2015年7月31日金曜日

第2回NGO非戦ネット公式イベント(8/1 築地本願寺 第2伝道会館)

第2回NGO非戦ネット公式イベント(8/1 築地本願寺 第2伝道会館)
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NGO非戦ネットとは?
私たちは、現在国会で審議されている安全保障関連法案と、
この法案を中心とした日本を戦争ができる国にしようとする動きに反対します。
NGO非戦ネットは、現場で国際協力活動・交流活動を行うNGOの有志が集う
緩やかなネットワークです。現在NGO職員/役員27名が呼びかけ人となり、
約200人のNGO職員が賛同しています。


 第2回NGO非戦ネット公式イベントでは、7月2日の設立イベント以降に非戦ネットに参加した呼びかけ人が登壇する予定です。加えて、発足以来募集していたNGO非戦ネットへの賛同NGO・賛同者数を発表します。また、イラクで活動する日本のNGOのローカルスタッフが登壇。安保法制が通ると紛争地で活動する日本のNGOにどのような影響があるかを訴えます。

設立イベントで好評だった若者による「若手NGO職員によるディスカッション」を、TBSサンデーモーニングでお馴染みのフォトジャーナリスト安田菜津紀さんを司会にお迎えして行います。

■日時: 2015年8月1日(土) 18時30分(開場18時15分)~21時
■会場: 築地本願寺 第2伝道会館 瑞鳳の間
※日比谷線「築地」駅 徒歩約1分
※有楽町線「新富町」駅 徒歩約5分

■参加費:500円
■申し込み不要

<プログラム>
第1部

「趣旨説明」:
 伊藤和子(ヒューマンライツ・ナウ事務局長)
「問題提起」: NGO非戦ネット呼びかけ人:
・俣野尚子(日本YWCA会長)、
・原由利子(反差別国際運動事務局長)、
・丸谷士都子(NPO法人地球の木理事長)、
・岩附由香(NPO法人 ACE代表)、
・中村絵乃(開発教育協会(DEAR)事務局長)、
・小松豊明(シャプラニール事務局長)、
・松本智量(アーユス仏教国際協力ネットワーク副理事長)、
・畑野研太郎(日本キリスト海外医療教育会 会長)、他調整中

第2部
「現地からの発表」:
・イブラヒム・ムハンマッド(JIM-NETバスラ事務所) /
・佐藤真紀(JIM-NET)

第3部
「若手NGO職員によるディスカッション」
司会:安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
参加者:榎本彰子(JIM-NET),白川徹(JVC), 他調整中


問い合わせ先:
日本国際ボランティアセンター(03-3834-2388)、
JIM-NET(03-6228-0746)、
アーユス仏教国際協力ネットワーク(03-3820-5831)、
ヒューマンライツ・ナウ(03-3835-2110)

2015年7月29日水曜日

自衛隊は南スーダンPKOから撤退すべきである―「駆けつけ警護」と自衛隊の武力行使

自衛隊は南スーダンPKOから撤退すべきである
―「駆けつけ警護」と自衛隊の武力行使


国連PKOを、根本から、問い直す

南スーダンの内戦が止まらない。
「政府軍」と武装勢力間の戦闘が繰り返され、それによる一般市民の犠牲は増え続けている。
4年前の建国以降、状況は悪化の一途をたどっている。
こうした中、オバマ大統領は南スーダン政府に対し、武装勢力との停戦→和平の実現を求めると同時に、それが実現しない場合の両者に対する制裁の断行を示唆した。(アフリカにおける中国の覇権拡大に対する、対抗的覇権形成を目的とするオバマのアフリカ歴訪そのものについての分析はここでは触れない。)

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・オバマ大統領、南スーダン制裁強化示唆 「状況が悪化」
 アフリカを訪問中のオバマ米大統領は27日、内戦状態が続く南スーダンについて、「状況が悪化し続けている」と述べ、政府軍と反政府勢力が来月中旬までに和平を実現しない場合、双方に制裁強化などの圧力をかけていくと表明した。
 オバマ氏はこの日、滞在先のエチオピアの首都アディスアベバで、ハイレマリアム首相らと南スーダン問題について協議。その後の会見で「現状を打開できなければ、両者に圧力をかけるための方法を考えなければならない」と述べた。
 南スーダンは2011年7月に独立後、豊富な石油資源などを巡ってキール大統領派とマシャル前副大統領派が対立。13年12月以降、両派が衝突し、内戦状態に陥った。現在、50万人以上が国外に逃れ、約150万人が国内での避難を余儀なくされている。(朝日 アディスアベバ=三浦英之)
・・

 国連が、内戦状況にある国家の「平和の維持」と称して軍事的に介入し、その国の紛争の当事者になる、という国連PKOの問題性については、このブログでも再三にわたり取り上げてきた。南スーダンは、近年におけるその典型例のひとつである。
 本来、地域紛争に対して中立的立場に立ち、当の紛争の非軍事的解決をミッションとすべき国連が紛争当事者になるというこうした錯綜的事態がもたらす問題は数え上げれば切りがない。しかし、その中でも最も深刻なことの一つは、紛争当事国政府の腐敗や、政府軍による民衆虐殺・女性やこどものレイプ、一般市民に対する人権侵害などが、「国際社会」=国連によって事実上、放置されてしまうことである。

 国連は、現地の人権組織や国際NGOのレポートのみならず、国連機関自身によるレポートによっても、政府側・武装勢力側双方による人権侵害が報告されている国に対し、中立性原則を自ら裏切り、軍事的・政治的に介入し、その国の民衆の平和にではなく、紛争の長期化と泥沼化に貢献しているのである。ここでも、南スーダンはその典型例の一つになっている。

 こうした中、安倍政権は、内戦が泥沼化する南スーダンへと自衛隊を「派遣」し、今年2月には8月末までの「派遣」延長を決定した。
 それにあたって、PKO参加五原則の実質的改悪も行っている。国連PKOの変質に見合う形で、たとえ内戦状況にあろうとも自衛隊を「派遣」できるようにするためである。そして今、安倍政権は、「テロリスト」の攻撃から「他国の軍やNGOを守る」という口実の下に、いわゆる「駆けつけ警護」を自衛隊が行えるよう、「武器使用基準」を緩和し、隊員に武力を行使させようとしているのだ。

⇒「自衛隊は何をしに南スーダンに行くのか? 」(2011年9月26日)

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<南スーダン>自衛隊PKO、駆けつけ警護追加 政府検討
 政府は、自衛隊が南スーダンで実施している国連平和維持活動(PKO)の任務に、「駆けつけ警護」を追加する検討に入った。同PKO司令部への要員派遣も拡大する考えだ。複数の政府関係者が明らかにした。現行のPKO協力法では駆けつけ警護は禁止されているが、それを可能とする同法改正案を含む安全保障関連法案が成立すれば、来年3月にも追加する。【青木純】

 安保関連法案は参院で28日に実質審議入りしたばかりだが、政府は今国会での成立をにらみ、既に準備に入っている。成立すれば来年3月までに施行される見通しで、新たな実施計画を施行後に閣議決定し、派遣部隊の任務に駆けつけ警護を追加する考えだ。
 駆けつけ警護は、離れた場所にいる他国軍部隊や非政府組織(NGO)職員などの要請に応じて行う救援活動。駆けつけ警護を行うための訓練を行う必要があり、十分な訓練期間を確保するために、来年6月に予定されている要員交代時に合わせて任務に追加する案も浮上している。
 実際の活動では、現地のNGOの要請を受け、武装勢力に拘束された職員を救出するケースなどが考えられる。警護に当たれば、国際的な負担を担うことに評価が高まることが考えられる一方、本格的な戦闘になる懸念もある。

 安保関連法案にはPKO司令部における自衛隊の業務拡大も盛り込まれており、国連の要請に応じて南スーダンPKO司令部への要員派遣も拡大する考えだ。
 法案に盛り込まれている住民の保護、検問所の運営などの「安全確保業務」は南スーダンでは行わない方針。現地では不安定な治安情勢を背景に住民保護のニーズが高まっているが、政府関係者は「日本に対してインフラ整備以外の要請は来ていない」と指摘した。
 国連南スーダン派遣団(UNMISS)では、自衛隊は道路建設や避難民の支援などをしている。現在は施設部隊約350人と、司令部要員4人が現地で活動している。
 南スーダンでは2013年12月、政府と反政府勢力の戦闘が始まり、避難民が自衛隊の宿営地がある国連施設内になだれ込むなど混乱が発生。避難民支援を行うNGOなどの活動は現在も危険にさらされているとされ、政府内で「将来的に自衛隊が駆けつけ警護を求められる可能性がある」との指摘が出ていた。

【ことば】国連南スーダン派遣団(UNMISS)
 アフリカ北東部にあるスーダンから2011年に独立した南スーダンの国づくりや復興を支援するため、国連主導で行われている平和維持活動(PKO)。各国は人道支援と周辺地域の安定に加え、南スーダンの主要産業が原油輸出であることから、権益確保も視野に部隊を派遣している。自衛隊は11年から司令部要員、12年から道路整備などを行う施設部隊を派遣している。(毎日)
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 このような安倍政権の国連PKOに対する姿勢、文字通りの自衛隊の海外〈派兵〉政策を放置すれば、これまで一度も実戦での死者を出さなかった自衛隊から、必ずや戦死者が出るだろう。 
 ところが、まったく驚くべきことに、自衛隊が南スーダンに「派遣」されて以降、一度として国会では自衛隊の撤退問題が議論されたことがない。安倍政権、防衛省は、南スーダンが内戦状況に
あることを無視し、「自衛隊員の安全は保たれている」との認識を繰り返してきたのだ。また、民主党から共産党に至るまで、国会審議の中で自衛隊撤退を訴えた議員は一人もいない。 


自衛隊は国連PKOから撤退できない?

 「いったん自衛隊をPKOに派遣したら、撤退させることはできない。日本の「国際的信用」にかかわるからだ」という人が、国会議員の中にも「専門家」の中にも数多く存在する。
 伊勢崎賢治・東外大教授もその中の一人である。伊勢崎氏は、7月1日に行われた、衆院・「平和安保」委員会における参考人発言の中で、上に述べたような国連PKOの変質、すなわち内戦状況下の介入が常態化している現実を説明した後で、このように言う。
・・
 このように、PKOの 中立性が失われる中で、国連で最後に残された中立の最後のとりでがこの軍事監視団であります。これは、非武装の軍人がやることが原則であります。そして、 敵対勢力の中に非武装で懐に入り、PKFとの交戦を未然に防ぐための信頼醸成をします。そして、武装解除の説得などもいたします。
 以上、激動するPKOを取り巻く環境を説明いたしました。
 では、この中で日本の自衛隊はどうするのかということに進みたいと思います。
 繰り返しますが、昔と違って、停戦合意が破られたからといって撤退することはできません。そんなんだったら、最初から来るなということです。
・・

 無茶苦茶な論理である。
 東京外大の学生は、こんなことを授業で教えられているのだろうか?
 一国が、現在の国連PKOに対し、どのような条件で、どのくらいの期間、自国の軍隊(自衛隊の法的地位は軍ではないが)を派兵するかは、その国の主体的判断如何によっている。その条件を国連PKO局が受け入れないというなら、派兵を拒否すればよいだけである。派兵した軍隊の撤退例は、イラクやアフガニスタンなど、過去にいくらでもある。
 この常識が、国連専門家や(国際)安全保障学を専攻する日本の学者には通じない。

 問題は、日本の場合、一度国連PKOに「派遣」された自衛隊の「派遣」延長/撤退問題が、閣議決定によって処理され、国会で審議に付されることもほとんどないことである。
 民主党は、最初に「派遣」した手前、撤退を主張せず、共産党も「派遣」(=海外派兵)は憲法違反と言うだけで、現地情勢の変化の分析を基に、撤退を政府に要求することもない。その他の政党は、政府に追随するか、無関心を決め込むだけである。

 では、どうすべきだと伊勢崎氏は言うのか?
 「自衛隊の根本的な法的地位を国民に問う」(改憲→「警察予備隊」を前身とする自衛隊の国軍化?)である。 氏の主張を聞いてみよう。

・・
 例えば、陸上自衛隊の施設部隊が兵たん活動の一環で道路建設をしている現場を考えてください。そこに武装グループに追われた住民が助けを求めて駆け込ん でくる、これは当たり前です。そしてそのとき、住民に銃口が向けられているというふうに目撃したら、たとえその銃口が自衛隊員に向けられていなくても、自衛隊員はこれに対して応戦しなければいけません
 自衛隊の駐屯地に住民が助けを求めて駆け込んでくる場合も同じであります。でもしかし、保護して中に入れた住民の中に武装グループが紛れていたらどうしますかということであります。
 そもそも、こういう武装グループというのは、住民の中の民族や宗教における敵対感情をあおって暴徒をつくって、その中に紛れて行動することが大変多いです。つまり、住民と戦闘員の区別はつきません。その結果、非戦闘員の住民を誤射してしまう場合があります。これは、PKOの現実としてしっかり想定すべきことであります。

 一方、日本では、そういう武装グループは国家もしくは国家に準ずる組織、いわゆる国準ではないのだから、そういう連中への武器の使用は国際法上の武力の 行使には当たらないという議論があります。この日本独自のロジックは、現代の国際人道法の運用には全くありません。というか、国家もしくは国準でなけれ ば、こういうふうに日本が勝手に想定して、国家もしくは国準でなければということで、国際人道法に関係なく殺せるというふうにこれはとれますので、もしこ れを英語に訳して発信したら大変なことになります。ぜひしないでいただきたいと思います。
 自衛隊員が任務遂行の中で誤って現地の人々を傷つけてしまったら、これは過失です。非戦闘員、つまり住民を多く殺傷すれば、国際社会はそれを国際人道法違反とみなします。

 PKOでは、国連が一括して地位協定を現地政府と結ぶことで、現地法からの訴追免除の特権を国連PKF部隊全体に付託いたします。PKF部隊が過失を起こした場合、国連には軍事法廷はありません。各国の軍法で裁くことになります。
 つまり、PKF部隊が過失を起こした場合、現地社会の怒りをなだめる、当然ですが怒ります、これをなだめるには、ごめんなさいね、でも、あなたたちの法 律よりももっと厳しいうちの軍法で裁くから許してねと言うしかないんです。日本はこの言いわけができません、軍法がありませんので。この言いわけができな いとどうなるか。当然、現地社会の怒りは沸騰します。そして、国際人道法違反として、これは非常に重大な外交問題に発展します。
 そもそも、PKOの現場というのは、人心掌握が作戦の成功を左右する非対称戦であります。ということで、自衛隊はこういう作戦上の致命的な弱点を抱えていることになります。

 この問題を、自衛隊員の側から考えます。
 軍法がないなら、ありませんので、自衛隊による海外での過失がもし起こってしまったら、その過失はどう裁かれるか。これは、日本の刑法しかありません。 すると、日本の刑法には国外犯規定というのがありまして、日本人が海外で犯す過失は裁けません。そうすると、自衛隊の過失は犯罪として裁くしかありませ ん。
 そもそも、自衛隊の活動のような軍事行動は、個人の意思が極度に制限される国家の命令行動であります。しかし、その中で過失が起こった場合、日本の場合は、自衛隊員個人が犯罪として責任を負うのです。これは重大な矛盾であります。

 私は、防衛省の統合幕僚幹部学校で、もう五年以上教えております。僣越ではございますが、自衛隊の皆さんの立場に立って物を言える立場に私は少しはある と思います。自衛隊の皆さんは、国防に命をかけるのはやぶさかではないと思っているはずです。しかし、国防以外のことに命をかけるのは、それ相応の大義が 必要です。
 国際平和に資する、こういう大義名分は簡単に言えます。しかし、そこで何が起こっても最終的に国家が全責任をとるという法の整備をして、我々は自衛隊を 海外に送り出しているでしょうか。僕は、していないと思います。これなしに、命をかけられる大義は生まれません。これは、今回の安保法制だけの問題ではあ りません。一九九二年のカンボジアPKO派遣以来、これまでずっと現場に送られてきた自衛隊員だけが抱え込んできた矛盾であります。
 御列席の与野党の先生方におかれましては、ぜひ、安保法制以前のそもそも論をやっていただきたく、次の言葉で私の意見陳述を締めさせていただきます。自衛隊の根本的な法的地位を国民に問うことなしに、自衛隊を海外に送ってはなりません。
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 「自衛隊の根本的な法的地位を国民に問うことなしに、自衛隊を海外に送ってはな」らない・・・。
 伊勢崎氏の分析の視角の多くを私は共有する。しかし、曖昧なニュアンスを残す、この氏の結論は飛躍しすぎており同意できない。
 自衛隊の〈海外派兵〉に反対する氏の主張は、いかにもリアリストらしいものではあるが、歴史的総括(氏自身の東チモールやアフガニスタンに対する関与の総括を含む)を踏まえない、現状追認であり、その意味で転倒した論理になっているといわねばならない。

 今、問われるべきは、
①1990年代後半以降の国連PKOの変質の歴史的軌跡を追いながら、
②「一九九二年のカンボジアPKO派遣以来、これまでずっと現場に送られてきた自衛隊員だけが抱え込んできた矛盾」を強いてきた、そんな自衛隊主体の日本政府の「国際平和協力」活動なるものの総括である。

 いずれにせよ、南スーダンを自衛隊員の墓場にしてはならない。
 安倍政権は、9月以降の「派遣」延長を断念し、自衛隊を南スーダンから直ちに撤退させるべきである。



参考サイト
⇒「アフリカの紛争地から、集団的自衛権「駆けつけ警護」を考える
  JVCスーダン現地代表 今井 高樹

批評する工房のパレット」内関連ページ
⇒2014年4月15日 「自衛隊は、何のためにジプチを拠点化するのか?
⇒2013年4月1日  「叛乱鎮圧部隊化する国連PKO
⇒2012年3月18日 「自衛隊は何を守り、誰のために戦うのか?--「災後」における自衛隊の機能と役割をめぐって 」

・・
武器不正使用に罰則なし 安保法案、自衛隊の海外派遣中   
 中谷元・防衛相は29日の参院平和安全法制特別委員会で、安全保障関連法案について、自衛隊員が海外派遣中に武器を不正に使用しても、適用する罰則がないことを明らかにした。
 今後検討する方針を示した。野党は「法案に欠陥がある」と批判し、撤回して再提出するよう求めた。法案が成立すれば自衛隊の海外活動が飛躍的に広がり、武器を使う場面も増えることが予想される。野党が「法制の不備」として追及を強めるのは確実だ。
 中谷氏は「武器の不正使用については自衛隊法に国外犯処罰規定がないため、国外での行為には罰則の適用がない」と明言した。訓練を徹底するため違法な武器使用は想定されない(???)とした上で、隊員が派遣先で殺人を犯した場合は刑法の国外犯規定を適用する可能性があると述べた。

 質問した無所属の水野賢一氏は、武器使用が国際紛争の端緒となった戦前の事例などを引き合いに「勝手に武器を使用しても罪に問われなければ、大変なことになる」と指摘。これに対し中谷氏は「罰則の在り方については、今回の法制とは別途、不断の検討を行っていく」と応じた。
 安倍晋三首相も該当する罰則を安保法案に設けていないことを認めた。国内での不正な武器使用に対し自衛隊法が定めた処罰は「1年以下の懲役または3万円以下の罰金」にすぎず、刑法の国外犯規定が対象とする重大犯罪と同列に扱えば「均衡性」(首相)が取れないとして理解を求めた。同時に「罰則によって規律を維持するとの考え方に立っていない(???)。今回の法制に全く問題はない」と強調した。
 関係者によると、上官の命令がない威嚇発砲や、部隊内での仲間割れによる射撃などが不正な武器使用に当たるという。(中国新聞)
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自衛官の法的地位との関係から『安全保障法案』の廃案を求める緊急アピール

日本労働弁護団
幹事長  高木太郎
(2015年7月17日)

 去る7月16日、自民党・公明党は、衆議院本会議においていわゆる『安全保障法案』を強行採決した。しかし、衆議院における法案審議過程をみたとき、この法案によって重大な影響を受ける自衛官の法的地位を巡る問題についての検討は、全くなされていない。
 日本労働弁護団は、過去60年にわたり、民間労働者及び公務労働者の権利擁護のために奮闘し続けてきたものであり、自衛官の法的地位すなわち自衛官の一人一人の権利と義務についての検討をないがしろにしたままで、『安全保障法案』を成立させることについては到底容認し得ない。かかる観点から、以下の三点を指摘し、廃案を求めるものである。

第1点 
 一人一人の自衛官は憲法擁護義務を負うこと
 憲法99条は、公務員が「この憲法を尊重し擁護する義務を負う」ことを定める。一人一人の自衛官は憲法擁護義務の担い手なのであり、多くの憲法学者が指摘するとおり『安全保障法案』は憲法違反の立法であり、違憲立法に基づく上官の命令が違法であることはもとより、各自衛官が憲法違反の『安全保障法案』に基づく上官の命に服することは、憲法擁護義務違反となる。

第2点 
 一人一人の自衛官の同意なしに集団的自衛権行使のための出動を命じ得ないこと
 憲法18条は、何人も奴隷的拘束を受けないこと、及び、その意に反する苦役に服させられないことを保障している。
 このため、自衛官を含む公務員に対して、生命・身体の危険を冒してでも職務に服するよう命じることが適法化される範囲は、予め、本人が同意している範囲に限定され、本人の同意している範囲を超えて、危険な職務に服することを命ずることはできない。このことは、半公務員的性質を有するかつての公共企業体労働者に関しては最高裁裁判所の判例*1によって確立しており、その理は任用関係とされる自衛官を含む公務員にも妥当する。

 自衛官は、武力行使を任務としており、自らの生命・身体に危険が生じることに予め同意しているが、その同意の範囲は、武力行使の範囲に関する従前の政府見解、すなわち、
 「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、これらを守るためのやむを得ない措置として初めて、武力の行使が許される」ことを前提としている。
 自衛官が、外国軍隊への支援等の集団的自衛権行使のために、生命・身体の危険を冒すことに同意して任官したと解する余地はなく、現在の自衛官に対し、集団的自衛権行使にかかわる軍務に服するよう命じることは許されないというべきである。

第3点 
 国は一人一人の自衛官に対し安全配慮義務を負うこと
 最高裁判所の判決によれば、国は、公務員に対して安全配慮義務を負い、自衛官に関しても防衛出動時をも含めて安全配慮義務を負う*2。
 しかるに、法案作成過程において、集団的自衛権行使のために出動を命じた自衛官に対して、いかなる措置を講ずることによって安全配慮義務を尽くすのかを検討した形跡は、見当たらない。

 集団的自衛権行使のために生命・身体を危険にさらすことに関して、一人一人の自衛官から改めて同意を得ることなく、また、安全配慮義務を尽くすことなく、政府が、自衛官に対し集団的自衛権行使のための出動を命じることは、自衛官の意思及び生命身体をないがしろにしてこれを弄ぶものであり、法治国家として到底許されることではない。

 日本国憲法は行政裁判所や軍法会議等の特別裁判所を設置することを許しておらず、一人一人の自衛官は、違憲立法に基づく職務命令に対する自らの法的地位や権利を確保するため、提訴し、最終的に最高裁判所の判断を仰ぐ権利を有するのであって、この一人一人の自衛官の提訴する権利を国が妨害してはならないことはいうまでもない。

 万が一にも、大多数の国民の反対を押し切って『安全保障法案』を成立させるという暴挙がなされたときには、少なくない自衛官が、憲法擁護義務を基礎に、また、外国軍隊等のために生命身体を捧げることに同意してはいないことを根拠に、そして、国が安全配慮義務を尽くさず自衛官の生命身体を危険にさらすことは許されないことを理由に、『安全保障法』に基づく指揮命令に従う義務のないことの確認を求めて提訴することが想定される。

 そのときには、日本労働弁護団は、日本全国の心ある多くの憲法学者・行政法学者・労働法学者と連携しながら、労働弁護士の総力を挙げて、外国に奉仕するための『戦死者』『戦傷病者』を自衛官から出さないために、日本の歴史上最大級の裁判闘争を展開する決意であることを、ここに表明しつつ、かかる状況に至る前に『安全保障法案』を速やかに廃案とすることを強く求めるものである。
                                                                                                                   以  上

*1 千代田丸事件・最高裁判所第三小法廷判決昭43・12・24民集22巻13号3050頁/判時542号31頁。
 当該事案は、1956(昭和31)年に電々公社所属の海底線敷設船千代田丸が日韓海底線に生じた故障の修理のため、朝鮮海峡に出動を命ぜられたが、当時、韓国連合参謀本部が李承晩ラインを超える日本船舶を対象とする「撃沈声明」を発していたことから、全電通労組本社支部の役員が船員の安全確保のために当局と交渉を行い、千代田丸の出航を25時間遅らせたことに関して、公共企業体等労働関係法(当時)17条違反を理由に解雇されたというものである。

最高裁は、米海軍艦艇の護衛が付され安全措置が講じられたにせよ、実弾射撃演習に遭遇する可能性もあり、海底線布設船の乗組員の本来予想すべき海上作業に伴う危険の類いではない等の理由を挙げ、「労働契約の当事者たる千代田丸乗組員において、その意に反して義務の強制を余儀なくされるものとは断じ難い」と判示して、解雇を無効とした。

*2 自衛隊工藤事件・最高裁判所第三小法廷昭50・2・25民集29巻2号143頁/判時767号11頁。当該事案は、自衛隊八戸駐屯地の車両整備工場において、車両整備作業中の自衛官が、大型自動車に轢かれて死亡した事件について、国が自衛官に対して安全配慮義務を負うか否かが争点となった。

 この点について、最高裁判決は、次のとおり判示した。「国と国家公務員(以下「公務員」という。)との間における主要な義務として、法は、公務員が職務に専念すべき義務(国家公務員法101条1項前段、自衛隊法60条1項等)並びに法令及び上司の命令に従うべき義務(国家公務員法98条1項、自衛隊法56条、57条等)を負い、国がこれに対応して公務員に対し給与支払義務(国家公務員法62条、防衛庁職員給与法4条以下等)を負うことを定めているが、
 国の義務は右の給付義務にとどまらず、国は、公務員に対し、国が公務遂行のために設置すべき場所、施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたつて、公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負つているものと解すべきである。

もとより、右の安全配慮義務の具体的内容は、公務員の職種、地位及び安全配慮義務が問題となる当該具体的状況等によつて異なるべきものであり、自衛隊員の場合にあつては、更に当該勤務が通常の作業時、訓練時、防衛出動時(自衛隊法76条)、治安出動時(同法78条以下)又は災害派遣時(同法83条)のいずれにおけるものであるか等によつても異なりうべきものであるが、国が、不法行為規範のもとにおいて私人に対しその生命、健康等を保護すべき義務を負つているほかは、いかなる場合においても公務員に対し安全配慮義務を負うものではないと解することはできない。」

2015年7月28日火曜日

「戦後70年」を問う二つのシンポジウム(8/8, 8/14 東京)

「戦後70年」を問う二つのシンポジウム(8/8, 8/14 東京)


今を戦前にしないために
~戦後70年記念シンポジウム~


日時 8月8日(土)13時~16時(開場:12時30分)
場所 弁護士会館2階 講堂「クレオ」
    (東京都千代田区霞が関1-1-3地下鉄 霞ヶ関駅(B1-b出口)から直結)
参加費  無料(事前申込み不要)

内容(予定)
○講演 加藤陽子さん (東京大学文学部教授・日本史学)
  「今だからこそ問う~日本はなぜ戦争を止めることができなかったのか
○座談会
  コーディネーター
 ・村尾信尚さん (関西学院大学教授、ニュースキャスター)
 パネリスト
 ・山崎 拓さん (元自由民主党副総裁)
 ・加藤陽子さん (東京大学文学部教授・日本史学)
 ・南野 森さん (九州大学法学部教授・憲法)
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戦後70年、東アジアフォーラム─過去・現在・未来─」

 今年の8月15日で、アジア・太平洋戦争の終結、日本の敗戦、植民地解放と朝鮮半島の分断から70年になります。それにあたって、日本と東アジア諸国と の間に横たわっている歴史的課題を乗り越えていこうととりくんできた多くの 市民、諸団体が、一堂に会して人権、教育、外交、安全保障などの問題につい て討議し、解決への道筋を提起するフォーラムが8月14日に開かれます。
 終了後にはキャンドルデモも行われます。どなたも参加出来ます。


 日時: 8月14日(金)13:00~18:00 
 場所: 千代田区一ツ橋「日本教育会館」3階 一ツ橋ホールほか
     (地下鉄「神保町」「竹橋」「九段下」JR「水道橋」下車)
 ※地図 http://www.jec.or.jp/koutuu/

プログラム:
 ■開会集会:13:00~14:30
 □基調報告 
  内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
 □記念講演: 
  ウタ・ゲルラント(ドイツ「記憶・責任・未来」財団理事)
   「戦後70年・ドイツはどう向き合ってきたか」(仮)
 □記念講演:
  徐載晶(ソ・ジェジョン、国際基督教大学上級准教授)
   「アメリカの東アジア戦略と日韓関係」

 ■課題別シンポ 14:45~16:30(日本教育会館内会議室)
 □日本軍「慰安婦」─解決案はこれだ!
 □記憶の継承と教科書
 □「積極的平和主義」で失うもの
 □オキナワ─そもそもの歴史から─

 ■閉会集会 16:45~18:00 ─市民社会が作る平和─

 参加費:1,000円
 主催:「戦後70年、東アジアフォーラム─過去・現在・未来─」実行委
 連絡先:平和フォーラム(電話:03-5289-8222)

安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明

安保関連法案の強行採決に抗議するとともに、
そのすみやかな廃案を求める憲法研究者の声明


安倍晋三内閣が国会に提出した安保関連法案について、私たち憲法研究者は、さきに発表した6月3日の声明文において、そのすみやかな廃案を求めた。この声明は230名を越える多くの憲法研究者の支持を得て、前例のない広がりをみせている。

私たちが法案に反対したおもな理由は、第一に、法案策定までの手続が立憲主義、国民主権、議会制民主主義に反することであった。第二に、法案の内容が憲法9条その他の憲法規範に反することであった。

しかし安倍晋三内閣、および自民・公明両党はこのような私たちの、そしてそれと歩調をともにする国民多数からの批判と要求に耳をかそうとせず、7 月 16 日、衆議院本会議で強行採決を行い、法案を通過させるにいたった。

こ の間の法案審議において、この安保関連法案が憲法9条その他の憲法規範に反することがますます明らかになった。それはたとえば、
①「存立危機事態」におけ る「我が国と密接な関係にある他国」や「存立危機武力攻撃」などの概念がきわめて不明確であり、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないこと、
② 砂川事件最高裁判決を集団的自衛権行使容認の根拠とすることはまったくの失当であること、③ 1972 年の政府見解の「読み替え」による集団的自衛権容認には道理がないこと、
④自衛隊による「支援活動」は外国の武力行使との一体化は否定できず、憲法 9 条 1 項に違反するものであること、
⑤自衛隊による米軍等の武器等防護は、武力の行使すなわち集団的自衛権行使へと発展しかねないこと、などの点である。

また議会制民主主義に必要な審議の時間をとらず(そのことは PKO 法案と廃案になった国連平和協力法案の審議の際には衆議院で 158 時間の審議時間をとったことと比較しても明らかである)、さらに内閣が野党から出された質問に対して真摯な答弁を行おうとしなかったため、多くの重要な論点は、事実上手つかずのまま放置されている。
それはたとえば、
①「存立危機事態」、「重要影響事態」、「武力攻撃予測事態」などの概念の関係が不明確であ ること、
②「存立危機事態」のさいの地方公共団体、指定公共機関の協力の内容と義務付けの度合いが不明確であること、
③支援活動に当たる自衛隊員が戦闘員 として扱われず、他方武器を携帯している以上文民とも扱われず、その法的身分が著しく不安定なこと、といった点である。

私たちは、こういった状況を憂い、以下表明する。
1、衆議院における安保関連法案の審議と強行採決は、議会制民主主義に反するものである。これについて強く抗議する。
- 2 -
2、安保関連法案は、憲法9条その他の憲法規範に反しており、その危険性がますます明らかになった。このことにかんがみて、法案のすみやかな廃案をかさねて強く求める。

2015 年 7 月 16 日


賛同
愛 敬浩二(名古屋大学教授) 鮎京正訓(名古屋大学名誉教授) 青井未帆(学習院大学教授) 青木宏治(関東学院大学法科大学院教授) 青野篤(大分大学准教授) 赤坂正浩(立教大学教授) 穐山守夫(明治大学兼任講師) 阿久戸光晴(聖学院大学教授)浅川千尋(天理大学教授) 浅野宜之(関西大学教授) 麻生多聞(鳴門教育大学准教授)足立英郎(大阪電気通信大学教授) 阿部純子(宮崎産業大学准教授) 新井信之(香川大学教授) 飯尾滋明(松山東雲短期大学教授) 飯島滋明(名古屋学院大学准教授)飯野賢一(愛知学院大学教授) 井口秀作(愛媛大学教授) 石川多加子(金沢大学)

*石川裕一郎(聖学院大学教授) 石埼学(龍谷大学教授) 石塚迅(山梨大学) 石村修(専修大学教授) 井田洋子(長崎大学教授) 市川正人(立命館大学教授) 稲正樹(国際基督教大学客員教授) 猪股弘貴(明治大学教授) 井端正幸(沖縄国際大学教授) 岩井和由(鳥取短期大学教授) 岩本一郎(北星学園大学教授) 植木淳(北九州市立大学) 植野妙実子(中央大学教授) 植松健一(立命館大学教授) 植村勝慶(國學院大學教授) 右崎正博(獨協大学教授) 浦田一郎(明治大学教授) 浦田賢治(早稲田大学名誉教授) 浦部法穂(神戸大学名誉教授) 江藤英樹(明治大学准教授) 榎透(専修大学教授) 榎澤幸広(名古屋学院大学准教授) 榎本弘行(東京農工大学教員)

蛯原健介(明治学院大学教授) 遠藤美奈(早稲田大学教授) 大内憲昭(関東学院大学教授) 大久保史郎(立命館大学名誉教授) 大河内美紀(名古屋大学教授) 大田肇(津山工業高等専門学校教授) 大津浩(成城大学教授) 大野拓哉(弘前学院大学教授)大野友也(鹿児島大学准教授) 大藤紀子(獨協大学教授) 岡田健一郎(高知大学准教授) 岡田信弘(北海道大学特任教授) 岡本篤尚(神戸学院大学教授) 岡本寛(島根県立大学講師) 奥田喜道(跡見学園女子大学助教) 奥野恒久(龍谷大学教授) 小栗実(鹿児島大学法科大学院教員)

*小沢隆一(東京慈恵医科大学教授) 柏崎敏義(東京理科大学教授) 片山等(国士舘大学教授) 加藤一彦(東京経済大学教授) 金井光生(福島大学准教授) 上脇博之(神戸学院大学教授) 彼谷環(富山国際大学) 川内劦(広島修道大学教授) 河上暁弘(広島市立大学准教授) 川岸令和(早稲田大学)川崎和代(大阪夕陽丘学園短期大学教授) 川畑博昭(愛知県立大学准教授) 菊地洋(岩手大学准教授) 北川善英(横浜国立大学名誉教授) 木下智史(関西大学教授) 君島東彦(立命館大学教授) 清末愛砂(室蘭工業大学准教授) 清田雄治(愛知教育大学教授) 倉田玲(立命館大学教授) 倉持孝司(南山大学教授) 小関彰一(獨協大学名誉教授) 小竹聡(拓殖大学教授)

後藤光男(早稲田大学教授) 木幡洋子(愛知県立大学名誉教授) 小林武(沖縄大学客員教授) 小林直樹(姫路獨協大学准教授) 小林直三(高知県立大学教授) 小原清信(久留米大学教授) 小松浩(立命館大学教授) 小山剛(慶応大学教授) 今野健一(山形大学教授) 斉藤一久(東京学芸大学) 斉藤小百合(恵泉女学園大学教授) 齊藤芳浩(西南学院大学教授) 榊原秀訓(南山大学教授)阪口正二郎(一橋大学教授) 佐々木弘通(東北大学教授) 笹沼弘志(静岡大学教授)佐藤修一郞(東洋大学教授) 佐藤信之(中央大学教授) 志田陽子(武蔵野美術大学教授) 嶋﨑健太郎(青山学院大学教授) *清水雅彦(日本体育大学教授) 神陽子(九州国際大学准教授)

菅原真(南山大学教授) 杉原泰雄(一橋大学名誉教授) 鈴田渉(憲法学者) 隅野隆徳(専修大学名誉教授) 妹尾克敏(松山大学教授) 芹沢斉(憲法研究者) 高佐智美(青山学院大学教授) 高作正博(関西大学教授) 高橋利安(広島修道大学教授) 高橋洋(愛知学院大学教授) 高橋雅人(拓殖大学准教授) 高良鉄美(琉球大学教授) 瀧澤信彦(北九州市立大学名誉教授) 竹内俊子(広島修道大学教授) 武川眞固(南山大学教授) 武永淳(滋賀大学准教授) 竹森正孝(岐阜大学名誉教授) 田島泰彦(上智大学教授) 多田一路(立命館大学教授) 只野雅人(一橋大学教授) 建石真公子(法政大学教授) 館田晶子(北海学園大学教授) 玉蟲由樹(日本大学教授) 田村理(専修大学教授) 千國亮行(岩手県立大学講師) 長利一(東邦大学教授) 塚田哲之(神戸学院大学教授)

常岡せつ子(フェリス女学院大学教授) 寺川史朗(龍谷大学教授) *徳永貴志(和光大学准教授) 内藤光博(専修大学教授)仲哲生(愛知学院大学) 長岡徹(関西学院大学教授) 中川律(埼玉大学准教授) 中里見博(徳島大学准教授) 中島茂樹(立命館大学教授) 中島徹(早稲田大学) 中島宏(山形大学准教授) 永田秀樹(関西学院大学教授) 中谷実(南山大学名誉教授)仲地博(沖縄大学教授) 中富公一(岡山大学教授) 長峯信彦(愛知大学教授) 中村英樹(北九州市立大学准教授) *永山茂樹(東海大学教授) 成澤孝人(信州大学教授)西嶋法友(久留米大学教授) 西原博史(早稲田大学教授) 丹羽徹(龍谷大学教授)糠塚康江(東北大学教授) 根本猛(静岡大学教授) 根森健(埼玉大学名誉教授)畑尻剛(中央大学教授) 濵口晶子(龍谷大学准教授)

廣田全男(横浜市立大学教授)福嶋敏明(神戸学院大学准教授) 藤井正希(群馬大学准教授) 藤井康博(大東文化大学准教授) 藤田達朗(島根大学) 藤野美都子(福島県立医科大学教員) 船木正文(大東文化大学) 古川純(専修大学名誉教授) 前原清隆(日本福祉大学教授) 牧本公明(松山大学准教授) 又坂常人(信州大学特任教授) 松田浩(成城大学教授) 松原幸恵(山口大学准教授) 宮井清暢(富山大学教授) 三宅裕一郎(三重短期大学教授)宮地基(明治学院大学教授) 宮本栄三(宇都宮大学名誉教授) 三輪隆(埼玉大学名誉教授) 村田尚紀(関西大学教授) 毛利透(京都大学教授) 本秀紀(名古屋大学教授) 元山健(龍谷大学名誉教授)

森英樹(名古屋大学名誉教授) 守谷賢輔(福岡大学准教授) 門田孝(広島大学教授) 柳井健一(関西学院大学教授) 山内敏弘(一橋大学名誉教授) 山崎英壽(都留文科大学非常勤講師) 山田健吾(広島修道大学教授)結城洋一郎(小樽商科大学名誉教授) 横尾日出雄(中京大学教授) 横田力(都留文科大学教授) 横藤田誠(広島大学教授) 吉川和宏(東海大学教授) 吉田栄司(関西大学教授) 吉田仁美(関東学院大学教授) 若尾典子 佛教大学教授) 脇田吉隆(神戸学院大学准教授) 渡辺治(一橋大学名誉教授) 渡辺洋(神戸学院大学教授) 渡邊弘(活水女子大学准教授)

198 名(7 月 23 日 15 時 00 分現在)*は事務局

2015年7月27日月曜日

被爆70周年原水爆禁止世界大会(8月1日~9日)

被爆70周年原水爆禁止世界大会(月1日~9日)

8月1日・福島大会(いわき市) 、
8月4~6日・広島大会、
  7~9日・ 長崎大会

福島大会:
8月1日(土) 12:30~オープニング、13:30~集会開会
会場: 福島県いわき市「平中央公園」広場(いわき市役所横)
常磐線いわき駅から徒歩15分、常磐自動車道いわき中央ICから15分

 内容: 集会、14:25~市内デモ行進、
16:00~講演会(いわき労働福祉会館)

広島大会:
8月4日(火)16:00~折り鶴行進(平和公園原爆資料館前)
17:15~開会総会(グリーンアリーナ)

8月5日(水)9:30~分科会、14:00~ひろば、
12:50~メッセージfromヒロシマなど

8月6日(木)9:30~原水禁結成50年記念シンポジュウム
(グリーンアリーナ武道場)
■広島大会日程⇒ http://www.peace-forum.com/gensuikin/70hiroshima.pdf

長崎大会:
8月7日(金)15:30~開会総会(長崎ブリックホール)

8月8日(土)9:30~分科会、ひろば、
9:30~ピース・ブリッジinながさき2015

8月9日(日)9:00~閉会集会(県立体育館)、10:15~平和行進
■長崎大会日程⇒ http://www.peace-forum.com/gensuikin/70nagasaki.pdf

国際会議:
8月5日(水) 13:30~広島市「アークホテル」
「2015年NPT再検討会議の結果と展望そして私たちの役割
─核兵器廃絶と日本のプルトニウム政策」

みんなに開かれた真国立競技場に!! (神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会)

みんなに開かれた真国立競技場に!!
2015年7月25日 — 今月末に開催される国際オリンピック委員会(IOC)総会に合わせ、当会では、国会請願署名の第1次提出をし、下記の集会を開きます。また同時に、change.org当会キャンペーンへの賛同署名85,000筆も国に提出し、「神宮外苑の青空と銀杏並木の風景を守り、巨額の建設費をかけない新国立競技場を求める」みなさまの声を直接国に届けます。

新国立競技場計画は「白紙撤回」とはなりましたが、予算のことばかりが報じられるなど、まだまだどのようなスタジアムになるかは不透明です。「真に国民に愛されるスタジアム」はどうあればよいのでしょうか。当会はここを問い続けたいと考え、国会請願の第1回分を届けることにしました。

当日の集会は、専門家、地域住民、そして国民の声を、国会議員に直接届ける機会です。
一般の方々もご参加いただけますので、多くのみなさまのご参集をお待ちしております。


★国会内集会「みんなに開かれた真国立競技場に!!」★
日時: 2015年7月30日(木)14:00-16:00
会場: 参議院議員会館・101会議室(千代田区永田町2-1-1)
http://bb-building.net/tokyo/deta/457.html

登壇者:
大野秀敏(建築家、東京大学名誉教授)
中村勉 (建築家、ものつくり大学名誉教授、東京建築士会会長)
今川憲英(建築家、構造設計家、東京電機大学教授)
鈴木知幸(元2016年東京五輪招致推進担当課長)
日置雅晴(弁護士、元早稲田大学大学院教授)
森山高至(建築家、建築エコノミスト)
多児貞子(神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会・共同代表)
清水伸子(同上)
大橋智子(同上)

参加予定:
河野太郎(自民党・衆議院議員)
玉木雄一郎(民主党・衆議院議員)
*社民党、共産党、生活の党ほかの議員の方々、都営霞ヶ丘アパートほか敷地近隣住民の方々も参加予定です。

会費: 無料
定員: 150名
申込: 要予約
申込先:http://kokucheese.com/event/index/320007/
問合先: info@2020-tokyo.sakura.ne.jp
当日連絡先: 090(3904)7371(手わたす会/上村千寿子)
主催: 神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会


神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会
info@2020-tokyo.sakura.ne.jp
http://2020-tokyo.sakura.ne.jp

2015年7月25日土曜日

遺伝子検査って どこが問題なんですか?/放射線リスク言説を検討する~霜田求さんを囲んで

遺伝子検査って どこが問題なんですか?/放射線リスク言説を検討する~霜田求さんを囲んで
市民科学研究室 市民科学講座)


霜田求さんとともに考える遺伝子検査って どこが問題なんですか?
チラシはこちら→csij_b_seminar_02_shimoda_03_hayashi.pdf

2015年8月7日(金)18:30~21:00(18:00開場)
光塾COMMON CONTACT並木町     
参加費: 1000円(学生500円)
事前予約が必要です(定員40名、先着順、申し込みは下記に記したサイトより)

●ゲスト プロフィール
霜田求(しもだ もとむ)
大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学大学院医学系研究科准教授を経て、京都女子大学現代社会学部教授。専門は、生命倫理学、環境倫理学。現在、日本医学哲学・倫理学会会長。共著として、『水俣学研究序説』(藤原書店、2004年)、『遺伝医療と倫理・法・社会』(メディカルドゥ社、2007年)、『生命と環境の倫理』(放送大学教育振興会、2010年)、『シリーズ生命倫理学第12巻 先端医療』(丸善出版、2012年)など。

講座で主に取り上げる、ゲストの論文◆(リンク先からダウンロードできます)
「遺伝学的検査ビジネスをめぐる倫理と法:祖先検査と子ども才能検査を中心に」
「遺伝学的アイデンティティと差別―祖先遺伝学的検査をめぐって―」

●前口上
遺伝学的検査(genetic test)をご存知だろうか?
 検査・診断および遺伝カウンセリングと合わせて「遺伝子診療」として医療機関で実施されるばかりでなく、インターネットで消費者に直販するもの(綿棒による口腔粘膜採取試料や容器に入れた唾液の郵送と結果通知の返送)も出てきている。
 がんや高血圧、心臓疾患、肥満や糖尿病など「予防」への役立ちを謳った「健康診断」や「体質検査」であり、サプリメントの販売促進がくっついていたりする。

 また、医療目的以外にも、欧米諸国での「祖先検査」やアジア諸国の一部でも拡大しつつある「子ども才能検査」や「スポーツ能力検査」もある。
 こうした検査は科学的・臨床的に妥当なものなのか?
 また個人情報保護サービスの品質保証で問題は生じていないのか?
 差別親子関係への不当な介入とならないのか? ......
 倫理的・法的な問題が山積しているように思える。この問題にお詳しい霜田さんに、現状と問題点を整理していただいた上で、大いに議論したいと思う。
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放射線リスク言説を検討する~霜田求さんを囲んで
市民科学講座Dコース 第1回)

日時:2015年8月8日(土)14:00~17:00
場所:市民科学研究室事務所     
参加費無料 (※ただし、軽食代として500円いただきます。)
要事前予約(定員15名、先着順)
メールにてお申し込みください→ renraku@shiminkagaku.org

●プログラム
14:00 開始(発表者3名、それぞれの発表の後に質疑を10分ほど入れる)
・霜田求氏【50分】
「リスクをめぐる言説と対立構図―その批判的検討」(仮題)

・上田昌文氏(市民科学研究室・代表、市民研「低線量被曝研究会」)【20分】
 「"放射線健康影響に関する専門家フォーラム"の実践から」

・柿原泰氏(市民研「低線量被曝研究会」、東京海洋大学准教授)【20分】
 「放射線健康影響問題を歴史的に捉え直す」(仮題)
16:00 総合討論

2015年7月24日金曜日

大学研究と軍事研究 2015 -日本型軍産学複合体の台頭

大学研究と軍事研究 2015
-日本型軍産学複合体の台頭


 日本型軍産学複合体が、いよいよ本格的に起動したようだ。 防衛省が、文科省や経産省と密接に連携し、大学や独法系研究機関、大学ベンチャーを巻き込みながら、「軍民両用」(デゥアル・ユース)の軍事技術・兵器開発に乗り出したのだ。 そのための仕組みを、「安全保障技術研究推進制度」と言うが、防衛省はこれに本年度3億円の予算を確保し、一件あたり最大3000万円の研究資金供与を餌に、研究者を釣ろうとしているのである。これは、「戦後」日本の大学史上、初のことである。

 防衛省によれば、「安全保障技術研究推進制度」とは次のようなものである。
・・ 
 防衛省では、装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業等における 独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するために、平成27年度から競争的資金制度※である 安全保障技術研究推進制度を開始します。

 本制度は、防衛省が掲げた研究テーマに対して、 広く外部の研究者の方からの技術提案を募り、優れた提案に対して研究を委託するものです。得 られた成果については、防衛省が行う研究開発フェーズで活用することに加え、デュアルユース として、委託先を通じて民生分野で活用されることを期待しています。

※資金配分主体が、広く研究開発課題等を募り、提案された課題の中から、専門家を含む複数の者による科学的・技術的な観点 を中心とした評価に基づいて実施すべき課題を採択し、研究者等に配分する研究開発資金。

平成27年度版 安全保障技術研究推進制度パンフレットPDF [366KB]
・・

 朝日新聞など一部メデイアも、22日付けでこの動きを報じている
 ポイントをまとめるなら、次のようになる。
・7月8日に募集を始め、8月12日に締め切って10件程度を選ぶ
・成果は「将来装備に向けた研究開発」で活用
・実用化の場として「我が国の防衛」 「災害派遣」 「国際平和協力活動」の三分野

 日本型軍産学複合体の台頭と軍学共同の軍事技術・兵器開発の動向については、このブログでも再三にわたり取り上げてきた。昨年以降では、「大学研究と軍事研究 2014 」(2014,5/2)、「動き始めた日本の軍産学複合体 」(7/7)、「軍事化を深める日本の「国際協力」とODA 」(7/11)などを参照していただきたい。

 問題は、大学や研究現場の反応である。
 私は、安倍「安保法案」に反対する大学や独法系研究機関の研究者は、この「安全保障技術研究推進制度」に対しても、明確に反対する立場を表明すべきだ、と考えている。けれども、実際には、大学や研究現場の反応には寒々しいものがあるといわねばならない。
 軍学共同に反対する運動を展開してきた理論物理学者、池内了氏も幾分悲観的にみえる。あるアンケート調査によれば、大学研究者の実に三分の一は、軍学共同研究を「よし」としているらしいことも、現場を知る氏を憂鬱にさせている一因なのかもしれない。
・・
 第2次世界大戦以降、日本の学術界は総じて軍事目的に資する研究を放棄し、大学の多くは、違法ではないのだが、軍事関連の研究を徹底的に排除してきた。現在、一部の教授はこうしたプロジェクトに協力し、大学や科学研究機関はこれらの教授に一段の自由裁量を与えている
 国会は近く、戦後初めて防衛省から大学に直接支給される研究基金制度案を承認する見通しだ。これは安倍政権が着手した、民間研究と軍事研究を分ける境界線をあいまいにする2つの政策のひとつだ。

 3億円という金額は小さい。ただ、名古屋大学の池内了名誉教授(宇宙物理学専攻)にとって、これはルビコン川を渡ったことを意味する。
 池内氏は京都の自宅で行われたインタビューで、「戦争に勝った国は、戦争のために科学を使っている」とした上で、「しかし、日本は戦争に負けて軍国主義を反省し、結果としてとても健全な国だったと思う」と述べた。

 それでも、池内氏を含む学者らが昨年オンライン上に開設した「軍学共同(大学・研究機関における軍事研究)反対アピール」には約800人の署名しか集まっていない。池内氏は「反応が鈍いので憂いている」と話した。

⇒「崩れる「軍学共同」のタブー、人材求める安倍政権」(WSJ/時事)
・・

 憲法学者や政治学者などの「安保法案」反対論においては、法案を軍学共同に見られる日本型軍産学複合体の本格的台頭、つまり今、大学の研究現場で起こっていることにつなぎ合わせて分析する議論が、あまりに少なく、希薄であるように見受けられる。
 「安保法案には反対するが、軍学共同には賛成する」では研究者として論理/倫理矛盾をきたしてしまうように思えるのだが、大学や研究現場からの異議申し立ての声はとても小さくて、「象牙の塔」の外には聞こえない。

 日本型軍産学複合体の台頭を考える資料を、二つ紹介しておこう。
 一つは、「科学と社会を巡る問題」 と題された池内氏による講演レジュメ、もう一つは二ヶ月程前の、「科学技術・イノベーション推進特別委員会」における民主党・長島議員による質疑からの抜粋である。
 前者は、レジュメではあるが、「多忙な教員と不安定身分のポスドク・助教  現場に疎くなった教員、未来を危ぶむ若手」 など、現在の大学・研究現場を取り巻く環境と支配的空気をとてもよく伝えている。
 後者は、日本型軍産学複合体の形成をめぐる安倍政権と民主党(内の一部勢力)の考え方が、とてもよく伝わってくるやり取りになっている。さらに言えば、民主党がこれからどこへ行くのか、何をしようとしているのか、杞憂を深めさせてくれる資料にもなっている。いずれも、「必読文献」である。
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【参考資料 ①】
⇒「科学と社会を巡る問題
2014年8月31日
大学評価学会第44回研究会・公開シンポジウム「科学・社会・大学」
池内 了

「現代の科学と社会」三題噺
(Ⅰ)福島原発事故ー再稼働-大飯原発判決
(Ⅱ)科学倫理ーSTAP細胞騒動ー不正行為
(Ⅲ)軍学共同ー棲み分け(DARPA方式)ー防衛省 ー総合科学技術会議

(Ⅰ)福島原発事故
(1)科学者・技術者
(1)科学者・技術者の社会的責任
 ・限界(妥協、割り切り)の中の技術であることの自覚・責任
  クリフエッジ(基準地震動)
 ・反倫理性を孕む科学・技術の行使
  過疎地、労働者、未来世代への「押しつけ」

 ・御用学者が蔓延る分野(政治との結びつき、.企業との癒着)
  原子力、放射線防護、地震学、医学(患者の認定)・・・
  科学・技術の社会的受容まで考え伝えるのが科学者の社会的責任

(2)再稼働
(2)事故の詳細が究明されないままの再稼働の動き
 ・原子力規制委員会の限界
  技術的側面に限定、多重防護(IAEA指針)違反
 ・無責任体質(委員長と首相の見事なすれ違い)
  「世界一厳しい基準、安全性が証明された」
 ・原子力ムラの暗躍・原子力一家の無反省
  放射線被曝基準(国際原子力ムラ)、原発の輸出
 ・大飯原発差し止め訴訟の画期的判決
  人格権を前面に、科学論争も行う、さて今後は??

(3)トランスサイエンス
(3)科学に問うことはできるが、 科学のみでは答えることができない問題群
 ・共有地の悲劇を招く問題
 ・初めから反倫理性を孕む問題
 ・明確な科学知が得られない(複雑系の科学)問題
 ・確率でしか論じられない問題
 ・コストの担い手とベネフィットの受け手が異なる問題

 新たな論理の導入
 予防措置原則、少数者・被害者・弱者の立場の尊重
 未来世代が担うべき負担、功利主義の徹底(?)

(Ⅱ)科学倫理
(1)-STAP細胞騒動
(1)STAP細胞騒動ー広く倫理問題
 ・科学者のマナー教育・科学倫理教育の欠如
  科学の犯罪(捏造、改竄、盗用)、実験ノートの完備、資料整理
 ・教授の多忙化(倫理教育ができないー能力的にも)
  所内・所外会議、審査会、書類書き、多人数の院生、国際会議

 ・若手研究者の不安定雇用(.不正行為)
 ・大学・研究機関の窮状
  運営費交付金の減少、補助金行政、独法化
  ES細胞、iPS細胞、出生前(受精卵)診断などの倫理問題が山積

(2)科学の不正行為
 不正行為の頻発
 ・研究資金が多い分野(医学・薬学・生物学)に多い
  ノバルティス、J-SDNI1,2、10年以上の改竄事件
 ・商業主義と競争的資金の獲得競争
  特許(論文より先)、秘密主義(小保方問題)

 ・多忙な教員と不安定身分のポスドク・助教
  現場に疎くなった教員、未来を危ぶむ若手
 ・企業と科学者の癒着
  製薬会社と医学者、電力業界(原発メーカー)と原子力専門家

(3)科学の過去と未来
 現代科学を客観的に見て「異様さ」を反省する(これも科学倫理)

  科学のこれまで
 ・要素還元主義に慣れた思考
 ・「新発見」の過大な評価ーマンモス化するビッグサイエンス
 ・「役に立つ」科学への傾斜
 ・科学の国家への従属

 科学のこれから
 ・複雑系の科学(要素還元主義からの脱却)
 ・科学者の評価の視点の転換、トランスサイエンス問題

(Ⅲ)軍学共同
(1)棲み分け(DARPA)
(1)科学者の軍事研究
 ・第2次世界大戦中
  民間(大学・研究機関)から特殊プロジェクトへ組織的動員
  マンハッタン計画、レーダーやジェット機開発・・・

 ・戦争後
  軍事研究所に軍事専門の科学者を雇用(世界中で70万人)
  武器の開発
  軍事転用が可能な民間技術の発掘し資金援助する
  DARPA(国防高等研究計画局)方式(動員ではない)

(2)防衛省技術研究本部
 「技術交流」
 ・2006年から2013年まで11件
  東工大、横国大、理化学研究所、慶応、東洋大、
  九州大学、JAXA、情報処理推進機構・・・

 ・2014年5件
  帝京平成大学「爆薬検知技術」
  千葉工大「ロボット技術」
  海洋研究開発機構(JAMSTEC)「水中無人探査機」(国会)
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)「赤外線センサ」
  情報通信研究機構「サイバーセキュリティ」

(3)閣議決定と防衛省
 政府と防衛省の連携プレー
 ・2013年12月閣議決定「平成26年度防衛計画大綱」
  「大学や研究機関との連携の充実により、
   防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技 術)の 積極的な活用に努める」

.2013年4月 防衛省「技術管理班」設置ー共同研究体制
.2014年6月 防衛省が「防衛生産・技術基盤戦略」を策定し
          「大学や研究機関・企業への防衛省独自の競争的資金提供制度創設を検討」
 .2014年8月
         軍事技術発掘のため1年20億円の基金制度を概算要求

(4)その他の動き
(4)具体的な動きが始まっている
 ・2014年5月第2回「宇宙に関する包括的日米会議
  国防省、NASA、防衛省、JAXAなどが参加、遠隔操作技術
 ・2014年5月防衛省C2次期輸送機の不具合問題
  東大教授へ依頼ー東大憲章から協力拒否ー東大教授は個人参加

・2014年5月総合科学技術会議「革新的研究開発推進プログラム
(⇒革新的研究開発推進プログラム(ImPACT))
  概要に「米国のDARPAのモデルを参考にする」と表示
  プログラムマネージャー12名の選出
 ・2015年6月米国防総省主催ロボットコンテスト経産省が仲立ち 3チーム(東大、産総研、東大・千葉工大・阪大・神大)が参加予定 (⇒終了。悲惨なる惨敗! 引用者による注)
 名目は「ロボット技術の災害現場への応用」だが軍事利用も示唆

(Ⅲ)軍学共同(5)-反対の動きは?
(5)反対運動が少しずつ広がり始めている
 ・日本学術会議への申し入れ
 1950年、1967年の総会声明
 ・平和憲章・非核宣言した24大学・研究機関(維新の攻撃)
 1982年~1990年:名大、原研、小樽商大、電総研、新潟大学等
 ・2014年4月日本科学者会議東京支部常任幹部会声明
 ・2015年5月東大職員組合声明
 ・2014年7月31日記者会見
 軍学共同反対ーアピールと署名運動開始

(6)今後予想される展開
 今後の問題点
  防衛省からの競争的資金に研究者は群がるのか?
 ・「学問の自由」である、「国立大学は国に恩義がある
 ・デュアルユースは当たり前ー「罪の意識」が薄れる
  自分は民生研究、防衛省が軍事研究だから問題ない
 
 ・Publish or Perish  座して死を待つより、死ぬよりはマシ
 特定秘密法(研究の非公開、漏らすと秘密漏洩罪)ー学問の不自由
 大学の荒廃ー戦争のための科学を学生が当たり前として受け取る
 真実と・平和を希求する人間の養成と真っ向から矛盾

デュアルユース:民生利用.軍事利用
・ロボット:人工知能とIC技術と電子回路の組み合わせ
 遠隔操作、認知・認証・認識機能の利用
 ロボット兵器、無人爆撃機、水中無人探査機(魚雷)、
 遠隔操作(「はやぶさ」)、赤外線センサ(CCDの開発)

・ナノテクノロジー:小型化学・生物・放射性同位元素兵器
 蚊や蠅タイプの兵器ー内部にナノテクによる毒物・病原菌を封入
 ばら撒くのではなく、小型兵器+遠隔操作で自在に操る
インフルエンザウイルス:伝染力と致死性を強化

「科学と社会」の現状
科学・技術は、ますます社会と密接な関係を結ぶようになった
 .科学教育における社会的視点の重要性
 .科学の倫理教育は必須
 .科学の国際性への確信
しかしながら
 科学の教員にその知識・能力がない
 教員は多忙で勉強する暇がない
 競争が激しく成果を挙げるのに必死で、そんな教育はムダである
市民科学研究所(定年後の教師の集団で)がその教育を引き受ける

市民の科学への「理解と批判」が不可欠
・科学に関心を寄せ続け動向を把握すること(市民の科学リテラシー)
 サイエンスカフェ、科学館、科学の祭典、オープンキャンパスなど
 口車に乗せられないこと(5重の防護への子どもの疑問)

・科学者・技術者の社会的責任を問うこと
 科学・技術の限界、マイナス要素、予想される難点、
 未来に対する問題点を常に語らせる
・「発明は必要の母」ではないか絶えず見直すこと
 欲望と技術に振り回され、怠け者になっていないか?
 科学・技術の成果への禁欲心(必要性への批判


【参考資料 ②】
「第189回国会 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号(平成27年5月19日(火曜日))」

○*長島(昭)委員*(民主党) 
 技術というのは、もちろん、デュアルユース、あるいは軍事目的、安全保障目的というものを最初から志向している場合もあれば、研究開発を進めていった結果、まあ、利用については、つまり出口については恐らくオープンだと思うんですね。このImPACTのプロセスを通じて、恐らく情報は政府内でも共有される、あるいは産業界とも共有される、そういう中で、こういう素材、こういう技術はもしかしたら安全保障にも役立つんじゃないか、こういうことというのはあり得ると思うんです。

 ImPACTの仕組み、制度の中で、各省いろいろな技術陣がいると思いますけれども、そういうところと連携しながら、そういう結果をピックアップして、それぞれの用途につなげていくというような、そういう仕組み、システムというのはビルトインされているんでしょうか。

○*山口国務大臣* 
 特に顕在的にビルトインという話ではありませんが、科学技術のいわゆる研究の進展の中で、いろいろなところが、これはうちにも使えるというふうな話が出てくるのは当然で、先ほど御指摘いただきましたたんぱくの鈴木先生のお話も、例えば高機能な防弾服に転用できるというか利用できるというようなお話ももう出てきておりますので、経過の中で、先ほど申し上げましたように、もちろん排除するものではございませんので、ともどもに研究を進めていくというふうなことになろうかと思います。

○*長島(昭)委員* 
 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、技術分野というのは、興味が尽きないというか、本当に夢があるんです。例えば、ロボットとか、自動運転技術とか、センサー、セラミック、あるいは、ボルトとかナットを使わないで接合するような技術、それから炭素繊維とか、これは本当にいろいろな用途に使われる可能性を持っている、つまりスピンオンの可能性を秘めた素材なんじゃないかというふうに私は思うんです。

 そういう意味でいうと、その司令塔機能を担う総合科学技術・イノベーション会議、この構成メンバーはもう既に決まっているわけですけれども、正規のメンバーにそろそろ防衛大臣も入れてしかるべきだと私は思うんです。大臣、いかがでしょうか。

○*山口国務大臣*
 総合科学技術・イノベーション会議のメンバーにというようなお話ですが、今のところ、そういうことは考えておりません。 ただ、例えば、宇宙基本計画を作成する経過においても防衛省とも当然協議はしておりますし、今回、第五期科学技術基本計画にしても、やはり防衛省等々からのお話も聞きながら進めていくというふうな格好でやっておりまして、特に防衛大臣から強い御要望があれば、また私なりに考えてみたいとは思いますが、今のところはそういう状況ではございません。

○*長島(昭)委員*
 防衛省、きょう来ていますね。どうですか、防衛省として。技術本部とか。
 当然のことながら、特に軍事だとか民生だとかというこれまでの既成概念にこだわらずに、防衛大臣が入ると、何か全部、研究自体が物騒な方向に持っていかれるみたいな、そういう既成概念はそろそろ払拭すべきときが来ている。そういうふうにしても、別に国策を誤ることはない。私は、国会もあるし、行政もしっかりしているし、日本はそろそろそういう方向に踏み出す時期が来ているんじゃないかと思いますが、防衛省はいかがですか。

○*外園政府参考人*
 お答え申し上げます。委員御指摘のとおり、科学技術に色はないということでございまして、デュアルユース、また、山口大臣からもマルチユースという御指摘がございましたように、現在、総合科学技術・イノベーション会議で推し進められていますImPACTにつきましては、事務方レベルで非常に十分な意見交換、情報交換をさせていただいていまして、先ほどまさに御指摘のありましたクモの糸につきましても、御指摘どおり、高機能な耐弾材料等に使用可能であるということで、我々も非常に注視をさせていただいております。

 引き続き、こういった現状を踏まえまして、事務方で意見交換をしつつ、科学技術を防衛省の安全、安心の技術に取り入れていきたいというふうに思っております。

・・・
○*長島(昭)委員*
 次に、防衛省にまたお伺いしたいと思います。我が国はこれまで、防衛装備品の調達先、マーケットが自衛隊に限られていましたので、企業は軍事技術の研究開発には余り積極的ではなかった、こういうことが言えると思います。
 ちょうど私たちが政権のときに、武器輸出原則の緩和を、まず第一弾をやりました。そして、国際共同研究、共同開発、そして生産、こういう方向へ日本が参画できる、そういう道筋をつけました。その後、安倍政権になって、それを引き継いでいただきまして、さらにそれを発展させて、新しい武器輸出原則というのをつくってきました。そういう中で、装備品に係る輸出規制というのが大幅に緩
和をされた。もちろん賛否両論あると思いますけれども、この分野の可能性が大きく広がったということだと思います。
 それを受けて、防衛省がいよいよ今年度から新しい制度を実施する。安全保障技術研究推進制度、予算はまだ三億でしたか、非常に小さなところからスタートしているようでありますが、この制度の概要、狙い、現状を防衛省の方から説明していただけますか。

○*外園政府参考人*
 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、近年の科学技術の著しい発展を背景にいたしまして防衛技術と民生技術のボーダーレス化が進展する状況におきまして、防衛に応用可能な先進的な民生技術、いわゆるデュアルユース技術を積極的に活用することが重要であると防衛省として考えております。
 このため、防衛省では、大学、独立行政法人の研究機関や企業などにおける独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するため、今年度から、競争的資金制度である安全保障技術推進制度を開始いたします。

 現在、この開始に向けまして最終的な調整を行っておりまして、早ければ今月中にこの制度を発足させたいというふうに考えております。 また、この制度に必要な経費といたしまして、約三億円を平成二十七年度予算に計上させていただいております。
 防衛省といたしましては、こういった制度を通じまして、大学、独立行政法人の研究機関や企業などが有するすぐれた先進的技術を効果的、効率的に取り込み、将来装備品の研究開発に活用したいというふうに考えております。


・・・
・イージス艦装備へ国内企業初参加 NSC、米に輸出承認
 政府は23日、国家安全保障会議(NSC)を開き、イージス艦の戦闘指揮所に置かれ、戦術情報を表示するディスプレーシステムのソフトウエアなど装備の一部を日本の企業が独自開発し米国に輸出することを承認した。多数の目標を探知し、瞬時に情報処理して同時に対処するイージスシステム製造への国内企業の参加は初めて

 イージス艦を導入するオーストラリアなど第三国も利用可能となる。昨年4月に武器禁輸政策を見直し新たに定めた防衛装備移転三原則に基づく承認は4例目
 政府は2015年度予算でイージス艦1隻の建造費を計上。18年度までにもう1隻調達する予定だ。(共同)

岸は退陣、そして今回は ◆戦後史から、「60年安保」と今国会を考える

岸は退陣、そして今回は
立憲フォーラム・戦争をさせない1000人委員会 共催
「戦争法案」を葬ろう 連続集会


◆戦後史から、「60年安保」と今国会を考える
7月30日(木)午後5時~ 参院議員会館1階 講堂
保阪正康(作家)、参議院安保特の報告など

国会へ。国会へ。多くの人びとが普段は行く機会もない国会をめざす。
隣あった人と言葉を交わす。「私、デモは初めて」。「あら、私もです」
いま、国会を包み込む波のなかで、こんな会話が生まれている。
そして、シニア世代は思う。こんな風に人びとの熱気が国会周辺に再び生まれるとは思わなかった。「でも、俺たちの時には33万人が国会を囲んだんだよ」「アンポの時は盛り上がったのは強行採決の後だった」と隣の若者に言ってやりたい。
そう、60年安保を経験した多くの人がいま、国会へ来ている。

昭和史の第一人者、保阪正康さんはかって
「院外闘争が日本の歴史上かってみられないほど高まったのだ。なぜあのように盛りあがったかといえば、結局は岸首相の体質や肌合いに対する国民の怒りからであった。岸内閣は議会政治を根本から破壊する暴力的手段で新安保条約を可決した」
と『60年安保闘争』(講談社現代新書)と書いた。
いま、侵略を認めたくない安倍首相の歴史認識と、近隣を敵視する一方の危うさのなかで鎮魂の夏を迎える。岸政権の時のように安倍退陣へと追い込むことのできる熱い夏にできるかが問われている。

◆ヒロシマ・安保法制・抑止力
8月6日(木)午後5時~ 衆院第一議員会館1階 多目的ホール
孫崎享(元外務省・国際情報局長)
入場は無料。お問い合わせは江崎孝参院事務所(03-6550-0511、参‐511)

※立憲フォーラムからのメール情報をご希望の方は、
rikken96gmail.comまでメール下さい。

2015年7月22日水曜日

戦争法案に反対する宗教者・僧侶・門徒による 参議院議員会館前抗議行動(7/24)

戦争法案に反対する
宗教者・僧侶・門徒による 参議院議員会館前抗議行動


戦争法案が強行採決された今、私たち宗教者・僧侶・門徒に何ができるのでしょうか。
もう時間は少ないのかもしれない。
いや、もう間に合わないのかもしれない…。
それでもなお、国会を取り囲み、叫び続けている多くの人々がいる。
今はその人々と共にありたいと思う。
そして、真実の声をあげている人々を孤立させてはならないと思う。

それぞれ、地方に生きる者にとって国会は遠い。
しかし、もし一同に会する機会があるのならば…、
もし国会の周りを宗教者・僧侶・門徒の姿で埋め尽くせるのならば…。

だからこそ、全国の宗教者・僧侶・門徒の止むに止まれぬ心に呼びかけたい。
僧衣を纏って、門徒の証しを身につけて共に国会へ足を運ぼうではないか。


集会日時   7月24日(金) 15:00より17:00
集合場所   東京.築地本願寺 瑞鳳

集会後、 18:30より参議院議員会館前抗議行動

呼びかけ人
・小武正教(浄土真宗本願寺派)
・長田浩昭(真宗大谷派)
・山崎龍明 (戦争法案に反対する宗教者の会)

賛同団体
・念仏者九条の会、
・真宗大谷派九条の会、
・戦争法案に反対する宗教者の会、
・2000年東西本願寺を結ぶ非戦・平和共同行動実行委員会、
・原子力行政を問い直す宗教者の会
・宗教者九条の和
・宗 教 者 九 条 の 和

東京都渋谷区神泉町8−7 日本山妙法寺内
連絡先 080−5233−3429(小武)

2015年7月21日火曜日

シリアと世界の平和を考えるシンポジウム ~戦後70年、私たちにはいま何ができるのか~

 シリアと世界の平和を考えるシンポジウム 
 ~戦後70年、私たちにはいま何ができるのか~
(8月9日@明治学院大学)

シリア支援団体サダーカ / The Syrian Support Organization Sadaq
http://www.sadaqasyria.jp/


 2011年に始まったシリアでの紛争に対して、一部の過激なテロリストに関するものを除けば、メディアでの報道や世間の関心は明らかに減っているように思います。しかし、シリアの紛争は状況が良くなるどころか、残念ながら、他の周辺国をも巻き込み更に深刻さを増しています。

 日本は今年、戦後70年という節目の年です。その節目の年に、シリアや世界の人たちとともに、シリアと世界の平和について改めて考えてみませんか?そして、私たち1人1人に何ができるか、真剣に考えてみませんか?

 シンポジウム当日は、シリアのをよく知る方々を通して豊かだった紛争前のシリアのことや、そして紛争に翻弄されるシリアの人々の声をお届けします。また、シリアに暮らす人々や周辺国に避難している人々の現状を伝える映像を見ながら、シリアをめぐる現状について理解を深めていきます(通信状況が許せば、シリアに在住するシリア人ともビデオ通話を結んで生の声を届けて頂く予定です)。
 その上で、シリアの平和を願って何らかの行動を起こしている人たちの話を聞き、私たちに何ができるのかを考えていきます。

 お盆のお忙しい時期だと思いますが、ぜひお越し下さい。
 シリアと世界の平和を、ともに願いましょう。

【日時】
8月9日(日)  13:00-17:00
第1部  13:00-15:30
第2部  15:45-17:00
【場所】
明治学院大学 白金校舎 アートホール
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/index.html
[経路]
明治大学白金キャンパスパレットゾーン
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/ (白金キャンパスへの行き方)
http://www.meijigakuin.ac.jp/campus/shirokane/ (パレットゾーンへの行き方)

【お申込み方法】
こちらのフォームからお申し込み下さい。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/ce09c539374689
もしくは、8.9symposium@gmail.comまでご連絡下さい。
【定員/参加費】 200名程度 / 参加費無料

[第1部 13:00-15:30]
1.サダーカ代表 田村雅文による報告
-ジャーナリストの安田菜津紀氏からの中継メッセージ
 「戦後70年、長崎の地からの平和への願い」
2.中東専門家(東京外国語大学 青山弘之教授)によるシリアの現状についての講話
3.『目を閉じれば、いつもそこに~故郷・私が愛したシリア~(特別編)』の上映

4.パネルトーク「シリアの人々と考える世界の平和」
パネリスト:
・藤井沙織さん(映像制作者)、
・青山弘之教授、
・Fadi Farhatさん(日本在住シリア人 )、
・田村雅文
Skypeゲスト:Manar Al-bezemさん(シリア在住シリア人)
[休憩 15:30-15:45]

[第2部 15:45-17:00 ]
1. サダーカ副代表 渡部碧による呼びかけ
「小さくてもいいからアクションをとろう」
2.シリアのためのアクションの紹介
 ① イブラ・ワ・ハイト(山崎やよいさん)
 ② United People(アーヤ藍さん)
 ③ シリア研究会(東京外国語大学2年生:松本祐輝さん)
 ④ ママリングス(落合香代子さん)
 ⑤ 青年海外協力隊経験者(斉藤亮平さん)
3. サダーカ代表によるクロージングメッセージ

【お問合せ】
8.9symposium@gmail.com

【運営団体について】
・シリア支援団体サダーカ
2011年3月からシリアで続いている紛争に対して何らかの支援を行いたいと、青年海外協力隊や明治学院大学の学生等シリア関係者の有志により発足した団体。現在は、ヨルダンでの家庭訪問を続けながらシリアの紛争を止めるための様々な活動を行っている。サダーカとはアラビア語で"友情"を意味する。

・明治学院大学国際平和研究所
世界平和実現の条件を研究し、学内外の平和研究者、NGO・平和運動関係者と学際的交流を行うことを目的として、1986年に設立。普遍的視点からの地域的研究、社会性あるいは時代性のある研究、学際性の高い研究を重視しながら、平和の諸問題に取り組んでいる。

2015年7月18日土曜日

「京大有志の会の声明」と「明日の自由を守る若手弁護士の会」のメッセージ

「京大有志の会の声明」と「明日の自由を守る若手弁護士の会」のメッセージ


   戦争は、防衛を名目に始まる。
   戦争は、兵器産業に富をもたらす。
   戦争は、すぐに制御が効かなくなる。

   戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。
   戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。
   戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

   精神は、操作の対象物ではない。
   生命は、誰かの持ち駒ではない。

   海は、基地に押しつぶされてはならない。
   空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。

   血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、
   知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

   学問は、戦争の武器ではない。
   学問は、商売の道具ではない。
   学問は、権力の下僕ではない。

   生きる場所と考える自由を守り、創るために、
   私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。

                                自由と平和のための京大有志の会

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自由と平和のための京大有志の会 (@kyotofreedom) | Twitter


【安保関連法案 まだまだ阻止できます☆】
 明日の自由を守る若手弁護士の会 ( 7月14日 20:30 )

安保関連法案、さきほど衆院特別委員会で強行採決されてしまいました(明日、本会議で採決とのこと)。 政府がなに一つ誠実に質疑に答えず、日本語として理解できないような答弁で逃げ切ったあげく「時間がたった」と、怒号の中で多数決。 まるで、映画のような、ドラマのような、暴力的な政治です。
...
もしかして、衆院特別委員会通過と聞いて、「あぁもう成立してしまった」…かのように落胆されている方はいらっしゃいませんか? もちろん、あすわかも落胆しています、が、まだ国会は続くのです。私達の声が法案成立を阻止できるチャンスは、ま~だまだ残されてます!

そもそも法案というものが成立する道のりは2つあります。 1つは、同一の会期内に衆議院と参議院の両方を過半数の賛成で通過する道のり。 もう1つは、参議院が衆議院から法律案を受け取って60日以内に議決しないときに、衆議院の3分の2以上の賛成で再議決する道のり(最近よくきく60日 ルール)。

ですから、衆議院特別委員会で強行採決されて本会議で採決されても、参議院で可決されなければ法案成立しません。参議院で可決しないまま60日経ったとしても、衆議院で再議決しない限り成立はありえない。

この国会(臨時国会)の会期は、9月27日までです。
会期中に議決できなかった案件は廃案となるのが原則です。
しかし、「継続審査」とすることが許されており、これには回数の制限などはありません。
また、今回たとえば衆議院で可決して、参議院に送られたものの会期末となり、「継続審議」になった場合、 次の国会では、参議院は審議の続きから始まりますが、衆議院はもう一度最初から
審議やり直しになります。 なのでこの場合には、臨時国会でなされた衆院採決は意味が無くなるわけです。

廃案または継続審議となっても、次回以降の国会でまた法案提出、審議して成立を目指すことはできます。 しかし、法案の内容がもっともっと国民に広く知られ、もっともっと反対される時間ができると、ますます支持率は下がりますし(ますますアベノミクスのボロ も出るし)可決しづらくなるので、政府としては世論がこれ以上反対で盛り上がる前に早く可決してしまおうと考えるわけです。

まだ諦めなくてもいいのです、というか諦めてはいけないのです!
まだ私達はこの法案の成立を阻止できます。 対抗手段は、とにかく問題点を広く知らせ、反対意見をあらゆる方法でアピールし続けて、会期内に参院で通させないことです。 先日書いたように、議員さんにFAXやメール、手紙で直接声を届けましょう。デモや集会をしっかり報道した新聞やテレビには応援のメッセージを送りましょ う。強行採決を中継しなかったNHKには、きちんと「それでも公共放送のつもりですか」と批判の声を届けましょう。

共同代表の黒澤は、ついこないだ、さる集会で「これは安倍首相の執念と、私たち国民の執念のたたかいです」とお話しました。 諦めないことです。
主権者は私たち国民なのですから。
憲法は、私たちのものなのですから。

この国の行方は私たちが決めるし、勝手に憲法を死文化させるもんですか
衆議院を通過してしまったとしても参議院で通過させないよう粘りきることです。毎日、声をあげ続けましょう☆

(この記事は、2013年11月、特定秘密保護法案が衆議院の特別委員会で強行採決された際に書いた記事を思い返しながら書きました。)
https://ja-jp.facebook.com/asunojiyuu /////////////////////////////////////////////////




・・・
安倍内閣支持急落37% 不支持過半数で逆転 
 共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、内閣支持率は37・7%で、前回6月の47・4%から9・7ポイント急落した。
 不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達し、2012年12月発足の第2次安倍政権以降で初めて支持と不支持が逆転した。
 与党が16日の衆院本会議で、多くの野党が退席や欠席する中、安全保障関連法案を採決し、可決したことに「よくなかった」との回答が73・3%を占めた。「よかった」は21・4%だった。
 安保法案の今国会成立に反対が68・2%で前回から5・1ポイント増えた。賛成は24・6%だった。
「賠償放棄 海外に感謝を」 70年談話で学者ら74人
 安倍晋三首相が今夏発表する予定の戦後七十年談話について、歴史学者や国際法学者、国際政治学者ら七十四人が十七日発表した声明では、戦後日本の再出発の際に賠償の放棄などをした「海外の諸国民への深い感謝の気持ち」を示すように求めた。
 一九三一年の満州事変から四五年までの太平洋戦争を日本の侵略戦争と明記しない場合、「過去への反省について関係諸国に誤解と不信が生まれる」として、首相談話に侵略戦争と明記することも要請した。

 声明をまとめた代表の大沼保昭明治大特任教授(国際法)は東京の日本記者クラブでの会見で、「総理は逃げるのではなく、国際社会で共有されている日本の戦争は残念ながら違法な侵略戦争だったと明確にすべきだ」と強調した。
 声明には同じく代表の三谷太一郎東大名誉教授(日本政治外交史)のほか、小此木政夫慶応大名誉教授(韓国・朝鮮政治)、毛里和子早大名誉教授(中国政治)ら学者、現代史家の半藤一利氏、保阪正康氏らも名を連ねた。

 声明は、戦後日本の復興と繁栄は日本国民の努力だけでなく、「講和と国交正常化に際して賠償を放棄するなど、戦後日本の再出発のために寛大な態度を示した諸外国の日本への理解と期待、支援によるものだった」と指摘した。
 さらに、戦後五十年の村山首相談話や、六十年の小泉首相談話で使った「侵略」や「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」が継承されるべきかどうかが論議される中、「重要な言葉が採用されなかった場合、関係諸国に誤解と不信が生まれるのではないかと危ぐしている」とした。(東京新聞)

・・・

更新⇒「〈議論が深まらない社会 2015〉  「安保法案」廃案へ向けた議論を深めるために

2015年7月16日木曜日

【緊急のお知らせ】 「学者100人記者会見」(7/20, 学士会館)

【緊急のお知らせ】 「学者100人記者会見」(7/20, 学士会館)

17:00~18:30 学士会館202号室
          (千代田区神田錦町3-28 アクセス

国会情勢が緊迫するなか、1万人以上の学者の賛同をもって社会に発信します。 100~200人の学者の参加で記者会見に臨みます。まだ席に余裕がありますので、参加を希望される学者の方は、18日夕方までに「お問い合わせフォーム」よりお申し出ください。

7月31日(金) 「安全保障関連法案に反対する学生と学者による共同行動」
17:00~ 砂防会館で集会
18:00~ 日比谷公園までデモ
19:30~ 国会前抗議行動 ※詳細は、近日中にご案内します。


・・・
同志社大教職員有志が安保法案反対声明 村田学長を非難
 同志社大の教職員有志が15日、安全保障関連法案の成立に反対する声明を発表した。
 同大学の村田晃嗣学長が衆議院平和安全法制特別委員会の中央公聴会で同法案に肯定的な意見を述べたことも批判している。

 声明には約50人が賛同。安保関連法案について「現行憲法の枠組を明白に踏み越えた」とその違憲性を指摘し、村田学長の発言についても「良心教育を基軸とした同志社大のイメージを大きく損なう結果をもたらした」と非難している。

 声明を取りまとめた社会学部の板垣竜太教授は「法案は衆院特別委で可決されたが、今後も成立を阻止するために行動する。声明は近日中に村田学長にも提出する」と話している。
 龍谷大の教職員有志も安保関連法案の撤回を求める声明を出している。(京都新聞)
 ↓
 村田晃嗣という人を、私がメディアで知るようになったのは、2001年の「9・11」前後だったろうか。「日米関係」とか「(国際)安全保障」論を選考する「気鋭の政治学者」という触れ込みで、メディアへの露出を盛んにしていた記憶がある。

 確かに、村田氏が言うように「学者は憲法学者だけではない」。しかし、これは氏のみに限ったことではないが、日本の一市民として「政治学」や「安全保障学」を大学で教え、一般市民に説く学者は、少なくとも己が身とその市民的諸権利を根本から規定している日本国憲法の原理や精神を主体化した上で何かを語るのでなければ、学者としての良識を自ら貶めるだけである。
 はたして、日本の大学で飛躍的に広がっている「(国際)安全保障学」を教える大学知識人に、そのような良識がどこまで備わっているか? このことも一度、じっくり検証する必要があるだろう。

安保法案:教員ら、法案撤回を 京大では「有志の会」結成 /京都
 衆院特別委で可決された安全保障関連法案に対し、これまで府内の各大学の教員らから反対声明が相次いでいる。
 京都大(京都市左京区)は、教職員らが「自由と平和のための京大有志の会」を結成。
 「戦争は防衛を名目に始まる。生きる場所と考える自由を守り、創るために、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない」とする声明を出し、約700人が賛同した。

 立命館大(本部・中京区)は法学部・法務研究科の教員有志ら計64人が声明を発表。
 憲法学者が相次いで「違憲」を表明したことを踏まえ「違憲法案を推進する政府・与党の姿勢に抗議し、専門家の立場から法案撤回を要求する」としている。
 龍谷大(伏見区)も100人以上の教職員有志が「安倍内閣が進めようとしているのは立憲主義の破壊」などとする声明を出した。【毎日/地方版 川瀬慎一朗、野口由紀】

・真宗大谷派「平和の誓いを空文化」 安保法案撤回求める
 真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の里雄康意宗務総長は15日、衆院特別委員会で安全保障関連法案が可決されたことを受け、
 「戦時下に生きた人々の声、無数の死者を背景に制定された日本国憲法の平和の誓いを空文化させるものだ。過去の歴史に学び、未来を開くことに逆行する法案の即時撤回を『悲しみ』をもって強く求める」との談話を発表した。(京都新聞)
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「安保法制」反対のメッセージの募集

 現在、IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)では、弊社サイトにて特集ページを立ち上げ、国会で審議中の「戦争法案」に疑問を感じ、反対の声を上げている方々からのメッセージを募っています。

■「安倍政権の集団的自衛権にもとづく「安保法制」に反対するすべての人からのメッセージ」
http://iwj.co.jp/wj/open/%E5%AE%89%E4%BF%9D%E6%B3%95%E5%88%B6%E5%8F%8D%E5%AF%BE

メ ッセージの長短、内容、形式などは一切問いません。短い一行のメッセージでも結構です。エッセイやブログ風のものでも、かまいません。ビジュアル素材(写真、動画、イラスト集)をまじえたものでも結構です。
 知識人、学者や専門家の方であれば、なぜ「戦争法案」は問題なのか、本格的な論文や評論でも大歓迎です。既出の論文等の転載でも問題ありません。
 「自分では上手にメッセージを書けない。しかし、他の人のスピーチや文章で、転載OKのものに、素敵なものがあるのでシェアしたい」ということでも全然かまいません。
 ご多用の折、大変お手数をおかけしますが、メーリスやツイッター、Facfebookなどで、広くみなさまに拡散していただけましたら幸いです。

 メッセージの送り先は、こちらになります。
  office@iwj.co.jp
 みなさまからのメッセージ、お待ち申し上げております。何卒よろしくお願い申し上げます。

日本平和学会春季研究大会 「植民地主義と平和」分科会(7/19, 広島)

日本平和学会春季研究大会/ 「植民地主義と平和」分科会

2015年7月19日(日)12:10-14:10
会場:JMSアステールプラザ(広島市)
http://h-culture.jp/access/

報告1:
「格安コピー用紙の向こう側:グローバル環境ガバナンスのギャップ克服に向けて」
・笹岡正俊(北海道大学大学院文学研究科)
・原田公(麻布大学生命・環境 科学部/熱帯林行動ネットワーク:JATAN)

【報告要旨】→ http://u111u.info/mxLl

報告2:
「植民地主義・脱植民地化と平和学-問題提起として」
・上村英明(恵泉女学園大学・市民外交センター) 

【報告要旨】
 20世紀になって登場した「国際社会」の大きな目的の中心には、国際平和の達成と植民地問題の解消(脱植民地化)がある。
 しかし、これらの目標への取り組みを実態として見た時、国際社会そのものにおいても、また各国においても、国際平和の達成が植民地化問題の解消に対してやや優先して議論された感があり、まずこの構造を紹介したい。
 また、日本では、第二次世界大戦後の社会の中で、平和の達成に重点が置かれ、植民地問題の解消(脱植民地化)は「平和学」のスコープとしてピントがずれたものであった。

 こうした「平和学」自体の構造は、戦後70周年を迎える今日にあっても、戦後補償問題、ヘイトスピーチ、先住民族問題など未解決な脱植民地化問題への取り組みに大きな「影」を落とし、また、間接的に「平和」そのものへの脅威を生み出している。

 本報告では、「先住民族」問題に国連機構を通じて関わり、日本国内での展開に長年関わってきた筆者の体験を踏まえて、「植民地主義・脱植民地化」と「平和学」の関係性に関する問題提起を行ってみたい。日本の「平和学」そのもの方向性に新たな貢献ができれば、幸いである。

討論: 小田博志(北海道大学)
司会: 藤岡美恵子(法政大学)

〈議論が深まらない社会 2015〉  「安保法案」廃案へ向けた議論を深めるために

〈議論が深まらない社会 2015〉
 
「安保法案」廃案に向けた議論を深めるために

 昨日の特別委員会での強行採決に続き、安倍「安保法案」が衆院で強行採決された。
 これから7月後半から9月中旬にかけて、同法案をめぐり、参議院における攻防をはじめ、国会内外での長く、暑いたたかいが展開されることなる。

 しかし、反「安保法案」運動の理論的支柱になっている、「違憲(=憲法九条違反)」とする論理を軸に廃案に追い込もうとする主張では、また再びの敗北は目にみえている、と私には思えてならない。「戦後」の九条の死文化の上に積み上げられてきた、日米の軍産学複合体による安保政策に反対する民衆のたたかいは、敗北に次ぐ敗北を重ね、今日に至っているのである。

 現在の国会における力関係から言えば、安倍内閣が参議院においても強行採決に踏み切り、法案が成立する可能性はきわめて高い、と言わざるをえない。その意味では、法案の廃案をめざす運動は、来年の参院選、そしてその次の衆院選と、自・公政権に変わる次の政権交代を市民サイドから構想する、少なくともその萌芽を宿すような運動として発展することが求められている。(近未来における政権交代の現実的展望はきわめて暗いが、これについては今は触れない。)

 ともあれ、法案廃案をめざすこれからの、とても長くなるであろうたたかいに備えるために、今一度「安保法案」=「違憲」論を分析し、その弱点を、一度じっくり考えてみることが重要である。法案に反対し、運動に参加するようになった人々も、ぜひ一緒に考えてほしい。


Ⅰ 憲法九条体制(レジーム)の下での「安保法案」


 安倍「安保法案」は、
①国家の「自衛の措置」(=「国権の発動」としての武力行使)の適用範囲を拡張解釈し、
②その武力行使に、「限定的」「必要最小限度」というきわめて曖昧な「制約」を付帯することによって、
③これまで歴代内閣が「違憲」としてきた「集団的自衛権」の武力による行使に、一般法(憲法の下位法)としての根拠を与え、
④これにより、条約上においても実態としても、これまで軍事同盟ではなかった日米安保体制の軍事同盟化(いわゆる「日米安保の攻守同盟化」に踏み込む憲法解釈上の根拠を与えようとするもの、である。

 「安保法案」の法制化によって、憲法九条は、文字通りの軍事同盟と化した日米安保と平和共存することになる。より具体的に言うなら、法案が目論むのは、例えば、「対テロ」・アフガニスタン戦争においてその合憲・違憲性が激しく議論されたインド洋における自衛隊の「給油活動」、すなわち有志連合軍に対する自衛隊の「後方支援」(=軍事作戦)や、
 同じくその合憲・違憲性が激しく議論された、自衛隊の「平和構築」作戦として展開された対イラク「復興支援」に向けた「派遣」(=派兵)などをめぐり、これからは「違憲」だと主張させなくする、つまり派兵違憲論に対し、その憲法解釈上の根拠を無くそうとするものである。


 私は、昨春出版した『終わりなき戦争に抗う』の「序章」の中で、終わりなき対テロ戦争の時代(戦争イコール平和の時代)においては、「戦後」日本を支配してきた二つの神話、すなわち「憲法九条が平和を守る」と「日米安保が平和を守る」のいづれによっても〈平和〉は守れないことを指摘した。
 これに対しては、とりわけ護憲派の読者の中には、強い違和感や反感を持った人もいたかもしれないが、安倍「安保法案」はまさにそのことを如実に示すものである。護憲一辺倒では、安倍内閣の「積極的平和主義」や日米共同の「国際安全保障」政策に抗しきれない時代、それが「終わりなき戦争」の時代である。 

 「違憲立法」論に欠落している、と私には思える議論や論点の中で、最も重大なのは、安倍内閣が「安保法案」を「合憲=憲法九条に違反しない」として提出していること、そのことに対する怜悧な分析である。「安保法案」=合憲論にいったん内在し、その論理を崩し、無化するような論理である。 

・ 法案違憲論に対し、安倍内閣は合憲だと主張する。では、憲法九条解釈において違憲論と合憲論は、何がどう違うのか?
・ 違憲論は、自衛隊の海外「派遣」や日本の「自衛の措置」において、どこまでを「合憲」とし、どこからを「違憲」とするのか?
・ 憲法論において、法案違憲論と安倍内閣は、いったい何が違うのか?
 国会論戦を聞いたり、読んだりしても、これらの境界線が見えてこない。
 だから、議論は不毛な「平行線」に終わるだけで、議論そのものが何も深まらない・・・。
 

 〈「安保法案」=合憲論にいったん内在し、その論理を崩し、無化する〉ためには、「安保法案」の大本になっている昨年7月の「集団的自衛権」をめぐる安倍内閣の閣議決定の文章に分け入っていかねばならない。

 「閣議決定」は、「憲法第9条の下で許容される自衛の措置」において、政府の「憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる」としたうえで、「安保法案」が「憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内」にあるとし、その根拠を次のように述べている。

・・
(2) 憲法第9条はその文言からすると、 国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や第13条が「生命、自由および幸福追求 に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条が、わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとは到底解されない

 一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自 由および幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置としてはじめて容認されるも のであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される
 これが、憲法第9条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来、 政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり、昭和47年10月14日に参院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的自衛権 と憲法との関係」に明確に示されているところである。 この基本的な論理は、憲法第9条の下では今後とも維持されなければならない。

 (3) これまで政府は、この基本的な論理の下、「武力の行使」が許容されるのは、わが国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。
  しかし、 冒頭で述べたように、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器等の脅威等により、わが国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化 し続けている状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的・規模・態様等によっては、わが国の存立を脅かすことも現実 に起こり得る

 わが国としては、紛争が生じた場合にはこれを平和的に解決するために最大限の外交努力を尽くすとともに、これまでの憲法解釈に基づいて整備 されてきた既存の国内法令による対応や当該憲法解釈の枠内で可能な法整備等あらゆる必要な対応をとることは当然であるが、それでもなおわが国の存立を全う し、国民を守るために万全を期す必要がある。

 こうした問題意識の下に、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、わが国に対する武力攻 撃が発生した場合のみならず、
 わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追 求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、
 これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小 限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。

 (4) わが国による「武力の行使」が国際法を順守して行われることは当然であるが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。
 憲法上許容さ れる上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある。
 この「武力の行使」には、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とす るものが含まれるが、憲法上は、あくまでもわが国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置としてはじめて許容されるものである。
・・

 「安保法案」の合憲性解釈を打ち出した上の閣議決定は、「正しい」だろうか?
 「間違っている」としたら、憲法解釈的に、何をもってそう言えるのか? 
 これらの問いに対する自分なりの答えを持つことが、「私たち」に問われている。


 安倍「安保法案」を問う際に、避けられない問題のひとつに、これまで「国権の発動」としての武力行使を否定してきたはずの「平和の公明党」が、なぜ、思想的にも路線的にも、到底相容れないはずの安倍自民党と共同戦線を張り、法案の法制化を目論むのか? がある。

 今や公明党は(16年前から?)、「積極的行動主義」の名の下に、「安保法案」論争の「バリケードの向こう側」に立ちながら、〈これまで軍事同盟でも何でもなかった日米安保体制の軍事同盟化〉のお先棒を担ぐ勢力として、積極的かつ行動的に動き回るようになったわけだが、その理由を公明党は、次のように正当化している。ほとんど「閣議決定」を、鸚鵡返しの如く、繰り返しているだけの内容である。

・・
 日本の憲法の考え方、政府の考え方は、9条1項で戦争を放棄して、2項で陸海空の戦力を持たないということを規定しております。一見、非武装を規定しているように読めます。 しかし、憲法の前文では平和のうちに生存する権利を示し、また13条では、国民の人権に対して政府は国政上最大の尊重を要する、と規定しております。
 国民の人権を最も奪う行為が日本に対する武力の攻撃ですから、これを排除するための力は必要であります。しかし9条がありますから、それは最小限のものでなければなりません。こういう考え方で、必要最小限度の自衛力を持つことは許される、こういう考えを取っております。

 個別的自衛権とか集団的自衛権という概念は、国際法で言われる概念でありますが、その集団的自衛権には、日本の国民の人権が台無しになること以外にも、他国をもっぱら守るために武力を使う概念も含まれておりますので、そうした国際法でいう集団的自衛権は日本の憲法は認められない、ということであります。

 他国に対する攻撃がきっかけであったとしても、それが日本に対する攻撃と同様に、日本の国民に深刻・重大な被害をもたらすような攻撃であれば日本は武力行使で反撃できるという、極めて限定的な意味での国際法上の集団的自衛権は認められる、という風に今回考えたわけです。

 日本の自衛権の行使が許されるのは、他国に加えられた攻撃か自国に加えられた攻撃か、ではなく、その攻撃が日本の国民の権利を根底から覆すことが明白なのかどうかという、客観的な考え方で一貫して捉えられているのが日本政府の考え方です。このような考え方は論理的に一貫しているものであり、また、これからも変わらないという、という意味で法的にも安定していると思います。

 ⇒「【全文】公明党・山口代表が安全保障法制について会見 」(BLOGOS 6/12/2015)より
・・

 「私たち」は、「安保法案」を違憲だと言い、認めない。
 しかし、「彼/彼女ら」は、合憲だと言い、法制化しようとする。
 どちらが「論理的に一貫」しており、「法的にも安定」している、と言えるのか? 
 あなたは、何と言うだろう。そして、その憲法解釈上の根拠は何だろう。


5 「違憲」なのか、それとも「違憲の疑いがある」なのか?
 「安保法案」を「違憲立法!」と断定することと、「違憲の疑いがある」と示唆することの間には、大きな違いがある。例えば、民主党は、少なくとも岡田代表をはじめとする党主流派は、「違憲立法」とは言わず、「違憲の疑いがある」という言い方をする。

・・
 時の内閣の判断で、戦争を始めてしまう。戦争を始めるということになれば、それによって救われる部分もあるかもしれませんが、反撃を当然食うので、日本国民の命、暮らし、ここに甚大な影響が及ぶ可能性があります。

 そういうところについて、しっかりとした議論がまだまだ必要だと思います。これだけの状態、そして金曜日の夜には、多くの学生が国会議事堂を取り囲んで、法案に対する反対を口々に唱えられました。学者も反対している、法制局長官経験者も憲法違反だと言っています。
 そして全国の自治体議員で、数多くの慎重審議を求める決議がなされています。それにもかかわらず、今週、強行採決がささやかれています。

 そういうことはあってはならないことです。安全保障法制に対する、国民の幅広い理解がなければ、これを闇雲に進める、特に憲法違反の疑いが非常に強いものを内閣がやってしまうのは、これは立憲国家、法治国家としての破壊になります。

「存立事態」(岡田克也 7月13日)より
・・

 岡田民主党代表は、「安保法案」を憲法違反と断定する一歩手前で逡巡し、注意深く、その「疑いが非常に強い」と表現にとどめようとする。それは、なぜなのか? それが〈問題〉である。


Ⅱ 憲法九条と「自衛の措置」

 「平和の公明党」は、「安保法案」を廃案に追い込むたたかいの「バリケードの向こう側」にいるが、民主党は党として、明確かつ鮮明な「違憲立法」論を打ち出せない。当面、廃案に向けた野党共闘にはやぶさかではないが、安倍「安保法案」に代わる岡田「安保法案」を、全党一致で取りまとめることは、おそらくできないだろう。
 なぜなら民主党は、政権交代に際して、自公政権の安保政策の抜本的見直しを回避し、大枠においてそれを踏襲、継承する方針を採ったからである。

 「日米安保」を日本の安保政策の中軸に据え、「日米同盟」なるものの「深化」をめざす、という点では、民主党と自公政権との間に何らの齟齬もない。民主党が党として反対しているのは、一つには「アジア・太平洋」地域を越えた「日米安保のグローバル化」と、
 もう一つには、安倍政権の「手続き的民主主義」や「熟議民主主義」を否定し、「立憲主義」の否定の「疑い」もある、その「上から目線」的、つまりはその官僚主義的で独善的な「政治手法」なのである。

 もちろん、これら一つ一つが重大な問題であり、法案と強行採決に対する十分な反対理由たりえるものではあるが、しかし民主党にはどこかしら「揺らぎ」が垣間見えるのも事実である。はっきり、しないのだ。その意味では、「私たち」は、今後、民主党の党内でどのような議論が起こってくるか、最後の最後に民主党がどうなるか、どうような立ち振る舞いをするか、についても監視を怠らないようにする必要がありそうである。民主党には「前科」があるからだ。

 では、安倍「安保法案」は、違憲だと断定できるのか、それも「違憲の疑いがある」程度の代物なのか? 私も、違憲だと断定する者の一人である。けれども、事はそう簡単ではない。

 ここから先に議論を進める一助として、ここで、ビジュアル的にも非常に参考になる資料を一つ紹介しておこう。 和田千才という人が16日付で公表した、「【安保法案】集団的自衛権、憲法制定時からこんなに変わった」である。その冒頭部には、次のように書かれている。

・・
もともと憲法9条で
「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」
と定められており、憲法制定時の政府は「日本に自衛権はあっても行使することができない」と考えていた。
 しかし、日本をめぐる安全保障環境が変化するたびに、日本政府は「わが国に軍隊はない」と主張しながらも、自衛隊が活動できる範囲を変えるなど、憲法に対する解釈を変えてきた。
 (中略)

 憲法制定時でも、日本政府は自国に自衛権があるとの考え方を取っていた。しかし、憲法9条2項によって、「一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄した」と当時の吉田茂首相は発言しており、憲法によって自衛権の行使が認められないと解釈していた。

■米ソ冷戦「武力によらざる自衛権」
 自衛権が認められない当時、万が一の場合には国連軍が日本を守ることが想定されていた。しかし、米ソ冷戦が勃発。吉田首相は1950年1月、「武力によらざる自衛権を日本は持つ」と発言し、その後のアメリカとの軍事同盟の成立を匂わせた。旧日米安全保障条約が結ばれたのは1951年だった。
・・

 「自衛権」と「自衛の措置」、「自衛の措置」と「武力行使」。
 これらを日本国憲法の中に、あなたはどう読むか?
 憲法九条は、まだ生きているのか、それとももう死んで(死文化)しまっているのか?
 議論はそこから始まり、そこでまず深められねばならないのである。


2015年8月12日 「「必要最小限度の自衛の措置」って何?」につづく

・・・
安保法案が衆院通過 特別委に続き与党強行
 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案は、16日午後の衆院本会議で自民、公明両党などの賛成により可決され、衆院を通過した。民主党など主な野党は質疑打ち切りに抗議して採決前に議場を退出。15日の衆院平和安全法制特別委員会に続き、与党が採決を強行した。安倍晋三首相が目指す今国会中の成立をめぐる与野党攻防の舞台は参院に移る。
 衆院審議では憲法との整合性を疑問視する声が強まったほか、拡大する自衛隊活動に関し歯止めが不明確だとの指摘もあり、参院審議でも焦点になりそうだ。

 法案は自衛隊法や武力攻撃事態法など10本の改正案を一括した「平和安全法制整備法案」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本。
 米国など「密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合に「存立危機事態」と認定されれば、歴代政権が憲法9条の下で禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にするなど、戦後の安保政策の転換となる。

 民主党の岡田克也代表は本会議で反対の立場から討論し「法案に対する反対の声はより高まっている。首相は国民の理解を得られなかったと率直に認め、直ちに撤回すべきだ」と訴えた。
 維新の党が提出した安保関連法案の対案も採決され、与党の反対多数で否決された。
 衆院本会議は午後1時すぎに開会し、特別委の浜田靖一委員長(自民党)が法案の審議結果を報告。与野党が賛成、反対の立場で討論した。民主、共産両党は討論で反対意見を表明した後、採決前に退席。維新は対案の採決後に議場を出た。社民、生活両党も採決に加わらなかった。(中国新聞)
・・・


【参考資料】
□ 平和安全法制 (概要(PDF)
 ○ 平和安全法制整備法 : 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律 /案文(PDF)新旧対照表(PDF)参照条文(PDF)要綱(PDF)

 ○ 国際平和支援法 : 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律 /案文(PDF)参照条文(PDF)要綱(PDF)


【参考文献】
 日米同盟という欺瞞、日米安保という虚構 (新評論 2010)
  「安保は軍事同盟ではない」。これが日本政府の公式見解だ。だとしたら、「日米同盟」の法的根拠とは何か。あるいはその逆に、安保が軍事同盟であるなら安保条約のどこにその根拠を見出しうるのか。また、かつて吉田茂は旧安保条約を米軍の「駐兵条約」と言ったが、ではそれを改定した現安保条約は在日米軍の無期限駐留を米国に保障した条約という以上の、何か具体的な軍事的意味を持つものなのか。
 岸信介は条約改定によって米国が「対日防衛義務」を負い、それによって安保は日本の「平和と安全」を「保障」する条約になったと語った。しかし、吉田茂もまたそれと同じことを語り、旧条約の国会「承認」を強行したのである。

 安保条約第五条一項。この条項はこれまで日米の「共同作戦」を規定した条項だと解釈されてきた。本書はそのような解釈に真っ向から挑戦する。北大西洋条約を始めとした軍事同盟条約と安保条約の条文の一字一句をつぶさに対照しながら、本書は安保条約が結局のところ「改定された駐兵条約」であり、1970年代末期に登場した日米同盟論が、「在日米軍の無期限駐留のための安保条約の無期限延長」を正当化するために捏造された、条約上の根拠なき政治宣言に過ぎないことを明らかにする。

 その意味で本書は、安保を「冷戦の産物」と捉え、軍事同盟規定した旧社会党や共産党の安保=対米従属論、さらには「60年安保」後の護憲運動が「九条を守る」ことを第一義に置き、安保問題を後景化させてきたことなどをも批判的検討の俎上にのせている。「日米同盟という欺瞞」を暴き、「日米安保という虚構」の物語を解体し、在日米軍の無期限駐留を阻むためには避けて通ることができない課題としてそれはある。
 読者の忌憚無き批判を仰ぎたい。

[本書の構成] 
第一章 日米同盟という欺瞞
第二章 日米安保という虚構(Ⅰ)――日米「共同防衛」の幻影
第三章 日米安保という虚構(Ⅱ)――安保=日米軍事同盟論をめぐって
第四章 憲法九条の死文化と日米安保――国家の自衛権をめぐって
第五章 憲法九条の死文化のメカニズム――「普通の国家」と霞ヶ関イリュージョン
第六章 国連憲章第五一条と「戦争と平和の同在性」
終章 日米同盟を再考し、日米安保に期限をつけるために
目次」の詳細はこちら、 「まえがき」はこちら「あとがき」はこちら、をご覧ください。

2015年7月15日水曜日

安保法案が強行採決された日

安保法案が強行採決された日

・安保法案、可決を強行 与党単独、野党は抵抗 
 集団的自衛権行使の解禁を柱とする安全保障関連法案は15日午後、衆院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党の賛成により可決された。
 審議継続を強く求めた民主党など野党は採決阻止を試みて抵抗し、与党が単独で強行した。

 安倍晋三首相は採決に先立つ締めくくり質疑で「国民に十分な理解を得られていない」と認め「理解が進むよう努力を重ねていきたい」と強調した。
 与党は16日にも衆院本会議で可決・衆院通過させ、参院審議を経て今国会中に成立させる構えだ。
 野党議員が採決反対を訴えるプラカードを掲げ、怒号が飛び交う中で、与党は採決に踏み切った。(共同)

・安保法案:衆院特別委で可決 与党単独で強行採決
 集団的自衛権の行使などが可能となる安全保障関連法案は15日午後、衆院平和安全法制特別委員会で、与党単独による強行採決で可決された。
 与党は16日に衆院を通過させ、参院に送付する方針。関連法案は自衛隊法や武力攻撃事態法の改正が柱。
 日本周辺での有事で米軍を支援するための周辺事態法を改正し、地理的制約を撤廃する「重要影響事態法案」も含まれる。関連法案が成立すれば、自衛隊の海外での活動は大きく拡大する。

 関連法案は、他国軍を後方支援するための「国際平和支援法案」と、既存の10法を一括して改正する「平和安全法制整備法案」の2本。
 採決に先立ち、安倍晋三首相が出席して締めくくりの質疑を行った。
 首相は「(法整備には)批判もあるが、確固たる信念と確信があれば政策を前に進めないといけない」と成立に強い意欲を示した上で、「残念ながらまだ国民の理解はない。今後も丁寧に(議論を)進めたい」と述べた。

 これに対し、民主党の大串博志氏は「議論していない論点は山ほどある。審議を打ち切らないでほしい」と要求。
 維新の党の下地幹郎氏も「憲法学者が『違憲』と指摘した問題は未解決だ。最高裁の違憲判決が出れば一からやり直しになる」と警告した。
 質疑終了後、民主、共産両党は採決に応じず、浜田靖一委員長(自民)に抗議。維新は採決の際に退席した。

 一方、衆院議院運営委員会は15日午後の理事会で、衆院本会議の日程を協議し、与党側は16日に安保関連法案の採決を提案する方針。16日に衆院を通過すれば、参院が議決しなくても衆院の出席議員の3分の2で再可決できる「60日ルール」が9月14日以降に適用でき、同27日までの今国会での成立が確実になる。

 関連法案のうち、整備法案は、日本の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される「存立危機事態」を規定。同事態の際に集団的自衛権を行使できるようにするため、自衛隊法と武力攻撃事態法の改正案を盛り込んだ。
 集団的自衛権を巡っては憲法学者を中心に「違憲」との批判が強まっている。政府は行使を判断する具体的な基準についても明確にしていない。

 重要影響事態法案では米軍以外の他国軍の支援や弾薬の提供も可能になる。
 国際平和支援法案は、自衛隊を迅速に派遣し、国際社会の平和のために武力行使する他国軍を後方支援する。
 両法案によって、自衛隊の活動範囲は従来の「非戦闘地域」から「現に戦闘が行われている現場以外」に拡大する。
 野党は「自衛隊員のリスクが増大する」と追及したが、政府はこれを否定している。

 このほか、
▽国連平和維持活動(PKO)で、巡回、検問などの治安維持任務を可能にし、任務遂行のための武器使用もできるようにするPKO協力法改正案
▽武力行使に至らないグレーゾーン事態でも米軍などの防護が可能となる自衛隊法改正案
▽国際社会の平和と安全のためでも船舶検査の実施を可能とする船舶検査活動法改正案−−などが盛り込まれている。【毎日 青木純、飼手勇介】

【写真特集】
安保法案:「戦争させない」2万人超が反対集会(7月14日、毎日)
http://mainichi.jp/graph/2015/07/15/20150715k0000m040083000c/001.html
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強行採決 なんかに負けない
立憲フォーラム・戦争をさせない1000人委員会 共催
「戦争法案」を葬ろう 連続集会

◆沖縄/辺野古移設・安保法制・アジアの未来について

 7月16日(木)午後5時~ 憲政記念館 講堂
 高野孟(ジャーナリスト)、各界から緊急アッピール


 安倍政権はなりふりかまわず、15日に衆議院安保特別委員会で「戦争法案」を強行採決しようとしています(→しました)。
 『毎日』に続き『朝日』、日本テレビ系の世論調査は安倍内閣不支持率が支持率を上回った結果が出ています。安保関連法案に対しても「反対」は「賛成」の2倍以上。

 にも関わらず、国民の思いも、憲法学者の判断も、海外メディアの批判も聞く耳を持たない安倍政権の暴走が、日本をかってない危機へと導こうとしています。
 「安倍政権はすでに末期の入り口に差し掛かった」と見るジャーナリストの高野孟さんが、安倍独裁政権の問題点を鋭く突きます。また、日弁連や立憲デモクラシー、宗教者から怒りの緊急アピールがあります。


◆70年談話前 「村山談話」と米歴史学者の意見を聴く

 7月23日(木)午後5時~ 憲政記念館 講堂
 村山富市(元首相)、ジョルダン・サンド(歴史学者)

◆戦後史から、「60年安保」と今国会を考える

 7月30日(木)午後5時~ 参院議員会館1階 講堂
 保阪正康(作家)、宗教界など各界からのアピール

入場は無料。お問い合わせは江崎孝参院事務所(03-6550-0511、参‐511)
15日(水)~17日(金) 国会正門前抗議行動を行っています。ご参加下さい。

・・・
<安保法案>地方から問う暴挙の意味
◎河北新報編集局次長兼報道部長 今野俊宏

 戦争は嫌だ、子どもを戦場に送りたくない、という生活者の純粋な感情に右も左もない。政権与党は15日にも安全保障関連法案を衆院平和安全法制特別委員会で強行採決する構えだ。それがなぜ暴挙なのか。地方の視点で考えてみたい。

 先週の土曜日、宮城県内に安倍晋三首相の姿があった。復興予算の一部を地元負担とする方針を決めてからは初の被災地入りだ。南三陸町の仮設商店街で被災者と懇談する写真が紙面に掲載された。その満面の笑みと、「安保法制と徴兵制を結び付けるのは無責任なレッテル貼り」と国民の不安視に全く耳を傾けようとしない姿勢のギャップは何なのだろう。

 前日の10日、筆者も南三陸町にいた。仙台市で11日に開かれた「日韓地方紙フォーラム」に参加する韓国の地方紙幹部らの被災地視察に同行した。案内役をお願いした地元の語り部後藤一磨さん(67)の最後の言葉が心に響く。

 「最近、おじいさんの仲間入りをした。1歳半の孫のかわいい姿を見るたびに、将来、こんな素晴らしい町に生まれて良かったと言ってもらえるか、それともどうしてこんな町にしてしまったのかと怒られるのか、そればかり考えてしまう」。
 再生へ向けたまちづくりの話だが、安保法制の議論とも深くつながる。このままでは将来、私たち一人一人が「どうしてこんな国にしてしまったのか」と問われかねない。

 河北新報の調査では、安保法案をめぐり、東北6県の県議会と市町村議会で廃案や徹底審議などを求める意見書・請願を6月定例会や臨時会で審議した自治体のうち、半数以上の54議会が可決、採択した。各報道機関の世論調査でも法案への支持は過半数が反対で、安倍政権が法案を十分に説明しているかは8割以上が不十分と答えている。

 数字だけではない。安保法案に対する論調は地方紙の方が批判的だ。なぜか。地方紙は読者との距離が生命線と言える。太平洋戦争末期に2度襲った艦砲射撃を生き延び、体験談を伝える釜石市の和田乙子さん(85)は、本紙取材に「戦争のにおいがしてきた」「戦争は誰も幸せにしない」と語った。何事も賛否はあるが、地域で生活する人々の肌感覚こそ大切にしたい。
 警鐘を鳴らすことに臆したとき、新聞はその役割を失う。戦後70年。河北新報は常に地域の読者に支えられてきた。地域の代弁者として政権を監視していく。

<安保法案>元裁判官2人「反対」街頭演説へ
 元裁判官も「ノー」-。
 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案は憲法違反だとして、仙台高裁秋田支部長と仙台地裁所長をそれぞれ務めた元裁判官2人が16日、仙台市内で街頭に立ち、法案への反対を表明する。元裁判官が審議中の法案に旗幟(きし)を鮮明にするのは極めて異例。

 2人は元仙台高裁秋田支部長の守屋克彦さん(80)と元仙台地裁所長の泉山禎治さん(79)。定年退官後、ともに仙台弁護士会に所属する。与党が15日に法案を衆院特別委で採決、16日に衆院本会議で可決させる動きに出たため、同弁護士会が街頭演説への参加を打診し、両氏が快諾した。

 泉山氏は河北新報の取材に「国民の権利に大きく関わる問題であり、歴史的な曲がり角に差し掛かっている」と指摘。最高裁が「必要な自衛の措置」を認めた1959年の砂川事件判決に触れ、「最高裁判決を乱用し、国民の意思に反して強行採決することは看過できない」と語った。
 仙台弁護士会の北見淑之副会長は元裁判官2人の異例の意思表示に「非常に強い危機意識が背景にある。多くの市民に元裁判官の肉声を聞いてほしい」と呼び掛けた。

 街頭演説は16日午後5時半から、仙台市青葉区の一番町平和ビル前。東北大の小田中聡樹名誉教授(刑事訴訟法)ら識者計5人がマイクを握る。(河北新報)

2015年7月14日火曜日

安田純平氏からの便り

安田純平氏からの便り

安田純平 ‏@YASUDAjumpei 6月20日
現場を否定するということは個々の人間の存在を否定するに等しいと思う。
せっせと取材の邪魔をする安倍政権とかその支持者とか、現場なんか見なくてもネット見てれば全て分かるとか言っているネトウヨとかネトサヨ陰謀論者とか、根本的な問題としてそのあたりが共通してあるのだと思って見ている。

安田純平 ‏@YASUDAjumpei 6月20日
陰謀論者はなぜシリアに行って直接取材しないのか?反政府側地域にいる人間が赤ん坊から年寄りまで全部外国人だなんて、証拠取ってきて事実で示せばいいのに。シリアの本書いている研究者も陰謀論者いるが、反政府側に接触している形跡が全くないんだが今時の研究は現場なんかどうでもいいわけか。

安田純平 ‏@YASUDAjumpei 6月18日
テロリストとか過激派とか、あんなの全部外国人だとか、それぞれを確認もせずに言うことで無差別殺戮を正当化してきたのが対テロ戦争。シリアへ行った2012年にも「反政府側なんて全部外国人、全員イスラム過激派」という陰謀論があり、ほんとかよ、と思って当事者たちに会いに取材に行ったわけだ。

安田純平 ‏@YASUDAjumpei 6月18日
戦争などは特にそうだが、現場で見られるものは限られていて、現場に行けば全てが分かるなんて思って行く人はいないだろう。特に内戦などは外部の干渉があり、国単位の大きな動きもある。しかしそこで生きている人にはそれぞれの事情があって、そういうものを少しでも知りたくて私は現場に行っている。

安田純平 ‏@YASUDAjumpei 5月29日
自衛隊は自らトラック野郎やるつもりなのかね。イラクではトラックはインド人らが運転する民間で、軍は兵員輸送車や戦闘ヘリで前後を守るというコンボイを組んでいた。後方支援だが実は護衛任務で、そのクラスの武装でないと誰もコンボイに入りたがらないから自衛隊もそういう武装になると思うが。



安田純平氏がシリアで拘束されるも、安倍官邸が安保法制への影響を考え情報を隠蔽!?
LITERA
・「ISに拘束された可能性がきわめて高く、政府も7月はじめにはこの事実を把握していたようです」(官邸担当記者)
・【編集部注:7月13日22時1分、情報を訂正・更新します。当初、安田氏はISに拘束された可能性が高いとの話でしたが、記事配信後、別のイスラム過激派組織であるとの有力情報が得られました。】
・ところが、菅義偉官房長官は9日の会見でこの情報を質問されると、「拘束されたとの情報には接していない」と否定。
 岸田文雄外相も「少なくとも現在、邦人が拘束されたとの情報は入っていません」「(安田氏がシリアに入ってることも)確認していない」とシラをきった。なぜか。(以下略)

2015年7月13日月曜日

7・26 戦争立法反対!ママの渋谷ジャック! 安保関連法案に反対するママの会


自民、安保15日に採決方針
  自民党の谷垣禎一幹事長は13日の記者会見で、集団的自衛権行使を可能とする安全保障関連法案を15日に衆院平和安全法制特別委員会で採決する方針を表明した。
 同党は15日の採決日程を特別委理事会で提案したいと民主党に打診。民主党は拒否した。

 与党は13日の理事会での正式提案は見送ったが、14日午後に維新の党と対案について再協議する予定で、結果を踏まえ最終判断するとみられる。16日の衆院通過に向けた動きを一気に表面化させ、野党との攻防はヤマ場を迎えつつある。
 谷垣氏は党役員会で、委員会の質疑終結時に行う締めくくり質疑を15日に実施したいとの意向を示した。(共同)
・・・


7・26 戦争立法反対!ママの渋谷ジャック! 安保関連法案に反対するママの会 
  「ママは、あきらめない、本当に止める」
 
渋谷をママの声で埋め尽くそう!!
「 7・26 戦争立法反対!ママの渋谷ジャック!(仮)」計画中!

安保関連法案の強行採決がもくろまれています。

国会の中で何が行われようと、わたしたちの声を上げつづけることで、その不正義を明らかにしたいと思います。

先日は渋谷駅前で、学生らの大規模な集会がありました。


 今度は、わたしたちママがそれに続きたいです!!

この街頭宣伝のスタッフになってもらえませんか?


 (ママでなくても可、むしろママは動きづらいので、ママがスピーチできるように、すべての層のみなさんのサポートが欲しいのです)
 

安保関連法案に反対するママの会では、会を立ち上げてほんの数日で「いいね!」が2000件を超え、賛同人も1000人を超えました。


 「何かしたかったけど、どうしていいかわからず、待っていた」というコメントをたくさんいただいています。 

 
そういう人たちと、手を取り合って、首都のど真ん中に集結しませんか。
SNSでつながりあったわたしたちが、街頭に飛び出すときが来たのだと思います。
すべてが手探りです。

 発起人は京都在住のため、直接は企画に携われません。
どうか、どうかあなたのお力を貸してください。

安保関連法案に反対するママの会 連絡先:090-9330-5632
  
ママの会 | Facebook
@MothersNoWar) | Twitter

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戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

・戦争法案廃案!強行採決反対!7.14大集会
日時:7月14日(火)18時30分~
 場所:日比谷野外音楽堂 ※集会後、国会請願デモ

強行採決反対!7.15国会正門前座り込み行動
日時:7月15日(水)13時~17時
 場所:国会正門前

・強行採決反対!7.15国会正門前大集会
日時:7月15日(水)18時30分~19時30分
 場所:国会正門前

・強行採決反対!7.16国会正門前座り込み行動
日時:7月16日(木)13時~17時
 場所:国会正門前

・強行採決反対!7.16国会正門前大集会
日時:7月16日(木)18時30分~19時30分
 場所:国会正門前

・強行採決反対!7.17国会正門前座り込み行動
日時:7月17日(金)13時~17時
場所:国会正門前

・強行採決反対!7.17国会正門前大集会
日時:7月17日(金)18時30分~19時30分
 場所:国会正門前

・・・
安保法案 市民ら「簡単に決めるな」 「審議300時間でも足りない」
 安保関連法案をめぐる中央公聴会が開かれた国会近くの衆院第二議員会館前では十三日、「法案採決のアリバイづくり」につながるとして公聴会開催に抗議する集会が開かれた。参加者は「アリバイづくり許さない」などと声を張り上げ、採決を目指す政府与党に抗議の声を上げた。

 栃木県鹿沼市の主婦松田栄子さん(64)は「お茶の間で何かを言っていても仕方がないのでここまで来た。人が殺し、殺されるようなことになってはいけない」と語気を強めた。
 東京都世田谷区の無職高橋知文さん(61)は「憲法の根幹に関わるこの法案は、簡単に決められるものではない。与党の議員は自分の頭でよく考えて判断してほしい」と訴えた。

 日本体育大で憲法を教える清水雅彦教授は衆院での法案審議時間が百時間を超え、与党幹部が採決に向けた環境が整ったとの見解を示している点に「法案の中身からすれば、審議時間は三百時間でも足りない。一国会でやる内容ではない」と反論。「世論調査などを見れば、採決は強行すべきではない。皆さんも声を上げてください」と呼び掛けた。

 「映画人九条の会」事務局長の高橋邦夫さんは、戦時中の映画人が、当局から厳しい検閲や規制を受けたり戦意高揚映画を作らされたりした苦い経験を振り返り「だからこそ、今回の戦争法案に大きな危機感と怒りを持っている。民主主義そのものが問われる大変な事態だ」と憂慮した。

 集会は市民団体でつくる「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼び掛け、約二百人(主催者発表)が駆け付けた。厳しい暑さの中、参加者はタオルで汗をぬぐったり日傘を差したりしながら「戦争させない」などと記したカードを掲げた。(東京新聞)

STOP HATE SPEECH! 院内集会★part2 ~今こそ人種差別撤廃基本法の実現を~

院内集会★part2
★ STOP HATE SPEECH!
~今こそ人種差別撤廃基本法の実現を~
(7/22、東京)

──────────────────────────────────────
6月26日の「院内集会 STOP HATE SPEECH ! ~今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」では、議員・議員秘書16人を含む、200数十人の参加を得て、参議院議員会館講堂がいっぱいになり、各紙で報道されました。

しかし、6月23日から2週間連続して、東大阪の在日コリアンの集住地域で在特会らが差別街宣を行い、それを警察が守り、日々被害を拡大再生産するなど、法整備は一刻の猶予もありません。

そこで、私たちは、6月集会に引き続き、今国会での法案可決にむけた集会を開きます。
ぜひとも多くの方のご関心、そして当日集会へのご参加をお願いいたします。

◆日時◆
2015年 7月22日 (水) 15:00~16:30
*14:30から1階ロビーで入館証を配布します。
事前申し込み不要です。

◆会場◆
参議院議員会館 101号室(東京都千代田区永田町2-1-1)
-最寄駅:東京メトロ「永田町」駅、または「国会議事堂前」駅
〔地図〕http://www.sangiin.go.jp/japanese/taiken/shuhen/shuhen.html
詳細は以下のリンクからご覧になれます。
http://imadr.net/stop-hatespeech-part2/

2015年7月12日日曜日

憲法研究者〈全国出前講師団〉結成のお知らせ

開催強行反対! 7.13 中央公聴会抗議行動
日時: 7月13日(月) 8時30分~12時30分
場所: 衆議院第二議員会館前

⇒戦争法案廃案!強行採決反対!7.13-17国会前行動
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憲法研究者〈全国出前講師団〉結成のお知らせ

 「安保法制」に対する反対の声は全国に広がっていますが、法案の複雑さ、国会での政府の説明の不十分さもあって、法案の内容が十分に理解されて いるとはいえないと思います。
 国民一人ひとりが主権者として自分の頭で考え、意見を表明するためには、まず問題となっている法案の中身を知ることが必要で す。

 私たち憲法研究者有志は、専門の見地から必要な情報を提供するために〈全国出前講師団〉を結成し、学習会の講師依頼に応えることとしました。
 法案の内容や問題点について学習したいと思っていらっしゃる皆さん、是非この講師団をご活用下さい。

 全国津々浦々、どこへでも、何人の集まりでも、講師を「出前」します。


1.講師派遣依頼の要領

(1)全国の地域ごとに連絡窓口を置きますので、学習会の開催地域ごとに、窓口担当者までご連絡下さい。窓口担当者と連絡先は以下の通りです。

関 東: 中川 律(埼玉大学准教授)   rnakagawa#mail.saitama-u.ac.jp
東 海: 大河内美紀(名古屋大学教授) om0503#outlook.com
関 西: 本 秀紀(名古屋大学教授)   moto#law.nagoya-u.ac.jp
その他: 本 秀紀(名古屋大学教授)   moto#law.nagoya-u.ac.jp
#のところは@に変えて下さい。

(2)講師派遣のご依頼の際は、以下のことをお知らせ下さい。
・開催日時、場所、講演時間
・主催者名、連絡先、催し物名、講演テーマ、講師への注文
・講師の希望がある場合は講師名

(3)派遣可能な講師が決まりましたら、窓口担当者からお返事させていただきます(調整に一定の日数がかかることをご了承願います)。

(4)講師料は相談に応じます(最低限、交通費等の負担はお願いいたします)。


2.講師団名簿

愛敬浩二(名古屋大学教授)、青井未帆(学習院大学教授)、足立英郎(大阪電気通信大学教授)、石川裕一郎(聖学院大学教授)、伊藤雅康(札幌学院 大学教授)、稲 正樹(国際基督教大学客員教授)、植野妙実子(中央大学教授)、植松健一(立命館大学教授)、植村勝慶(國學院大学教授)、浦田一郎(明治大学教授)、大 河内美紀(名古屋大学教授)、大野友也(鹿児島大学准教授)、岡田健一郎(高知大学准教授)、岡田信弘(北海道大学特任教授)、奥野恒久(龍谷大学教 授)、小栗 実(鹿児島大学教授)、小沢隆一(東京慈恵会医科大学教授)、

上脇博之(神戸学院大学教授)、河合正雄(弘前大学講師)、河上暁弘(広島市立大学准教 授)、北川善英(横浜国立大学名誉教授)、君島東彦(立命館大学教授)、倉田原志(立命館大学教授)、倉持孝司(南山大学教授)、小林 武(沖縄大学客員教授)、小松 浩(立命館大学教授)、齊藤小百合(恵泉女学園大学教授)、佐藤潤一(大阪産業大学教授)、澤野義一(大阪経済法科大学教授)、志田陽子(武蔵野美術大学 教授)、清水雅彦(日本体育大学教授)、菅原 真(南山大学教授)、高橋利安(広島修道大学教授)、多田一路(立命館大学教授)、只野雅人(一橋大学教授)、建石真公子(法政大学教授)、塚田哲之(神 戸学院大学教授)、長岡 徹(関西学院大学教授)、

中川 律(埼玉大学准教授)、中里見 博(徳島大学准教授)、長峯信彦(愛知大学教授)、成澤孝人(信州大学教授)、西原博史(早稲田大学教授)、丹羽 徹(龍谷大学教授)、根森 健(新潟大学・埼玉大学名誉教授)、福嶋敏明(神戸学院大学准教授)、藤野美都子(福島県立医科大学教授)、前原清隆(日本福祉大学教授)、三宅裕一郎 (三重短期大学教授)、三輪 隆(埼玉大学名誉教授)、村田尚紀(関西大学教授)、本 秀紀(名古屋大学教授)、横田 力(都留文科大学教授)、脇田吉隆(神戸学院大学准教授)、和田 進(神戸大学名誉教授)、渡辺 洋(神戸学院大学教授)、渡邊 弘(活水女子大学准教授)

[計57名=7月12日現在]

STOP! 違憲の「安保法制」  憲法研究者共同ブログ

・・・
安保関連法案 首相、来週の採決を強く示唆
 安全保障関連法案をめぐり安倍首相は11日、「決めるべき時には決める」と語り、来週、採決に踏み切る考えを強くにじませた。
 安倍首相「いつ採決をするか、これは委員会において皆さんがご判断いただきたい。いずれにしても決めるべき時には決めるということではないかと思います」
 安保関連法案について、来週中に採決する考えがあるかを問われたのに対し、安倍首相は「決めるべき時には決める」と答えた。来週、採決に踏み切る考えを強くにじませたもの。

 自民党・二階総務会長「党を挙げて、私たちはこの重要な課題、国家的課題(安保関連法案)にチャレンジしていくつもり」
 また二階総務会長は、「週が明ければ重大な局面を迎える」などと述べ、来週、採決に踏み切るとの見通しを示した。
 法案について政府・与党は、来週中に衆議院を通過させたい考えだが、野党側は強く反発している。与野党の攻防は来週、最大の山場を迎える。(ytv)

地方議会、安保転換を懸念 国に意見書400件以上
 安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定した昨年7月から1年間に、全国の地方議会が国会に提出した安全保障政策関連の意見書が少なくとも469件あり、うち463件が閣議決定の撤回や安保関連法案の廃案ないし慎重な審議を求める内容だったことが11日、衆参両院事務局への取材で分かった。

 意見書のほとんどが国民に最も身近な市町村議会からで、政府の安保政策転換への反対や慎重論が根強いことが浮き彫りになった。法整備の推進や、法案の今国会での成立を求めた賛成の意見書はわずか6件だった。(共同)

・長崎の平和宣言起草委が最終会合
 長崎市は11日、8月9日の長崎原爆の日に田上富久市長が読み上げる平和宣言文起草委員会の最終会合を開いた。
 市は提示した文案で、国会での審議が続く安保法案について
 「戦争をしないという憲法の平和理念を忘れず、慎重な審議と国民への丁寧な説明を求める」と言及した。市は月末までに宣言文をまとめる。(共同)

2015年7月11日土曜日

子ども被災者支援法の改定案に対するパブコメ

子ども被災者支援法の改定案に対するパブコメ(8/8(土)締切り)

 FoE Japanの満田です。
復興庁が、子ども被災者支援法の改定案を示し、現在パブコメにかけています。
「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針の改定(案)」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295150710&Mod
e=0

東京説明会(7月17日(金)18:00~@TKP赤坂駅カンファレンスセンター ホール13A)、
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-1/20150709112723.html

福島説明会(7月18日(土)13:30~@コラッセふくしま多目的ホール
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-1/20130830193010.html

内容はひどいものです。
・線量が低減したとして、「避難指示区域以外から避難する状況にはない」としている

・一方で、改定案に添付されている「参考データ」を見れば、避難区域以外の地域でも 年間1mSv以上の地域が多く広がり、5mSv以上に達する場所も少なからずある。

 ・個人線量計による被ばく量に基づき、「既に年間1ミリシーベルト以下」などとしている。

 ・しかし、個人線量計のデータでも、二本松市で最大5.22mSv/年、須賀川市で 最大1.86mSv/年となっており、高い被ばくレベルをうかがわせる。

 ・「(空間線量等からは」支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当」としているが、 「当面、放射線量の低減にかかわらず、支援対象地域の縮小又は撤廃はしないこととする」 としている。

 ・環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する 専門家会議」(以下「専門家会議」という。)の中間とりまとめを引用し、健康に関する 対策については何も記述していない。

 ・福島県が、避難指示区域以外からの避難者に対する応急仮設住宅の供与期間を「平成29年
3月末まで」としていることを記述し、「空間放射線量が大幅に低減していること等とも 整合的」としている。一方で、国としての施策については触れていない。

私たちのアクションとして
・パブコメを出す/説明会に参加する
・復興庁に電話し、日本各地で、被災者向け「公聴会」を開催することを申し入れる。
・地元の国会議員に訴える。
・地元議会に、意見を出してもらうように働きかける。

などが考えられます。

FoE Japanでは、添付のような抗議声明をだしました。
ぜひ、広めていただけますと幸いです。

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声明:「子ども・被災者支援法」基本方針の見直しについて
~法を無視した「基本方針」は許されない~
http://www.foejapan.org/energy/news/150710.html
—————————————-
(声明の内容はリンク先をご参照ください)

—–
連絡先:
国際環境NGO FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986 携帯:090-6142-1807
Web:http://www.FoEJapan.org


・・・
原発30キロ圏外自治体も支援を 脱原発をめざす首長会議
  現職、元職の市町村長らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は11日、都内で集会を開き、原発事故時の住民避難などの対策に自主的に取り組む、原発から30キロ圏外の自治体への支援を求める緊急アピールをまとめた。近く原子力規制委員会や内閣府に提出する。

 アピールは、規制委が4月に改定した原子力災害対策指針で「30キロ圏外でも防護措置が必要となる場合がある」との記述が削除され、30キロ圏外の避難は規制委が事故後判断するとされたことを受けたもの。
 福井県内の原発から30キロ圏外に位置する京都府や滋賀県の5市町は6月、国の支援を求める意見書を規制委に提出している。(共同)

・「250ミリシーベルトは必要」 事故時線量上限で規制委長
 原子力規制委員会は8日、原発で重大事故が起きた際に収束作業に当たる作業員らの被ばく線量限度を現行の100 ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げる法令の改正案について、意見公募を踏まえて取りまとめた。

 田中俊一委員長は「250ミリシーベルトは 非常事態に対応するため必要な値。これだけ被ばくしてもいいということではない」と強調した。
 事務局の原子力規制庁が5月から6月にかけて行った国民への意見公募では「線量の上限設定は撤回すべきだ」「作業を強要されるのではないか」などの声が寄せられた。(共同)