県庁を訪れ、水俣病認定基準を抜本的に改めるよう国に要請することなどを蒲島郁夫知事宛てに申し入れた。文書を受け取った県の担当者は即答を控えた。
 申し入れ書では、県が国へ要請する項目として、
(1)複数の症状の組み合わせが原則の現在の認定基準改正
(2)環境省が1年をめどに検証するとしている公害健康被害補償法の円滑運用について被害者団体代表も検証の場に加える
(3)不知火海沿岸全住民の健康調査-の3点を求めた。

 環境省が臨時水俣病認定審査会(臨水審)を設置し、県の審査代行を表明したことを受け、同会の柊迫(ふきさこ)正一副会長は
 「(昨年4月の)最高裁判決が迫った抜本的な基準見直しとは差がある。臨水審で棄却されても国の不服審査会に審査請求できず、被害者が申請するとは考えられない」と話し、知事の対応を批判した。(2/22  西日本新聞

水俣病患者認定「手帳返上でも申請認めて」
 水俣病被害者救済法に基づき医療費が無料になる被害者手帳の交付を受けた人について、環境省が手帳を返上しても患者認定申請はできないと新潟県や新潟市に通まる知したことを受け、新潟水俣病共闘会議など県内の関係4団体は17日、県庁で記者会見し「被害者の権利を奪う極めて不条理な通知であり撤回を強く求める」とする声明を発表した。

 会見で新潟水俣病弁護団の中村周而団長は「一時金の支給を受けられなかった被害者が不満を抱いて認定申請したいと考えるのは当然なこと。公害健康被害補償法上の認定申請や訴訟提起の権利を奪っている」と国の対応を強く批判した。
 救済法に基づく一時金の支給は、公健法に基づく患者の認定申請をしないことが条件。手帳のみの交付を受けた人についても国は昨年12月、手帳交付で紛争は解決しており申請は認められないとの見解を示した。
 また、同弁護団などは、全被害者を網羅的に救済する制度の確立などを国に求める署名活動を始める。問い合わせは同共闘会議(025・281・8101)へ。(1月18日 読売

・・・
・<水俣病>新基準を通知…患者側の立証必要 環境省
 環境省は7日、水俣病患者の認定基準についての新指針を熊本県や新潟県など関係自治体に通知した。手足の感覚障害のみでも患者側が有機水銀摂取との因果関係を証明できれば水俣病と認める内容。
 感覚障害のみの女性(故人)を認定した昨年4月の最高裁判決を受けた対応だが、他の症状との組み合わせを原則求める認定基準自体は変えなかった。公式確認から58年がたち立証は難しくなっており、救済枠拡大の可能性は低いとみられる。

 新通知は、有機水銀に汚染された魚介類を多食した時期などから申請者の暴露状況の確認を要求。その上で、毛髪やへその緒の水銀濃度、汚染地域での居住歴などを確かめるよう求めた。発症までの期間については「通常1カ月前後、長くても1年程度まで」なら因果関係の確からしさが高いと例示した。
  これらを確認する際は「できる限り客観的資料で裏付けされる必要がある」と明記。主治医の診断書や公的検診の記録、漁業許可証などの文書が該当する。しかし、水俣病の公式確認は、熊本、鹿児島両県が1956年、新潟県が65年。多くの被害者にとって関係証拠の確保は極めて困難だ。
  通知は関係自治体の認定審査会が行う審査の指針となる。認定基準見直しを主張する新潟県の泉田裕彦知事は県独自の審査を行うと表明。熊本県も審査業務の国への返上を求めており、環境省は「臨時水俣病認定審査会」を開き、新通知に沿って同県の審査を代行する方針。【毎日 阿部周一】

  ◇患者団体「切り捨てだ」
  発生地の熊本、新潟両県の患者団体や知事からは7日、被害者自身に因果関係の立証を求めることへの批判や、基準の見直しを求める声が相次いだ。
  通知の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こしている「水俣病被害者互助会」(熊本県水俣市)の佐藤英樹さん(59)は、環境省内で記者会見し「水俣病患者の切り捨てだ」と強く批判した。

  新潟水俣病と診断されながら、国の認定基準では患者と認められず、昨年12月に国と原因企業の昭和電工(本社・東京都)を相手取り集団損害賠償訴訟を起こした原告団長の皆川栄一さん(71)=新潟県阿賀町=は「基準を変更しなければ水俣病の全面解決はない。今回の通知は患者の意見を反映していない」と反発した。【阿部周一、真野敏幸、小林多美子】


【参考サイト】
新潟水俣病資料館
ノーモア・ミナマタ 水俣病不知火患者会・関東支部
水俣病:ノーモア・ミナマタ国家賠償等請求訴訟 弁護団
デイリー #水俣病 ~現在過去未来~ #minamata
 

兵庫原発避難 集団訴訟 (第1回口頭弁論 2/25)

兵庫原発避難 集団訴訟 (第1回口頭弁論 2/25)

【背景】
兵庫県原発被災者支援弁護団より
 東日本大震災・福島第一原発事故からまもなく3年となります。
 しかし,今も原発事故からは放射性物質が漏れ続けています。賠償の支払いも進んでおらず,ADRによる和解仲介手続も課題が多い状況にあります。
  国も『原子力事故による子ども・被災者支援法』の具体的な支援策の実施も不十分なままです。 加害者であるはずの東京電力はその立場を忘れ,国民を守るべき国は責任を 果たさずに傍観したままです。

 このような現状を打開し,子どもたちの未来とあたり前の日常を取り戻すためには,被災者の皆さんが力を合わせて,裁判を通じて避難の権利を認めさせるほかありません。
 兵庫県では,9月に集団訴訟を起こしました。全国各地の集団訴訟との連携し合って,進めて参ります。
 ご興味ある方は,ふるって弁護団事務局までご連絡下さい。 【連絡先】 (なお,当弁護団としては,現在のところ,年間1ミリシーベルトの地域から避難された方を原告としております。)

●原告数は18世帯・53名、請求総額は4億4500万円。
 訴訟提起にあたっての弁護団・原告団の声明文は【こちら】(PDF)
 原告団代表の橋本洋一さんの声明文は【こちら】(PDF)

・・・
・東電と国は争う姿勢 兵庫原発避難集団訴訟
 東京電力福島第1原発事故で避難生活を強いられたとして、福島県から兵庫県内に避難している被災者ら18世帯54人が、国と東電に慰謝料など総額4億4500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が25日、神戸地裁(東亜由美裁判長)で開かれた。国と東電はともに請求棄却を求め、争う姿勢を見せた。

 原発事故による避難者の集団訴訟は全国各地で始まっているが、兵庫県内では初めて。
 東電側は「何重もの備えをしていたが、今回は想定を超える地震と大津波で予見できなかった」と過失を否定。
 事故と因果関係がある損害に限り、原子力賠償法の範囲内で賠償に応じるとしたが、原告団のほとんどが自主避難者だと強調。「居住地域はいずれも避難指示の対象になっておらず、被ばくは及ばない」と述べた。
 また、国側は「請求の根拠が判然としない」として原告側に詳しい説明を求めた。

 一方、原告団は2人が意見陳述。福島県いわき市から避難してきた女性(33)は「私たちは健康への不安や恐怖を一生抱えて生きていかなくてはならない。事故の責任の所在を明らかにし、汚染地域に住む人々の権利を認め、保障してください」と訴えた。
 原告団は昨年9月末に提訴。国と東電は原発事故を予見できたのに備えを怠ったとして、1人当たり150万~1500万円を請求している。3月7日には10世帯20人以上が第2次提訴する予定。(神戸新聞
///////////////////////////////////////////

【参考資料】
●山形・新潟・群馬集団訴訟弁護団 共同声明
原発弁護団新潟のブログより

共同声明
                             声  明

私たち弁護団は、2011(平成23)年3月11日に発生した東京電力福島第一原発事故(以下「本件原発事故」という。)によって、福島県内からその隣県である山形県、新潟県、群馬県に避難をされた方々の支援活動に取り組んできた。

避難をされた方々は、避難行動そのものの恐怖と苛酷な環境はもとより、本件原発事故により住み慣れた地域を失い、仕事を失い、知人・友人とのコミュニケーションの機会を失い、子どもたちは転校を余儀なくされ、家族が離れ離れに生活しなければならない状況におかれている。避難者の方々の状況は誠に深刻である。

このような事態は、それまでの人生で積み重ねてきたものを突然失うことに等しく、国と東京電力が、一体となって、原子力発電事業を推進し、その「安全神話」のもと、安全対策を怠ったまま原発の稼働を続け、本件原発事故を発生させたことからすれば、まさしく国策により、住民の全人格的利益を侵害したものにほかならない。本件原発事故は、国家及び東京電力による重大な人権侵害である。

私たち弁護団は、避難された方々の支援活動として、原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続(ADR)を利用してきた。しかしながら、原子力損害賠償紛争審査会が策定した中間指針やADRの運用は、誠に遺憾ながら、避難者の被害の実情を適切に理解したものとはなっておらず、とりわけ区域外からの避難者に対しては極めて少額の賠償を認めるにとどまっている。このような指針及び運用は、避難者の被害を過小評価するものと言わざるを得ない。

放射線の人体に対する影響については科学的に十分に解明されておらず、放射線被ばくによる健康影響については閾値がないとの国際的知見があることからすれば、避難区域の内外を問わず、放射線被ばくを避けるために避難することは必要かつ合理的な行動であることは明らかである。

加害者である国と東京電力は、避難をされた方々について、区域内外の区別をすることなく、被告らの責任において完全に賠償すべきである。

本日、山形地方裁判所に62世帯227名、新潟地方裁判所に101世帯354名の避難者が、国と東京電力に対し、精神的損害の賠償を求めて提訴した。避難者の方々は、これまでの様々な困難を乗り越えて提起したものである。本年9月11日には、前橋地方裁判所にも同様の訴訟が提起される予定である。私たち弁護団は、本訴訟を通じて、避難者に生じている被害の実相を明らかにし、国と東京電力の加害責任を前提とした完全賠償を実現するため、全力を尽くすことを表明するとともに、広く国民に対しご支援を訴えるものである。

2013(平成25)年7月23日

原発被害救済山形弁護団
 団長 安 部   敏
福島原発被害救済新潟県弁護団
 団長 遠 藤 達 雄
原子力損害賠償群馬弁護団
 団長 鈴 木 克 昌

●「時効問題に関する弁護団共同意見書
[共同意見書の提出弁護団]「syoumetujikou.pdf」をダウンロード
福島原発被害弁護団(浜通り弁護団),「生業を返せ,地域を返せ!」福島原発事故被害弁護団ふくしま原発損害賠償弁護団原発事故被災者支援北海道弁護団原発被害救済山形弁護団,みやぎ原発損害賠償弁護団,福島原発被害救済新潟県弁護団原発被害救済茨城県弁護団原子力損害賠償群馬弁護団福島原発被害首都圏弁護団東日本大震災による原発事故被災者支援弁護団(原発被災者弁護団),浪江町支援弁護団,原発被害救済千葉県弁護団福島原発被害者支援かながわ弁護団,福島原発事故損害賠償愛知弁護団東日本大震災による被災者支援京都弁護団原発事故被災者支援関西弁護団兵庫県原発事故被災者支援弁護団岡山被災者支援弁護団

【参考サイト】
福島集団疎開裁判 (「福島原発事故緊急会議/事故情報共同デスク」より)
子どもの安全な場所での教育を求める  URL: http://fukusima-sokai.blogspot.com/

・・・
3/3
・福島の避難者58人が提訴 国と東電に24億円請求
 東京電力福島第1原発事故で精神的苦痛を受けたとして、福島県から宮城県へ避難した58人が3日、国や東電に対し計24億4760万円の損害賠償を求める訴訟を仙台地裁に起こした。
 原告のみやぎ原発損害賠償請求弁護団によると、提訴したのは福島県の南相馬市、双葉町、浪江町、富岡町からの避難者で計22世帯の58人。同様の訴訟は札幌、東京、名古屋などの各地裁で起こされている。
 訴状によると、58人は原発事故により故郷を失い、避難時に死の恐怖を感じるなど精神的苦痛を受けた。また将来の不安があるとして、国や東電に慰謝料として1人当たり4220万円の賠償を求めている。(共同)

2/25
自民、原賠機構法改正案を了承
 自民党は25日の総務会で、原子力損害賠償支援機構(原賠機構)の役割を見直し、東京電力福島第1原子力発電所の廃炉作業を担える組織にするための原賠機構法改正案を了承した。
 村上誠一郎元行政改革担当相は原賠機構が融資する廃炉費用が不明確な点などを批判し、途中退席した。総務会では電力小売りの全面自由化を柱とする電気事業法改正案も了承した。(日経)

「一律賠償」2015年2月打ち切り 東電、一方的に方針転換
 東京電力は24日、原発事故の避難指示による失業や減収に対する就労不能損害の一律賠償を当初見込んだ今年2月末から延長するものの、2015(平成27)年2月末で打ち切ると発表した。
 また、今年3月分の請求から、これまで差し引かなかった事故後の就労で得た収入分を賠償から差し引く方針も示した。東電による一方的な方針転換で、被災者の反発が予想される。
 東電は15年2月以降、個別の事情に応じて賠償を支払うとした。避難生活の事情で就労が難しい被災者も多く、東電がどこまで賠償を認めるかが焦点になる。(福島民友


批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2月10日「福島: 損害賠償紛争問題」(新聞資料)

2014年2月25日火曜日

終わりなき戦争に抗う ――中東・イスラーム世界の平和を考える10章

終わりなき戦争に抗う  ――中東・イスラーム世界の平和を考える10章
(中野憲志編 新評論)



 シリア、アフガニスタン、パレスチナ…、〈中東〉の平和は、なぜこんなにも遠いのか?
 これを考えるヒントとして、私たちはかつて中東・イスラーム研究家の板垣雄三が提起した「歴史の現在」という言葉を知っている。
 それは、現在を「目まぐるしく過去に転化しつつ未来を実現することによって、過去と未来がそこに統一される場」として捉える歴史認識のことであるが(『歴史の現在と地域学』 岩波書店)、しかしこれによって照射されるべき「可能性のカード」としての未来は、今、希望という言葉からあまりにかけ離れてみえる。
 
 パレスチナの占領(1948年〜)、人道的軍事介入(1993年のソマリア以降)、対テロ戦争(2001年〜)、そして「保護する責任」に基づく武力行使(2011年リビア、コートジボアール、2013年マリ)を終わらせようとする意思が、世界のパワー・エリートからまったく読み取れないからである。私たちはそのことに無頓着すぎはしないだろうか。
 
 おそらく、希望のカードは「歴史の現在」を招来せしめた世界史の蹉跌を乗り越えんとする人間の現在的営為によってのみ手にしうるだろう。そして歴史がそのカードを引くためには、時の政権が語るような安保戦略と一体化し、軍事によって担保される「積極的平和主義」ではなく、生きるという人間の本源的営みをより豊かにし、存在の尊厳を守ることそのものであるような言葉として平和の理念を転換し、内政・外政にわたる日本の政治の行方を変えることが求められている。
 
 イスラーム世界の平和、今や人類の四分の一近くを占めるにいたったムスリムの尊厳抜きに、いかなる平和も構想できない。国際NGOや連帯運動ばかりではない。「戦後」平和運動そのものが、現在という「さらに切迫的に特異な世界史の転換点」(板垣)に立たされている。
 (編著者:中野憲志) 

【執筆者】
・中野憲志 (先住民族・第四世界研究、外交・安保政策批判、市民社会変容論)
・平山恵 (明治学院大学教員、シリア支援団体『サダーカ』メンバー)  
・レシャード・カレッド (アフガニスタン人医師、アフガニスタン支援団体『カレーズの会』理事長)  
・イヤース・サリーム (パレスチナ・ガザ生まれ、同志社大学大学院博士課程)  
・役重善洋 (パレスチナの平和を考える会、京都大学大学院博士課程) 
・臼杵陽 (日本女子大学教員、中東・イスラーム研究)
・藤岡美恵子 (法政大学非常勤講師、国際人権論・NGO論)
・リアム・マホニー (Field View Solutions所属、紛争地における民間人保護の専門家)
・長谷部貴俊 (日本国際ボランティアセンター事務局長、前アフガニスタン現地代表)
・阿部浩己 (神奈川大学教員、国際法・国際人権法)

【目次】
序章 終わりなき戦争に抗う ………中野憲志
はじめに
一 〈終わりなき戦争〉に正当性はあるか?
二 「積極的平和主義」?――湧きおこる戦争の言説
三 「戦争と平和」の言説と蘇る『知識人の裏切り』
四 歴史観の転換――いくつもの世界、いくつもの歴史

第Ⅰ部 終わりなき戦争・占領・介入に抗う

第1章「正戦」を超える「非戦」日本の貢献――シリアから考える ………平山恵
はじめに
一 「伝えられるシリア」と「現実のシリア」
二 「正戦」を支える「大量のわれわれ」
三 闇の中の小さな光
四 「非戦」の日本社会からできること
おわりに―― 国際社会を動かすために、「非戦」の日本社会ができること

第2章 平和なアフガニスタンの国づくりのために、日本に期待されていること …… レシャード・カレッド
はじめに ――日本や欧米人のイスラーム理解
一 アフガニスタンの近現代史
二 米国の報復戦争
三 カレーズの会の発足
四 国際社会と日本国政府によるアフガニスタン情勢への対応
おわりに

第3章 市民が担うイスラーム/トルコの事例 ――社会変革と民主化におけるムスリム市民社会の役割……イヤース・サリーム
はじめに
一 イスラーム市民社会の起源と慈善活動の役割
二 民主化プロセスにおけるムスリムNGOの役割――トルコの事例から
おわりに――シリア難民危機とトルコのNGO

第4章 「中東和平」の二〇年と占領経済のネオリベラル化――イスラエルにおける排外主義の深化と新しいパレスチナ連帯の可能性………役重善洋
はじめに――「中東和平」が不可視化してきた占領の現実
一 イスラエルにおける戦争・占領経済のネオリベラル化
二 イスラエル社会の右傾化と「軍事的ネオリベラリズム」の拡散
三 新しいパレスチナ連帯の可能性
おわりに

第5章 DIALOGUE 1 アラブ・イスラーム世界の「サウラ」(反乱)をどう読むか ………臼杵陽
一 メディアと現代的オリエンタリズム
二 「西側」の関与がもたらすもの
三 武装闘争とイスラーム主義をどう考えるか
四 日本の中東政策と中東研究

第Ⅱ部 国際人権と人道的介入

第6章 戦争を止めることが人権を守ること ………藤岡美恵子
はじめに
一 「人道的」戦争?
二 「対テロ戦争」――非対称な戦争、軽視される「南」
三 「人権を守るため」の武力行使
おわりに――戦争は人権を保障しない

第7章 人権危機における武力介入 ――人権運動の対応とジレンマ ………リアム・マホニー
「はじめに」に代えて(訳者)
一 非暴力か正戦か?
二 正当性の基準
三 介入がもたらす被害と長期的影響
四 軍事介入に代わる戦略

第8章「テロとの戦い」とNGO――私たちがなすべきこと ………長谷部貴俊
はじめに
一 人道主義の限界
二 私自身の中のオリエンタリズム
三 支援と文化
おわりに ――私たちのなすべきことは?

第9章 DIALOGUE2 国際人権と人道的介入――人権は武力行使を止められるか? ………阿部浩己
一 法と人権――「人権の主流化」の中のマージナル化
二 国際法の「西洋中心主義」
三 国際人権と平和――介入論を疑い、超える
四 国際人権運動の今後――ローカルな運動とつながる

編者あとがき

書籍価格(消費税込) 2835円
ISBNコード ISBN978-4-7948-0961-2
版型 四六判並製
頁数 296ページ 

 






【参考資料】
ニューズレター『NGOと社会』
〈NGOと社会〉NL9号
2011.11.20 シンポジウム「日本の「国際協力」と人道的介入」資料

〈NGOと社会〉の会・2012年連続シンポジウム
2012イスラーム連続シンポジウム報告  【〈NGOと社会〉の会・法政大学国際文化学部共催
  イスラーム社会の変革の胎動とNGO〜 「イスラーム的価値」の社会的実践から学ぶ

2014年2月24日月曜日

「エネルギー基本計画」(素案)を読む(4)

「エネルギー基本計画」(素案)を読む(4)

Ⅰ 「素案」の狙い
 

 原子力ムラにとっての新「エネルギー基本計画」の狙いは、「3・11」以後噴出した脱原発論を抑え込み、「理想的」な「エネルギーミックス論」(電源構成論)の中に、再度明確に原発を位置づけながら、原発再稼働を既定方針化し、さらに「3・11」以前から計画していたものを含め、原発の新規建設に道を開くことにある。

 細かい数字上のことは、今後の「事態の推移」を見守りながら、どうとでも「調整」することができる。重要なことは、法的根拠を持たせる形で、国策としての原発推進を再度確定し、その中で新規建設の可能性を排除しない、国としての基本方針を打ち出すことにある。その意味で、今回の「素案」は、まさに原子力ムラの意を汲んだ、原子力ムラの策略通りのものとなっている。

「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見(案)」

 このような「素案」の狙いは、この文章の構成をみれば明らかである。
 「3・11」で問われたのは、「戦後」日本の「原子力政策」そのものと、それを推進してきた原子力ムラと一体化した国と官僚機構の在り方と責任の所在であったはずだ。しかし、「素案」は論点をそこから完全にズラし、「エネルギーの安定供給」論と「原発の安全」論に、〈問題〉をすり替えているのである。
 「素案」は、まさにそのために、あらゆる「理屈」を引っ張り出そうとする。
・・
1.我が国のエネルギー需給構造が抱える課題
(1)我が国が抱える構造的課題
(2)東京電力福島第一原子力発電所事故及びその前後から顕在化してきた課題

2.エネルギー政策の新たな視点
(1)エネルギー政策の原則と改革の視点
①エネルギー政策の基本的視点の確認
② “多層化・多様化した柔軟なエネルギー需給構造”の構築と政策の方向
 原発再稼動、再エネ導入の進捗の度合い等を見極めつつ、速やかに実現可能なエネルギーミックスを提示

(2)各エネルギー源の位置付け
1)石油  2)天然ガス 3)石炭 4)LPガス 5)原子力 6)再エネ(太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス・バイオ燃料)
・・
 上の「各エネルギー源の位置付け」では、なぜ「再エネ」が「原子力」よりも後の最後尾に「位置付け」られているのかも問わねばならないが、さらに読み進めてゆくと、何のことはない、
結局、「素案」が「原子力」中心主義の「エネルギー基本計画」になっていることが明らかになる。
・・
3.新たなエネルギー需給構造の実現に向けた具体的な取組
(1)原子力政策の基本方針と政策の方向性
2)核燃料サイクル政策の着実な推進
・・
 2
 ところで、前回、私は、原子力ムラにとって「素案」の最も重要な点は、「リプレースメントも含めた新増設」といった「議論」が「素案」の策定を通して可能になった、という点にあると書いた。
 そして、「それは、安倍政権の既定方針を受けているように、一見、思えるかもしれない。しかし、実は「それ以上」のものである」とも書いた。
 なぜ、「それ以上」のもの、なのか? これについては、まず、

①安倍政権が、原発推進・再稼働断行・核燃料サイクル推進を基本方針とはしていても、「中・長期的な原発政策=で、原発をどうするのか?」についての政権としての方針を持たぬまま、それを「基本政策分科会」の議論に丸投げする形になってしまっていることが、本質的で最大の問題としてあることを理解する必要がある。 ところが、
②その「分科会」においても、原発推進・再稼働断行・核燃料サイクル推進を基本方針としているだけで、実際には、全「エネルギー源」に占める原発の構成比率については、まったく議論の埒外に置きながら、これからの「エネルギー政策」と「計画」なるものを議論してきたのである。

 つまり、「原子力」を、「重要な」「電源」として「位置付け」ることには成功した。しかし、実際の国の「エネルギー政策」の策定のためには、「原子力」を含め、「再生エネルギー」、天然ガス、LPガス、石炭、石油などの、各エネルギー源に基づく電力供給の比率を、10年後、20年後、30年後・・・と見据えながら、具体的なビジョンを示さなければならない
 事務局原案としての「素案」には、これがないのである。

 なぜ、こうなるのか? 安倍政権も、経産官僚も、ともにその「ビジョン」を持たないからである
 再稼働に向けた「安全基準」策定とその「審査」も、規制庁に丸投げする格好になり、政権・与党、つまりは国としての政治的判断を下そうとしないからだ。 その結果、どうなるのか?

①規制庁が電力企業に「NO」と言わない既存原発は、最長60年今後も残り続け、
②さらに新規建設についても、「合理的に安全と判断される」ものについては、建設され続けることになる・・・。

 だから、たしかに再稼働を許すか、許さないかは、非常に重要な問題ではあるのだが、新「エネルギー基本計画」(素案)がはらんでいる問題は、決してそれだけはない。 もっと言えば、再稼働問題は「素案」の問題点の一つにすぎないことを、しっかり押さえておくことが肝心である。

(注 2/27  茂木経産相は、27日の衆院予算委員会で、原発への将来的依存度について、「3・11」前の3割よりも下げる、と述べた。先述したように、これは基本政策分科会の中でも「25%」という数字が具体的に出ていることを受けたものと考えるが、茂木経産相のこの言葉には政治的・法的根拠が何もない。この問題については、後日また改めて論じることにしたい。)


Ⅱ 「素案」は「電力完全自由化」と「地域独占解体」を実現するか?

 「素案」の問題は、以上にとどまらない。 「エネルギー基本計画」(素案)を読む(1) の中で、
1、「原子力ムラ」を構成する経産官僚(そこから脱しようとしている、ごく一部の人々が存在することを忘れないようにしたい)と、発送電の「地域独占」と既得権を死守しようとする既存電力大企業の、いわば「戦略的願望」を示したに過ぎないものであること、そして、

2、原発を「重要な」「ベース電源」とするかどうかを含め、これからの日本の「エネルギー計画」の詳細については、現在に至るも何も確定していない、と書いた。

 「素案」をめぐっては、これまで、これが「発送電分離」、「電力(供給)完全自由化」を前提として、既存の電力企業の「地域独占」体制を解体するものであるかのような、あたかもそれが「既定の方針」として確定したものであるかのような「報道」が繰り返されてきた。

 しかし実際には、まさに「現在に至るも何も確定していない」のだ。そのことは、下に紹介する、「制度設計ワーキンググループ」の委員である松村敏弘(東京大学 ・会科学研究所教授) 氏と、山口英(奈良先端科学技術大学院大学・情報科学研究科教授)氏の発言を読めば、明らかである。

 原発および再稼働問題についての立場に関し、私自身は両氏とはかなり異なるが、以下に述べられている両氏の見解は、「基本政策分科会」や「制度設計WG」内において、どのような政治力学の元で「議論」が進められてきたかを理解するにあっても、非常に示唆に富んでいる。

 これからの「制度改革」なるのものの柱の一つとされている「広域的運営推進機関」問題について、両氏の見解を参照しながら、考えてみていただきたい。

⇒ 「エネルギー基本計画」(素案)を読む(5) ---「安定供給」・「完全自由化」という神話」につづく


【参考資料】
①「広域的運営推進機関の発足に向けた検討状況」「電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ」第五回会合(1月20日)の事務局提出「資料5」より。




















「電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ」第一回会合(2013年8月2日)における松村敏弘(東京大学 社会科学研究所 教授) 氏の発言(17頁)より。

「基本的な方針から逸脱するということはないと思いますが、私が一番恐れているのは、表面上逸脱していないように見せながら基本的な方針を骨抜きにすることです。
 その骨抜きは、具体的に言うと、広域機関の役割をできるだけ限定的にする、広域機関をできるだけ小さくする、できるだけESCJの看板の架け替えだけで済ませようとする
 骨抜きはおそらくこのような形で出てくると思います。これはシステム改革の、元々の趣旨に大きく反するものだと思います。

 一番わかりやすい骨抜きの動きは、広域機関の役割をできるだけ非常時に限定し、普段は重大な意思決定を伴わないルーティンワークだけしかやらせないようにする、重大な意思決定をするに足る人材を集めるのを阻む、と言う形で現れると思います。
 普段から一定の役割を果たし、情報を集めていない機関が、非常時に役割を果たせるとは思えない。基本方針では役割を非常時のみに限定しない整理になっているはずです。

  具体的に先ほどの議論に出てきましたが、基幹送電線、連系線などの計画は、実際には私はこ
の広域機関が担うべきだと思っており、そのような整理になっていたはずです。
 一応、今回の資料でも建前はそうなっているけれども、各電力会社の送電部門が上げた計画にただ判を押すだけ、綴じて役所に出すだけという機関になってしまう可能性は、どんな法律を整備しても、やる気の無い人や利害関係者が運営すればあり得ると思います。

 あるいは、まるでアリバイ作りのように、毒にも薬にもならないことしか言わない、最後には電気事業者の言いなりになるおとなしい中立者を集めた委員会を形だけ作り、その委員会の提言に従って電気事業者の計画を常にそのまま認めるという、かつてのESCJのような機関にしないように、実際にきちんと各電力会社が持ってきた計画を審査し、連系線が足りないのであれば増強すべきだと言える人材を集め、実質的な計画、審査機能を持たせることが非常に重要だと思います。















③「制度設計ワーキンググループ」第4回会合(2013年12月9日)に提出された、山口 英(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授)氏による「資料」 より。
【論点1】
 第3段階での、発電事業者と小売り事業者の取引所を通さない過度の取引(結託)は、健全な電力卸取引市場の形成を阻害するので、何らかの規制が必要ではないか。

【意見】
 取引所を経由しての卸電力調達には、様々な良い点が見いだすことができる。
 例えば、卸電力の透明なプロセスでの価格決定、地域を越えた電力調達の進展による日本全国での電力供給の最適化、さらに、発電及び小売り領域での新規参入企業の参入障壁低減効果も期待できる。しかし、オープンな取引市場であるからこそ、電力供給に甚大な障害を与えうる事象について、さまざまなセーフティネットが必要になることは言うまでもない。

 取引市場を法定化する大きな理由は、取引所の権能と責任を明確に定め、国民、行政等による取引所の監視と、不正行為の是正を行うことを可能にすることにある。電力卸市場には、取引所経由の調達と、相対契約による調達の2種類がある。
 前回 WGでは、この取引所経由の調達が、全体の3割程度になることを目指すということが、概ね合意された。この3割が、取引所での透明な価格決定プロセスとして扱うに十分かどうかは議論が必要だが、少なくとも、今よりも50倍程度の取引量になることは良いことだ。

 しかし、これまで地域独占型電力会社(東京電力や関西電力といった既存地域電力会社)が存在したことで、第三段階では、各地域には、地域独占型電力会社を出自とした巨大事業者が存在することになる。つまり、 .発電事業者としては、複数の発電設備を持つ単独の大規模発電事業者と、単一または少数の発電設備を持つ小規模発電事業者(複数)が混在。
 小売り事業者としても、巨大な顧客基盤を持つ単独の大規模小売り事業者と、少数の顧客を獲得している小規模小売り事業者(複数)が混在。という状況になることは、容易に想像できる。

 この、地域独占型電力会社を出自とした巨大2者(発電事業者と小売り事業者)が、取引所を介さず電力調達を行い、価格形成、需給調整、運用調整を不透明なまま行う事になると、透明な価格決定機能といった取引所の機能を損なうだけでなく、新規参入事業者に対する影響力行使等の不透明な市場支配が行われてしまうようになるだろう。

 このことを防ぐためには、地域独占型電力会社を出自とした巨大2者(発電事業者と小売り事業者)の取引に一定の規制を設ける(取引所利用の強制)か、あるいは、独占禁止法などの既存法制を用いて過度の相対取引を排除するかなどの強制力の適用が必要になるし、また行政はその規制を実行すべきである。
 また、相対取引も含めた、電力卸取引市場の監視も必須である。このような、制度設計を WGでも議論し、実装すべきである。

【論点2】
 第3段階では、電力卸取引所、広域連携機関、主たる送電事業者、さらに決済機構は、全国をカバーする単一の事業体でなければならない。また、その中立性も厳格に保たれることが必要。
情報システム開発の観点からも、単一事業者が望ましい

【意見】
 電力卸取引所の透明性を持った運用を考えると、わが国全体で単一の取引所が設置されることが望ましい。複数取引所も考えることもできるが、取引商品数、取引プロセス戦略の簡単化、約定プロセスの確実さなどを勘案すると、複数の取引所を国内に用意するメリットは、ほぼ無いと言えるだろう。また、情報システム投資を考えると、複数取引所にするメリットは、皆無である。

 単一の取引所が設置され、約定されうる取引は、その後託送手配が行われなければならない。ところが、この託送手配の確度を向上させるためには、広域連携機関が単一母体であることが望まれ、実際の託送処理をする送電事業者が、全国をカバー範囲として持つことが大切となる。なお、複数事業者が存在し、お互いに競争することは構わない。

 しかし、広域連携機関の運用とは独立して、地域に分断された送電事業者が、託送手配を恣意的に排除するような状況が生まれうるなら、それは取引所の信頼性の毀損にも通じ、取引所の利用を冷やす可能性がある。「約定しうるものは、運ばれることが当たり前」とならなければ、取引所利用への不安が市場に残ってしまう。

 このような状況を排除するためには、送電事業者が全国をカバー範囲とする事業体として成り立っていることが重要となる。地域に分断された送電事業者は、望ましいものではない。これは、システム投資の面からも、地域分割を温存するメリットは少なく、全体最適を目指すべきである。
 さらに、約定された取引を取り扱う決済機構(クリアリング機能)も、その運用の簡単化を果たすために、また処理の効率化を行うためにも、全国で単一の母体であることが、望ましいことは明らかとなる。

 第3段階つまり法的分離後に、地域独占型電力会社の送電部門が9つに分離したまま存在し、単一の広域連携機関の下、送電事業を行うという説もあるが、これは望ましいものではない。
 リスクも大きく、システム投資的にも、合理性の確保が難しい。
 地域最適から全体最適への道も塞ぐものにもなりうる。また、旧来の各種機構(ESCJ, JEPXなど)については、基本的に地域独占型電力会社からの影響力の排除や、中立性/透明性の確保に不安があるので、基本的には全て発展解消することが、妥当ではないか。






















③「電力システム改革小委員会 制度設計ワーキンググループ 委員名簿」
座長
・横山 明彦  東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授
委員
・稲垣 隆一  稲垣隆一法律事務所 弁護士
・大橋 弘  東京大学大学院 経済学研究科 教授
辰巳 菊子  公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問
・林 泰弘  早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教授
・松村 敏弘  東京大学 社会科学研究所 教授
・圓尾 雅則  SMBC日興証券株式会社マネジング ディレクター
山口 英  奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授

専門委員
・中野 春之  東北電力株式会社 執行役員 電力システム部長
・前田 英範  中部電力株式会社 執行役員 営業部長
・野田 正信  関西電力株式会社 執行役員 電力流通事業本部副事業本部長
・瀧本 夏彦  中国電力株式会社 執行役員 経営企画部門部長
・寺島 一希  電源開発株式会社 審議役・流通システム部長
・遠藤 久仁  株式会社エネット 取締役営業本部長
・沖 隆株式会社 F-Power 取締役

⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む(3)
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む(2)
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (1)

・・・

声明:原発再稼働に前のめり? 原子力規制委員会の姿勢を問う
 2014年2月24日 NPO法人 原子力資料情報室

・・・
2/25
・エネルギー基本計画:原発「重要なベースロード電源」明記
 政府は25日、国の中長期的なエネルギー政策の方向性を決める「エネルギー基本計画」の原案をまとめた。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、一定規模を活用していく方針を明記した。「原発回帰と受け取られかねない」という与党の懸念に配慮し、素案からやや表現を弱めたものの、原発ゼロを目指すとした民主党政権からの方針転換は鮮明だ。
 茂木敏充経済産業相は25日の記者会見で「(素案から)いくつかの変更点はあるが、基本的に方向性が変わったとは認識していない」と述べた。

 政府原案は経産省の審議会が昨年12月にとりまとめた素案をもとに経産省が策定。同日午前の原子力関係閣僚会議で茂木経産相が示した。自民、公明両党との調整を経て年度内に閣議決定する見通し。
 原案は原子力規制委員会の新規制基準をクリアした原発について「再稼働を進める」と明記。再生可能エネルギーの導入促進などで「可能な限り原発依存度を低減させる」(???)とする一方、将来の原発規模を「安定供給、コスト低減などの観点から確保していく規模を見極める」とし、原発の新増設や建て替えにも道を開く内容にした。

 素案では、原発を「基盤となる重要なベース電源」としていたが、与党内の慎重論に配慮し「基盤となる」の文言を削除。「ベース電源」という言葉が原発の重要度を示すわけではないことを強調するため、季節や時間帯に関係なく安定的に出力できるという意味の「ベースロード電源」という専門用語に置き換えた。
 東京都知事選で「脱原発」に注目が集まったことなどもあり、素案に比べ原発をめぐる表現はやや弱まった。しかし、原発を中長期にわたり活用する方針に変わりはなく、東京電力福島第1原発事故を機に「2030年代に原発ゼロを目指す」と脱原発へとかじを切った民主党政権との方針の違いは明らかだ。
 国内の原子力発電所などで保管されている約1万7000トンの使用済み核燃料の問題では「国が前面に立って取り組む」としたものの、具体的な解決策は示されていない。高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の失敗続きなどで行き詰まりが明らかな核燃料サイクルについても「推進」の方向を維持した。(毎日 大久保渉)

・経産相、エネルギー基本計画「丁寧なプロセス経て閣議決定へ」
 茂木敏充経済産業相は25日午前、閣議後の記者会見で、エネルギー基本計画の政府案が決まったことを受けて「国民生活と経済活動に直結する重要な問題なので、いつまでと期限を区切らず丁寧なプロセスを経て(?)閣議決定していきたい」と述べた。計画は原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置付けた。

 ベースロード電源は低廉で(?)昼夜を問わず供給できる電源、と説明した。茂木経産相はコストが低く安定供給が可能であるため、安全を確認したうえで再稼働する方針を示したが、併せて原発を可能な限り減らす、との政府の従来方針は「変わりない」(?)とも強調した。

 エネルギー基本計画は25日朝、関係閣僚が集まり、政府案を決めた。太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーについて政府案は「2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく」と明記した。経産相は「(再生可能エネルギーを)しっかりと推進していく方針を明確に示した」と語った。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2/21 
大阪ガスと関西電力、自由化にらみ組織再編
「大阪ガスと関西電力が2016年にも予定される電力・ガス市場の全面自由化をにらんで組織を再編する。大ガスは今春をメドに電力事業の統括組織を新設。関電は20日、4月1日付でエネルギー関連サービスを手掛ける2子会社が合併すると発表した。自由化で電力・ガス市場の地域独占は崩れるとみられ、組織を刷新して競争に備える。・・・」(日経

・電力小売り自由化、7・5兆円市場参入に期待 「安定供給守れない」慎重論も
 自民党の部会が電気事業法の改正案を了承したことで、電力小売りの全面自由化がいよいよ現実味を帯びてきた。開放される電力市場は7・5兆円。新規参入者には大きなビジネスチャンスだが、既存の電力会社や自民党の一部には「原子力発電所の再稼働がないまま自由化すれば、電力の安定供給は守れなくなる」との慎重論もくすぶる。

 経済産業省が電力各社の家庭向け売上高から算出したデータによると、全面自由化でテレビやスマートフォン(高機能携帯電話)市場にほぼ匹敵する7・5兆円分の市場が新たに開放される。
 内訳をみると、東京電力管内が約2・7兆円と最大で、関西電力の約1・2兆円、中部電力の約9600億円が続く。東京ガスは「ビジネス拡大への期待は大きい」(岡本毅社長)として、家庭向け電力販売の検討を始めた。

 一方、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)は14日の記者会見で、「(原発停止で)需給不安の中での全面競争は避けたい」と、スケジュールありきの自由化を牽(けん)制(せい)した。
 改正案を了承した自民党内でも、21日の電力システム改革の部会では「本当に電気料金が下がるのか」「ライフラインの電力事業に海外企業の参入を許すのか」など全面自由化への懸念の声が出た。
 原発再稼働の遅れで電力需給の将来像が見通せない中では、国会に改正案が提出されても、政府の思惑通りに法案審議がスムーズに進むかは予断を許さない。(産経 2/22)

・電力システム改革、攻防第2幕 業界の反発根強く
「電力システムの改革が第2ラウンドの攻防に入る。経済産業省は2016年に電力の小売りを全面的に自由化するために約40本の法案の今国会での成立を目指す。
 電力の新たな売り手として7兆円超と見込まれる市場への参入に道筋をつける改革には、既存の電力会社や自民党の一部に慎重論も浮上。先送りや骨抜きを探る動きも出始めた。・・・。」(日経 2/19)

・電力債の優遇 「競争妨げに」 自由化へ向け批判の声
 電力会社が一般企業より有利な条件で社債(電力債)を発行できるルールの見直しを求める声が強まっている。電力会社全財産を返済の担保にできるなど好条件で社債を発行でき、低コストでの資金調達が可能
 家庭向けの電力販売を電力会社以外にも認める2016年の電力小売りの全面自由化後は「新規参入業者との競争条件が不公平になる」との見方があるためだ。(西尾玄司)

 電力債には全財産を担保とし、他の債権より優先的な返済も認める「一般担保」が付く。これは、電気を安定供給するために大規模な設備が必要な大手電力会社の資金調達をしやすくすることを目的にした措置で、電気事業法三七条に規定されている。
 好条件で発行される電力債は「返済が確実」とみられ、無担保が多い一般企業の社債より利率を低く設定できる。関西電力が昨年十二月に募集した一般担保付きの社債(三年債)の利率は年0・527%だった。一六年には大手電力会社以外の事業者にも家庭向けの電力小売りが認められる予定だが、新規参入業者には一般担保付き社債の発行は認められていない。

 「不公平解消」のため政府は一時、電力債に一般担保を付ける措置の見直しを検討。しかし、一月二十日の電力システム改革に関する専門家の作業部会では経済産業省が「継続」を主張し了承された。福島第一原発事故後、信用を失った大手電力会社の資金調達が厳しくなっていることなどが理由だ。
 それでも専門家の間には「優遇」への批判が根強い。大阪大の八田達夫招聘(しょうへい)教授は「国が原発を電力会社から買い取るなど抜本的な対策を取らない限り、大手電力会社の経営環境は良くならない。優遇措置の継続で繕っても厚化粧を上塗りするだけだ」と指摘する。

 経産省は発電と送配電を別々の会社が行うことを認める「発送電分離」を実施する一八~二〇年に、あらためて一般担保の取り扱いを検討したいと主張。送配電部門は大手電力会社の「独占」が続き公共財の色合いが濃いため、新規参入業者の担当者は
 「一般担保付きの社債が発行できるのは送配電部門を担う大手電力会社の関連企業などに限定すべき。公平な競争環境を確保してほしい」と話した。

 電気事業法三七条があるため東電は原発事故の被害者への賠償金より、電力債の返済を優先することになる。政府はこれを「東電を破綻させられない理由」に挙げる。
 こうした中で東電は一六年度中の電力債の発行再開を検討。超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」は先月末、「三七条」の廃止を求めた。事務局長の阿部知子衆院議員は「三七条は大手電力の経営をいびつにしている」と批判した。(東京新聞 2/4)

2014年2月22日土曜日

「集団的自衛権」行使の5要件? 個別法で対処? 秋の臨時国会で?

「集団的自衛権」行使の5要件? 個別法で対処? 秋の臨時国会で?

集団自衛権行使で5条件=有識者会議、提言明記へ
 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は22日、現行憲法の解釈変更に向けた提言に「密接な関係にある国が攻撃される」など集団的自衛権の行使が可能になる5条件を明記する方針を固めた。
 政府は4月にも提言を受け、その後速やかに与党との調整に入り、今国会中に解釈変更の閣議決定を目指す。 

 このほかの条件は、
(1)放置すれば日本の安全に大きな影響を与える
(2)攻撃された国からの明示的な支援要請がある
(3)首相が総合的に判断して国会承認を受ける
(4)第三国の領海などを通過する際は許可を得る-の四つ。

 行使の基準を明確にすることで、できるだけ恣意(しい)的な運用を排し、集団的自衛権の行使に懸念を持つ国民や諸外国の理解を得る狙いがあるとみられる。(j時事

・集団自衛権、個別法改正で対処=「安保基本法」には固執せず-安倍首相
 集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の見直しに絡み、安倍晋三首相が解釈変更後の自衛隊の行動を規定する法整備で「国家安全保障基本法」の制定にこだわらない姿勢を示している。
 基本法を目指せば与党内調整の難航が予想されるため、自衛隊法や周辺事態法など個別法の改正で対処する構えだ。ただ、基本法は自民党が2012年の衆院選で公約に掲げており、同党内では公約との整合性から制定を求める声も根強い。

 自民党が12年の衆院選に先立ち決定した基本法の概要は、「国連憲章に定められた自衛権の行使については、必要最小限度とする」との表現で、個別的自衛権と区別せず集団的自衛権が行使できる内容となっている。

 20日の衆院予算委員会では、結いの党の柿沢未途氏が基本法に関して首相の見解をただしたが、首相は「野党時代に法案を出してしっかりと審議を願おうと考えた」と述べるにとどめた。
 その一方、「法的担保が必要だから自衛隊法などを改正していかなければいけないのは当然だ」と強調、同法などを手直しして態勢を整える意向を鮮明にした。

 政府関係者によると、基本法を避けて個別法改正で対応するのは、菅義偉官房長官の進言を受けたものだという。憲法解釈の変更だけでも公明党と折り合いを付けるのは容易ではない中、基本法制定まで踏み込めば政権の体力を奪いかねないとの判断があるとみられる。
 日米両政府が年末までに見直すことにしている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に集団的自衛権の行使を反映させるためには、秋の臨時国会で関連の法整備を行う必要があり、基本法の制定は日程的に困難という事情もある。

 一方、自民党の石破茂幹事長は20日発行の著書で「安全保障の基本方針の根拠が内閣による決定のみというのは、安定性や透明性に欠ける」と訴えており、基本法の制定が必要との立場。周囲にも「安保基本法を掲げて政権を取った」と語っており、官邸サイドと認識ギャップが生じている。(時事

安保法制懇骨子明らかに 集団的自衛権行使は「密接な国への攻撃」を想定
 政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の北岡伸一座長代理は21日、都内の日本記者クラブで記者会見し、4月に提出予定の報告書の骨格を明らかにした。
 日本が集団的自衛権を行使するケースの要件として「日本と密接な関係にある国が攻撃を受け、放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合」と例示した。
 実際の行使に際しては、
▽当該国から明示の要請があった場合
▽第三国の領域通過には許可を得る
▽首相が総合的に判断し、国会の承認を受ける-を条件に挙げ、「国際標準よりも抑制的」に運用する方針も示した。「実際に行使するかどうかは慎重に判断すべきだ」と述べた。

 報告書は
(1)在外邦人の救出を含む個別的自衛権
(2)集団的自衛権
(3)集団安全保障-の3本柱で構成。
 漁民に偽装した武装集団が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に上陸した場合といった武力攻撃に至らない「グレーゾーン」の事態に対する領域警備法制の必要性にも言及する。

 報告書提出後のプロセスについては、政府が行使容認を閣議決定し、自衛隊の行動を定める自衛隊法や朝鮮半島有事などへの対応を定めた周辺事態法国連平和維持活動協力法(PKO法)の改正に着手するとした。
 集団的自衛権の行使を法的に担保するため自民党が選挙公約に掲げた国家安全保障基本法の制定については「二度手間になる」と述べ、個別法改正を急ぐべきだと訴えた。(産経

・・・
3/17
・憲法解釈変更先送りで検討 与党に配慮、夏以降か
 政府は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定時期に関し、従来方針だった6月22日までの今国会中にこだわらず、夏以降に先送りする方向で検討に入った。
 慎重な議論を求める与党に配慮した。安倍晋三首相が今月6日の石破茂自民党幹事長らとの会談で、決定を急ぐべきではないとの認識で一致。公明党幹部にも伝えられた。政府、与党関係者が16日明らかにした。
 自衛隊と米軍の役割分担を定める日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に行使容認を反映させるため、秋の臨時国会で自衛隊法などの関連法改正を目指す基本方針は維持する。(共同)

3/1
集団的自衛権で個別法10超改正 政府方針、秋の臨時国会で
 政府は、集団的自衛権の行使を可能にするため、秋の臨時国会で有事に備える武力攻撃事態法や自衛隊法など10本を超える既存の個別法を改正する方向で調整に入った。
 行使容認の理念を盛り込む新法として想定していた「国家安全保障基本法」の制定は当面先送りする方針だ。政府関係者が1日、明らかにした。

 安倍政権は4月に安全保障に関する有識者懇談会(安保法制懇)から集団的自衛権の行使容認に向けた報告書を受け取り、6月22日の今国会会期末までに行使できないとしてきた従来の憲法解釈変更を閣議決定。その後、必要な法整備を図る段取りを描いている。(共同)

2/25
・PKO武器使用緩和提案へ 安保法制懇、9条解釈変更
 「安倍晋三首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の北岡伸一座長代理(国際大学長)は24日、朝日新聞のインタビューに応じ、憲法9条1項の「国際紛争」の解釈を変更するよう、首相への報告書に盛り込む考えを明らかにした。
 海外での国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊員の武器使用について、憲法上の制約を解消する狙いがある。

 9条1項は、国際紛争を解決する手段としての武力行使を永久に放棄すると定める。
 北岡氏はこの「国際紛争」について「『すべての国際紛争』と解釈されている」と指摘。「国際法の歴史を踏まえれば『日本が当事者である国際紛争』と(限定的に)解するべきだ」(???)との考えを示した。

 北岡氏は「国際紛争」の解釈を変えた場合、PKOでの武器使用について「日本が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行使ではなくなる」(???)と主張。
 国連がPKOで認める二つのタイプの武器使用のうち、「任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用」(Bタイプ)も自衛隊に認められるとした。
 日本は武器使用については、9条の禁ずる武力行使にあたる恐れがあるとして「要員を防護するための武器使用」(Aタイプ)しか認めてこなかった。・・・」(朝日

・内閣法制局長官:公務に復帰 「首相の方針に従ってやる」 
 体調不良で入院していた小松一郎内閣法制局長官が24日、公務に復帰した。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈変更を閣議決定で行う考えを示したことについて、小松氏は「内閣法制局は内閣の一部局なので、首相の方針に従ってやるべきことはやる」と述べ、首相を支える考えを強調した。・・・。

 
 小松氏は今後、国会での答弁に加え、首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が4月にも報告書をまとめるのを受けて、新たな憲法解釈に関する政府原案の作成などを主導する。・・・。」(毎日 朝日弘行) 

野中氏「危険で偏った政治」  安倍政権を批判
 野中広務元官房長官は19日、参院の統治機構調査会に参考人として出席し、安倍晋三首相の政権運営を「議会制民主主義が相当に危険な状態だ」と批判した。
 集団的自衛権の行使容認を検討する政権の有識者懇談会について「偏ったブレーンを集めている」と指摘した。
 首相が集団的自衛権の行使容認をめぐる憲法解釈に関し「私が責任を持っている」と国会で答弁したことに対しては「非常に誤った道を歩みつつある。内閣は自分たちの行動に高揚している」と非難した。
 安倍政権には与党や国会の議論を軽視する傾向があるとして「最後には内閣と与党に大きな亀裂を呼ぶ不安を持っている」と述べた。(岩手日報

安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会有識者
・岩間陽子 政策研究大学院大学教授
岡崎久彦 特定非営利活動法人岡崎研究所所長・理事長
・葛西敬之 東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
北岡伸一 国際大学学長・政策研究大学院大学教授
・坂元一哉 大阪大学大学院教授
・佐瀬昌盛 防衛大学校名誉教授
・佐藤謙 公益財団法人世界平和研究所理事長(元防衛事務次官)
田中明彦 独立行政法人国際協力機構理事長
中西寛 京都大学大学院教授
・西修 駒澤大学名誉教授
・西元徹也 公益社団法人隊友会会長(元統合幕僚会議議長)
・細谷雄一 慶應義塾大学教授
・村瀬信也 上智大学教授
・柳井俊二 国際海洋法裁判所長(元外務事務次官)


「批評する工房のパレット」内の関連ページ
⇒2013年9月11日 「憲法九条と集団的自衛権の行使が共存する時代
⇒2014年2月11日 「武器輸出大国への道
⇒2009年3月30日 「永遠の安保、永遠の米軍基地、そして永遠のテロル


・・・
・武器輸出緩和に66%反対 TPP譲歩容認65%
 共同通信社が22、23両日に実施した全国電話世論調査によると、武器や関連技術の輸出を原則的に禁じる「武器輸出三原則」の緩和に反対するとの回答は66・8%に上り、賛成の25・7%を大きく上回った。緩和する方向で新たな原則を策定する方針の安倍政権に対し、多くの有権者が慎重な対応を迫った形だ。

 TPP交渉の妥結のため、コメ、麦など重要5項目の一部品目について関税引き下げに応じるのはやむを得ないとしたのは65・6%で、応じるべきではないは26・2%だった。
 政府、与党が自治体首長の権限を強化する教育委員会改革を検討していることに肯定的な回答は62・4%。(共同)

2014年2月21日金曜日

「エネルギー基本計画」(素案)を読む (3)

「エネルギー基本計画」(素案)を読む (3)

 経産省・資源エネルギー庁の「基本政策分科会」において、今後の「原子力政策」がまともに議論されたのは、昨年10月16日に開催された第7回会合のみである。
 この会合において、資源エネ庁が「資料」として提出した 「今後の原子力政策について」と題された文書がある。これこそが、その約一カ月半後に公表されることになる、「エネルギー基本計画」(素案)の作文化に向けた〈レジュメを兼ねた資料〉と呼べるものである。

「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見(案)」

 「今後の原子力政策について」は、前回紹介した辰巳菊子氏(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問)が、委員の中で一番まっとうな見解を述べているように私には読めた。(「議事録」の40頁を参照のこと)
・・
 辰巳委員
「・・・ とにかく資料を見せていただいた限り、議論の余地なしという印象を私は持ったということをお伝えしたかったんです。例えば、本日の資料1を拝見する限りですけれども、私が物心ついた頃から営々と国を挙げて築き上げられた日本の原子力政策を説明してくださっているように思えて、「だれが何と言おうとも、もう揺るがないものです」と書かれているように私には思えたんですね。

 ところどころには確かに「国民の声が大事」という表現も散らばってはいますけれども、やはり2011年3月11日のあの福島の事故が起こったことに対する国としての深い反省とか、今も避難
されている人々への思いやり等を微塵も感じることができない資料となっている
のではないかと
私は思いました。・・・。

 いきなり③のところに「国民の信頼回復」と書いてあるんですね。回復ということは、もともとあるところに戻すということですよね。本当にそこまでもともと信頼があって回復すると思っていらっしゃるのかなと思うので─この言葉からはですね。そうすると、私には、やはり相変わらず国だったり原子力政策に取り組んでいる事業者だったりの傲慢さを感じるのですね。その傲慢さを感じることによって、結局は対話が成り立たないと思っております。・・・。

 せめて、せめてなんですけれども、5ページに「できる限り原発依存度を低減させる」という総理のコミットメントをお載せになっているわけで、そのコミットメントに対しての、何でしょうか、この資料のどこかにそれが明確にあらわれているかというと、実を言うと全くないんです。 ・・・。

 政策なんですから、少なくともどういう方法で、どこまで低減させるのかもこの中にもっと具体的に表現していってほしいなと思ったりしております。今日はこれ1回目が出てきて、恐らくまたどこかでバージョンアップしてくださるのではないかと期待しますもので、今、申し上げたような話等も含めて、ぜひぜひ検討を加えていただければと思います。
・・

 しかし、辰巳氏の「期待」は、「素案」によって見事に裏切られることになる。
 では、「素案」のベースとなった 「今後の原子力政策について」の何が問題なのか。

 第一に、民主政権時に策定された「革新的エネルギー・環境戦略」(2012年9月14日エネルギー・環境会議決定) の全否定により、原発推進・再稼働の政府・経産省としての方針を確定し、(
ここからが重要であるが)、原発の新規建設にも道を開いたことである。

 「基本政策分科会」内の少数派意見を封殺する形で、事務局官僚が強引に「これまでの議論」としている、下の(1)「エネルギーセキュリティー」の1と2を見てほしい。
・・
1. 日本は非常に(石油に)依存している。我々の脆弱性をどれぐらい低くし得るかということも強く念頭に置いて、その中での原子力の役割とかエネルギー消費の削減とか、そういうものも考えていく。

2. 安全保障がゆえに石油依存・中東依存を下げる努力をし、原子力が位置づけられてきた。その観点から原子力の位置づけを明確にし、リプレースメントも含めた新増設といった議論もすべき原子力を含めて各エネルギーをバランスよく、合理的に維持していくことが重要。
・・ 




   「革新的エネルギー・環境戦略」を全否定し、「今後の原子力政策について」はどこに向かおうとしているのか? 多くの読者は「そんなことはありえない」と訝るだろうが、「エネルギー基本計画」の基本方針である。


  


  前回の「エネルギー基本計画」では、
①原発の「積極的な利用拡大を図る」とし、
③電源構成に占めるゼロ・エミッション電源(原子力及び再生可能エネルギー由来)の比率を約70%(2020 年には約50%以上)とする。(現状34%) 、

④2020 年までに、9基の原発の新増設を行うとともに、設備利用率約85%を目指す(現状:54 基稼働、設備利用率:(2008年度)約60%、(1998年度)約84%)。
⑤2030 年までに、少なくとも 14 基以上の原発の新増設を行うとともに、設備利用率約90%を目指していく、 としている。

 もちろん、「3・11」の結果、上の数字の再検討が迫られていることは確かである(「分科会」では、「25%程度」という具体的数字があがっている)。しかし、見過ごしてならないのは、「原子力ムラ」にとって最も重要なことは、「リプレースメントも含めた新増設」といった「議論」が可能になった、という点である。
 それは、安倍政権の既定方針を受けているように、一見、思えるかもしれない。しかし、実は「それ以上」のものである。

 理由は、次回、整理することにしたい。原子力ムラと日本の官僚機構をなめてはいけない。



 

⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (4)」 につづく

⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む(2)
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (1)

・・・
・電事法改正案を了承 自民会議
 自民党の経済産業部会と資源・エネルギー戦略調査会の合同会議は21日、電力小売りの全面自由化を柱とする電気事業法の改正案を了承した。2016年をめどに一般家庭まで含めてだれでも電気を売れるようになる。
 政府は早ければ月内にも法案を閣議決定し、今通常国会での成立をめざす。政府は電力システム改革を進めるため、電事法を3回にわたって改正する方針。今回の法案は2回目の改正となる。(日経

・中電が連動地震評価せず 南海トラフのみで算出
規制委指針 M9.6「影響小さい」
 中部電力浜岡原発(御前崎市)の4号機再稼働に向けた安全審査申請で、原子力規制委員会が津波対策の前提として示した南海トラフと南西諸島海溝との連動による最大マグニチュード(M)9・6の参考値について、中電側は「影響は小さい」として連動地震を事実上評価していないことが分かった。中電が最大で海抜二一・一メートルとした想定津波高は、M9・1の南海トラフ地震のみを前提に算出しており、地震の規模は大きく異なる

 規制委が公開した中電の申請書によると、津波の影響を評価するプレート間地震の対象に駿河湾-日向灘の南海トラフ地震を選んだ。その理由について、津波痕跡の文献調査などを根拠に「南海トラフに加えて南西諸島海溝が津波発生源となることによる(浜岡原発の)敷地への影響は小さいと考えられる」と説明。南海トラフ地震で「代表させる」として、連動地震やM9・6の具体的な影響評価は掲載していない。

 中電はM9・1を前提に海抜二二メートルの防潮堤建設を進めてきたが、地元住民らが中電に運転差し止めを求めた訴訟の控訴審では、規制委が示したM9・6を根拠に住民側が「防潮堤では安全を確保できない」と主張している。中電が安全審査を申請したことを受けて、東京高裁(滝沢泉裁判長)は二十日の進行協議で、中電に対し、住民側主張への反論を含め申請内容を踏まえた準備書面を三月十四日までに提出するよう要求した。

 M値が0・2増えると地震エネルギーが約二倍になるとされ、M9・6はM9・1の五~六倍の規模。規制委は原発の新規制基準に伴う津波対策の指針となる審査ガイドで、太平洋沖の津波発生源の一つに「南海トラフから南西諸島海溝沿いの領域」で起こりうる地震の参考値を最大M9・6と記載した。これに対し、中電はパブリックコメント(意見公募手続き)で「記載しない方が適切」などと異論を唱えた経緯がある。(中日

【2/21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論

【2/21】 原発回帰でいいの?!エネルギー基本計画に各界から異論
http://e-shift.org/?p=2923
——————————————-
ちらし→140221_flyer

 原発回帰の方向を示す新たなエネルギー基本計画が、来月にも閣議決定されようとしています。
 年末に示された原案の方向性は、福島原発事故を受けた見直しであるにもかかわらず、原発回帰を明記したものです。

 2012年の「国民的議論」を無視していることに加え、新たに意見聴取するプロセスも非常に限られています。1月6日まで募集されたパブコメには、1万9000件を超える意見が集まっていますがその取りまとめ・公表についてはいまだ「精査中であり未確定」とされています。

 政府与党内を含む各方面からも異論が噴出する中で、このまま決定されてよいのでしょうか。
 本イベントでは、このエネルギー基本計画策定プロセス・内容について各界からの見解を整理し、政府に対して改めて、民意の反映と方針転換を求めます。

【日時】 2014年2月21日(金)14:00~16:00 13:30よりロビーにて通行証を配布します。
【場所】 衆議院第一議員会館 国際会議室

【参加者(調整中)】
・「エネルギー基本計画に民意の反映を」 オンライン署名提出 http://p.tl/9JI8
満田夏花(国際環境NGO FoE Japan)
・秋本真利(自民党エネルギー政策議員連盟)
・阿部知子(原発ゼロの会)
・井戸川克隆(前双葉町長)
・植田泉(生活クラブ東京副理事長)
・野々山理恵子(パルシステム東京理事長)
・吉岡斉(原子力市民委員会)
・明日香寿川(東北大学 東北アジア研究センター教授)
・脱原発をめざす首長会議より
・松原弘直(環境エネルギー政策研究所)
・吉田明子(国際環境NGO FoE Japan/eシフト)ほか

【資料代】 500円
【主催】 eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会) 原子力市民委員会
【連絡先】 eシフト事務局 03-6907-7217 (FoE Japan内)
///////////////////////////////////////////

2・23緊急討論集会「原発再稼動をどうやって止めるのか」@京都大学
https://www.facebook.com/events/545177152256653/
http://d.hatena.ne.jp/byebyegenpatsukyoto/20140219/1392776473

■日時 2014年2月23日(日)午後2時~5時
■場所 京都大学文学部新棟第3講義室
 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/
(京阪「出町柳駅」下車、東へ徒歩10分。市バス「百万遍」「京大正門前」下車、徒歩3分。時計台の北側の法経本館のさらに北の建物)

■内容
①基調提起:
 木原壮林さん(「汚染水問題を憂う京都府民の会」代表世話人、京都工芸繊維大学名誉教授)
 「人類と共存し得ない再稼動を阻止し、即時全廃に追い込もう」
・原発と政治・経済・軍事
・原発推進と科学者の責任
・目前に迫る原発再稼動
・原子力規制委員会の欺瞞性
・原子炉輸出を許すな
・現在の汚染水対策は絶望的
・原発推進の元凶=安倍政権を徹底糾弾しよう

②問題提起:
 児玉正人さん(原発なしで暮らしたい丹波の会、京都の原発防災を考える会)
 「原発再稼動の危険性と『避難できない』避難計画-原子力規制庁交渉の現場から」
③福島からの特別現地報告:奥村岳志さん(南相馬市在住/ルポライター)
「3・11から3年目を迎えるフクシマ」
ブログ:福島 フクシマ FUKUSHIMA
津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに
http://fukushima20110311.blog.fc2.com/
④参加者全員での討論

■資料代:500円
■主催 2・23緊急討論集会「原発再稼動をどうやって止めるのか」実行委員会
■問合せ先:070-5650-3468(内富)、muchitomi@hotmail.com
////////////////////////////////////////

福島原発事故緊急会議
【連続シンポジウム】第5回
3.11から3年――被害者たちの暮らしは、福島第一原発の現実は

◆とき 2014年 3月1日(土) 18:00 ~ 20:30 
◆ところ 千駄ヶ谷区民会館集 (渋谷区神宮前 1-1-10 TEL 03-3402-7854)
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kmkaikan/km_sendagaya.html
 JR原宿駅から徒歩10分、東京メトロ千代田線明治神宮前駅から徒歩8分
◆定員 300人  事前予約不要、直接会場までお越し下さい。
◆資料代 500円

 1月28日、東京電力福島原発事故の被害者救済を求めて、「原発事故子ども・被災者支援法」の具体的な施策の早期実現を求める署名約12万人分が国会議員に手渡されました。昨年11月に提出された署名とあわせると20万筆にのぼります。

 この法律は2012年6月、超党派の議員立法で提案され、衆参両院で全会一致で成立したものです。被害者のいのちと暮らしを守り支える法として画期的であり、さまざまな困難を抱える多くの被害者たちの胸にひとつの希望を灯したものでもありました。
 けれども、昨年秋に閣議決定された「基本計画」では、彼ら彼女らが粘り強く訴えてきたことはほとんど何も反映されず、法の理念は完全に失われてしまったのです。

 3月、原発事故から3年を迎えようとしています。いま、あらためて被害者たちの暮らしの実情を共有し、「原発事故子ども・被災者支援法」のありようをこの社会に暮らす私たちみずからの問題として捉えなおしてみたいと思います。同時に、福島第一原発の汚染水問題の危機的状況を直視し、どう向き合えばいいのか、私たちにできることは何かを考えたいと思います。
 みなさん、ぜひともご参加ください。

【内容】
◎「どうなってるの?『原発事故子ども・被災者支援法』」
    福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)から
◎「避難者たちが抱える困難――政府の帰還促進政策が生み出しているもの」
    満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan)
◎「危機が迫る――福島第一原発汚染水問題」
    山崎久隆さん(劣化ウラン研究会代表、たんぽぽ舎)

【主催・問合せ先 】
 福島原発事故緊急会議
 東京都文京区関口1-44-3 信生堂ビル2F
ピープルズ・プラン研究所気付
Tel:090-1705-1297(国富) 090-6146-8042(かいどう)
e-mail office【@】2011shinsai.info(【】を削除してください)
fax: 03-6424-5749  http://2011shinsai.info/

2014年2月20日木曜日

福島: 超高濃度汚染水漏水問題

福島: 超高濃度汚染水漏水問題

3/24
・福島第一のALPS故障、原因はフィルター 
 東京電力福島第一原発で汚染水を処理する多核種除去設備ALPS(アルプス)が故障した問題で、東電は24日、3系統あるうち1系統のフィルターが働かず、放射性物質を含む泥が取れていなかったと発表した。残り2系統は問題ないとして同日午後1時に運転を再開。
 しかし、その後タンクから水漏れが見つかり、同日午後7時前に再び汚染水の処理を止めた

 ALPSは、高濃度の汚染水からストロンチウムなど62種類の放射性物質を取り除くとされる設備。前処理として、薬品を入れて吸着を妨げる物質を泥状にしてフィルターでこし取った後、吸着材で放射性物質を取り除く仕組み。東電によると、フィルターが機能せず、泥がそのまま吸着材に流れ込んでいたという。
 その結果、処理できなかった汚染水がタンク21基に送られた。タンクの汚染を調べたところ、このうち9基で6300トン分が汚染されたという。
 このほか、ALPSとタンクをつなぐ配管も汚染された。東電は運転再開した2系統で処理した水を配管などに流し、汚染を洗い流せるかどうか調べる。配管を通した水は、汚染された9基のタンクにためる。(朝日

・福島原発:「地下水バイパス」実施へ 解決遠い汚染水問題
 東京電力福島第1原発の汚染水対策で、原子炉建屋に流れ込む前の汚染されていない地下水をくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」計画が実施される見通しとなった。
 東京電力の今泉典之原子力・立地本部長代理は24日の記者会見で「汚染水の発生を抑制する大切な施策で、25日の組合長会議で(最終的な)理解が得られるよう努めたい」と期待した。
 しかし、19日現在で貯蔵タンクに保管されている44万トンの汚染水浄化など、汚染水問題の解決はほど遠い

 地下水バイパスでは、原子炉建屋の西80〜200メートルに掘った井戸12本から汚染前の地下水をくみ上げて海に放出する。しかし、地下水の流れは複雑で、政府の汚染水処理対策委員会は昨年5月の報告書で「想定通りに流入量が低減しないリスクがある」との懸念を表明。
 対策委はバイパスに加え、建屋周りの地中を凍らせ壁を造って地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」の建設が有効とし、地下水バイパスが抜本策にならないことを認めている。その凍土遮水壁も2015年度の完成を目指して実証試験が始まったばかりだ。

さらに、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」は62種類の放射性物質を取り除くことが可能だが、19日にも全3系統が停止するなど不安定さが目立つ。浄化しても最終的に残るトリチウム水については、「海洋への放出は避けられない」(原子力規制委員会の田中俊一委員長)とし、漁協の理解が得られるかどうか微妙だ。
 今泉氏も「地下水バイパスだけでなく他の対策と合わせることで威力を発揮する」と認めたように、他の取り組みも着実にこなすことが引き続き求められている。【毎日 鳥井真平】

・地下水放出を容認へ=福島県漁連、25日決定—汚染水対策「苦渋の決断」
 福島県の相馬双葉漁業協同組合(相双漁協)は24日、東京電力が福島第1原発で汚染される前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス計画」を容認する方針を決めた。
 地下水の放射性物質検査の強化や、風評被害が発生した場合の補償などを条件とする。

 地下水バイパスは放射能汚染水の増加対策の一つで、県内では、いわき市漁協も受け入れる意向を示している。県漁業協同組合連合会(県漁連)は25日の組合長会議で容認方針を決定し、政府と東電に対し、相双漁協とは別に風評対策の実施などを盛り込んだ要望書を提出する見通しだ。[時事]

3/20
・浄化水タンクに汚染水流入か ALPSの4月本格稼働、困難
 東京電力福島第1原発の汚染水処理設備「多核種除去装置(ALPS=アルプス)」で汚染水を浄化できていなかった問題で、東電は19日、処理後の水を保管していたタンク21基に、処理前の高濃度汚染水が流入した疑いがあると発表した。
 浄化機能が失われた原因は依然不明で、全3系統で処理を停止している。ALPSは4月の本格稼働を目指し試験運転中だが、本格稼働が難しくなる可能性が出てきた。

 東電によると、本来、タンクにはALPSで除去できないトリチウムだけを含む水が保管されることになるが、ストロンチウムなどを含んだ汚染水が混ざったとみられる。タンクには計約1万3千トンの水が保管されていたため、今後これらを再び浄化し、タンク本体の除染も必要となる。
 18日にA~Cの3系統あるうち、B系統の出口で採取した水からベータ線を出す放射性物質が検出された。これら未浄化の汚染水が21基に流れた疑いがある。(産経

3/9
・原発作業員1.5万人、5ミリ超被曝 汚染水対策で増加
「東京電力福島第一原発で事故後3年間に働いた約3万人のうち、約1万5千人が5ミリシーベルト超の被曝(ひばく)をしていたことがわかった。作業員の被曝は徐々に減ってきていたが、汚染水問題が発覚した昨夏以降に再び増加。厚生労働省は昨年末に東電を指導したが、被曝対策は今も不十分だ。
 福島第一原発では1日約3千人が働く。「年50ミリ超、5年で100ミリ超」の被曝で働くことが禁止されるが、この限度内でも健康被害が出ないとは限らない。白血病の労災認定基準は「年5ミリ以上」、放射線管理区域は「年5ミリ超」で、「5ミリ」は被曝管理上の一つの目安だ。

 東電の集計によると、2011年3月の事故から今年1月までに働いた3万2034人中、累積で50ミリ超を被曝したのは1751人、うち100ミリ超は173人。5ミリ超は半数近い1万5363人に上った。作業員は数カ月単位で働くことが多く、「累積5ミリ」の人の大半は「年5ミリ」の白血病労災認定基準を満たすとみられる。・・・」(朝日

36
浄化装置再び停止=福島第1、前回と別系統―東電
 東京電力は5日、福島第1原発で汚染水から放射性物質を大幅に減らす装置「ALPS(アルプス)」で警報が鳴り、試運転中の3系統のうち1系統の処理が停止したと発表した。
 2月下旬にも今回と別系統で処理が一時止まっており、東電が詳しい状況を調べている。

 東電によると、5日午後5時40分ごろ、汚染水を送るポンプの電源機器で故障警報が発生、処理が止まった。2月26日、別系統の同じ電源機器で漏電が発生。機器を交換し、翌日に運転を再開したが、詳しい原因は分かっていない
 アルプスは、汚染水から62種類の放射性物質を大幅に減らすことができ、汚染水対策の「切り札」と位置付けられているが、トラブルが相次ぎ安定的な運用はできていない。 (時事)

・東電 「汚染水タンク満水…改善は当面困難」
 「東京電力は5日、福島第1原発で発生した汚染水をためる貯蔵タンクがほぼ満水になっている状態を改善するのは当面困難との見解を明らかにした。満水状態が水漏れリスクを高めている。
 原子力規制委員会は同日、新たな保管場所として、昨年4月の汚染水漏れを受け使用を中止した地下貯水槽の対策を強化し、再利用を検討するよう指示した。同日の規制委の作業部会で報告された。

 先月、タンクから約100トンの高濃度汚染水が外部に漏れた。水位が96.3%に達して警報が鳴ったが、東電は「容量切迫」を理由に手動で汚染水を入れ続けた。このため、規制委は東電に対し、水位を95%程度に抑えるよう要請した。

 作業部会で、東電はタンクの増設工程などを踏まえ、「現状で水位引き下げは難しい12月末までに(!!!)下げることを検討する」と応じた。・・・。
 地下貯水槽をめぐっては、茂木敏充経済産業相が使用を禁止する方針を示しているため、経産省の担当者は「茂木経産相に相談する」と述べた。
 一方、東電は、タンクの監視を担当する協力会社に異常時の報告を指示するのみで、監視方法を指導していなかったことや、弁の開閉を記録していなかったことを明らかにした。(毎日 鳥井真平)

3/4
・福島第一の汚染水保管 満タン運用横行
 (写真は100トン超の処理水が漏れたタンク周辺。汚染された土壌は掘削して除去
 東京電力が、福島第一原発で処理水を保管しているほとんどのタンクで、ほぼ満水になって送水するポンプが自動停止した後も、警報を解除してさらに水を入れ続けるという、危うい運用をしていたことが分かった。あふれる寸前にもう一度警報が出るが、この際はポンプは自動停止しない設定にしていた。
 一般的な液体とは大きく異なり、処理水には超高濃度の放射性ストロンチウムなどが含まれている。海に流出すれば魚介類を汚染するほか、周辺の土壌も汚染し、作業員らは土の除去作業を迫られる。厳重な管理が不可欠な水だ。

 福島第一では、日々約四百トンもの汚染された冷却水の処理に追われ、タンクはぎりぎりの状態が続いている。東電は、最初の警報が出る96%の水位でタンクへの注入をやめると貯蔵が間に合わないため、手動でポンプを動かし、二度目の警報が鳴る水位99%の直前まで水を入れていた。地震などで水面が揺れれば、天板の点検口からあふれ出る恐れのある水位だ。
 原子力規制委員会は、タンクの水位は95%程度までが限界とみている。

 もう一つの問題は、東電はあふれる一歩手前の二度目の警報が出ても、ポンプが自動停止しない設定にしていた点。二度目の警報に即座に対応しないと、今回のようにタンク上部からの水漏れにつながる。
 さらなる問題が、超高濃度の処理水が約百トン漏れた先月十九日の事故で明らかになった。この事故では、誤操作で弁が開きっぱなしになっており、本来の移送先タンクとは別のタンクに水が送られていた。このため、別のタンクで満水警報が出ても、ポンプ側では異常を検知できず、送水が続く状態だった。(東京新聞 小倉貞俊、清水祐樹)

2/28
⇒「 IWJ Ch2(東電会見)17:30
【お願い】 IWJは定額会員制に移行しましたが、現状ではまだまだ活動資金が足りません。皆さまからの寄付・ご支援が頼りであることにかわりはありません。ご協力を、なにとぞよろしくお願い申し上げます。カンパの受付はこちらです
 WEBサイト:岩上安身責任編集 - IWJ Independent Web Journal
 プロフィール:Profile – IWJ Independent Web Journal
 Twitterアカウント:@iwakamiyasumi
 Facebook:facebook.com/iwakamiyasumi

・汚染水漏れも「事象」 規制委事務局「事故」と呼ばず
 東京電力福島第一原発の地上タンクから処理水百トンがあふれた問題で、原子力規制委員会の委員はこの件を明確に「事故」と呼んでいるのに、事務局は単なる出来事を指す「事象」と呼んでいる。事務局への取材によると、同委には事故と事象を使い分ける基準はないという。

 三年前の事故発生当初、国も東電も会見などで「事象」を連発。福島第一で水素爆発が起きても、「何らかの爆発的事象が起きた」といった具合だった。国民に「事態を小さく見せようとしているのではないか」との疑念を抱かせた。

 今回の水漏れは超高濃度の放射性ストロンチウムを含む大量の処理水が敷地にあふれ、コントロールできない状態になった明らかな事故だ。田中俊一委員長は「今回の漏えいは明らかに事故。事象という言葉でごまかして何かということなら、それは間違いだ」と断言。同委は今回、原因究明にとどまらず、東電の安全管理体制にまで踏み込んで調査する方針だが、事務局は事故の経過をまとめた報告書の中でも、定例会合でも「事象」を繰り返した

 各委員が「事故」と呼んでいるのに、事務局が「事象」と呼び替える是非について、事務局に取材すると、担当者は「広い意味の言葉で、使い慣れているから」。どう呼ぶか基準はないことを明らかにした上で、「事故と言い換えるのもやぶさかではない(???)。処理水漏れを過小評価するつもりは毛頭ない」と強調した。 (東京 大野孝志)

福島第1原発:経産省がトリチウム対策で7案
 東京電力福島第1原発の汚染水問題で、経済産業省の専門部会は27日、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」を使っても除去できない放射性トリチウム(三重水素)の対策案を示した。
 海洋放出を含む7項目ある。各項目について、環境や健康への影響、実現性などを議論し、年度内に報告書をまとめる。 海洋放出以外に提示された選択肢案は、
▽固化・ゲル化して地下に埋没廃棄
▽地層に注入廃棄
▽水蒸気化
▽水素ガスに還元し大気放出
▽大量貯蔵
▽減量化して貯蔵・廃棄。
 部会では、海外の有識者らを含む幅広い知見が必要との提案もあった。(毎日 鳥井真平)

・地盤安全性再評価を 汚染水タンクで日本科学者会議が国、東電などに提言
 全国の大学や研究機関、企業の研究者らでつくる日本科学者会議は27日、東京電力福島第一原発事故に伴う汚染水問題と除染に関する提言を発表した。
 汚染水問題は「汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価」、除染は「被災者の生活再建と除染の位置付けの明確化」などを求めた。

 汚染水問題については、政府と東電の対策で地質や地盤、地下水流動の分野の実態把握や調査、解析が不十分とし、緊急提言と位置付けた。汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価の他、海への地表汚染水流出防止対策の実施、汚染地下水流出の厳格な監視などを求めた。原発敷地内の地下水位観測地点数が不十分と指摘し、観測体制の強化も訴えた。

 除染については、定義や方法、評価に統一基準がなく、地域により効果に差が出ているなど課題を指摘。被災者の生活再建と除染の位置付けの明確化、除染と放射性廃棄物の管理に関する国民的討議、除染の計画・実施・評価を管理する第三者機関の設置などを求めた。

 提言は、日本科学者会議の原発汚染水問題プロジェクトチームの柴崎直明代表(福島大共生システム理工学類教授)、除染問題検討チームの石井秀樹代表(福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任准教授)が県庁で発表した。国の関係省庁や東電、県などに送付した。

【日本科学者会議が提言した項目】
◆「原発汚染水問題」に関わる 緊急提言
・汚染水タンク敷地地盤の安全性の再評価
・微地形と排水路系統の詳細な把握と海への地表汚染水流出防止対策の実施
・原子炉建屋から海側での地下地質状況と汚染地下水流出実態の詳細な把握
・敷地周辺や港湾外を含む汚染地下水流出の厳格な監視・詳細で実態に合った三次元地下水流動解析の実施

◆「除染」に関わる提言
・被災者の生活再建と除染の位置づけの明確化
・国の責任下での詳細な汚染実態の把握とその公表
・除染と放射性廃棄物の管理に関する国民的討議
・除染は国の責任で行うことの明確化、ならびに除染に関わる法令の体系化
・除染の計画・実施・評価を管理する、国および地方自治体から独立した第三者機関の設置
・国の支援による除染技術の研究・開発の促進 (福島民報

・「ノドグロ」110ベクレル いわき沖、出荷自粛し重点検査
 県漁連は27日、いわき沖で同日実施した底引き網漁の試験操業で、ユメカサゴ(ノドグロ)から食品の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える110ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。試験操業で漁獲した魚が基準値を上回ったのは初めて。県漁連はユメカサゴの出荷を自粛、市場には流通していない。県や水産庁などと対応を検討する。

  底引き網漁の試験操業はいわき地区、相馬双葉の各漁協が行っているが、産地の表記は本県沖として統一。このため相馬沖で26日に漁獲したユメカサゴは検出限界値未満だったが、自主回収を進めている。いわき地区の漁協による自主検査で112ベクレルを検出。県水産試験場で詳しく調べた。
  県によると、ユメカサゴはこれまで検査した272点のうち225点が検出限界値未満で最高値は72ベクレルだった。県と県漁連は重点的に検査して原因を調べる。 (福島民友

2/25
・汚染水100トン漏れ 新たに不備判明
 東京電力福島第一原発で起きたタンクからの約100トンの処理水漏れ事故で、処理水を送る配管の弁を開けたまま1年近くも放置したほか、弁が誤操作で開かないよう鍵をかける穴を活用しないなど、新たに4点の東電のずさんな危機管理が浮かび上がった。 (小倉貞俊)

 問題のタンクには、三つの弁がある。昨年四月、地下貯水池からの処理水漏れ事故で、地上タンクに緊急移送することになり、東電は二つの弁を開け、残る一つの弁を開ければすぐ処理水を入れられるようにした。ところが東電は、タンクがほぼ満水になったのに、二つの弁を閉じずに放置していた。

 次の問題は、せっかく弁のメーカーが弁の操作部に南京錠などを取り付けて誤操作を防ぐ穴を開けていたのに東電は活用しようとしなかった。二十四日の原子力規制委員会の作業部会では「重要な弁はロックするのがプラント管理の常識だ」との批判が出た。
 さらに問題なのが、水位管理のあり方。漏れたタンクには水位計は付いていたものの、水位の変化で水漏れを検知し警報を発する機能はなかった。千基を超すタンクの水位を人力で監視するのは不可能なのに、満水かほとんど空にならないと警報が出ない仕組みのままタンクを使っていた
 もう一つ、別のタンク群に処理水を移送していたのに、そのタンクの水位が上がってこないことを確認していなかったことも明確になった。記録では、移送ポンプは動いているのに、水位計の値は横ばい。まともに監視していれば、すぐ異常に気づけた。作業部会で、東電の担当者は「水位が上がらないことに疑念は持ったが、具体的な行動は取らなかった」と話した。(東京

2/24
・汚染水100トン漏れ、作業効率優先しバルブ開けたまま運用    
 
福島第一原発で汚染水が保管用のタンクから漏れ出した問題で、東京電力は本来閉じておくべきバルブを、作業効率を優先し開いたままにして運用していたことを明らかにしました。   この問題は先週、福島第一原発の汚染水を保管するタンクから、高濃度の汚染水およそ100トンがせきの外に漏れだしたものです。

 汚染水は本来使用されるはずのタンクではなく、ほぼ満水の別のタンクに送られて溢れ出しましたが、これまでにタンクへの水の流れを管理するバルブ2つが開いていたことが分かっています。このバルブは本来、閉じておくべきでしたが、東京電力は作業効率を優先するとして去年4月以降、バルブを開いたままにしておくよう運用していたことを明らかにしました。
 また、これとは別のバルブ2つが2回にわたって無断で操作されていて、東京電力は社員や作業員らおよそ100人に聞き取り調査を行うなどバルブが操作された経緯について調べています。(毎日放送

2/22
汚染水流出 誰かが配管の弁を開けたかNHK

2/21
お粗末な対応に怒り 汚染水漏れ、あきれる避難住民
 東京電力福島第1原発で汚染水をためているタンクから1リットル当たり2億4000万ベクレルと極めて高い濃度の放射性物質の汚染水が漏れ出たことが発覚した20日、原発立地町などの避難住民からは度重なる汚染水漏れに批判の声が上がった。
 「東電は一体、何をやっているのか」「放射性物質の濃度が高過ぎる」。
 汚染水漏れが発覚するたびに「防止に万全を期す」としてきた東電に対して、住民はいら立ち、発見が遅れたお粗末な対応にあきれた。

 双葉町から、いわき市の仮設住宅に避難する自営業松本正道さん(50)は「これまでは汚染水が漏れていたと知るたびに何をやっているのだか、と思っていたが、今回はあまりにも(放射性物質濃度の)桁が違い過ぎる」と怒りとあきれが入り交じった表情を浮かべた。
 「またか、という思い。あきれ返るしかない」。楢葉町から、いわき市の仮設住宅に避難する主婦(70)は怒りを込め、「これだけ期待を裏切られると、本当はもっと漏れているのではないかと疑いたくなる」と東電への不信感を口にした。 (福島民友

・福島第1原発: 高濃度汚染水漏れ 東電不信さらに増幅 温度計故障も
 −−県が緊急部長会議 
 東京電力福島第1原発構内で極めて高濃度の汚染水約100トンがタンクから漏れた問題で、県は20日、緊急の関係部長会議を開催した。また19日には2号機原子炉圧力容器下部の温度計が人的ミスで故障していたことも判明。たび重なるトラブルや人的ミスの発覚に、東電への批判の声が上がった。

 県は20日午前、県庁で緊急の関係部長会議を招集。「本来閉じているはずの配管の弁が開いていた」との報告を聞いた佐藤雄平知事は「考えられない話ばかり。何度も危機管理をしっかりするように言ってきたが、それに対して東電が真摯(しんし)に対応しているかどうかだ」と話した。

 同日、県や原発周辺自治体などで作る「廃炉安全監視協議会」も開催され、急きょこれらのトラブルが議題に上った。汚染水漏れトラブルについて「普通の水ではなく、放射性物質を含んだ水を扱っているということを認識することが必要」との意見が出た。
 また、「平均的な注意力でトラブルを防げないのであればシステムに誤りがある」と、マニュアルの充実を説く声もあった。
 温度計の故障について東電側は、点検の際に誤った電圧をかけ、ショートさせたことが原因とみられることを報告。「初歩的なミスで壊すのはもってのほか。ラベルをつけたり、手順書に書いたりするのは当然」などと、厳しい指摘が集中した。
 ◇
 東電の新妻常正常務は同日午後、急きょ県漁連の組合長らが出席する県地域漁業復興協議会で経緯を説明。「汚染水の海洋への流出はないが、(試験操業を実施している)重要な時期にこのような問題を起こし、大変申し訳ない。汚染された土壌を回収するなど速やかに対応したい」と陳謝した。
 これに対し、いわき市漁協の矢吹正一組合長は「100トンもの汚染水が漏れ出したというのはあってはならない話。消費者の不安や風評被害を助長しないか心配だ」と話した。
 また、相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「こうも物理的、人為的なミスが続いては漁業者は納得できない」と憤りをあらわにした。(毎日 高橋隆輔、蓬田正志、中尾卓英)

・<福島第1原発>配管の弁、すべて開く…汚染水漏れ
 東京電力福島第1原発で極めて高濃度の汚染水約100トンが漏れた事故で、東電は21日、汚染水貯蔵タンクにつながる三つの弁のうち、「閉まっていた」と発表していた一つの弁が一時的に開いていたと発表した。通常は、汚染水を移送する時以外、すべて閉まっている。今回のトラブルは、弁を誤って開いたことによる人為的なミスだった可能性が強まった。

◇人為的ミスか
 東電によると、弁が開いていたのは「H6エリア」と呼ばれるタンク群へ汚染水を流す配管。三つの弁がすべて開くと汚染水がタンクへ送られる。東電は20日、「一つは閉じていた」と説明したが、21日に再調査した結果、一時的にすべて開いていたことが分かった。
  東電は17日から、H6と配管を共有する「Eエリア」のタンクへ汚染水を流す作業をしていた。
 しかしH6側の三つの弁がいずれも開いていた一方、E側へ流れる弁が閉まっていたため、満杯だったH6のタンクに汚染水が流れ込み、大量にあふれたとみられる。

  漏れる前の19日午前に撮影した弁の写真では、弁を操作する器具が接続されたまま開いており、作業員が何らかの原因で弁を開いたとみられる。一方、事故発覚前後の同日夜から、翌日未明に弁が閉じられた形跡があり、作業員が閉め直した疑いが出ている。
  弁が意図的に操作された可能性について、東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は21日の記者会見で「先入観を持たずに調べる」と述べた。(毎日 河内敏康、中西拓司)

・閉まっているはずの弁開いていた経緯調査
「・・・ 原因について東京電力は、汚染水を処理設備からタンクに移送する配管の途中にある、本来閉まっているはずの3つの弁のうち、1つは故障していた疑いがあり、別の2つの弁も開いていたため、予定していなかったタンクに汚染水が入りすぎ、あふれた(???)と説明。・・・。

・また漏えいが見つかる9時間以上前の19日午後2時すぎ、タンクの水位が高まっていることを示す警報が鳴っていた。しかしその後、タンクの水位計のデータは反対に水位が急に低下したことを示したため、警報は水位計の故障によるものと判断しタンク周辺のパトロールはしたものの、タンク内の確認はしなかった(???)

相次ぐタンクからの汚染水漏れ
・去年8月には、4号機の山側にあるタンクから高濃度の放射性物質を含む汚染水300トン余りが漏れ。これついて原子力規制庁は、漏れた汚染水に含まれる放射性物質の推定量などから国際的な原子力事故の評価基準に基づく評価を、8段階あるうちの上から5番目の「レベル3」とした。

・去年10月には、4号機の山側にある別のタンクの上部から高濃度の汚染水が漏れ、調査の結果、傾斜のある場所のタンクに水を入れすぎたのが原因と分かった。汚染水は今回と同じようにタンクの天井部分から漏れて点検用の足場を伝って「せき」の外に漏れていた。

・こうした汚染水漏れが相次いだことを受けて、東京電力は異常をいち早く発見するためのパトロールの強化やタンクを監視する水位計や警報機の設置といった対策を進めてきたが、今回はこうした対策が生かされなかった

・また、今回漏れ出した汚染水はタンクの周りに取り付けられた雨どいを伝ってタンクを囲うせきの外に流れ出した。この雨どいは、せきの中にたまった汚染水を雨水によって増やさないよう取り付けられたものだが、今回のように雨どいの上の部分で汚染水が漏れると、せきの外への流出につながるため東京電力は対応を検討するとしている。(NHK

・福島第1原発汚染水漏れ 故障と人為ミス競合か 後手に回る東電
 東京電力福島第1原発の地上タンクから20日、高濃度の・汚染水がまたも漏(ろう)洩(えい)した。本来閉まっているべき弁が開いていたなど、人為的ミスの疑いがある。閉まっていた弁でも水を通したり、水位計の故障も指摘されるなど、複合要因が事態を深刻にした構図が浮かぶ。福島第1原発ではミスによるトラブルが相次いでおり、東電の汚染水対策が改めて問題視されそうだ。

 今回の汚染水漏れは、弁の開閉により管理している移水作業の根幹を揺るがすトラブルだ。本来は閉じられているはずだった3カ所の弁のうち2カ所は、原因は不明だが「開」となっていた。残り1カ所は「閉」であったにもかかわらず、約100トンもの水を通した。東電は「故障していた」とみている。
 弁の開閉は手作業で行われており、確認不足など人為ミスの疑いがある。仮に1カ所でも正常な状態ならば、多量の漏洩を防ぐことができたとみられる。

 さらに、東電は「漏洩のあったタンクの水位計が故障していた」と説明する。漏洩発覚前の19日午後2時すぎにタンクの水位が急激に減少し、再び上昇するといった異常な振れ幅を計器が示した。水位計が正常に機能していれば、漏洩を防げないまでも早期に発見できた可能性が高い。

 福島第1原発での度重なるミスについて、昨年10月には原子力規制委員会の田中俊一委員長が東電の広瀬直己社長に対策を要請。東電は再三にわたり汚染水の保管体制の強化を進めてきたが、対策は後手に回っているのが現状だ。
 今回は、堰(せき)内に雨水がたまり汚染水となることを防ぐため新設された天板部の雨どいをつたい流出した。「雨どいがなければ、汚染水が堰内にとどまったかもしれない」と東電。対策が裏目に出た可能性もある。(産経 原子力取材班)

・福島原発でタンクから漏水、2億3000万ベクレル検出
 2月20日(ブルームバーグ): 東京電力は20日、福島第一原発で汚染水をためているタンクの上部から水が漏れたと発表した。20日採取分の雨どい水でベータ線を放出する放射性物質の濃度が1リットル当たり2億3000万ベクレルを検出した。海への流出は確認されていない。 .

 東電によると、19日夜、「H6」エリアのタンク上部から水が漏れているのが見つかった。タンク上部天板部のフランジ部から水が漏れ、雨どいを伝ってタンクを取り囲むせきの外側へ流出した。 .
 都内で会見した尾野昌之原子力・立地本部長代理によると、タンクからせきの外に漏れた汚染水の量は約100トン。別のタンクに水を移送していたところ、弁に不具合があり、水が漏れだしたタンクに移送中の水が入り込みあふれた。弁を閉めたところ、漏水は止まった。
.
記事についての記者への問い合わせ先:
東京 岡田雄至 ,yokada6@bloomberg.net .
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Alexander wiatkowski ,akwiatkowsk2@bloomberg.net

・福島第1原発のタンクから汚染水漏れ、東電は「海への流出ない」
[東京 20日 ロイター] -「・・・ 東電は、漏えいした汚染水は現在回収中で、漏えい箇所の土壌回収作業を始めたという。
  新たに汚染水が漏れたのは、「H6」と呼ばれる場所に設置されている汚染水貯蔵タンク。
 19日午後11時25分ごろ見回りをしていた協力会社作業員が、タンク上部から汚染水が漏れているのを発見。現場確認の結果、タンク上部天板部のフランジ部から雨どいを伝わって、堰外に漏れていることを確認したという」

・福島第1原発タンクからまた汚染水漏えい 一部は地中に染み込む
「・・・・  一部は、雨水対策で設置した雨どいを通じ、地中に染み込んだという。タンクは、汚染水で満水だったということで、東電は、タンクに汚染水を入れすぎた可能性もあるとみて、原因の特定と漏えい量の調査を進めている。」 (FNN)
 

・2号機の温度計が故障 圧力容器下部を計測 
 東京電力は19日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の温度を計測している温度計2個のうち1個が故障したと発表した。温度計は原子炉の冷温停止状態を確認する上で欠かせない。19日午前11時現在の温度は24度。東電は「傾向は周辺の温度計でも把握できる」として、当面は残りの1個で監視するとともに、交換を急ぐ。

  問題の温度計は18日午後、点検中に電気抵抗がゼロを示し、温度が測れなくなった。原因について、東電は「作業ミスで電圧を加えすぎた可能性がある」とみている。  2号機では事故後にも圧力容器下部で温度計の故障が相次ぎ、2012年に増設したもの。(毎日 西川拓)


・【福島第1原発の現状】 過小評価、事故直後からか 第1原発の汚染水濃度
 東京電力が福島第1原発の事故直後から昨年10月まで、汚染水の測定でストロンチウム90などベータ線を出す放射性物質の濃度を過小評価して公表していた可能性があることが判明し、信頼性を損ないかねないなどと批判の声が出ている。
  田中俊一 原子力規制委員長は会見で「東電には測定に関する基本的な知識が欠けている。指導、監督を強めていく」と語った。

 東電は6日、昨年夏に採取した汚染水で濃度の過小評価があったと公表。14日には汚染水や土壌などの試料167体で過小評価した可能性があることを明かした。
 昨年8月に発覚した地上タンクからの約300トンの汚染水漏れに関する試料も含まれており、最高8千万ベクレル検出という数値はさらに大きくなる可能性がある。

 東電は昨年7月、事故直後に高濃度汚染水の流出があった2号機海側で新たに掘った観測用井戸の水から、ストロンチウム90を含むベータ線を出す放射性物質が1リットル当たり90万ベクレル検出されたと発表した。 その後、9月にはストロンチウム90だけで同500万ベクレルを検出したが、5カ月後の今月6日まで公表しなかった。

 原子力規制庁が昨年、分析結果の報告を求めたが、東電はデータに疑義があり調査のため公表を見合わせると説明。
 今年1月の規制委作業部会で東電が「ストロンチウム90を過大評価している可能性がある」と報告すると、「説明の付かないデータが出たから公表しないというのはおかしい」「ベータ線を出す放射性物質の方が低く出ている可能性もある」と批判が相次いだ。
 調査の結果、3カ所ある分析施設の一つではストロンチウム90を過大評価していたが、別の施設ではベータ線を出す放射性物質を過小評価していたことが判明した。

 都合の悪いデータを隠していたとも受け取られかねない(???)一連の経緯に、東電の 尾野昌之 (おの・まさゆき) 原子力・立地本部長代理は会見で「違う対応もあり得た。反省したい」と陳謝した。
 過小評価の原因は誤った測定方法だった。高濃度の汚染水の場合、薄めて測らないと検出器に入る放射線が多すぎて数え切れなくなるが、昨年10月に手順書を整えるまで対応が徹底されていなかったという。(共同 2/17)

・・・
・福島第1原発:汚染水処理装置、3系統9月増設
 東京電力は(2月)13日、福島第1原発の汚染水から放射性物質を取り除く多核種除去装置「ALPS(アルプス)」を3系統増設すると原子力規制委員会に12日に申請したと発表した。増設で計6系統になり、1日の汚染水の最大処理容量は750トンから1500トンになる。9月の運用開始を目指す。
 東電によると、新設分は除去効率を上げるため前処理を一部省略し、本処理での放射性物質の吸着能力を増強するという。アルプスは汚染水に含まれる63種類の放射性物質のうち、トリチウム以外の62種類を除去する。
 国も最大処理容量500トンの「高性能アルプス」を導入し、処理能力を計2000トンに高め来年度中にすべての汚染水の処理を終える予定。(毎日 高橋隆輔)

福島第1原発:貯蔵タンクの汚染水、トリチウム800兆ベクレル
 東京電力福島第1原発の汚染水問題で、東電は15日、貯蔵タンクに保管している汚染水に含まれる放射性トリチウム(三重水素)が、800兆ベクレル以上に上るとの試算を明らかにした。
 国が定める1基当たりの年間放出基準(3・7兆ベクレル)の200倍以上に相当する。

 東電は政府のトリチウム対策を考える部会で、敷地内に設置された貯蔵タンクに現在、汚染水約40万トンが保管され、この汚染水中に817兆ベクレルのトリチウムが含まれると説明した。福島第1原発では、原子炉建屋やタービン建屋内にも汚染水が残されており、タンク以外にも58兆ベクレル存在すると試算した。
 東電は、多核種除去装置「ALPS(アルプス)」などを使い、2015年4月までにタンク内の汚染水を全て浄化する計画だが、トリチウムは取り除けない。(毎日 1/6 鳥井真平)

・・・
・脱原発団体の施設利用拒否 愛媛・伊方町
 四国電力伊方原発のある愛媛県伊方町が1月、脱原発を訴える市民団体から講演会の施設利用を求められ、政府の原発政策が定まっていないとして拒否していたことが20日、関係者への取材で分かった。
 同町産業振興課の担当者は事実関係を認め、取材に「賛成、反対にかかわらず原発がらみの講演会は施設の使用を遠慮してほしい」と説明した。一方、四国電への配慮については否定した。
 講演会は、東京電力福島第1原発事故当時、福島県双葉町長だった井戸川克隆氏を招いて福島の現状を話してもらおうと、「伊方原発50キロ圏内住民有志の会」(愛媛県八幡浜市)が企画した。(河北新報

2014年2月18日火曜日

「エネルギー基本計画」(素案)を読む (2)

「エネルギー基本計画」(素案)を読む (2)

 新「エネルギー基本計画」については、近日中に「素案」に基づく「政府案」が策定され、さらにそれに基づき、閣議決定を経て、3月末までにその「政府案」が決定される見込みである、との報道がなされている。少なくとも、それが自民党の高市早苗政調会長の願望であるようだ。

 どのような「政府案」が登場するかは現時点ではわからないが、以下では、「素案」の問題点を押さえるために、これが「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」の事務局官僚原案として、分科会内の少数派意見を黙殺する形で作文されたものであることを見ておきたいと思う。

「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見の骨子(案)」
「総合エネルギー調査会基本政策分科会エネルギー基本計画に対する意見(案)」

 そのためには、「基本政策分科会 第13回会合」(2013年12月13日)において提出された「各委員から書面で寄せられた御意見」に目を通しておくことが必要である。 これを読むと、読者も「素案」とはまったく異なる分科会・少数派の見解を理解することができるだろう。

 少数派の見解を代表する、辰巳菊子氏(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問) と、植田和弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授・研究科長)が会に提出した「素案」に対する見解の全文を紹介する。
 「素案」と少数派、どちらが理に適っているか?
 「政府案」が提出される前に、読者それぞれが判断して頂きたい。

2/20
・原発は「重要電源」 エネ計画政府案、表現残す
 エネルギー基本計画の政府案が19日、明らかになった。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、安全を確認できた場合は再稼働する方針を明確にする。将来的にも「確保する規模を見極める」との文言を盛り込み、当面は一定比率を原発に依存する。「重要」という表現をはずすべきだとの意見もあったが、温暖化対策や安定供給のために原発は欠かせないと判断した。

 与党との最終調整をへて、25日に関係閣僚会議を開き正式に決定する。今年度中の閣議決定を目指す。昨年12月に政府の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会(会長は三村明夫・新日鉄住金相談役)がまとめた計画案に国民から寄せられた1万9千件の声や与党の意見を反映した。「基盤となる重要なベース電源」の表現から「基盤となる」の部分は削除する。

 当初案と比べて原発の活用を前面に出す表現は弱めた。公明党に配慮して将来の原発の活用も「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」としていた当初案からは後退させる。一方、電気料金の抑制や、廃炉に必要となる人材・技術水準の維持のためには必要な量を慎重に見極める必要があるため、ぎりぎりの表現(???)を探った。今後の公明党との調整で表現が変わる可能性もある。

 発電しながら消費した以上の核燃料を生み出せるとしてきた高速増殖炉もんじゅは「25年ごろまでの実証炉の実現、50年より前の商業炉の導入」という前回計画に明記した目標を撤回する。核のゴミを減らす「減容化」の研究を進める方針も明記する。
 太陽がエネルギーを放射する原理で発電でき、高レベル放射性廃棄物を発生しないとされる核融合の研究を進めることも新たに追加する。再生可能エネルギーは3年にとどまらず、最大限導入する姿勢を打ち出す。(日経電子版

・・・
◎辰巳菊子

 エネルギー基本計画に対する意見(案)に対し、意見を述べさせていただきます。
(1) 何度か分科会で申し上げた「国民の意見をきちんと聞いて欲しい」という意見は全く反映されず、このまとめに至った経緯は誠に残念です。
  参考までに、12月6日の第12回分科会に参考資料3として出された「国民からの御意見」(平成25年11月28日.平成25年12月5日)を読ませていただくと、原子力に関する意見がほとんどであり、総数44名の個人と1団体からの合計45の御意見でした。

 その内、「原子力が必要」「原子力をある程度残す」という意見は12名(27%)、「再生可能エネルギーに切り替える」「原子力ゼロ」という意見は26名と1団体(60%)、その他が6名(13%)で、いずれも真摯な御意見でした。限定的な期間の国民からの御意見だけですが、かなり比率的に正しく世論を表していると思います。

 こういった国民からの御意見は、このエネルギー基本計画に対する意見(案)の21頁にかろうじて、様々な意見があると一言記載されてはいるが、結果的には原子力の位置づけや方向性には全く反映されてはいない

(2) このエネルギー基本計画に対する意見(案)は、どういう位置づけのものなのですか。
 分科会委員の意見の集約ということで、議決を得たものであるのなら、ひとつの結論もありうるのかもしれませんが、今までの分科会ではそういう議決という過程は一度も踏まれていません
 したがって、少なくとも議論の分かれる原子力関連の部分はその書き方にさらなる検討が望まれます。 例えば、原子力の位置付け、政策の方向性など、16ページに記載されているような内容が、この分科会での意見と結論付けされることに同意できません。

 以下、各文言に対しての意見や加筆修正希望のところです。
●  3頁、第1章、第1節、1の本文5行目。「我が国は資源に乏しく」のところ、我が国の資源は豊富であると考えますので、このように定型文的に書かれることに同意できず、何度か委員会で意見を申し上げております。したがって、「我が国では現状ほとんどのエネルギー源を海外から・・・・」と修
正を希望。

●  3頁、第1章、第1節、1の本文12行目の「エネルギー自給率は19.9%にまで改善・・・」のところ、広く誰もが理解できるために19.9%の説明が必要。

●  5頁、第1章、第2節、2の9行から10行にかけての約3.6兆円の件、前回の説明ではやはり納得が出来ておりません。現状、ベース電源の原子力の代替は、メリットオーダーでの代替なら、安価な水力と石炭が主となり、総発電電力量も需要の削減に合わせ減っていると思います。それでもこのような数値になるのでしょうか。

●  6頁、第1章、第2節、3の(1)最後の段、2013年の現状は、この試算とは異なっていると考えられます。2013年12月の案であり、ここで、記載するにはデータ的には古いと考えます。全ての原発がとまっている現状に置いて、日本は経済成長を続けています。

●  16頁、第2章、第2節、1の(5)原子力の①のところ、重要なベース電源としての位置づけとしている点、1960年代からの経済重点政策と何ら変わりがないこと残念です。
 例えば、これからの50年先、100年先の未来を考えた時、一極集中的発電を行い、長い送電線で各地に運ぶという方式が果たして適切なのか疑問です。既に成熟しきっている日本において、国民の持続可能な暮らしを再優先とした政策を掲げる政府を期待します。

 もちろん核廃棄物問題も国が前面に立つとはいえ、簡単には結論が出る問題ではなく、結局また国民の暮らしを脅かす事になります。そのような爆弾を抱えたままで、本当にベース電源としての原子力が必要なのか、もっと熟慮が必要です。

 ここの文面からは、結局、安全神話時代の原子力の考えから全く脱却出来ておりません。
 したがって、ここには、「一方、既に成熟しきっている日本において、原子力をベース電源とすることに反対の意見もありました」と一言入れて頂けませんか。

●  尚、ここの文面からは、時間軸が明確で無いため、今後、新設やリプレースをするという意味合いが含まれていると取れます。「ここでは、新設やリプレースについては述べていない」という明確な説明をお願いします。

●  16頁、上段に引き続きの ②政策の方向性の「可能な限り低減させる」となっているところ、十分に見極めてからではなく、明確に、何と比較しての低減なのか、また着地点はいつ頃、どのぐらいのところを目指しているのかを、記載する必要があります。PDCAを実行しながら漸次削減ということであっても、まずPは先に立つものです。
 また、「その規模を確保する」という表現は、先に着地点を作る話であり、「可能な限り低減」という文言とは日本語的に相容れないと思います。つまり、「確保する」という言葉はここでは削除することを提案します。

●  引き続き、16頁、「再稼働を進める」の段落のところ、分科会の検討事項ではないと考えます。今後、政府の責任の元、決める内容かと思いますので、ここではこの段落は削除を願います。

●  17頁、(6)①の再生可能エネルギーの位置づけについて、直前の原子力では課題には触れなかったのに、再生可能エネルギーでは記載するという不平等な扱い方に、意図が見えます
 どのエネルギー源にもメリット、デメリットがあるという大前提で、分科会は進行していたはずです。

●  したがって、②政策の方向性のところでも、「今後3年程度」と何故に限定しなければならないのか不明です。まずは、再生可能エネルギーは期限なく最大限導入を加速させる必要があります。3年間と区切ることに反対です。なお、39頁に書かれている(3)固定価格買取制度の在り方のところの書き方には、同意します。

●  21頁からの原子力政策の方針のところは、前述している通りで、先と同じ文面のところは、同様の加筆修正を望みます。

●  40頁第4節以降第5節も含めたエネルギーの消費段階のところ、省エネ、節電の大切さや、新しい技術などの助けによるスマートな暮らし方など記載されていますが、まさに今後30年を待たずに実現する話だと思います。その時の電力需要量などを考えると、省エネ、節電はエネルギーミックスの大きな柱です。この考え方こそ海外への貢献とも繋がる日本の力です。

 一言、10頁の「新興国を中心とした世界的な原子力導入拡大」項のあたりに、「海外に原子力を輸出するのではなく、新しい技術などの助けによるスマートな暮らし方を輸出することこそ、歓迎される」と追加出来ませんか。

●  第9節のところ、ここに記載された双方向コミュニケーションは、原子力をベース電源とするというスタート点からの記載です。まずはエネルギーについて、国民各層の知るべき基本情報は何で、持続可能な暮らしはどういうもので、という基本的な知識が重要であり、自分で考えることができる素地を作るための、フラットな情報提供を、1から考え直すべきであると考えます。

 様々な考え方を知ることが何より重要であり、その結果、自分で、考えることができるようにしなければならないと思っています。電力の全面自由化を目前にして、消費者がどういう視点で、自分の電力を選択するのがいいのかなど、差し迫った情報提供と長期的視点にたった、教育などのコミュニケーションと絶えずシャワーのようなコミュニケーションが必要です。

●  また、電気も今後選択をするということから、ひとつの商品と考えると、その選択のための表示事項などの法制化も全くコミュニケーションの一環であり、視野に入れる必要があると考えます。
 以上です。

◎植田和弘氏 
A. (P18)(1)二次エネルギー構造の中心的役割を担う電気  「引き続き電化率は上がっていくと考えられ」とされているが、震災後定着しつつある節電行動やピーク対策を推進することで、電力の負荷平準化を明確に打ち出すべきではないか。

B. (P21)第3章第1節(2)エネルギー政策における原子力の位置づけと政策の方向性
 最終段落に「安全性の確保を大前提に、・・・・重要なベース電源として引き続き活用していく」となっているが、電源として使用する場合には、安全性の確保に加えて、放射性廃棄物の安全な最終処分ができること被曝労働問題の解決もあわせて大前提にすべきと考える。

 以上のような前提を置くと、「運転コストが低廉」とは言えなくなるし、位置づけも変わらざるを得なくなるのではないか。この場合、運転コストの中に安全対策費、廃棄物対策費、被曝労働対策費を含めるということである。

C. (P22)B.のような前提に立つと原発に依存することは難しくなると考える。
 そのことも踏まえると、「原発依存度については・・・可能な限り低減させる。」とされているが、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化」の程度によって低減の度合いが変わるのではなく、どの水準からどの程度いつまでに原子力依存度を低減させるのか明確にすべきではないか。
 16ページにも同じ記述があるが、それについても同様の意見である。

D. (P23) 2.具体的施策の方向性(3)対策を将来へ先送りせず、着実に進める取組
 最終段落で「高レベル放射性廃棄物については、国が全面に立って最終処分に向けた取組を進める」となっているが、廃炉に伴って生じる放射性廃棄物については、同じ23ページ第3段落に「発生者責任の原則の下、電気事業者が処分に向けた取り組みを進めることを基本としつつ・・・」となっている。高レベル放射性廃棄物についても、同様の記述を入れるべきと考える。

E. 上記と関連するが全体として、汚染水対策、廃炉、使用済み核燃料、放射性廃棄物対策等のガバナンス、特に責任と費用負担について明確にしておく必要があるのではないか。

F. 核燃料サイクル政策やもんじゅについてはとても「引き続き着実に推進する」という記述が可能な状況ではないと考える。

G. (P27)原発輸出は核不拡散の観点からも問題が多いと考えるが、国がどういう関与をするのか明確にするべき

H. (P47)1.電気をさらに効率的に利用するためのコージェネレーションの拡大や蓄電池の導入促進
 「熱と電力を一体として活用することで高効率なエネルギー利用を実現するコージェネレーションは、・・・・導入支援策の推進とともに、コージェネレーションにより発電される電気の取引の円滑化等を検討する。また、利便性の高い電気を貯蔵することで、いつでもどこでも利用できるようにする蓄電池は、・・・引き続き、技術開発、国際標準化等により低コスト化・高性能化を図って いくことで、蓄電池の導入を促進していく。」

 の部分は、コージェネレーションの推進と蓄電池の推進の記載を分けて、コージェネレーションによる熱の有効利用の視点と、蓄電池による効用の視点を明確化した方よい。

 また、コージェネレーションにより発電される電気(電源構成の多様化・分散化、災害に対する強靭性を持つ)の取引の円滑化・電力系統ネットワーク地域コミュニティでの融通利用等ネットワークを活用した電力融通視点についても明確に記載すべきと考える。

I. 全体として、エネルギーの安定供給に留意しつつも、CO2削減対策を豊富化・明確化する必要がある。この点で、天然ガスの高度利用を推進することは、今後のエネルギー政策において不可欠である。 産業用熱需要を中心に、即効性があり、かつ省エネルギー・省CO2の費用対効果が高い。
 エネルギー基本計画の「天然ガスの政策の方向性」や、「産業部門等における省エネルギーの加速」に、天然ガスの高度利用を位置づけるべきである。
・・・

⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (3) 」へ
⇒「「エネルギー基本計画」(素案)を読む (1)」より

・・・
規制委:優先原発絞り込み 再稼働審査、2〜3週間後に
 原子力規制委員会は19日の定例会で、再稼働に向けた安全審査の申請が出ている10原発17基のうち、審査を優先する原発を2〜3週間後に絞り込む方針を決めた。
 今のところ、活断層リスクの少ない九州電力玄海(佐賀県)や川内(鹿児島県)のほか、関西電力大飯、高浜(福井県)、四国電力伊方(愛媛県)などが優先候補に挙がっている。

 規制委によると、2〜3週間後に審査を優先する原発を絞り込んだ上で、これまでの審査結果に基づく「審査書案」を作成。立地自治体からの意見を聞く地元公聴会と、科学技術的な意見を一般から募集する「パブリックコメント」を経て最終的にまとめる。
 規制委の安全審査をめぐっては、茂木敏充経済産業相が「審査の見通しを示すべきだ」と注文をつけているほか、立地自治体からも「安全審査の説明責任を果たすべきだ」(福井県)などの不満が出ていた。(毎日 中西拓司)

・原子力規制庁:福島原発同型「沸騰水型」専門の審査チーム
 原子力規制庁は18日、原発の再稼働に向けた安全審査で、東京電力福島第1原発と原子炉が同じ型の「沸騰水型(BWR)」を専門に扱う審査チームを発足させたと発表した。昨秋からBWRの安全審査の申請が相次いだが、別タイプの原発の審査チームが掛け持ちで担当していたため、審査が遅れる可能性が指摘されていた。
 新チームは9人体制。BWRと別の「加圧水型(PWR)」の審査を担当してきた約80人のうち、BWRも審査していた9人をそのまま専門チームとした。今後も中途採用などで増員して約20人規模を目指す。
 新チームは、これまでに原子力規制委員会に安全審査を申請したいずれもBWRの
▽東北電力女川2号機(宮城県)
▽東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)
▽中部電力浜岡4号機(静岡県)
▽中国電力島根2号機(島根県)−−の4原発5基の審査を担当する。(毎日 鳥井真平)

・原子力規制委:大飯原発「活断層ない」 有識者報告を了承
 原子力規制委員会は12日、関西電力大飯原発(福井県)の重要施設「非常用取水路」を横切る断層「F−6破砕帯」について、活断層ではないとする有識者調査団の報告書を了承した。規制委が断層調査を進める6施設のうち、調査団の報告書を了承するのは、原子炉建屋直下に活断層があると判断した日本原子力発電敦賀原発(同)に続いて2例目。活断層なしとしたのは大飯原発が初めて。

 非常用取水路は3、4号機の原子炉冷却に必要な海水を送る施設で、敷地内をほぼ南北に走るF−6破砕帯が横切っている。原発の新規制基準では、活断層の真上に重要施設を設置することを禁じており、F−6破砕帯が活断層か否かが焦点となってきた。報告書は「将来活動する可能性のある断層等には該当しない」との表現で活断層説を否定した。

 大飯原発の断層問題は東日本大震災後の2012年7月、規制委の前身である経済産業省原子力安全・保安院が全原発の断層を再点検して浮上した。関電の提出資料が不十分であることなどから保安院は「活断層の可能性を否定できない」と関電に再調査を指示。
 業務を引き継いだ規制委は3回にわたって、現地に有識者調査団を派遣し、関電の調査結果の妥当性を検討した。その結果、調査団は昨年9月に「活断層ではない」との見解で一致。規制委は保留していた大飯3、4号機の再稼働に向けた安全審査を再開した。(毎日 岡田英)

2014年2月16日日曜日

『福島と生きる』メールマガジン 第14号

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
『福島と生きる』メールマガジン 第14号
――息長く〈福島〉とつながり続けるために――
2014年2月16日発行(不定期刊)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

―目次―
◆イベント情報
◆保養情報
◆ニュースクリップ

---------------------
◆イベント情報(イベント情報は変更されることもあります。必ず主催者サイトでご確認下さい)
---------------------

.「 つながる市民の輪、変える くらしと エネルギー
   ――311から3年、武藤類子さんと今をみつめ未来を語る

  3月2日(日)13:45~16:30(東京・豊島区勤労福祉会館・会議室 )
  ※チェルノブイリ原発事故および姉の白血病発症をきっかけに反原発の活動を開始した武藤類子さん。現在は、福島そして全国の市民とつながり、福島原発告訴団の団長として、福島の被害の現状と、東京電力が法的に責任をとることを訴えています 。
 311から3年、現在の福島の状況とこれからの私たちのくらしについて、武藤類子さんとともに考えます。
  ※内容:武藤類子さん講演、FoE Japan より最新の活動報告
  ※主催・問い合わせ:国際環境NGO FoE Japan
            tel: 03-6907-7217 fax: 03-6907-7219
            softenergy@foejapan.org (吉田)
  ※申し込み:https://www.foejapan.org/event/event_form.html
  ※詳細: イベントサイトはこちら 

2.「原発のない福島を!県民大集会」
  3月8日(土)11:00~(福島県・郡山市、いわき市、福島市の3会場同時開催)
  ※11:00 アトラクション
   13:00 県民大集会
   15:00 デモ行進 ※福島・いわき会場のみ
  ※詳細: イベントサイトはこちら 

3.「3・9原発被災地フィールドワーク」
  8:20郡山駅西口集合→飯館村視察→南相馬市小高区~浪江町視察→南相馬市
  沿岸部視察→15:30福島駅着・解散  
  ※詳細はこちら http://fukushima-kenmin311.jp/fieldwork

4.「3/8~3/15 NO NUKES WEEK」
  ※フクシマ連帯キャラバン行動、全国各地の集会など
  ※詳細はこちら http://sayonara-nukes.org/actionweek/

-------------------------
◆保養情報
-------------------------

2014春 ほよ~ん相談会 
(1)いわき・茨城相談会
   3月 1日 (土曜日)13:30-17:30(いわき市・小名浜公民館1階和室)
   会場: http://www.city.iwaki.fukushima.jp/map/1314/002583.html
(2)須賀川相談会
   3月2日(日)11:00-15:00(須賀川市・銀河のほとり)
   会場:http://loco.yahoo.co.jp/place/ff87d312e34e547cd662f507194351328c7a8a35/map/
※詳細: http://www.311ukeire.net/
※NPO法人ライフケアが「手当隊」として両日参加します。

-------------------------
◆ニュースクリップ
-------------------------

1.福島県民を苦しめる巨大ゴミ焼却炉の乱立
  ――除染から中間貯蔵へ。福島はまた大きな苦悩に直面
  週刊東洋経済 2014年2月15日号
  http://toyokeizai.net/articles/-/30622

  放射能に汚染された廃棄物を集約する「中間貯蔵施設」をめぐり、福島県で悩ましい問題が広がっている。
  国が建設候補地とする福島県内3町のうち、楢葉町が「1キログラム当たりの放射能が10万ベクレル超の廃棄物は受け入れない」として実質的に建設拒否を決断したのが1月27日。これを受けて佐藤雄平知事は2月4日、残る大熊、双葉の2町に絞って国に再検討を求める方針を提示した。
  両町の町長は回答を保留しているが、町民の間では「先祖代々の土地を国に売る気はない」との抵抗が根強い。来年1月に施設の供用開始を目指す国と、抜き差しならない交渉が続くことになる。(以下略)

2. 甲状腺がん悪性・悪性疑い74人〜福島健康調査
   OurPlanet-TV 2014年2月5日
   http://ourplanet-tv.org/?q=node/1727

  東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている「福島県民健康管理調査」の検討委員会が7日、福島市で開かれ、甲状腺がんの悪性および悪性疑いと診断された子どもは、前回の58人から16人増え、74人となった。また、このうち、手術後の判定によって甲状腺がんと「確定」した子どもは前回から7人増え33人になった。(以下略。「検討委員会」の会合および会合後の記者会見のビデオあり)

3.作業員「本音書けない」 東電アンケート 元請け経由回収
  東京新聞 2014年2月12日
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014021202000120.html

  東京電力が、福島第一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収していることが分かった。
 作業員たちの話では、下請け企業の中には、作業員の回答を提出前にチェックしたり、回答の内容を指示したりするところもある。作業員からは「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっている。(以下略)

4.事故後の福島舞台、「家路」上映 ベルリン映画祭で高い関心
  共同通信 2014年2月12日
  http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014021201001288.html

  世界三大映画祭の一つ、ドイツのベルリン国際映画祭で11日(日本時間12日)、東京電力福島第1原発事故後の福島県を舞台にした映画「家路」が上映され、約700人の観客から長い拍手が送られた。出席した俳優内野聖陽さんと久保田直監督は「皆さんが関心を持ってすごい集中力で見てくださり、うれしい」と語った。
 映画は昨年、同県川内村などで撮影。長く福島から離れていた青年が原発事故後、立ち入り禁止区域にある実家で生きることを決意し、田を耕しだす姿と、仮設住宅で暮らす彼の家族を描いた。(以下略)

-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
『福島と生きる』メールマガジン 第14号(2014年2月16日発行)
※『福島と生きる』メールマガジンは、『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』の共同執筆者の団体や活動の関連情報を発信していきます。

発行人=中野憲志・藤岡美恵子(『福島と生きる--国際NGOと市民運動の新たな挑戦』共編者)